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文章の雑味

2014年08月24日 | コンサルティング

仕事柄、文章を書く機会が多いので、いろいろな本やテキストの文章が気になって仕方がないことがあります。当たり前かもしれませんが、一番気になるのはやはり自分が書いた文章です。

私たちが行うセミナーや研修では、ほとんどの場合、私たち自身が作成したテキストを使います。テキストは、誤字・脱字がないかを徹底的にチェックします。それでも、セミナーで話している最中に間違いを発見することがあります。私が文章を書くときに使っているWordには、「スペルチェックと文章校正」という機能がありますが、残念ながら実用レベルにはほど遠いといったところです。

誤字・脱字は、時間をかけて丁寧に読み込めば、完璧とは言えないまでも、かなり排除することはできます。やっかいなのは文体、あるいは文章の個性です。

人の話し方には、早口/ゆっくり、あっさり/くどい、長い/短い、など個性がはっきりと表れます。それに比べて文章では、そこまで個性が表れることはありません。特にビジネス文書においては、あからさまに個性を出すことはむしろ避けるべきことです。

仕事で文章を書くときは、頭の中に流れて行くまとまりのない思考をいったんせき止めて、余計なものを取り除き、文字に置き換え、コンパクトに(1文50字以内に)詰め込んだものを作ります。そうすることで「わかりやすく、正確に伝える」という使命を果たすことができます。

しかし、ときどきこのやり方が少し堅苦しいと感じることがあります。テンプレートとまでは言いませんが、言いたいことを型に押し込めながら書いているような気持ちになります。まあ、実際そのとおりなのですが。

正直に言うと、私は自分が書く文章に関しては、だらだらとしたあいまいなものの方が好きです。考えていることや思っていることを、あまり手を加えずに書き出してみると、ほとんど切れ目のない、まとまっていない思考や感情の流れが文字になって出てきます。それが文章の味(というより雑味)を生み出します。文章を読んだときに感じる個性とはそうした雑味なのでしょう。
 
辞書によれば、雑味とは「飲食物のなかに入りまじって、本来の味を損なう味」だそうです。確かに、仕事で使う文書にとって個性とは「本来の味を損なう」ものでしょう。

このブログは会社の名前で書いているので、ビジネス文書の一種ではありますが、自由で私的な発信というブログ本来の趣旨に沿って、なるべく雑味を混入させながら書くことを意識しています。

このブログの、2人の書き手それぞれの個性が少しでも出ていれば、ビジネス文書としては不合格でも、ブログとしては上手く行っているのではないかと思っています。

(人材育成社)