山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

家電エコポイント制度は増エネ政策だった?!

2012-10-12 | 省エネ

 本日の朝日新聞朝刊に「CO減「過大に試算」」と題する金子元希氏の署名記事が掲載されておりました。家電エコポイントは自民党政権時代に始まり、昨年3月まで続いた制度でした。記事によりますと会計検査院が独自に試算したところ、政府がこれまで示してきた数値のたった8%にしか過ぎなかったとのことです。最悪なのは、エコポイント制度が消費を刺激したことにより、家電の台数や消費電力量が増え、結果的に二酸化炭素の排出量が173万トン増加してしてしまったと試算しているところでしょう。

 以前、家電エコポイント制度は増エネになるのではないかと指摘(「エコポイント制度にもの申す!」「エコポイント制度にもの申す!-その2」)しておりました。今回の記事は、それを裏付けるものであり、誠に残念な結果になってしまったと言わざるを得ません。

 エコカー補助金についても同様な検証が必要であると考えます。

 ただ、景気刺激策としては有効であったと言えるでしょう。制度の終了とともにその反動で家電メーカーが悲惨な目に遭っていることがその証しでしょう。これは折角の優遇制度であるにも関わらず、その終了を見越して対応できなかった企業の問題でありますので、自己責任と言わざるを得ません。見過ごし出来ないのは、政府がエコの名を騙って増エネの片棒を担いでしまったことです。これも既に指摘(景気浮揚対策案-「省エネ買い替え促進事業」)しておりますが、適切な制度設計をすれば、景気浮揚と省エネを同時に実現できることにもなったものと考えます。政府は大いに反省していただきたいと思います。


省エネ(節電)とコストダウン

2012-10-04 | 省エネ

 東電管内では既に電気料金が大幅に引き上げられ、他の電力管内でも早晩電気料金の値上げが予想されている状況です。これに対抗するために「アンペアダウン」が急増しているとのことです。これは基本料金を安くすること、即ちコストダウンがが主目的ですが、電力の使い方を意識することにより使用電力量を低減させる効果もあります。そうすると基本料金と電力量料金の両方のコストダウンができます。

 この一例からもお分かりのように、省エネ(節電)とコストダウンは密接に関係しております。ですから報道等でも省エネ(節電)とコストダウンを混同しているものもみかけます。本来は省エネ(節電)とコストダウンは異なった概念です。これを区別するため、私は従来から「狭義の省エネ」と「広義の省エネ」といった言い方をしてきました。詳細は「コストダウンと省エネルギー」、「省エネ商法と予防法務-悪徳省エネ業者の実態とその巧妙な手口-」 (pdf 275KB)をご参照ください。

 さて、エネルギー資源の枯渇問題、地球温暖化問題への対応として本来求められているのは狭義の省エネです。しかし、これを実現するには我慢をするかエネルギーを使用している設備を効率的なものにすることでしょう。我慢をすることは、我々が享受している利便性との引き換えになります。設備を更新するにはコストが掛ります。我慢することは、省エネ意識を高くすることが必要ですし、設備更新をするためには費用対効果を高める必要があります。

 このために広義の省エネを活用しようというのが私の考えです。ですからコストダウンのためだけに広義の省エネを行うことには疑問を感じます。企業がコスト削減のために人件費カットを行うことに似て、自らの利益のみを追求することはできても何らの社会的貢献をすることはありません。(参考:人件費削減の是非」「コスト削減による利益の分配について(利益三分の計)」)


九電の節電要請期間が無事終了しました!

2012-09-08 | 省エネ

 昨日の20時をもって節電要請が終了しました。発電所のトラブル等があったものの停電に至るような電力不足は発生せずに無事この夏の需要期を乗り切ることができました。九電の集計によると電力需要は2010年比9.5%減で、節電目標の10%以上をほぼ達成できていたようです。

 我が家の節電実績は、7月分(6/15~7/12)218kWh(前年比-26%)、8月分(7/13~8/15)339kWh(前年比-14%)と目標達成できております。以前から省エネに取組んで相当削減していたつもりでしたが、まだまだ絞る余地はあったのですね。といってもこの夏は、大した対策は行いませんでしたが・・・。

