眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

夜爪切り

2020-03-09 05:54:00 | ナノノベル
カチッ カチッ
カチッ カチッ
爪を切る音が
張りつめた空気を伝わって届く

こんな夜更けに誰が……

カチッ カチッ
カチッ カチッ
カチッ カチッ

切り止まぬ爪
それは繊細なタッチで
整えられる高尚な爪
あるいは無数の指の持ち手


「王手!」
「ふぁー角か。王手!」
「けぇー桂馬。またまた逆王手……」

「まいったか!」

「あっ、負けました」

爪音に人の声が交じり出した

「あー、なるほど」
「千日手の順がありましたか……」
「こちらとしては避けようがないので」
「流石、名人」



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 僕の分身、僕らの進路 | トップ | ひとっ走り »

コメントを投稿