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研修講師の正しい選び方(上級編)

2018年04月29日 | コンサルティング

このブログの中上級編(4月25日)で、研修講師は人材育成の共同解決者であると申し上げました。共同解決者とは文字通り「一緒になって問題解決にあたるパートナー」です。

研修を外部の講師に依頼する際、この「一緒になって」という点に抵抗を感じる担当者の方も少なくありません。同じ会社内ですら価値観や考え方が違うのに、第三者に解決できるわけがない。そもそも社外の人間に人材育成の問題をさらけ出すなんてとんでもない、という気持ちがあるようです。

しかし、あなたが病気になったとき、自分と同じ病気にかかったことがない医者には治療してほしくないと思うでしょうか。大事なのはその医者が病気という「問題」を過去に解決したのか(治したのか)、その実力があるのかという点です。

もちろん、研修講師は医者ではありませんから「治療」することはありませんが、医者が診察をするように、講師も客観的な視点から社員をじっくりと観察します。研修中の討議や演習を通じて受講者のものの見方や行動パターンを推し測り、修正すべき点があれば指摘します。

こうした講師によるフィードバックには、社内の人間には見えていなかった客観的で有用なアドバイスが含まれています。それは研修の中で講師の口から発せられることになりますので、担当者は受講者以上に研修に集中していなければなりません。研修中「講師にお任せ」で席を外してしまうのは、実は大変にもったいないことなのです。

研修担当者の役割は、講師による指摘を真摯に受け止め、人材育成に関する問題解決に役立てることです。そのためには、研修実施前に自社の問題点を講師に伝え、研修中に意識してもらうよう依頼します。また、研修後の振り返りや講師所感などで、気づいた点を話してもらうことも必要です。

共同解決とはこうしたプロセスを講師と担当者が「一緒になって」取り組むことです。当然、力量のない講師には無理なことですから、事前に講師と十分時間をとって話し合い、いくつかの質問を投げかけ、返ってきた答えを吟味し、その能力をしっかりと見極めなければなりません。

以上のことから、研修会社の営業トークだけで講師を選ぶことは良くて博打(ばくち)、最悪の場合は自殺行為となることがおわかりいただけたと思います。

研修担当者の責任はとても重いのです。

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研修講師の正しい選び方(中上級編)

2018年04月25日 | コンサルティング

「研修講師を選ぶときには必ず事前に面談し、自分の考えとズレがないかを確認してください。それが『役に立つ研修』を実現する唯一の方法です」と先日(4月22日)のこのブログでお伝えしました。

ここで、あらためて研修担当者が事前に講師と面談する目的を整理してみましょう。

それは、まずどういう経路でその講師を知ったのかによります。

たとえば、研修担当者自身が講師を探したのであれば、それは一定のリサーチの結果、講師の経験や専門が研修の目的をかなえてくれるだろうと判断してのことでしょう。その場合には面談では具体的に研修内容や進め方などについて確認することになります。

逆に、講師を知ったきっかけが自身によるものではなくエージェント等からの紹介であれば、事前に書類等で確認してはいても、まずは講師の経験やプロフィールの確認から面談がはじまることになります。

そこで研修担当者の方にお願いしたいのは、面談の際にはあらかじめ研修の目的や受講者の概要を整理しておいていただきたいということです。

言うまでもないことですが、研修は講師が一方的に提供するものではありません。たとえば管理者研修を実施する場合、研修の目的に関すること(何を目的に行うのか、受講者にどのようになってもらいたいのか、現状はどうなのか)、受講者の属性(新任の管理者なのか、年齢はどれくらいなのか、受講者は何人なのか)など、いろいろなねらいや条件があるはずです。

多くの場合、研修講師は事前にそれらの情報をある程度お聞きしてから研修プログラムをカスタマイズします。しかし、その場合にはやはり直接会って、伺うことが一番望ましいです。

もちろん講師が研修企画書を作成する際には、できる限り公にされている情報を収集するのですが、生の情報や具体的な事例などはやはり直接伺わなければ知りうることができないわけです。それらを伺うことでよりよいカスタマイズができるのです。

このように考えると、研修担当者と講師が面談する目的は「研修をよりよいものにするための情報交換の場」と言えます。

以前、ある企業の研修担当者から次のような話を聞いたことがあります。

「A講師は経験豊富でしたし、話も上手かったです。講師としての力量はとてもある人だと思いました。しかし、今回講師を見直そうと考えたのは、共同解決者としての姿勢に疑問を感じたからです。私たちは講師に『一緒に研修を作っていきましょう』という姿勢を求めたかったのですが、A講師にはそれが感じられませんでした」とのことでした。