 ただ「アンペアダウンツール:家庭用電流報知器(Aらまー)を取り付けてみました」で書いた「Aらまー」なるものを取り付けたくらいです。元々は電力が切迫した時に九電から携帯メールが送られてくるようにしておりまして、この時に設定アンペア数を一時的に落として節電に協力しようとの思いで導入したものです。

 現在の契約は60Aですが、「Aらまー」は40Aに設定しております。この設定ですとIHを二口ONすると確実に警報が鳴り出します。IHと電子レンジの同時使用も警報です。しかし、これが結構効果的だったのかも知れません。リミッターは60Aなのでトリップすることは無いのはわかっているのですが、警報音が鳴ったという心理的なものが大きかったように思います。

 過去60Aのリミッターを数度落としたことがありますので、アンペアダウンに今一踏み切れなかったのですが、「Aらまー」のお陰で60A⇒40Aへアンペアダウンしてみようという気になってきました。うっかり電化製品の同時使用しても、電気を使い過ぎれば警報が鳴ってくれるので一々気にせずスイッチONできます。

 ということで無事節電の夏が終わったことは何よりでしたが、この節電の機運が永続的に続くことを願います。


「節電塗装」に関する新聞記事について

2012-09-04 | 省エネ

 本日の朝日新聞朝刊(九州版?)に”「節電塗装」クールな知恵”と題する斉藤徹氏の署名記事が掲載されておりました。この記事中で業者談と思われるが「約115平方メートルのモルタル2階建ての場合、節電塗装は約100万円で通常より約20万円高くなるが、電気代は年間2万7千円ほど安くなり、10年足らずで相殺できる。」とありました。

 そこで九州電力の従量電灯単価21.72円(300kWh超過単価)で計算してみますと、1243kWhの削減に相当します。我が家(当時5人家族)で省エネ活動をする以前(平成17年)の年間電力使用量が5704kWhでしたので、これと比較すると約21.8%の削減です。ちなみに、省エネ実施後の翌平成18年の年間使用電力量は、約24%減の4334kWhでした。

 エアコンの電力使用量を全体の25%と仮定すると、年間1426kWhとなります。これだと約87.2%削減できることになってしまいます。我が家より使用量の少ないご家庭では、年間エアコンの使用電力量より多く削減できることになってしまうことでしょう。

 俄かに信じがたい数値です。どこから出てきた数値だか気になります。たまたま出てきたデータを用いているのか、多くのデータの平均値なのか、どのような条件で採取したものであるか等々を業者は説明する責任があると思います。

 「節電塗装」に関する考えは、「省エネ・節電製品について思うこと」で既に表明しているところです。この記事からは、冷房についてのみ効果があるのか冷暖房を通して効果があるのか読取れません。暖房に効果があるとすれば如何なる理屈によるものなのか。もし冷房のみの効果だとすれば、とんでもなく素晴らしい効果だと思われます。

 以上、ザット計算してみただけですので、確定的なことは言えませんが、何となく釈然としない記事でした。勿論、私の考えですので、間違いもあるでしょうし、誤解もあるでしょう。できましたら、お詳しい方のご批判、ご反論をお待ち致しております。


アンペアダウンツール:家庭用電流報知器(Aらまー)を取り付けてみました

2012-07-06 | 省エネ

 「アンペアダウンのためのツールのご紹介」の続報です。注文した翌日には配送されてきましたので、早速取り付けてみました。外観は次の画像の通りです。電流センサーはプラグで本体に接続するようになっております。本体の電源は単三電池2本で、付属品として同梱されておりました。

A

 次の画像は分電盤に電流センサーを取り付けたところです。電流センサーは方向性があるようですので、取扱説明書の指示のように「⇒」マークを合わせて取り付けます。分割型ですから、電線を挟んでパッチンするだけで完了です。分電盤の上の円筒形のものは、「省エネナビ」の計測部で、分電盤に電流センサーを取り付けております。本体にデータを無線で飛ばすようになっております。今回取り付けた「Aらまー」とは関係ないので無視してください。

 ここで動作確認です。アンペアスイッチを10Aにセットし、エアコンを運転しました。速攻で警報音(ブザー)が鳴動しました。音量は高からず低からず微妙なところです。我が家の場合、二階からでは警報音に気付かないことがあり得るかも知れません。詳しくは調べておりませんが、音量調節は出来ないようです。その後、LED表示の動作チェックを行い、取り付け作業は終了です。

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 動作確認が終了して、分電盤のカバーを取り付けて作業完了です。作業時間は動作チェックも含めて10分程度といったところでしょうか。至って簡単にできます。

 最後にピークカットの目標である30Aにアンペアスイッチをセットして、いざ運用開始です。まだ一晩だけですが、夕食準備のためIHクッキングヒーターのグリルをONにすると警報音が鳴動しました。断続音(105%以上125%未満)でしたので、長時間の使用はできません。やはり30Aは無理かな?

