先週からEテレで「暮らしにいかすにっぽんの布」が始まった。
2年前の再放送、先週は生活文化コーディネーターの石村由起子氏が、麻布、蚊帳織を生かした暮らしを紹介していた。
シンプルでセンスのいい自宅。
この方は1951年生まれ、33歳で、奈良市の田園地帯にカフェと雑貨の小さな店を始め、その後、雑貨や洋服販売、レストラン、ゲストハウスなどの店を展開し、今では各地へ呼ばれて店のプロデュースや町おこしなどのアドバイスもしているらしい。
女実業家として、ギラギラした人を想像していたけれど、ご本人は麻の古布で仕立てたワンピースを着て、落ち着いた雰囲気の人だった。
今日もあるのでまた見ましょう。
雑貨を売ってお茶が飲める店って今ではたくさんあるけれど、開業当時は東京でも珍しく、まして地方で店を続けるのは大変だったそう。
しかし世の中が大量生産されたものではなく、手作りの、作り手の息遣いが感じられるものを求めるようになると次第にお客さんも増えてきたとか。
人が求めるのは、雑貨でもコーヒーでもなく、その場所全体の雰囲気だと思う。落ち着いていて、日頃の喧騒を忘れてひと時ほっとできる空間。
四国高松で、仕事の忙しい両親の代わりに、広い家でおもてなし好きの祖母に育てられた幼児体験が、今の仕事の原点になっているとご本人も言っている。
人を心地よくさせる空間。人はお金を払ってでもそこに価値を見出す。
お金を出せば、高価なもの、世界中のものが手に入る時代になって、人が求めるのは田舎のおばあちゃんの家のようなほっとできる空間かなと思った次第です。
手作りというのは手間がかかるけれど、自分の気に入った布を一枚、カーテンがわりに掛けてみる。そこから暮らしは心地よくなる。先週はそういう提案でした。