この例が示すように、講師に共同解決者としての姿勢を求めるのであれば、面談は目の前の講師が研修をより効果的なものにするために共に取り組むよきパートナーになりうるのかどうかを判断できる場だと言えます。

それでは、面談でよきパートナーになりえる講師かどうかを判断するためには、どうすればよいのでしょうか。

そのためには、まずは講師にいろいろな角度から質問をしてみることをお勧めします。

研修担当者が質問をするためには、どういう経緯で講師を知りえたにしても事前の情報収集が必要になります。講師が作成した企画書の中身をきちんと把握し、疑問点を明らかにするのはもちろんのことです。しかし、それ以外にも講師のホームページを検索したり発信物(書籍や執筆したものや、ブログなど)をできうる範囲で見たり、読んだりすることが必要です。

こうして事前に情報収集し、様々な角度から講師に質問すれば、講師の研修に対する考え方、受講者に対する思いなど外見やプロフィール以外の部分も知ることができます。そして、共同解決者たりえる講師なのかをきちんと見極めることができるのです。

ただし、何でもかんでも「できます」「やります」を連発する人が必ずしも共同解決者になれるとは限りません。共同解決者は時には「できない」ということを言わなければならないこともあるわけです。その点は十分にご注意いただきたいと思います。

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研修講師の正しい選び方(中級編)

2018年04月22日 | コンサルティング

前回のブログ(4月18日)で講師を選ぶ際の評価基準は、「楽しい」ではなく「役に立つ」であるべきということをお伝えしました。では「実務の役に立つ研修」とはどのようなものでしょうか。そもそも「役に立つ」とは一体何を意味しているのでしょう。

仕事イコール日常的に行われる実務と考えるならば、「役に立つ」ことを定義するのは比較的容易です。

たとえば、品質管理を担当している社員にとって、統計分析の知識は役に立ちます。ソフトウェア技術者ならプログラミング言語の習得、経理部員ならば簿記・会計の知識、海外営業担当なら英会話や英文契約書の知識など、必要とされる知識やスキルははっきりしています。それらを身につけることが目的ならば、役に立つ研修の定義で悩むことはありません。

しかし、仕事をより広い意味でとらえるならば、「役に立つ」を定義するのは容易ではありません。

たとえば、管理職研修(課長職などに昇格した人たちが対象)では、より幅広い知識やスキルを習得することになります。それは受講者の職種に関係なく、組織を管理・運営する上で必要なものです。

管理職研修では、自らが率いるチームの業績を上げるため具体的にどう行動するかを徹底的に学びます。たとえば部下とのコミュニケーションの取り方では、報連相(報告・連絡・相談)のさせ方や指示・命令の下し方はもとより、適切なほめ方や叱り方も演習を通じて身につけます。また、チームの目標を定め、現状とのギャップを明らかにし、どうやってそれを埋めていくのかも学びます。抽象的な表現ですが「組織の活かし方」を学ぶ研修です。

研修内容はさほどおもしろいとは言えませんし、日々の実務に直接役に立つものでもありません。では、なぜ多くの会社がそのような研修を行うのでしょう。

答えはずばり「役に立つ」からです。

「定義するのは難しいと言っておきながら、役に立つと断定するのは一体どういうこと?」と思われた方も多いでしょう。

社員1人1人の知識・スキルレベルが上がったとしても、皆がタコつぼに入り込むようにお互いを無視して仕事を進めていたら職場は、いや、会社はいつか崩壊してしまいます。ここであらためて、仕事を「(会社の利益を確保するために)社員同士が協力し合って進める業務」とするならば、研修で学ぶ「組織の活かし方」はとても役に立つことがわかります。

では、組織を活かすために必要な指導とはどのような内容でしょうか。研修担当者の皆様には、それをご自身でじっくり考えていただきたいと思います。そして、研修講師を選ぶときには必ず事前に面談し、自分の考えとズレが無いかを確認してください。

それが「役に立つ研修」を実現する唯一の方法です。

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研修講師の正しい選び方(初級編)

2018年04月18日 | コンサルティング

「皆、楽しそうにやっていたので、とても良かったです」

研修が終った後に、研修担当者の方からこうした感想をいただくことがよくあります。研修を担当させていただいた講師としてはとても嬉しい気持ちになりますし、好意的におっしゃっていただいていることに対しては、本当に有り難く思っています。