 しばらく、30Aでやってはみますが、といきなり気弱になってしまいました。

A3

 下の画像は、今回の記事とは関係ないのですが、「省エネナビ」の本体部分です。分電盤の円筒形の装置からデータが無線で伝送されてきます。瞬時電力は計測できませんが、多機能な装置で、データはパソコンで収集してグラフ表示などの加工をして種々の分析ができます。画面表示しているのは、現在までの電力使用量から本日の電力使用量の予測(予測アルゴリズムは不明)をしたものです。これを導入して運用改善をした結果、約20%の節電を達成できました。

Photo


アンペアダウンのためのツールのご紹介

2012-07-04 | 省エネ

 先日書いた「アンペアダウン急増?!」で、過電流警報機を単体で仕入れて(あるいは開発して)、安価に設置をするビジネスをしませんかといったことを書いておりました。色々と調べておりましたら、「家庭用電流報知器(Aらまー)」というものを見つけました。

 分電盤に簡単に取り付けができるようになっております。警報音だけで制御出力はついておりませんが、これで十分に実用になると思います。価格は9,975円(ネット販売価格)でしたので、早速注文してみました。

 購入目的は、ピークカットのためです。九電管内は今年の夏(既に期間中)は、10%以上の節電を要請されております。先ずはこのために使用してみようと思っております。現状の契約は60Aですが、この報知器を取り付け30Aにチャレンジしてみます。この夏をこれで乗り越えることができれば、アンペアダウンを検討してみたいと思います。

 現物が届き、実際に使用してみた様子は、後日ご報告したいと思っております。

<参考> 「アンペアダウンツール:家庭用電流報知器(Aらまー)を取り付けてみました


アンペアダウン急増?!

2012-06-27 | 省エネ

 報道によりますと従量電灯の契約アンペアを小さくする変更が急増しているとのことです。余りにも多くなったのか、ブレーカの在庫が無くなり、工事が遅れてしまうこともある状況とのことです。東電のHPで確認してみましたら確かにそのような記述がありました。

 これは東電の電気料金値上げへの対抗措置といった側面が強いのではないかと思います。昨夏は節電のためといったこともあったと聞いております。

 先の報道では、60A⇒30Aへ変更するといったこともあるようです。この場合、基本料金は1,638円⇒819円へと半減します。年額9,828円の削減となりますが、その分家電製品の使い方に気をつけないとブレーカーが落ちて停電といったことにもなりかねません。確かに電気料金は安くなりますが、生活実態に即した無理の無い範囲でダウンしないと思わぬ不便を強いられることになってしまいます。

 このようなアンペアダウンを行うことによって、ピークカットにも貢献できますし、電気の無駄を見直すことにより節電もできます。電力会社に申し込めば、基本的には無料で交換工事をしてくれますので、お手軽に挑戦できる方法ともいえます。ただ、注意しなければならないのは、電気を使い過ぎるとブレーカーが落ちてしまいます。それなりの生活スタイルの変更と工夫が必要になるのではないかと思います。

 そこで、いきなりの停電では大変不便でしょうから、家庭版デマンドコントローラ(デマコン)を取り付けといった対策もあります。これは、ブレーカーが落ちる前に警報を鳴らしたり、自動的に負荷を入り切りするといったことができます。このような機能を持った分電盤(ピークカット機能付分電盤)は既に販売されております。しかしながら新規に設置する分には良いでしょうが、既存の分電盤と取り替えるには少々モッタイナイ気がします。東電の場合で計算しますと、60A→40Aに変更すると基本料金が年間6,552円安くなります。これでは導入費用の償却に10年程かかってしまいます。

