眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

クラウド・リュック

2024-08-09 00:36:00 | 短い話、短い歌
 生きることは背筋を鍛えることだ。物心ついた時から歩き始めた。思い出いっぱいをリュックに詰めて。いいことばかりじゃない。中にはあってはならないこと、死にたくなるようなこともあった。だけど、みんな捨てられなかった。(苦みも古傷も私の一部だから)傷心も、裏切りもみんな詰め込んで歩く内にだんだん重くなっていく。ロングコートの上にリュックを背負って歩いたある冬の夕暮れ、強く背中を引っ張られたようだった。まるで過去という名の魔物がそうしているように。駄目だ! もう歩けない! 僕はそのまま道端にひっくり返りそうになった。
「そんなあなたにクラウド・リュック!」
「誰だ、あなたは?」
「エア・コーディネーターの風です。これを」
 誘いにのって荷物を新しいリュックに詰め込んだ。今までのとはまるで感じが違う。ああ、軽い!
「小学生に戻ったみたい!」


アラクレが竜を背負ったくつろぎの
和室にみえるずんの絵手紙

(折句「アリクワズ」短歌)








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