しかし、正直に言うとこの「楽しそうで良かった」という感想をいただくたびに、同時に少々複雑な気持ちにもなります。

もちろん、何を学ぶにしても楽しくないよりは楽しく学べた方がいいわけです。しかし、あまりに「楽しい」ということがクローズアップされて伝えられると、「楽しいことは本当に良いことなのだろうか」と考えてしまいます。

それは、どんなに「楽しい」研修であっても、それが実務で役に立たなければ研修として意味をなさないからです。

研修は終了後の効果まで含めて考えると、次の4つの状態を想定することができます。

A:楽しい研修で、ためになった。

B:楽しい研修ではなかったけれど、ためになった。

C:楽しくない研修で、ためにならなかった。

D:楽しい研修だったけれど、ためにならなかった。

一番望ましい状態は、もちろんAの「楽しい研修で、ためになった」です。反対にそういう研修はやらない方が良いというのが、Cの「楽しくない研修で、ためにならなかった」です。ここまでは異論のないところでしょう。

では、Aの次に望ましい状態は、Bの「楽しい研修ではなかったけれど、ためになった」なのか、Dの「楽しい研修だったけれど、ためにならなかった」のどちらなのでしょうか。皆さんは、BとDのどちらを優先すべきだと思いますか?

私は講演会ならばDもありえるとは思いますが、研修である以上はBを優先すべきと考えます。(研修と講演の違いについては、先日(4月15日)のブログで書いています。)

研修の中では、受講者に自分自身の仕事に対する考え方や取り組み方、スキルなどを冷静に振り返っていただきますし、演習やディスカッションでは主体的に「発話」することが求められます。

それらは、普段気づいていなかった自分に足りない部分を補い、良い部分をさらに伸ばすことを目的に行っているのです。それらはときに自己を厳しく見つめなおさなければならなかったり、ディスカッションでは自分の主張が示せなかったりするようなこともあるので、決して楽しいばかりではありません。

しかし、これらは実際の仕事の中で必要になり、また経験することもあるわけです。研修でこうした経験をしておけば、実務に戻ったときに役に立つことが期待できます。

そのように考えれば、研修担当者の方には、次のことをお願いします。受講者の様子が「楽しそうに見える」場合、本当にこの研修は実務で役に立つのかどうなのか、反対に受講者が楽しくなさそうにしている研修であっても、実務でためになる研修なのかどうか、ということです。

「楽しい」という感想をもらって安心してばかりはいられません。

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研修講師の正しい選び方(入門編)

2018年04月15日 | コンサルティング

はじめて外部から講師を招き、社内で話をしてもらおうとお考えの方にとって、どのような講師を選べばよいのかは悩みどころです。

まず講師を何の目的で呼ぶか、それをはっきりさせなければなりません。目的は大きく分けて2つです。ひとつは社内で講演をしてもらうこと、もうひとつは研修をしてもらうことです。

講演と言っても、イベントで1時間ほど話をしてもらうものから、管理職が集まる会議で専門家に簡単なレクチャーをしてもらうものまで、様々なかたちがあります。概ね短時間(長くても2~3時間程度)で、何か役に立ちそうな話をした後、簡単な質疑応答で終わりというパターンです。

講演の場合、短い時間で強い印象を残す必要があります。そのため、多少「濃いめ」の味付けになります。内容も「私は苦労したけれど○○することで成功した」といったサクセスストーリーや、「こうすれば○○は簡単にできるようになる」といったお手軽なスキルの伝授が中心です。

そして、最も重要なポイントは聴き手の感情に訴えることです。したがって、講師も「聴く気にさせる」肩書や経歴が必要です。成功した企業の経営者、マスコミに顔を出す文化人や大学教授などの著名人が有利になります。

研修の場合は、講演とは全く異なります。むしろ真逆と言って良いでしょう。

研修の参加者は会社が指名した社員です。多少は「自主的に手を挙げた」人を対象とする研修もありますが、ほとんどは「イヤイヤ受けさせられた」人たちが対象です。研修講師は、そんな受講者になんとしてでも学んでもらわなければなりません。そのためには短時間で済ますわけにはいきません。講演のように2時間程度ならつまらない話も「聴いているふりをして」やり過ごすことができるからです。

そうならないように、研修では最低でも7時間、つまり丸1日は講師に付き合ってもらうことになります。研修講師は手を変え品を変え、丸1日という長丁場を仕切らなければなりません。必然的に、話の内容も講師自身ではなく受講者が「主語」になります。