 分電盤でなく単体での製品が販売されていればもっと安くできるのでしょうが、取り付ける際には電気の知識が必要となりますので、電気屋さんに依頼することになります。電気屋さんも、この手の仕事に詳しい方は少ないでしょうから、結局は分電盤スタイルにしておいた方が無難というのが、メーカーの言い分なのでしょう。

 どなたか過電流警報機を単体で仕入れて(あるいは開発して)、安価に設置をするビジネスをしませんか。結構ニーズがあるかも知れませんよ。

※一部電力会社には基本料金制度が無い場合があります。

<参考> 「アンペアダウンのためのツールのご紹介」 「アンペアダウンツール:家庭用電流報知器(Aらまー)を取り付けてみました


LEDという枕詞

2012-06-17 | 省エネ

 省エネや節電の報道では、LEDという言葉が踊っております。XX社がLED照明を導入し、大幅な節電を達成したとかいった報道が頻繁に行われております。LED照明でなければ節電できないと言わんばかりです。このような風潮に棹さすわけではありませんが(※誤用注意-コメント参照)、ここまで徹底的に報道されてしまうと、他の照明器具が全く売れなくなってしまうのではないかと心配になります。

 「LED照明 VS 蛍光灯」で指摘しておりますように、蛍光灯もなかなか優秀な照明器具です。発光効率(lm/W)からすれば、HIDを抜くLEDはまだ開発されていないでしょう。(もし間違っていたらごめんなさい。)

 要は用途に応じて、ベストチョイスすることが大切であって、何でもかんでもLEDというのは余りにも短絡的であると思います。LEDがこれほどもてはやされるのは、メーカーが売りたいもの(収益性の高いもの)に関する情報提供に対して、報道する側が乗せられてしまっているのではないかと思ってしまいます。

 極端な例ですが、短時間(例えば、数十秒~数分間)数十Wの白熱電球を灯しているだけであれば、LEDに取り替えても大した節電にはなりません。LED照明が高価なのは、ある意味では生産に要するエネルギーが大きいことでもあります。そういった意味でも、取り替える際には費用対効果を考慮する必要があります。残念ながら白熱電球は生産終了するとのことですので、この議論は無意味になってしまいますが・・・。他の照明では得られない暖かみがこの世から無くなってしまいます。


LED照明 VS 蛍光灯

2012-06-01 | 省エネ

 節電と言えばLED照明ばかりがもてはやされている感があります。しかし、どっこい蛍光灯も節電に重要な役割を担っていることを忘れてはいけません。

 古いタイプの蛍光灯(安定器に銅鉄型を使用しているもの)は、確かに省エネ性能に劣ります。しかしながら、Hf管タイプのインバータ型蛍光灯や電球型蛍光灯などはLED照明と遜色の無い省エネ性能があります。しかもLED照明に比べ格段に安価です。

 性能の良い製品同士をを比べればLED照明と蛍光灯はほぼ互角の戦いをしていると思います。将来的にはLED照明に軍配が挙がることでしょうが、現在は電力不足の真っ只中です。性能が同程度のものであれば、価格の安い方を導入する方が節電のためには良いのではないでしょうか?

 例えば、LED電球が2,000円で電球型蛍光灯が1,000円で、省エネ性能や明るさは同程度とすれば、電球型蛍光灯にすれば2倍の節電効果を生み出すことができます。正確を期すためには、発光効率/コストで比較すべきでしょう。この場合にはもっと価格差が大きくなるものと思われます。そして、LED照明が格段に寿命が長いのでライフサイクルコスト(LCC)も含めて計算しなければなりませんが・・・。

 しかし、短期的には蛍光灯を選択して節電効果を大きくした方が得策ではないかと考えます。蛍光灯はいわば枯れた技術です。これに比べLEDは進化途上の技術でもあります。従って、LEDの性能も時間経過とともに向上し、また価格も低減していきます。ですからある意味今は買い時ではないともいえます。

 LED電球の寿命は4万時間程度でしょうか。一日24時間点灯で1,666日(約4.5年)、一日1時間点灯で4万日(約109年)となります。現実的には10年程度のものでしょうが、5年、10年後にはどのような製品が出ているとも限りません。もっともっと良い製品になっていることでしょう。ちなみに電球型蛍光灯の寿命は8,000時間ほどです。蛍光灯は、入り切りの回数が多いと寿命が短くなりますので、そのような用途には不向きですが、その他の用途で使う場合には蛍光灯の優位さがお分かりいただけると思います。

