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「せきれい」 庄野潤三

2019-02-02 | 読書

この人の作品は、若いとき、「プールサイド小景」その他を読んだだけで、熱心な読者ではありませんでした。

一人称を省いた日記体、事件が起きないのが、主張が感じられないのが物足りないと、若いが故の不遜な偏見。しかし今になると、このしみじみとした味わいに癒される私がいるわけです。

主人公は、作家をほぼ等身大に映したと思われる老境の作家。毎日、家で仕事をし、その合間の日々の暮らしがあわてず騒がず、淡々と描かれている。

武蔵野台地の、広い庭のある家。庭木や花、野鳥、近所や親せきと食べ物を上げたり貰ったり、子供たちもみな独立、その子供たちや孫との交流。

年に二回は関西に墓参りに帰り、友人の作家の娘さんが宝塚のスターで、その舞台も楽しみに見る。

いいなあ、こういう老後、と思った。

人に聞こえのいい仕事があり、お金の心配もなく、周りの人に恵まれ、自然の中で、四季の移ろいを感じながら暮らしている。

これが小説だろうかと思いながら、やはり小説以外の何物でもないと思うに至る。

主人公と妻の清潔な人柄。足るを知り、人に施すにやぶさかでない。相手を責めず、小さな毎日のことに喜びを感じる。周りに感謝する。

道徳的に読んではいけないのだろうが、結局、文は人。その人柄に打たれた。

面白かったことのいくつか。

買い物を頼まれて、豚のこま切れ肉と蕪が分からない。20年以上前とは言え、何という浮世離れしたおじいちゃん。ここでジェンダーがどうのこうのと持ち出すのは場違い。それで家の中が廻っていくなら、いいじゃないの。というか、知らないのに買い物かって出るのは頑張ったと思う。

夜、ハーモニカを吹き、妻が歌う。時には踊る。面白い人。そして二人でいい歌ですね、いい歌だなあと言い合う。

妻はピアノも習っている。その話題もほのぼのとしている。

お正月には一族13人の用意を70過ぎた妻が一手に準備。各自にお年玉を渡し、ゲームなどして過ごす。今年は姑様がいたので必要最小限しかできなかったけど、機会があればこんな楽しい大宴会もやってみたい。

生きるヒント、ものの見方のヒントがいっぱい詰まった、いい本でした。

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高松の栗林公園を歩く

2019-02-02 | 旅行

1/29 好天。ダウンコートにリュックと小さなバッグ、登山帽。山へ行く格好で街を歩く。

暑い。暑いけど、頑張って歩く。

正門(東門)行ってすぐの物産館。明治の建物。立派。子供の頃にはもうあった。

ヒマラヤスギも大きい。

以前あった動物園に美術館はなくなった。

松をとてもきれいに育てています。

南庭なんていの梅園。

隣接する茶店のサネカズラ。

この店は奥が住居。幼稚園のとき、この店の子がいた。

公園の中に住んでいるのがうらやましかったけど、本人にしたら遊び相手がいなくてつまらなかったかも。

橋。寅さん映画でこの橋が出てくる。志々島の診療所の話の、最後の方の作品。

昔はハートには刈り込んでなかった気がする。

寒鯉。とはいえ、元気。

南端。湧水。

一番のビューポイント。建物はお茶会などに使われる。

学校出て、故郷で勤めていたころ、忘年会をしたのはもう少し山際の店。シンシンと寒かった。暖房もまだまだの時代。

北庭の紅梅。

蓮池。

最後の藩主で東京へ行って、華族になった人ではないかと思う。

公園を下賜した功績をたたえて像があるらしい。未確認。

東京の三田に昔、県出身者用の学生寮があり、たぶんそれも下屋敷の跡か何かだと思う。未確認。

今は讃岐会館という、宿泊や宴会のできる施設になってるようです。さる方が外務省辞めて結婚するときの送別会をここでしたと何かで見た。平成ももうすぐ終わり。しみじみと時間が経ったものです。

場所は山手線田町駅から慶応大学へ向かう途中にあるはず。

行ったこともない私がなんでこんなこと知ってるかって?

10代の終わり、その県人寮にいた友達と、夏休みに帰省してここを歩いていたことを、思い出したから。

少女は長い時間をかけて、ばあちゃんに。でも、公園はほとんど変わっていない。同じ場所に立つとその日の記憶や、会話の声が鮮明によみがえってくる。

昔のことほどよく憶えているのが老人の特徴。読者諸氏、許されよ。

スダジイの巨木。

北庭は観光客が来ないので昔も静かだった。よく歩いた。

水車みずぐるまの展示。川の水を田に入れる道具。

両側に支えの棒があって、それに掴まって次々と板を踏むと回転して水が田にいる仕掛け。

川の水面が田より低いときに利用。水の乏しい讃岐平野では必須の道具。

もちろん我が家にもありました。

今見ると精巧な細工に驚かされます。

満開。

物産館の裏。この辺りは新しい施設。馴染みがないし、植栽も今風で、ちょっとよその土地へ行ったみたい。


本当に久しぶりに栗林公園を歩きました。いろんなこと思い出しました。昔はもう少し雑然としていたけど、今はとてもきれいに整備されましたね。

四国へ行くことがあればぜひどうぞ。シーズンには結婚式の前撮りも見られます。

公園前の小さな神社。我が家ではみょーけんさんと言っていた。

どんな字を書くかは知らない。

昔は夏祭りが盛んだったらしいけど、道路が拡幅して境内は狭くなっている模様。

琴電栗林公園駅まではとても賑やかな通りだったけど、今は昔日の面影なく、マンションなどになっています。

人の流れも行く場所も、50年もたてばすっかり変わるのでした。

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