研修中、受講者は常に普段の自分の仕事ぶりや考え方、スキルなどを振り返ります。また、演習やディスカッションのように主体的に「発話」することが求められます。そうすることで、普段気づかなかった自身の足りない部分を補い、良い部分をさらに伸ばすことができます。

このように、研修講師に求められるのは聴き手を主語に置いた姿勢と進め方です。「講演者としての講師」のように、自分を主語に置いたお話を得意とする人に研修を任せると、かなりの確率で失敗します。

講師を選ぶときは、その人が考える「主語」が誰であるかをしっかりと見極めましょう。

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ブラック企業に入社してしまったのか

2018年04月11日 | コンサルティング

「相談があるんですが、実は私、ブラックに入社してしまったみたいなんです。約束していたとおりに休憩が取れないんです。この会社ブラックですよね。辞めた方がいいですよね?」

これは昨日・一昨日と担当させていただいた公開型の新入社員研修の初日が終了した後に、ある受講者から相談された内容です。

この新入社員(女性)は、研修中は明るい表情で非常に熱心に受講していましたし、周囲に対してはリーダーシップを発揮してくれていたのです。ところが、研修終了後に一転、心配そうな表情でやってきたので、研修中とのギャップに私も一瞬びっくりしました。

聞けば、4月2日に入社して1週間、配属先では新入社員は彼女1人だけだそうで、まず周囲に相談できる人が誰もいないとのことです。そして、労働条件が書かれた紙には、確かに「休憩時間は〇時から〇時までの45分間。ただし、業務の都合により変更される可能性はあり」と書いてあります。

ところが、実際に入社した後はそれとは違う状況のため、「ブラックに違いない。すぐに辞めた方がいいですよね」と繰り返し訴えてきたのです。

ブラック企業に関しては報道も盛んにされていますし、大学でも就職に際して「ブラック企業には注意するように」と数年ほど前から伝えています。

そのせいもあるのか、彼女には「ブラック」という言葉が強烈にインプットされてしまっているようでした。

では実際のところ、ブラック企業とはどのような企業のことを言うのでしょうか。国(厚生労働省)は「ブラック企業」の定義はしていないようですが、一般的には極端な長時間労働や厳しすぎるノルマを課す、賃金の不払い、ハラスメントが常態化しているなどの企業のことを言うようです。

もちろん、このような企業は非常に問題があるわけですから、入社した会社が同じような状態だったらとても困ってしまいます。実際にそのような企業は厚労省から摘発もされています。

しかし、入社してまだ1週間しかたっていないのに「休憩時間が予定どおりに取れない」からと言って、すぐにブラック企業と決めてしまうのは、さすがにちょっと早すぎます。

ブラック企業という言葉が一般化されてきたために、学生や若手の社員が振り回されている一つの例かもしれません。

冒頭の相談をしてきた新入社員に、「休憩時間について上司に確認してみましたか?」と聞いてみたところ、まだとの返答でしたので、まだ1週間しか経っていないのだから辞めることを考えるのには時期尚早であることをお伝えしました。

新入社員にとって、入社してみたら就業条件と異なっていたというのは非常に心配なのはよくわかります。また、新人が休憩時間について上司に質問することが高いハードルに思えることも十分に想像がつきます。

しかし、入社後わずか1週間で、しかもきちんとした確認もせずに辞めようかと考えてしまうのは、いくらなんでもまずいです。このように考えてしまう背景には、やはり売り手市場ということもあるのかもしれません。

彼女としては、私に「それはブラック企業だから、すぐ辞めた方が良い」と後押しをして欲しいのだろうということは話を聞いていてわかったのですが、結局40分くらい話を聞き、前述のアドバイスをしてその日は終了しました。

そして翌日、2日目の研修で昼休みに入ったところで、再び彼女が私のところにやってきました。「昨日、研修が終わってから母と一緒に職場に行って上司に確認をしたところ、「休憩はちゃんと45分取れるので、心配はいらない」と言われました。だから辞めずに続けることにしました」と安心した表情で報告してくれました。

休憩時間の確約が取れたこと、当面は辞めずに続けることを決断したのは安心しました。一方で社会人になったはずなのに母親が一緒に確認に行ったと聞いて、今度はそちらが心配になってしまいました。

冒頭のような話は今後もいろいろな場面で起こりえることですが、社会人になったのですから、まずは何をすべきか自ら考え、動いてみる姿勢が求められます。同時にそのためには労働者の権利や法律に関する知識を身に着けることがまず必要なのではないかと、今回のやりとりを経て改めて感じました。

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入社式の社長挨拶に心はこもっていましたか?