 要は枯れた技術であれば、これ以上格段の進化は望めないものの価格は安くなっておりますし、更に安くなるかも知れません。短期的(ここ数年)で考えるならば、蛍光灯を選択した方が無難なのではないかと考える次第です。

 もっとも、LED照明が爆発的に売れることにより、量産効果で価格が低下することは否定しません。しかしながら、現状をみるに低価格のものは、それなりの製品であることを覚悟の上でご採用ください。

 更に付加えると、LED照明は複数のLEDチップが基板上に取り付けられておりますので、基本的に点発光の集合体みたいなもので、発光方向が一方向(片面)に限られます。蛍光灯はご存知の通り、ほぼ360°の全方向に発光します。従いまして、部屋全体を照らす用途には不向きです。(それなりの製品はありますが、高額になってしまいます。)

 量販店などの店頭で、LED照明を見ると眩しく感じると思います。これくらい明るいならば大丈夫だと思って購入し、いざ使用してみると「アレレ」と思うことがあると思います。スポットライトとして使用するには充分ですが・・・。

 それから、同じ電球型LEDでも発光効率を確かめて購入してください。価格が安いからと思って購入すると、ビックリする位の明るさ(暗すぎるという意味ですが・・・。)になってしまう場合もあります。

 LED照明を選ぶにしても蛍光灯を選ぶにしても、良く性能を調べ、比較検討してみることが重要です。そして、使用用途に適したものを選ぶことも重要です。宣伝に惑わされないような賢い消費行動を取るようにしていただきたいと思います。

<参考> 「電球型蛍光灯による省エネルギー」 「LED照明による省エネルギー

 


時間帯別料金(ピークシフトプラン)と太陽光発電

2012-05-31 | 省エネ

 報道ではピークシフトプランを希望している世帯は、たったの100軒ほどとのことです。これでは何の意味もありません。このプランの最大の欠点は、基本料金が6KVA以下の場合を一律1,260円としたことでしょう。これは単身世帯や共働き世帯は、ピークシフトに有効に寄与しないことから、これらの世帯を排除するための方策だからでしょう。元来、このプランの目的は、昼間に電力を使う世帯に対してピーク時間帯の電力使用抑制を狙ったものですので、当たり前といえば当たり前の結果と言えるでしょう。

 せっかく東電さんや関電さんが提供してくれたプランですから、もっと活用することを考えてみましょう。一番先に思いつくのが、太陽光発電とセットにすることでしょうか。今までは、オール電化にしなければ時間帯別料金プランを選択できなかったのですが、今後これが可能となります。

 特に、家庭用太陽光発電の全量買取が見送られたのですから、少しでも電気料金を安くあげることによって、投資回収を早めることを考えてみては如何でしょうか。

 この料金プランの時間帯は、太陽光発電の時間帯に重なる訳ですから、需要によっては買電になることもあるでしょうが余剰電力があれば売電できることになります。

 また、家庭用コージェネレーションの導入も考えられますが、夏場にはそんなに廃熱の活用(給湯、床暖など)ができないので、エネルギー効率が低下してしまいます。それにしてもピークシフトプランの単価設定が上手くできてますね。エコウイルへ大挙して移行してしまわないような配慮がなされているのでしょうか。

 家庭用蓄電池の導入もありそうですが、まだまだ高額なのが欠点です。

 一番費用が掛らない方法でこの料金プランで得をするには、ひたすら我慢の節電をすることです。我慢の節電を「バカな節電」と揶揄されていた方がいらっしゃいました。昨夏の節電要請を受けて、熱中症で亡くなった方が出たといった文脈の中での「バカな節電」といった発言でした。この発言を聞いて、この人ってどういう人なんだろうと思ってしまいました。確かに行き過ぎた節電をした結果、不幸なことが起こってしまったのです。それを「バカな節電」と言う神経を疑ってしまいます。尤も、ご本人も言った瞬間しまったという表情をされておりましたが・・・。

 たとえ「バカな節電」であっても、強制的に押し付けられたのであればいざ知らず、自発的意思で我慢することに対して色々といわれる筋合いはないように思います。その対極にあるのが「賢い節電」だそうですが、そんなに賢い方法があるのなら、そもそも電力不足なぞ議論する必要もないのではないでしょうか。

