上海でも北京でも、中国での移動手段はたいていtaxiです。
奥様方はbusの活用が多いそうですが、未だに車掌が多く、行き先
と値段の確認を多くの乗客をかいくぐってする煩わしさもあり、我々
はたいていtaxiを使ってしまいます。初乗り10元(約150円弱)という
手軽さもあり、ついつい多用しては肥満のもとになったと反省もして
います。
悪名高き北京と違い、上海のtaxiは車の広さといい運転手の愛想
といい、全く問題のないlevelです。「大衆」「強生」「巴士」といった
有名な会社の車はまず間違いがなく安全です。多い車種はVWの
サンタナですが、ごく稀にベンツに出会うことができます。今回はこの
ベンツの話です。
2004年に強生との激しい占有率争いの中、大衆はベンツE200を
50台投入することを発表。その後100台投入するとの計画を発表した
ようですが、じつは今でもベンツを見ることはごく稀です。私も一年の
赴任期間で乗ることができたのは2回だけです。
このベンツ、日本でいえば「小ベンツ」といわれるような小さなもの
ですが、私のような庶民にとって乗るだけでうれしいものです。車体が
高いのもそうですが、運転手のほうも大変です。大衆の1.6万人の
運転手の中から160人を選抜し、さらに最終的に50人だけが乗る栄誉
にあずかったそうです。しかし、月のノルマは通常よりも2,000元高い
12,000元、ガソリン代も自分もちで高く、部品配置部署も上海に一箇
所だけでメンテも大変と大変過酷な状況におかれるそうです。
しかし大衆の予約電話にはベンツの指定もあるとのこと、中にはつて
を頼ってどうしても乗りたいという人もいるようです。運転手は非常に
愛想がよいですし、確かに売上には問題がないようです。
大衆はもともとが他社の差別化を図るideaが豊富らしく、今では普通
になった乗車時の「welcome to dazhong taxi」のannounceもここが
最初ということです。日本の会社のサービスを研究し、中国ではパイオ
ニアとも言うべき研究度合いとのことです。そういえば、最近下車時に
「忘れ物のないようにね」と中国語で必ず言ってくれるようになりま
した。これもアイデアのひとつなのでしょう。中国全土に有名になったと
いうことのようですし、上海株式市場における大衆の評価もずっと
高位置とのことですから、やはりサービスの重要性というものを感じ
ました。
さて、この日曜日。私の家族(妻と子供)は野生動物園に出かけると
言って朝早くから弁当だお菓子だと騒いでいました。8時半になると
「taxiが家の前に着いたって携帯にmailがきた!!」と喜んで家を
でました。中国語の授業のため、一緒に家をでた私の前で家族3人は
さっそうとベンツタクシーに乗って出かけていきました。
上海滞在3ヶ月で中国語で予約電話をして見事getしてしまうヴァイ
タリティ。こういう人のためにベンツタクシーは今日も満員なのかも
しれません。