花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

国立西洋美術館《玉座の聖母子》

2008-08-10 04:10:16 | 美術館
国立西洋美術館で「コロー展」を観たついでに、久々に「常設展」も観てきた。

現在西美は新館設備工事中ということで本館のみの展示となっていた。そのため、普段は使われていないル・コルビジェ設計(?)の階段を利用することができ、いつもと違った展示空間に展示作品という…なんだか新鮮な体験をさせてもらった。それに、初お目見え作品もあったし!

私の目を惹いたのはアードリアン・イーゼンブラント(Adrien Ysenbrandt)帰属《玉座の聖母子》(16世紀前半)だった!!


イーゼンブラント帰属《玉座の聖母子》(16世紀前半) 35.0×35.1cm

日本にこんな緻密なネーデルランド(フランドル)派作品があるなんて思いもよらなかった。玉座を囲むニッチ壁の見事なまでの彫刻模様の描写や、聖母子の足元の下草(菫?)の細やかさ、幼児の手に持つ紅薔薇、聖母の靴の質感と影!まで・・・聖母の衣装襞の硬さがあるところも含めて、ああ、典型的フランドル風だわ~☆ それに聖母の髪の柔らかさやヴェールの透けた繊細さなど、目が吸い付くように眺め回してしまった(笑)。北方ルネサンス作品として質的にも文句のないところだ。

イーゼンブラント(1510-1551年)はブリュージュでヘラルト・ダーフィットに学んだようだ、ということは、ヤン・ファン・エイク~ロヒール・ファン・デル・ウェイデン~ハンス・メムリンクという系譜に連なるわけで、帰属作品とは言え、その繊細緻密な描写表現はとてつもない目の喜びである。観ながら、まるで海外の美術館にいるような気分になってしまったのだから(^^;;;

で、作品横のプレートには「石塚博氏より寄贈」となっていた。おおっ、確かジョルジュ・ド・ラ・トゥール《聖トマス》も石塚氏のコレクションから西美に入ったはず。きっと古典絵画好きの方なんだろうなぁと思う。まさか、カラヴァッジョ(コピー?)《果物を剥く少年》も所蔵なさってたり??なぁんて勘ぐってしまいそう(^^;;;