Pのlog ( 大阪と上海のChouChou)

通称P。shushu(照れちゃう)ような稚拙きわまりない文面で、上海や大阪のchouchouを綴ります。よしなに。

Arcadia 【5年越しの日々】

2010年04月30日 | 上海chouchou(たべる)

 タクシーは水城路をすぐに曲がり、仙霞路に入ってから古北路にあたり、
    天山路に向かう。

    指定した交差点にくるとタクシーは天山路を曲がらずにするすると路肩に
    寄せてゆっくり停まった

    天山路は娄山关路の駅ができてきれいになった。年末にきたときは昼間
    だったから、夜にみたきれいな姿をみるのは初めてだった。

     

    その昔、上海にきたばかりのころに同僚に晩ごはんを食べるにいい処、
    ということで教えてもらった店がある。

    それがArcadiaだった。そのころは武夷路×定西路というすごく難しい
    場所にあって、実は中山公園にすごく近いとか花市場(途中で移転して
    曹家渡にきた)とか、すぐ横にあった紹興酒をかめにいれて売っていた
    店だとか。。。パジャマで出歩く人たちとか…

    そんな通りにあった小さな洋食やさんだった。

    こんなきれいなところにあるんだろうか?
    駅の反対側にも大きなビルがあって、天山路は本当にきれいになって
    いた。両サイドの大きなビルには中華のチェーン店が入っていて、まるで
    張楊路の新時代広場のようだった。

                 

  虹橋公寓をこえて少し入ったところ、天山商厦の大きなビルの手前に立って
  このあたりだろうかと見回すと…公寓側のビルの端っこにひっそりと看板が
  でていた。

  もしかしてここかな?

  やっぱりそうだった。ひっそりとした佇まいはいかにもArcadiaだった

  まだ大丈夫なんだろうか?
  あまりに静かなドアをあけると…

     

  テレビとカウンター、そのうしろにテーブル席。奥には座敷席があった。

  昔のArcadiaは、いくつかのテーブル席と厨房、そして奥の小さな階段をあがると
  まるで小さな劇場のように、二階席にぐるっととりまくこじんまりとしたテーブルが
  あった。その不思議な空間と、日本語が流暢な奥さんが店員さんとして出て
  きて応対してくれた。たしか内蒙古の方だと聞いていたけれど

  いらっしゃいと応対してくれたのは、その奥さんだった。

    

   たしかにArcadiaだった


     

   テレビでは(テレビがあるのだ  あることが驚きだった)万博の開幕式を
   放送していた。

   仕事帰りなのだろう。おじさんがじっとみて、そして何人かが入れ替わる。
   労働節初日でもまだ働いている駐在員には開幕なんてのはattendのタネが
   ひとつ増えたという、頭痛のタネくらいなのかもしれないけれど。


      
       (EXPOのHPから転載)


ENYA   Angels


  
            

   Nonはミートスパゲティを注文。一番にやってきた。
   なんだか、ぱさぱさなそのスパゲティが、昔なつかしな感じなのだけれど
   Nonは不思議な顔でそれを食べ始めた。

    

  ぼくはハンバーグとごはんを。
  そう。ここでは昔こういうのとかクリームコロッケとかを食べていたのだ。
  
  まだ上海に到着したばかりのRinNonとKYOKOさんを連れて、日本食が
  恋しくなったらここにおいで、と薦めたのがこのArcadiaだった。

  ハンバーグの味はあの頃となんら変わらないなつかしい味だった。
  日本の懐かしい味をだしてくれる洋食屋さんの、復活を自分で味わいながら
  懐かしい味をなつかしいと感じるのは、そのなつかしさのもつ深みを感じ
  ているのか、それとも昔あった店舗の構造だとか、最初につれてきた
  まだ幼稚園児だったころのRinNonを懐かしく思い出しているのか、
  よくわからなくなっていた。

              

   あのころは五輪も万博もまだ昔の話で、景気よくアジア大会だとかW杯も
   招致するとぶちあげていて、まだ見ぬ先の話と、そのころぼくはどこで
   何をしているんだろう。上海にまだいるといいなと漠然と思っていた。

   残酷なほど時間はすぎて、五輪はもう2年前に終わってしまっていたし、
   こんな風に上海の片隅で、万博の開会式をみているなんて思いも
   よらなかった。
   KYOKOさんはいま浦東近くか新天地の事務所で花火を見上げているの
   だろうか。

          

     

   昼ごはんが、「こ熊や」の白カレーで、少し失敗気味だったRinの注文した
   オムライスは最後にきた。

   さっき、どうでもいいやと投げやりになっていたRinはおいしそうにもぐもぐと
   食べ始めた。今度はNonのミートスパがいまいちだったらしく、食べるペース
   が遅い。あからさまに困った顔をしてNonが少し残していたが、それでも
   なんだかまだお腹がすいているというふうでもなく、本を読み始めた。

 

   昔は紹興酒のかめの並んだ店の横に店頭のドアのよこにこんなロゴが
   貼っていた。いまは店内にこんなふうに載っている。

   ここまで、復活するまでには大変な道のりがあったのだろう。突然なくなった
   ときは本当に残念だった。

   店員のおばさんに「昔、武夷路×定西路のところにありましたよね。ぼくは
   そのころから通っているんです」と言いたかったけれど、なんだかそれを
   言ってはかえって興ざめになる感じがして、3人でだまって食べていた。

   そしてテレビをみるというより、テレビをみながら食べている男性数人
   (みんなばらばらに1人ずつできていた)を見るともなしに見ていた。

                          

   そう。万博が始まる。
   道には花が咲き乱れ、そして浦東の何もかもをscratch&rebuildした
   両岸に、史上最大の参加国の博覧会の会場の上には、もう一度春節に
   戻ったような花火が打ち上げられ、

   みんなが待ちに待っていたみんなの万博が、ぼくとは違う誰かのための
   ように思えるのは、こんなに近いのにテレビでみているせいかもしれない。

   あるいはArcadiaの空間がそうさせるのかもしれないけれど

   まあ、そのうち万博にはいってもいいかとは思えた。
   だって、ぼくはぼくなりに、このeventを待っていたのだから。

  

   Nonの残したミートスパゲティは、たしかにもうぱさぱさだった。
   それをある程度食べると、もうだいたいRinNonも本を読んでいるだけだったし
   切り上げる時間だった。

   お勘定をすませて、外ででるとあのころみた定西路のまっくらな並木道では
   なく、天山路のネオンの景色だった
                                          
★Japanese Kitchen   Arcadia
  上海市天山路767号虹橋公寓1F
  +86-21-6228-8331



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