西安はその昔長安と呼ばれた古い都です。漢や唐といった
強く長く続いた国が多いことから、もうひとつの古都洛陽と比べ
長命な国が都を置く、と言われています。シルクロードの出発
(終着)点としても知られており、また三蔵法師のいた慈恩寺には
インドから持ち帰ったお経が収められた大雁塔が有名です。郊外
には始皇帝陵をはじめ各歴代の皇帝・皇后・将軍の墓があります。
17年前に大学の卒業旅行で西安に来た際は本当に汚い街
でした。歴史建造物めぐりのタクシーはまさに暴走しながら
田んぼのあぜ道を通り抜け、ところどころに転落した車の残骸が
転がっている。街の中はごみごみしていてきれいな店もなく、
自転車ばかりが走る「かつての」都という姿でした。歴史的経緯か
西域に近いせいかイスラム系住民も多く異様な風景でした。
今回、旅行で選んだのは家族に歴史を触れてほしいという
ことと、内陸の汚さも知ってもらい中国のもうひとつの側面もある
のだという理解をしてもらうこともありました。
しかし、想像は見事に裏切られ、17年前には考えられなかった
発展を遂げていました。「常務島耕作」に発展する西安の話が
ありますが、まさにそのとおりです。街にはいろんな建築物が
建てられている最中で、通りも非常に広くかつきれいになって
います。
百貨店やスーパーもあります。上海や北京に近代さと違って伝統
建築風の建物です。また大雁塔や始皇帝陵の整備状況やまわり
の環境は、もう観光地化や迎合商売といった感じで資本主義国
のそれのようです。
秦の時代からの伝承かどうかは怪しい限りですが、始皇帝陵
の前で時代衣装で踊りを披露する演出は、17年前には土だけ
の道があるだけで本当の野原だった場所とは明らかに違って
いました。
私が中国において「田舎と判定する条件」と思っているものと
して
・オート三輪が走っている
・行き先も不明な場所で人がとぼとぼ歩く光景が多い
の2つを条件にしているのですが、2つとも満たしているのにも
関わらず西安はすごい発展状況なのには驚きでした。
今度また来たときにどんなことになるか、あまり想像したくない
ほどです。日本の観光地のように疲れるだけの場所にはなって
ほしくないものです。
西安の中心部にある鐘楼のそばには永楽大中電器がありま
した。先日大手量販同士の合併後はじめてこの店を見ました。
また泊まったホテルのすぐそばにはやっぱり国美電器がありま
した。西安は着実に成長しています。上海と同じ感覚で食事後、
夜9時過ぎに店に行くと既に閉店だった(上海はたいてい10時まで
開いています)のはすごく残念でしたが、きっと客層、売れ筋は
田舎のそれではなく都会と同じ状況だと想定されます。
逆に9時に閉店していたことで「そこまではまだ都会化して
いないな」と却って少し安心したほどでした。
★写真は西楼。この向こうからがシルクロードです。ちなみに
ホテルはその道上にありました。