中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第1,065話 「上司の背中を見せる」を再構築する

2021年10月17日 | 研修

すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

20年近く前の話になりますが、私が講師を務めた某大手食品メーカーの管理職研修での話です。研修の冒頭に社長のあいさつがありました。「君たちはこれから苦労すると思うが、管理職として経営者の視点も身につけて乗り越えてほしい」・・・気持ちのこもった、とても良いメッセージが続きました。そして最後に「後進の育成も大切だ。部下は上司の背中を見て育つ。そのことを忘れないでほしい」と言いました。

私はそのとき「上司の背中を見て育つ」という言い方が「古臭い」と感じました。しかし考えてみると、決して悪くないとも思いました。「上司の背中を見ろ」とは、分かりやすく言えば「上司の仕事振りや立ち振る舞いをよく観察して学習しなさい」ということです。

さて、管理職研修では部下を指導・育成する上で必要になる考え方や技術を学んでもらいました。心理学に基づいた対人関係の分析から、「ほめる・しかる」ときの態度や言葉使いの練習まで、かなりボリュームのあるプログラムをこなしました。

また、研修中に「あなたの考える”上司の背中”とはなにかを説明をしてください」というお題でグループディスカッションをしてもらいました。

・上司らしい言動
・確実に仕事をこなす様子
・間違ったときに責任をとる態度
・etc

他にもいろいろとありましたが「いかにも」といった抽象的な言葉が並びました。その後、「ではあなたの部下を誰でも良いので1人思い浮かべてください。いま発表してもらった言動や態度を示すだけで、その部下が確実に理解して成長すると思いますか?」と聞いてみたところ、ほぼ全員が首を横に振りました。

上司が立派に仕事をこなす様を見せるだけでは部下は成長しません。それは今も昔も変わりません。年配の管理職には「自分は先輩の背中を見て学んできた」と言う人が少なからずいます。それは今の若手社員より恵まれた環境にいたからです。

職場に上司や先輩が多くいた時代は学ぶチャンスがたくさんありました。先輩たちの仕事の進め方にも様々なバリエーションがあり、どのやり方が効果的か比較することができました。しかし、今は職場の機械化も進み人が少なくなっています。そのせいで管理職一人当たりの仕事の量はかなり増えました。それは若手社員も同じです。上司も部下も余裕がなくなっているのです。

「部下の学びを意識して」背中を見せる余裕のない上司。上司の背中を見る余裕のない部下。さらにリモートワークが広がるにつれ、状況はかなり難しくなっています。

では、上司は部下指導において具体的にどのような行動をとれば良いのでしょうか?グループで話し合ってもらいました。様々なアイデアや意見が出ましたが、いずれも要約すると(1)やるべきことを決め、(2)分かりやすい言葉で伝え、(3)部下の行動を観察して、(4)適切にフィードバックをする、という形になりました。「これはPDCA※そのものですね」と私が言うと、皆、ああそうか!とちょっと驚きながらも納得していました。

ここまで来るともはや社長が言っていた「上司の背中を部下に見せる」ことからかなり離れてしまいますが、今の時代にフィットした「背中を見せる部下指導」があらためて定義できたといえます。

古い考え方や習慣をむやみに守り続ける必要はありません。しかし、すべてを捨て去ってしまうよりは、その精神を受け継いで再構築する方が上手く行きます。

「全否定も全肯定もしない」⇒「皆で考える」⇒「そしてやってみる」・・・部下指導に限らず会社を成長させるために必要な原理原則ではないでしょうか。

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※言うまでもなくPlan-Do-Check-Actですね。

 

 

 

 

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第1,064話 雑談とコミュニケーションの関係

2021年10月13日 | 研修

すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「雑談について、講師はどのように考えますか?」

これは、先日弊社がある企業で担当させていただいた部下育成に関する管理職を対象にした研修の際に、一人の受講者から受けた質問です。

質問の意図がよくわからなかったので、確認の意味でいくつか質問をさせていただいたところ、質問者自身雑談があまり好きではないことから、「コミュニケーションをとる上で、雑談は必要なものなのか」を聞きたかったとのことでした。

これに関して、最近の風潮として雑談の有用性について語られることが多いように感じています。試しにAmazonの書籍検索で「雑談」と入力すると、1,000件以上のヒット件数が表示されます。このことからも「雑談」が身近なテーマになっていることがわかりますが、逆に言えば、だからこそ冒頭のような疑問を持つ人も少なからずいるのではないかと思います。

では、皆さんは雑談はお好きでしょうか?苦手でしょうか?

