自販機はタッチパネルになっていた。
出っ張ったところのない美しい佇まいの本体の中には様々な飲料、オロナミンC、リプトン、缶コーヒー、トロピカーナ、小岩井りんごジュース、三ツ矢サイダー、麦茶、生茶、アイスティーといった老若男女様々な層に喜ばれるような飲料が用意され、訪れた人々の期待に応えるために常に不動のポジションをキープしながら、本体の上の方のディスプレイでは俳優がお茶を手に街をかけたり、ディズニーのキャラクターが踊ったり、千鳥が漫才をしたりと、ひと時も人々を退屈させない工夫が随所に光っており、実際に商品を手にする際には、それはお茶でもデカビタでもウェルチでも何でも構わないわけだが、昔ながらに小銭を投入してもよく、あるいはWAONを本体にある指定された場所にかざすことによってお目当ての物を購入することができ、一度に求められるのは一つだけではあるが、選ぶということも楽しみの一つとして数えることができるものだし、触れてかざして手にする気軽さこそが、現代社会を象徴する仕様になっているということは事実だ。
いずれにしろ商品を手にして一旦開封したあとは、さっさと飲みなさいということになっている。