2018年04月08日 | コンサルティング

4月は新入社員研修のハイシーズンです。オフィス街では「昨日まで学生、今日から社会人」となった若者たちの集団をよく見かけます。当社も研修会社として、「学生から社会人へ」というとても大きな転換の場に立ち合う日々が続いています。

新入社員研修のスタートは、社会人としての自覚を持つことから始めます。そして、組織で働くために必要なマナー、知識、スキルを身につけていきます。しかし、新入社員を受け入れる一連のイベントのうち、当社のような研修会社が立ち会うことができない「場」があります。それは入社式です。

毎年、多くの企業のホームページに「今年の入社式での社長挨拶」が公開されます。そこにはあたかも「テンプレート」を使ったかのようなメッセージが書かれています・・・

皆さん、入社おめでとうございます。本日、ここに○○名の新入社員の皆さんを新しい仲間として迎えることが出来、大変うれしく思っております。また、皆さんにとってはかけがえのない仲間を得ることとなった記念すべき日でもあります。全社員を代表して、心より皆さんを歓迎します。

・・・こうした冒頭のあいさつに続き、(1)自社を取り巻く社会・経済の現状、(2)新入社員への期待、(3)新人が覚えておくべき言葉・教訓など、で終わりとなります。

「毎年同じような話で聞き飽きた」と思われたかもしれません。しかし、私はこのテンプレートのようなメッセージはとても良いものだと思っています。社長という会社のトップが、新入社員という一番の下っ端に向かって「心から歓迎します」という言葉を直接投げかけるのは、とても大事なことだからです。

そう、大事だからこそ、社長は本当に心の底から「歓迎します」と言わなければなりません。

日本人同士なら、いや、そうではなくても、その言葉に心がこもっているかいないかは誰にでもわかります。新入社員が社長の言葉を耳にして本当に心を動かされるならば、それに続く研修も職場実習も、配属後の仕事さえも上手くいきます。

研修講師として歯がゆいのは、社長がしっかりと心のこもった言葉を入社式で発したかどうかを確認できないことです。社長挨拶はテンプレートでも構いませんが、言葉には心と熱を込めてほしい、そう願わずにいられません。

経営者の皆さん、人事部門のご担当者の方々、今年の入社式の社長挨拶は成功したでしょうか?

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2018年度の新入社員のタイプは

2018年04月04日 | コンサルティング

「次年度のではありません。今年の4月の採用活動です。人数が計画に満たなかったので、まだ採用活動を続けているのです」

これは先月(3月1日)、ある上場企業を訪問した際に、研修担当者から伺った話です。リクルートスーツ姿の人を見かけたので、「今日からさっそく次年度の採用活動が始まったのですね」と声をかけたところ、冒頭の返答があったのです。

入社式までちょうど1か月のタイミングにもかかわらず、少しでも予定人数に近づけるべく、ぎりぎりまで採用活動をしているとのことでした。

数年前から売り手市場になっていますが、採用活動がいかに厳しいものになっているのかがわかります。

さて、一昨日4月2日に大半の企業が入社式を行いました。報道によると、今年は新入社員を「おもてなし」するような入社式が目立っているとのことです。社長自らがハイタッチで新入社員を出迎えたり、歌手を呼んだりするなど非常に丁重な「おもてなし」のようです。

かつてのバブル時代を知っている私としては、まさにその頃を彷彿とさせるような入社式の様相だと感じました。

先日、明治安田生命の「今春の「新入社員」を対象に就職活動、働き方・お金に関する意識についてのアンケート調査(新入社員に就職活動の実態について調査)」の結果が発表されました。調査によれば、新入社員の内定企業数は平均2.28社で、2年ぶりの増加だそうです。

企業側からすると、2.28社の中からわが社を選んで入社してもらったということになるのでしょうから、おもてなし入社式になるのももっともなことなのかもしれません。

こうして入社した後に行われるのが新入社員研修ですが、私も昨日から担当させていただいています。

実際に新入社員に会ってみると、最近の傾向と同様、今年の新入社員も全体的に真面目ですが、同時に少々大人しいなとも感じます。

前述の調査結果では、就職先に自社を選んだ理由に「仕事のやりがい」を挙げた人が高い割合を示していましたが、研修の中で新入社員同士の会話を聞いていても同じことが感じられます。

しかし、この「仕事のやりがい」、何をもってやりがいとするかは人それぞれだと思いますが、本来やりがいは簡単に得られるものではありません。

たとえば、仕事を失敗してしまったり、上司から叱られたりする中、できなかったものが少しずつできるようになったときなどに、ようやく得られるものなのです。

しかし、最近は異口同音に「やりがい」という言葉を口にする新入社員があまりにも多いので、もしやりがいを短期間で実感できなければ、彼らはすぐに仕事に興味や関心を失ってしまうのではないかと少々心配になってしまいます。

そして、そうならないように新入社員研修できちんとお伝えするのも、自分の大事な役割だと改めて思っています。

さて、公益財団法人の日本生産性本部から毎年、新入社員の特徴とタイプが発表されていましたが、ホームページによるとこれは昨年度で終了したとのことです。

因みに、2017年は「キャラクター捕獲ゲーム型」、2016年は「ドローン型」だったそうです。

その時々の出来事等をうまく反映していますが、もし今年もこれが続いていたら何になったのか、気になるところです。皆さんなら一体何と名づけられますか。

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OJTは全社員の責務

2018年04月01日 | コンサルティング

入社4年目のA君は3月の最終週のある日、上司のB課長に呼び出されました。(なんかイヤな予感がするな・・・)A君は緊張しながら課長が待つ会議室に入って行きました。

やあA君、お疲れ様!君をはじめみんなが頑張ってくれたおかげで、うちの営業1課は受注目標をクリアできたよ。ご苦労様!」B課長はにこやかに言いました。そして「ところでA君に頼みたいことがあるんだ」と続けました。(そら来た!)とA君は身構えました。

「再来週、うちの課に新人が1人配属されるんだ。ようやく君にも後輩ができるってわけだ。」

(え!それはうれしいな。今まで俺が一番下っ端だったからなあ・・・)A君は一瞬ほっとしました。その後の課長の言葉を聞くまでは。

「で、君に新人のOJT担当者をやってほしいんだ。これが新人のプロフィールと人事部が作ったOJTマニュアルだ。よく読んでおいてくれ。トレーニング期間はファーストクォーターの終わり、6月末までだ。久しぶりの新人だからしっかり育ててくれよ。じゃ、頼んだよ!」そういうと課長はさっさと部屋を出ていきました。

(ああ、面倒くさいことになった・・・)会議室に1人残ったA君がぼやいていると、同じ課の先輩Cさんが入ってきました。

Cさんは「おまえOJT担当になったんだってな。余計な仕事を押し付けられて、かわいそう。ついてないな〜」とからかうのでした。

ご存知のようにOJT(On the Job Training)とは、上司や先輩が、実際の仕事を通じて部下や新入社員を指導し、仕事に必要な知識や技術などを教える育成方法です。

OJTの方法は会社によって異なります。人事部が具体的な育成方法を記したガイドラインを示している会社もあれば、「現場に丸投げ」という会社もあります。

「丸投げ」の場合、OJTトレーナーに指名された社員が、完全に自己流で仕事を教えることになります。その多くは「おれの仕事の様子を横で見ていろ」、「簡単な仕事をやるからやってみろ」、「わからなければなんでも俺に聞け」という指導を行うことになります。

しかし、これはOJTではありません。

OJTとは、仕事に必要な知識・技術・技能・態度などを合目的・計画的・継続的に指導し、修得させることで社員を育成する活動です。特に「計画的」であることは重要な点です。計画的であるということは、目指すゴールとそこに至るスケジュールが明確でなければなりません。なりゆき指導ではいけないのです。

最近は、新卒を採用するのがなかなか難しくなっています。ようやく採用できたかと思えば、数年と経たずに辞めてしまう。大企業ですらそんな厳しい状況に置かれています。

それなのに先ほどのA君、いや彼だけではなくB課長や先輩のCさんもそうですが、「OJTは厄介で何のメリットもない余計な仕事」という認識が全社にはびこっているとしたら大変にまずいことです。

なにも新人を甘やかせと言っているわけではありません。「計画的に」育てるために必要なことは何かを職場のメンバーはもちろん、全社員が理解し実行することがOJTです。

つまりOJTとは担当者1人の仕事ではなく、全社員が「よってたかって」新人を育てる活動なのです。

さて、4月になりました。社長以下、全社員がOJT担当者だということ肝に銘じておきましょう!

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