 更には、某テレビ番組の司会者がピーク時間帯の前にギンギンに冷やしておいて、ピーク時間帯にエアコンを切るようにしたら良いなどといった非現実的な方法を述べるなど、変な方向へ走ってしまう方々も出てきそうです。

 そもそも私が小さい頃は、エアコンなどといったものは無かったのです。今や学校の教室にエアコンが入っている時代です。建物の構造が変わり、気密性が高くなりエアコンは必要不可欠であるといったこともあるでしょう。しかし、昔も鉄筋コンクリートの校舎もありましたが、教室にはエアコンは設置されていませんでした。夏休みの補習、それも南側の窓で太陽光を浴びながら授業を受けた記憶があります。近年、学力低下が叫ばれております。エアコンの入った教室の良好な環境の下で、恵まれた教育を受けているにも関わらず、学力が低下するといった現象は何なのでしょうか。ゆとり教育のせいにばかりはしておけないように思います。何か本質的なところで変質してしまっているのではないかと思います。

 我が家は、昔ながらの日本家屋です。隙間風が入り込んでくるくらいに気密性がありません。今年の夏はピーク時間帯には、窓を全開にして冷房無にチャレンジしてみようと思います。

 ただ、やせ我慢はせずに、智恵は使っていきたいとは思っております。こういうのを「賢い節電」と言ってもらいたいと思うのですが・・・。

<2013/02/24 追記> 

 私はいわゆる「馬鹿な節電」をやっているようです。「馬鹿な節電」といわれている節電に関しては、「ケチ電のどこが悪い!?」をご参照いただければと存じます。


「電子ブレーカー(節電ブレーカー)」を導入する前に

2012-05-30 | 省エネ

 節電のため「節電ブレーカー」と称して「電子ブレーカー」を販売している業者がいるようです。「電子ブレーカーについて」で書いておりますが「電子ブレーカー」では節電できません。

 もし現在、「電子ブレーカー(節電ブレーカー)」の導入を検討されているようでしたら契約する前に是非ご一読いただきたいと考え、当事務所のWebサイトに「電子ブレーカー(節電ブレーカー)を導入する前に」をアップしました。

 このような記事では何時も書くことですが、「電子ブレーカー」が悪いといっているのではありません。ごく一部の業者によってトラブルが発生している事実を指摘しているのであって、他意のないことを理解していただきたいと思います。

 


昼休みにエアコンを切った方がいいのか?

2012-05-24 | 省エネ

 省エネ・節電のために昼休みにエアコンを切ることが多いように思われます。常識的には、その方が節電になるように思われるでしょうが、電力不足の時にこれが果たして正しい行動といえるのか疑ってみる必要があります。



 「デマンド管理による省エネルギー」で指摘しておりますようにデマンドコントローラーでエアコンを自動制御している場合には、昼休みのエアコン停止は効果があります。しかし、それ以外の場合には、昼休み終了時のエアコンの一斉稼動によってピークを作る(同ページの棒グラフ参照)ことになります。このケースは極端な例かも知れませんが、他でも似たりよったりの状況が発生してしまうものと考えられます。



 これはエアコンを停止することにより、室内温度が上昇することに起因します。例えば、エアコンの設定温度を28℃に設定していたとします。この場合エアコンが運転されていれば、この設定温度に維持しようと動作(詳細は「エアコンの省エネルギー」をご参照ください。)します。エアコンを停止することによって、例えば室内温度が35℃まで上昇したとします。昼休み終了で、エアコンを運転しますと一気に28℃まで冷やそうと最大能力で動作することになります。これがピークを作る原因となります。ですから、少なくともピーク電力を抑制する観点から言えば、昼休みのエアコン停止は合理的とはいえないように考えます。




 




時間帯別の新料金メニューが不評のようですが・・・

2012-05-14 | 省エネ

 東電や関電の新料金メニューが導入されるようですが、総じて批判的な論評が多いようです。これは電力会社の説明不足が大きな原因でしょうが、マスコミの報道にも原因があるようです。特に東電の場合には、電気料金そのものの値上げといっしょに議論されてしまっているので、余計な混乱を招いているようです。

