自由の森日記

埼玉県飯能市にある自由の森学園の日常を校長をはじめ教員たちが紹介

'09年度の高校卒業式が行われました

2010年03月06日 | 自由の森のこんなこと

 心のこもったいい式だったと思います。
 彼らが巣立っていく時代をイメージしながら、メッセージを伝えました。

09年度高校卒業式あいさつ

卒業生のみなさん、卒業おめでとう。
保護者のみなさん、お子さんの卒業、おめでとうございます。
みなさんから多大なるご支援ご協力をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。

さて、卒業生のみなさん、
今年度は自由の森学園創立25周年であり、みなさんはその記念すべき年に卒業します。

自由の森学園の教育のルーツを少しさかのぼってみましょう。
先日、図書館発行のVOICEに書かせてもらいましたが、自由の森学園の教育思想のDNAをたどると、私は「大正自由教育」というものに突き当ると考えています。富国強兵の道を突き進んできた当時の日本にあって、国家のための教育ではなく、子どもの視点から教育をとらえなおす運動が生まれ、いくつもの新しい学校が誕生しました。これらは世界的に共通した流れとしておこり、同時代のヨーロッパの国々やアメリカ、ロシアにおいても同様の動きがありました。例えば、フランスのセレスタン・フレネがつくったフレネ学校などはその典型だと思います。国家のための教育を否定し、生徒の自由と自治を土台に作られた学校です。

その後、日本では戦争の荒波にのまれるなど必ずしも大きな流れとはなりませんでした。この約1世紀も前からの細いけれども途切れることのない流れを一言で言うなら、「人を人として大事にする思想」と言えるでしょう。

みなさんは、その教育思想を土台に学び、生活してきたのだと思うのです。卒業の日にあたり、みなさんに、自分が学んできた学校と教育の地下水脈をあらためて感じてほしいと思います。

みなさんは今日でこの場を離れますが、自由の森から遠く離れるのではありません。
卒業したとはいえ、あなたたちのこれからの生き方の総体が自由の森であると私は思うのです。
どこにいても、みなさんの生きていく姿が豊かな森となっていくことを願ってやみません。

卒業おめでとう。


(2010.03.06 卒業式にて 一部抜粋)
鬼沢真之

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする