中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

中小企業は「いつでも入社式」をやりましょう

2019年03月31日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社の平野です。

このブログをお読みいただいている社員99人以下の中小企業の社長さんの中には「うちは新入社員がいないので入社式はしない」という方も多いと思います。たしかに、毎年定期的に新人を採用できる中小企業は限られています。それでも、中途採用は必要に応じて実施しているはずです。

「さすがに中途採用では入社式なんて必要ないだろう・・・」そう思われた方は考えを改めてください。ある会社の人事担当の役員さんは「入社前に会社について十分に説明をしたし、社長とも1時間かけて面談もした。新人ならいざしらず、経験者に入社式なんて意味があるのか?」と言いました。

はい、あります。むしろ中途採用をしたときこそ、きちんと入社式をおこなうべきです。

なぜなら入社式はただのイベントではなく、新しく加わった仲間と全社員がはじめて面と向かってあいさつを交わす場だからです。そう、新人であれ中途採用であれ「会社と会う」のは入社式がはじめてだからです。

単純に言ってしまえば、会社とは社長以下全社員が入っている「容器」のようなものです。入社前に採用予定者に会社ついて詳しく説明をしたとしても、それはあくまで「容器」の説明なのです。

入社式は「容器」の中身、すなわち全社員の前で新しく入ってくる人に「これがうちの会社」だとわかってもらうこと、感じてもらうことが目的です。4月でなくても、全社員が10人未満でも、こぢんまりとしていてもなんの問題もありません。きちんと入社式をやりましょう。

以前、中途採用で入った会社を1年足らずで辞めてしまったあるエンジニアに、その理由を聞いたことがあります。希望していた仕事と違うことをやらされた、人間関係がしっくりこなかった、そう言った後にぽつりと・・・

「自分が会社に”入った感”がなかった」

妙な表現ではありますが、十分納得できました。

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中小企業の入社式でやらなければいけないこと

2019年03月27日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」

を提供する人材育成社の芳垣です。

 先日のブログで、「中小企業も入社式を行いましょう」というメッセージをお伝えしたところ、知り合いの複数の中小企業の社長から「入社式で企業理念を伝える重要性はわかったので、これまでは行っていなかったが、今年は入社式はやることにした。しかし、企業理念は10分くらいで伝えられるし、辞令交付は当然行うとして、それ以外の時間はどういうことをやればよいのか?」という質問をいただきました。

ここで、中小企業の社長の皆さんにお伺いしますが、これまで入社式ではどのようなことをされていましたか?

入社式の進め方はそれぞれあるとは思いますが、私がお勧めしているのは社長の挨拶の後に、ぜひ、新入社員一人ずつに自己紹介および抱負を語ってもらう時間を設けることです。このような話をすると、「学校を卒業したばかりで、人前で話すことに慣れていない人も多いから、『頑張ります』という以外に話せることはないのではないか?」と心配される方が大勢います。

しかし、そこはあまり心配しなくていいと思います。あらかじめ話してもらいたいテーマを具体的に伝えておけば、今の新入社員はうまくやれるはずです。

それでは、どういう題材を提供すれば良いのでしょうか?

たとえば、入社しようと思った理由、1年後にはどのような社会人になっていたいか。また、学生時代の興味や関心、授業以外の時間の使い方。さらには、時間が許せばお国自慢なども話してもらうのです。お国自慢は必ずしも出身地に限らず、学生時代に過ごしたところでも良いことにします。そうすると、仮に、一人3分の制限時間を設定したとしても、皆、制限時間を超えるくらいに積極的に話をします。

次に、入社式で新入社員の自己紹介や抱負を聞く人は誰なのでしょうか?

折角、新入社員が熱心に話をしても、それを聞くのが社長や総務部の人間だけだとしたら何とももったいない話です。ぜひ、先輩社員や管理者にも可能な限り入社式には参加してもらってください。

当然、新入社員にとっては大勢の前で話すことは緊張するでしょうが、入社式では受け入れ側として先輩社員や管理者にも一人ずつ祝辞を述べていただく。

新入社員が抱負を話し、それに対して先輩社員や管理者が新入社員への期待を述べることで、受け入れ側と新入社員の双方に各々の立場で責任が生じることになります。

これは、中小企業の規模だからこそできることであり、そこにこそ中小企業としての利点があります。

新入社員が一早く会社に馴染み、スムーズに仕事に入れるようにするための入り口が、この入社式での新入社員と先輩社員や管理者との対面です。入社式での個々の「点」が時間の経過とともに個々の職場での「線」になり、やがて一つの組織としての「面」になっていきます。

ぜひ、入社式というフォーマルな場面を有効活用しましょう。

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企業理念は中小企業の柱

2019年03月24日 | コンサルティング

三本柱※という言葉がありますが、何事も3つあると安定します。カメラの「三脚」、登山で岩登りをするときの「三点確保」、野球でも「先発投手の三本柱」などと言ったりします。会社経営も同様に3つの柱があると安定した経営ができます。

中小企業では、第1の柱は社長さんです。会社=社長と言っても過言ではありません。第2の柱は社員です。「企業は人なり」は真実です。ここまでは納得いただけると思います。

では、第3の柱はなんでしょうか。様々な答えがありそうですが、「お金」という答えが多いかもしれません。しかし「金は天下の回り物」会社が存続するために必要な「栄養」ではありますが「柱」にするのはいかがなものでしょう。

私は、3本目の柱は「企業理念(経営理念)」だと思います。前回のブログでも書きましたが「企業理念とは、創業者や経営者が示す企業活動の基本的な考え方、価値観、思い、企業の存在意義」です。

あなたの会社の企業理念はなんでしょうか。

「人々の幸せのためにより良い製品・サービスを全世界に提供すること」・・・とても良い企業理念です。でも、いったいどの会社の理念なのでしょう。社員10万人の会社ならわかりますが、10人の会社の理念ではないと思います。

もし、あなたの会社にはっきりとした企業理念がないなら、あるいはあっても抽象的でピンとこないなら、是非「第3の柱」となる理念を作りましょう。

まず、あなたの会社がいまあるのは「なぜ」か、その答えを考えてみます。「なぜ」あなたの会社の製品やサービスをお客様を買ってくれるのでしょう。その答えが出たら、創業したときの「想い」にその答えを結び付け、言葉にします。そして社員に「言っている意味がわかるか」を確かめてください(社員に「評価」してもらう必要はありません)。

企業理念は「第1の柱」である社長が一所懸命考え、「第2の柱」である社員が受け入れることで「第3の柱」になります。中小企業にとって「理念づくり」のプロセスは、まさに「3本目の柱」を立てる大事なイベントです。

その際、わかりやすく覚えやすい言葉が出来上がれば成功です。もし上手くいかなければ何度も「理念づくり」を繰り返してください。できたものが企業理念(仮)でも構いません。

次はソニー株式会社の現在と創業時の経営理念(いずれも一部)です。ご参考までに。

(現在)

クリエイティビティとテクノロジーの力で、
世界を感動で満たす。
夢と好奇心
夢と好奇心から、未来を拓く。
多様な人、異なる視点がより良いものをつくる。
倫理的で責任ある行動により、ソニーブランドへの信頼に応える。
規律ある事業活動で、ステークホルダーへの責任を果たす。

(創業時)

真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設

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※三本柱の元々の意味ですが、狂言の「三本の柱」から来ています。主人が三人の家来に「家の柱にする木を山から三本持って来い」と命じます。ただし条件があって「三本の柱を、三人がそれぞれ二本ずつ持って来い」というものです。単純に計算すれば3×2=6本になってしまいますし、3本を束ねて3人で担いだのでは「2本ずつ」になりません。どうやって解決したかは以下のWebページでご確認ください。

http://nagatabi.lolipop.jp/59.html

 

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中小企業も入社式を行いましょう

2019年03月20日 | コンサルティング

「間もなく4月1日がやってきますが、入社式の式次第は決まっていますか?」

最近、知り合いの社長(50人以下の会社を経営している皆さん)数人にこう質問をしたところ、概ね次のような返事が返ってきました。

「うちは社員20人以下の会社だから、入社式なんてやらないよ。それは大企業がやるものでしょう」

「新入社員を皆の前で紹介するだけだよ。終業後には懇親会はやるから、入社式はいらないと思う」

確かに、少人数の会社でわざわざ入社式を行うのは、少々大げさな感じがするのかもしれませんが、私は企業規模には関係なく入社式をすることをお勧めしています。

ここで、改めて入社式を行う目的を考えてみましょう。

まず、入社式は経営者(社長)による訓示等を行う儀式としての一面を持っています。

また、新入社員に組織の一員になることへの自覚を持たせることも目的の一つです。

このような話をすると、「入社式を行う意味はわかったけれど、『今日から社員として頑張ってください』と言うこと以外に、特に話すことが見つからないよ」といった反応になることが多いのです。

そこで、私は社長の皆さんには、入社式で新入社員に自社の企業理念を話すことをお勧めします。

企業理念とは、「創業者や経営者が示す企業活動の基本的な考え方、価値観、思い、企業の存在意義」などを言います。

新入社員にとっては、経営者が語るこうした企業理念を聞くことによって、自身が入社した会社の存在意義や向かおうとしている方向を、漠然とかもしれませんがイメージできるようになるのです。

しかし、入社式でこうした話をしている会社は案外少ないようです。

実際、弊社が毎年入社2~3日後に新入社員研修を担当させていただいた中で、新入社員に自社の企業理念を確認してみると、「企業理念の話は聞いたことがない」「うちの会社に企業理念なんてあるの?」という声を聞くことが多いのです。

こうしたことからも、入社式ではぜひ社長の口から、企業理念を熱く語っていただきたいと思います。

最後に、もう一つ企業理念を伝える意味をお伝えします。

それは、「企業理念は時間をかけて少しずつ新入社員の行動様式にも反映されるものであること。また経営者や会社に対する、新入社員の安心感や信頼感にもつながるものであり、やがて、社員が長く働いてくれることにつながってくる」ということです。

さて、新年度まで10日ほどとなりました。

これまで入社式を行ってこなかった、あるいは入社式で何を話したらいいかわからない中小企業の社長の皆さん、まずは自分の言葉で熱く企業理念を語ることから始めてみてはいかがでしょうか。                  

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属人化を防ぐ「余白」とは

2019年03月17日 | コンサルティング

前回の属人化については多くの反響がありました。あらためて定義を見てみると属人化とは、企業などにおいて、ある業務を特定の人が担当し、その人にしかやり方が分からない状態になること。多くの場合批判的に用いられる。(weblio辞書より)」となっています。

この属人化というのは、いかにも日本的な感じがします。よく言われるのは、海外の会社では「仕事の標準化が進んでいるから属人化は起こりにくい」、「労働者は職種に特化した能力で雇われるからいつでも取り替えが効く」ということです。

確かに、アメリカやヨーロッパの会社では職務記述書(job description)という、仕事とその責任を明確にした文書があります。それが雇用契約の基本になっています。では、海外の会社では属人化は生じないのでしょうか。

まったくないとは言えませんが、非常に生じにくいと言えます。なぜなら「職務記述書ありき」だからです。

職務と仕事の違いとでも言うのでしょうか。職務の場合は曖昧さがほとんどありません。それに対して仕事という表現は非常にあいまいです。

職場でのやり取りを例にとってみましょう。

上司「太郎君、あの仕事やってくれたか?」
部下「え?あの仕事、僕がやるんですか?」
上司「当たり前だろう。言われなくてもそれくらいわかるはずだ!」
部下「す、すみません。」
上司「いったい何年ここで仕事してんだか・・・」

これが海外なら、

上司「ジョン、あのjobやってくれたか?」
部下「ボス、あれはロバートのjobですよ」
上司「どれどれ・・あ、ほんとだjob descriptionに書いてある。」
部下「もう、ボスったら。」
上司「ははは、うっかりしていたよ。」

もちろん、日本の会社の「仕事」はそのまま職務記述書に書き残せるものではありません。

しかし日本の会社では、職場でそれとなく共有されている「暗黙知」があるため、不測の事態が生じたときに職場が一丸となって対応することが比較的容易です。一方、海外の職場では職務記述書のような「形式知」が基本になりますから、不測の事態が生じたときの対応が後手に回ってしまいがちです。

そこで、なんとも中途半端な提案かもしれませんが、日本の職場でも海外のようなきっちりとした職務記述書の導入を進めつつ、暗黙知が存在できるような「余白」を作っておくことをお勧めしたいと思います。

その「余白」とはなにかというと・・・まさに職務記述書に余白の1ページを付けておくことです。

そして、上司や会社が勝手にそこに何かを「後付け」で書き込まないよう「余白は余白」のままにしておく規則を作っておきます。もちろん、それですべてが上手く行くとは申しませんが、意外と効果があるのではと思っています。

「余白のある職務記述書」を受け入れることができるのは、おそらく日本人くらいではないでしょうか。

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属人化した仕事は生産性を下げる

2019年03月13日 | コンサルティング

「担当者が不在のため、確認できません」

仕事が属人化されてしまっていることにより、電話などでこのような対応された経験をお持ちの人は少なくないと思います。

属人化とは、文字どおり「仕事が人に属している状態」のことで、業務を特定の人だけが担当し、結果、その人にしかやり方がわからない状態のことです。

属人化することがすべて悪いわけというわけではありませんが、多くの場合は弊害の方が多いのです。

仕事を属人化する場合のメリットは、特定の人間が特定の業務を長期間担当することにより、専門性を極めることができます。また、同じ中身を何度も繰り返すことにより習熟度が高まるため、効率的に進めることができるようになります。

さらには、特定の人間にしか詳しい中身がわからないことにより、本人にとっては一定の優位性も感じられることもあるでしょう。

しかし、前述のようにそれ以上のデメリットもあるのです。

冒頭の電話の例のように、特定の人間にしか業務の中身がわからないため、その人が不在にしていたりすると代わりの人が対応することができないのです。

それが短期間の不在であれば何とか凌ぐことができるとしても、長期間だったり不意のアクシデントなどによるものであったりすると、もはやお手上げ状態となってしまいます。その結果、職場の仕事の生産性も下がってしまうことになります。

さらに、他にも同じ仕事を長く対応しているとどうしても主観的になってしまい、他者が客観的に見ればもっと良いやり方があるのにもかかわらず、それに気づくチャンスがないということも起こりえます。これも仕事の生産性を上げるチャンスを逃していることになります。また、ときには不正につながるようなこともないとは言えないでしょう。

それでは、仕事を属人化させないためにはどうすればよいのでしょうか。もちろん、仕事を標準化する、人の配置をローテーションするなどにより、仕事の共有化をはかることは必要です。

しかし、その前提として、属人化してしまうことによるデメリットが職場で共有されていないと先に進めることができません。さらには、当然のことではありますが、目指すべき方向性や属人化を脱出するメリットを共有しておくことが必要です。

なぜなら、仕事の標準化やローテーションをすると、一時的とはいえ仕事の生産性が下がってしまうからです。また、慣れていた仕事から不慣れな仕事に変わることで、ストレスも生じます。そうすると、「なぜこんなことを始めたんだ。今まで通りに慣れている仕事をしていた方が良かったのではないか」といった非難の声が聞こえてくることさえあります。

しかし、こうした過渡期は一時のものであり、それを過ぎれば間違いなく属人化を脱したことによるメリットを享受できるようになります。

毎日元気に仕事をしている人であったとしても、人間いつ何が起きるかわかりません。予期せず怪我をしてしまったり、家族が病気になってしまったりすることもあり得ます。そういうときに、「担当者が不在でわかりません」ということで生産性が下がらないように、属人化から脱出する必要があるのです。

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人事部の仕事は「労働生産性」を高めること

2019年03月10日 | コンサルティング

日本の 1 人当たり労働生産性はOECD 加盟 36 カ国中 21 位です。「日本の生産性は低いってことでしょ?そんなことわかっているよ!」・・・もう耳にタコかもしれませんね。今回は労働生産性についてじっくり考えてみます。

はじめに、人事部門にお勤めの方はもちろん、労務や人材育成に関わっているすべての方々への質問です。

「生産性」を定義する式を書いて説明してください。完璧でなくても構いません。

・・・おそらく、できなかった方が多いと思います。では、順を追ってご説明します。ただし、あくまでもざっくりとした(間違っているとまでは言えないが、ちょっと不正確な部分がある)説明になります。納得できない方は教科書(マンキュー「入門マクロ経済学」など)を読んでください。さて・・・

(1)OECD36 カ国中 21 位の「労働生産性」

労働生産性=GDP÷就業者数 (または就業者数×労働時間)

まずGDPがわからない時点でアウトです。GDP(Gross Domestic Production)は国内総生産です。国内総生産とは「一定期間に国内で生産された財貨・サービスの付加価値額の合計」ですが、わかりやすく言えば「日本中の企業が1年間に生み出した付加価値を合計した(全部足した)金額」です。

(2)付加価値

1企業の付加価値は、売上高-外部購入費です。販売会社なら、100万円で仕入れた商品を150万円で売れば付加価値は150-100=50万円です。ほぼ粗利(あらり)だと思ってください。メーカーなら50万円分の材料費を購入してきて100万円の製品を作れば、100-50=50万円が付加価値です。

仮に、日本国内にこの販売会社とこのメーカーしかなかったら、GDP=50+50=100万円となります※。

(3)労働生産性

そして、もし日本の人口が5人ならば、労働生産性=100÷5=20万円となります。

この労働生産を高めるには、分子の付加価値を高めるか分母の労働者の人数を減らすか、という手段が考えられます。

付加価値を高めるには、高い値段でも売れる魅力ある商品を提供することです。仕入れ値や購入材料を値切ることも有効です。

ただし、分母の5人を単純に4人でに減らしても、生産性が上がるとは限りません。たとえば、5人が毎日限界まで働いているときに1人減った場合を考えてください。

ここからが本題です。人事、労務、人材育成に関わっていらっしゃる方に理解していただきたいのは、こうした生産性の定義には「時間の要素」が入っていないという点です。

このメーカーの5人の労働者がトレーニングを受けて作業スキルが上がり、150万円の製品を作って売ることができれば、生産性は150÷5=30万円と、50%もアップします。

問題は、トレーニングの効果が現れるのに時間がかかることです。トレーニングを受けた1人1人の能力がアップするのに1年以上かかるとすれば、翌年の生産性は上がりません。むしろ試行錯誤によって低下することもあり得ます。

また、新人を1人雇って6人になれば、その新人が1人前になるまで明らかに生産性は低下します。

いずれにしても短期的には生産性は下がってしまうので、目先の利益を上げたい経営者にとってはあまり好ましいことではありません。

そんな近視眼的な経営者でも、人手不足の折から、新人を雇うことについてはNoとは言いにくいのです。それに「売上が伸びないのは、あのときに社長が人を採用しなかったからだ」と後々言われたくもないでしょう。

一方、トレーニング(社員教育)については、成果が測定しにくいということから「経費削減」の対象となりやすいのです。しかし、社員教育への出費は会計的には「費用」ですが、将来の労働生産性の向上に寄与する「投資」です。

人事部門の方々にお願いしたいのは、将来の生産性を高めるための教育投資を計画し、実行することです。

その第一歩として、貴社の経営者の方々に生産性とは何かを正しくレクチャーしてあげてください。

ここまでお読みいただいたので、もちろんできますよね?

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※日本にはたくさんの企業がありますから、2018年の日本のGDPは約543兆円にもなります(1$=110円)。アメリカ、中国続き第3位です。

 

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人材育成に熱心な会社は残業時間が少ないのか

2019年03月06日 | コンサルティング

「仕事の生産性の向上」を目的とした研修のご依頼をいただく際には、演習の中で1か月間の仕事時間や残業時間を定量化するようにしていただいています。

これは、まずは残業時間を客観的な数字で確認し、それをきちんと認識していただくことによって、削減に向けたできる限りの努力や取り組みをしていただくためのものです。

しかし、実際にこの演習を行っていただくと、事前に研修の担当者から伺っていた残業時間よりも、はるかに少ない数字が出されることが多いのです。

もちろん、部署によっては時期により繁忙期がありますので、一時的に残業時間が多くなることはあります。しかし、演習の中で受講者が答える1か月の残業時間は平均20~30時間以内がほとんどで、その割合は受講者の9割ほどと言っても決して過言ではありません。

そして、この傾向は企業の規模には関係なく、さらに研修の形態が企業内の研修であっても、公開型のセミナーであっても、ほぼ同様の結果となっています。

さらに、この状況は働き方改革が叫ばれるようなった2016年以降からということでもなく、弊社が10年前から研修にこの演習を取り入れるようになってから一貫しています。

しかし、一方で世間では長時間労働が依然として大きな問題となっているわけですから、弊社の研修の結果とは大きな隔たりがあります。

果たして、この違いをどのように考えたらよいのでしょうか?

この点、私自身もずっと疑問に思っていたのですが、その理由はおそらく次のようなことではないかと考えています。

一般に、研修を社内で行ったり、社員を公開セミナーに派遣したりする会社は、その規模によらず人材育成の必要性をしっかり認識していると考えられます。

人材育成をきちんと行っている会社は、必ずしも時間に余裕があるわけではないですし、潤沢な利益が出ているわけでもないと思います。

しかし、そういう状況であったとしても、人材育成を大切に考えているからこそ、限られた予算の中でも外部から研修講師を呼んだり、公開セミナーに社員を派遣したりしているのです。

つまり、こうした会社は「人を大切にしている会社」と言えるのではないでしょうか。

そして、実はこうした会社は同時に、働き方改革が叫ばれるようになる以前から少しでも無駄を省き、残業時間もできる限り減らすような努力を行っていたのではないかと考えています。

このため、研修の中で出される残業時間が一般で言われているほどには多くないという結果につながっているのでしょう。

一見、人材育成と残業時間はあまり関係なさそうに思えますが、実は前述のように大きな相関関係があるのではないか。いずれ調査によってエビデンスを明らかにしたいと考えています。

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ピーターの法則と人材育成

2019年03月03日 | コンサルティング

ピーターの法則をご存知の方も多いと思いますが、以下思い切りWikipediaから引用させていただきます。そんなの知っているよ!という方、ちょっと見た感じ難しく書いてありそうなので読みたくないという方は、以下の引用文を読み飛ばしていただいて構いません。

ピーターの法則(Peter Principle)とは組織構成員の労働に関する社会学の法則。能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。時が経つにつれて、人間はみな出世していく。無能な平構成員は、そのまま平構成員の地位に落ち着く。また、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間によって遂行される。(wikipediaより)

要はこういうことです。組織が階層構造になっているとします。ある階層(たとえば主任)の中で優秀な人は係長に出世します。すると主任クラスには出世できなかった無能な人たちが残ります。次に、係長クラスの中で優秀は人は課長に昇進します。すると係長クラスには出世できなかった無能な人たちが残ります。次に、課長クラスの中で優秀は人は部長に昇進します。すると課長クラスには出世できなかった無能な人たちが残ります。次に部長クラスの中で・・・

かくして組織の各階層には無能な人たちだけが残り、かろうじて各クラスにいる少数の「出世待ち」の人たちが仕事をして成果を出す、というわけです。

この法則が事実だとすれば、優秀な人材はなるべく出世させず、その階層で使い続ければ組織は安泰ということになります。では、トヨタをはじめとした大企業はそういう戦略を実行しているのでしょうか。

私はピーターの法則には人材育成の視点が欠けていると思います。

たしかに、無能な人間をどれほど鍛えても「優秀」にはならないかもしれません。それでも、まともに仕事を遂行できるレベルに引き上げることは可能です。それぞれの階層に留まっている人たちをほんの少しでもレベルアップさせれば組織は良くなっていきます。

現に成功している企業ほど人材育成に多くの投資をしています。

もちろん、高い給与で優秀な人をたくさん雇って仕事をさせ、無能レベルになったら解雇するというやり方もあります。また、正社員ではなく非正規雇用者を大量に使う手もあるでしょう。

しかし、それらの手段は少なくとも「日本の会社」がとるべきでことではないと思います。

当社が今までお付き合いさせていただいた百数十社の経験からそう信じています。

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