 ピーク時間帯の電気料金単価が高くなることだけをとらえて、大幅な値上げとなってしまうような誤解を与えてしまっているのではないでしょうか。確かに、この料金メニューが全需要家が対象となれば、料金が大幅にアップしてしまうケースが多いでしょう。しかしながら、これは選択メニューですので、試算をしてみてアップするようであれば変更しなければ良いのです。

 従来は、オール電化にしなければ選択できなかった料金システムであったものが、任意に選択できるようになったのですから、むしろ喜ぶべきことであろうと思います。例えば、単身や共働き世帯など、平日の昼間は不在である場合は有利になるのではないかと推測されます。また、ピークシフトに協力(チャレンジを含めて)できるような場合や太陽光発電を設置している場合なども有利に働くものと思われます。

 電力会社としては、未だ認可されていませんので、積極的に説明できないということでしょう。であるからこそマスコミが正確に報道する責務があるのではないかと考えます。

<参考> 「電力不足対策における電気料金のあり方について」 「東電の家庭向け新料金制度について」 「関電の家庭向け新料金制度について

 

 

東電の家庭向け新料金制度について

2012-05-09 | 省エネ

 東電の家庭向け(小規模事業所を含む)の新料金制度を導入するとのことです。これはピーク時間帯の電力量料金単価を高くすることによってピーク電力を抑制するためです。

 東電管内では今年の夏の供給力については若干の余裕があったのではないかと思います。昨年の夏の電力不足のタイミングであれば大いに頷けるものでありますが、なぜ今頃出てきたのか疑問が残ります。

 更に言えば「関電の家庭向け新料金制度について」で指摘しておりますように、選択メニューとするのであれば、ピーク電力の削減効果はあまり期待できません。電気料金の値上げは、コストが大幅に増加したのを電気料金に転嫁しようとしているものです。にも関わらず、電力量計を取り替えるというコスト負担を伴う料金制度を導入する意味が分かりません。電力量計の取替は、一軒毎の取替工事が必要ですので、かなりの費用が掛ることが予想されます。新料金制度を導入するにあたっての費用対効果は、どのように評価されているのでしょうか。

 自由化の対象となっていない電気料金は経済産業大臣の認可が必要です。しっかりと審査してもらいたいものです。


関電の家庭向け新料金制度について

2012-05-07 | 省エネ

 この夏から関西電力が家庭向けの新料金制度を導入するとのことです。これは昼間のピーク時間帯の電気料金単価を高くし、ピークカットを促すものとなります。その代わり、その他の時間帯では従来単価より低めに設定するものとなっているようです。これは既にオール電化で類似の料金体系があり、目新しいものではありません。

 「電力不足対策における電気料金のあり方について」で述べておりますが、この料金体系を実施するためには、これに対応する電力量計が必要となります。ですから短期間の内にこの料金制度を適用することは、事実上不可能であろうと疑問を呈しておりました。ところが関電が新料金制度を導入するとのことです。新聞の見出しを読んだ時には、「大英断か!」と感動しました。しかし、読み進むうちに落胆に変わってしまいました。

 新料金制度の対象を今までのオール電化住宅から全ての家庭に拡張するものの、加入は任意とのことです。詳細は計算してみなければなりませんが、ザックリいって単身や共働き家庭のように平日の昼間に不在の家庭にとっては電気代が安くなりますので、このような家庭は加入するメリットがあります。しかし、このような家庭ではそもそもピーク発生時には不在な訳ですからピークカットが期待できません。一方、この時間帯に在宅する家庭では、電気料金がアップする可能性がありますので、このようなメニューを選択することは少ないでしょう。事実関電自体も選択性のメニューなので、ものすごい数が入るということにはならないとの見方を示しているとのことです。

 新料金制度は、全ての家庭で実施してこそ本来の目的を達せられるのです。選択制では、有効に機能するとは思えません。しかし、全家庭に導入するためには、電力量計を交換する必要がありますので、これも短期間で実現することは不可能です。

 関電さんも、諸方面から袋叩きにあっているようですので、苦し紛れにこのような対策が出してきたようにも見受けられます。目前に迫った危機に対して、行政を含めて早急に対応策を打ち出す必要があります。そうでなければ、安心・安全な暮らしなど望むべくもありません。