Pのlog ( 大阪と上海のChouChou)

通称P。shushu(照れちゃう)ような稚拙きわまりない文面で、上海や大阪のchouchouを綴ります。よしなに。

和平広場のできごと 【Moon Crying】

2010年04月30日 | 上海chouchou(たべる)

 夜。結局KYOKOさんは仕事が終わりそうもなく、本日は夜ごはんも
    RinNonと3人でたべることになった。

  もともと今日は万博の開幕で浦東では花火がいっぱいあがるよ

  KYOKOさんはそう言ってぼくらを誘ったけれど、RinNonも疲れてるみたいだし
  のんびり古北の近くでごはんを食べれば充分だった。

     和平広場か洛城広場でごはんをたべようよ
    
 いいよ。


  Nonだけがちゃんと答えてくれるのが気になった。  

  洛城広場から、和平広場にぬけるBAR SUIREN前の通路を通り、和平広場に
  でる。萬蔵、花月、PUNJABI(インド料理)、麻浦屋(KOREAN)、鼎泰豊…
  いろいろあるのにRinがぜんぜん首を縦にふらない


     ぜんぶいやっ  なんか食べたくなくなった

  なんだそれは  

  Nonが ああ、始まった。。。というような「しょうがないなあ、もう… 
  という顔をする。KYOKOさんも言っていたが最近Rinがかなり無気力なことを
  言うことがあるらしい…


    これかー

  
     いったい何を食べたいのか。ぜんぶいやなら自分で提案しなさい
 
 
  ここは許すわけにはいかない。Nonはあの店はいやだなあ。とか、ここなら
  いいよ。とかちゃんと言ってるのだから。

  Rinはただただ、我を通すわけでもなく、わがままを言うだけで、ぼくたちは
  今、和平広場の 萬蔵の前の階段で立ち往生しているのだ。

  萬蔵にいく年配の男性と、それにつき従う小姐の姿やら、仕事あがりかも
  しれない食後のサラリーマンのグループやら、きのこ鍋をもう食べ終わった
  中国人らしい夫婦とか…

  そんな人たちが通り過ぎていくのをぼくは無視して、Rinに怒った顔をまっすぐ
  向けたまま表情をくずさないでいた。

  いままではそうやってわがままを言っていたのかもしれない。
  でもわがままじゃだめなのだ。

  ぼくがじっとにらんでいると、それでも小さいころは…というよりほんの少し前まで
  わんわん泣いてごめんなさい  と言ったのに、Rinはきょうは泣かなかった。

   じっとなにもないだろう右のほうを見て、じっと口をへの字に結んで
   なにも言わないでいた。別にインド料理やさんや鼎泰豊の店内を
   みているわけでないことはすぐにわかった。

   目に涙をうっすら浮かべながら、それでも泣かないでいるRinをみていると
   怒っているのに、なんだか心の中で「おっきくなったな…  」と思った。

 Nonは、またその大らかさで

    ねえ、どうすんのさー。別に萬蔵のざるそばでもいいやんかー


  と、くるくるぼくらのまわりをまわりながら微笑んで言う。彼女は彼女で気を
  使っているのだ。ぼくの知らないうちに、でもほんの少しずつ 日本にいる
  ちゃんと両親そろって育っている子どもたちより、遅いかもしれないけれど
  でもちゃんと育っている。上海にいるたくましさを備えて。

     さっき鳴った電話がまたなって、出てみるとKYOKOさんだった。
    ざっと説明して取り込み中なのですぐ切ったから、事情を察して行くべき
    店を考えてくれたのだった。

     天山路のArcadiaなら大丈夫なんじゃない?

    たしかにあそこならファミレスより小じんまりしているし、Rinも大丈夫
    だろう。

  ようやく、Rinも首を縦にふった。あるいは次にぼくがどんな店を提示しても
  うんというつもりだったのかもしれない。

  Nonもいいよ、と軽く言ったので、結局ぼくらはここまで歩いてきた和平広場を
  離れてタクシー  に乗って移動することになった。


  Rinを怒りながら、心の中で相反するように「成長したんだろうなあ」とぼんやり
  考えていたぼくは、タクシーの中でまた別のことを考えていた。

  この前日本にいたときのできごとだった。

  ぼくがクルマの中で、音楽をかけているとRinがそれにあわせて小声で
  歌いだしていた


倖田來未 / Moon Crying(short ver.)



   どうして10歳の女の子が、もうこんな歌を歌詞も覚えて歌えるんだろう…
 
   もしかしてもう初恋とかしているんだろうか

   とくに何もちゃんとしてやれていないくせに、パパっぽくふるまうぼくは
   控えめにいって、かなり狼狽してしまった。

      ど…どうしてこの歌知ってるの?

   Rinは軽やかに窓の外をみて、ハミングを中断してこういった。

      PUZZLEってドラマの主題歌だったから。

   なあんだ…

   案外まだまだ子どもなんだと思いなおした。
   恋をするならNonが先かもしれない。おませさんだから。でもNonは
   あまり歌わない。残念ながら彼女が歌うと音程がはずれがちなのだ  


   あるときはもう成長していて、またあるときはまだまだおそろしく子どもな
   RinNonはもうすぐ11歳の誕生日がくる。

   11歳間近な双子の女の子とタクシーに乗って、ぼくは水城路を北へ
   天山路の交差点で下りるからと運転手に告げた。

  



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