私は、これまでに雑談について書かれた本を10冊近く読んでいますが、雑談の効果として人間関係がうまく築けたり、知識を得ることができたりするなどということが共通して書かれていました。

しかし、雑談は人間関係を築く上で本当に必須のものなのでしょうか?改めて雑談の意味を辞書(広辞苑)で調べてみたところ、「さまざまな談話。とりとめのない会話」とありました。ここからは、雑談とは話の本題とは異なるまとまりのない会話ということで、あくまで本題の前段であり、あってもなくても良いものであると言えそうです。

そのように考えると、雑談≠コミュニケーションであり、雑談ができることが即コミュニケーション上手ということではないと言えるのではないでしょうか。

コミュニケーションとは、単に情報や知識を一方的に伝達することではなく、発する側と受ける側で共有することです。ですから、まず話の本題に関して伝えるべき情報を伝え、それが話し手と聞き手の双方で共有されなければなりません。

これまでコミュニケーションに関する研修を行ってきた経験から、自分自身「コミュニケーションが苦手」と感じている人は少なくないと感じています。そういう人にコミュニケーションが得意な人のイメージを質問してみると、「誰とでも会話が盛り上がる人」、「会話が長く続く人」というような答えが返ってくることが多いのですが、そこには雑談も含まれていることが多いのです。

しかし、雑談で会話が盛り上がり長く続いたとしても、肝心の伝えるべき情報がきちんと伝わり、双方で共有されなければ、それは本来の意味でのコミュニケーションとは言えないものです。

うまくコミュニケーションがとれるということは、無理に雑談をしてでも会話を盛り上げる、量を多くするということではありません。「雑談をしなければならない」という思い込みで、無理をする、自らを苦しめるようなことのないようにしていただきたいと思うのです。

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第1,063話 MBAは「社長」の学びに不要です

2021年10月10日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「経営者セミナーで〇〇社の会長のお話を聞きました。いやぁ、実に素晴らしい内容でした」先日、ある中小企業の社長さんがちょっと興奮気味に私に言いました。〇〇社とは誰もが知っている大企業です。

「その会長さんが言うには、すべての経営者は戦略思考を持たなければならないと言ってました。戦略思考というのは、ロジカルシンキングを土台にした経営理論の上に成り立っているそうで、たとえばマーケティングについては・・・」社長さんは目を輝かせて語っていました。

そして「やはり〇〇社の会長さんみたいにMBAを持っている人は違いますね。実際、アメリカの大企業のトップの多くは有名ビジネススクール出身だそうです」と言いました。

私は社長さんが学ぶことについて非常に前向きになったことに素直に感動しました。そこで、私は提案をしてみました。「社長さん、次回の管理職研修を受講なさってください」

すると社長さんの顔が一転、少し曇ったようになりました。そしてこう言いました。「いやいや、管理職研修を社長の私が受けても意味がないでしょ。ビジネススクールで学ぶような戦略論こそ大事ですよ。」

私は思い切って次のように言いました。

「社長さん、気分を悪くされたら申し訳ないのですが、MBAのような学問は中小企業の、いや大企業も含めてほとんどの日本の会社の経営者には不要です。その理由はすでに大企業、それも優良企業として安定している〇〇社には優秀な管理職や社員がたくさんいます。社長は余計なことをせず神輿に乗っていればまず失敗しません。有名な大企業のトップの仕事の半分は自社の”広告宣伝”です。MBAのような"まぶしい”ラベルを貼った人が発信した方が説得力がありますしね。さて、御社には〇〇社と同じくらい優秀な管理職や社員がたくさんいますか?・・・あ、失礼しました。ほとんどの日本の会社は御社と同じです。それに戦略論や、マネジメント理論、マーケティング、ファイナンス理論などMBAレベルの学びは少なくとも日本では役に立ちません。そうした本を1冊買ってきて読んでみれば簡単にわかると思います。それは単なる教養であって、まったく実務の武器にはなりません。ビジネススクールは大企業で働く人たちのカルチャースクールです。」

一気にまくしたててしまった後でちょっと後悔しましたが、言いたいことは伝えました。

「管理職研修の受講をお勧めしたのは、実務と経営の接点を学ぶことができるからです。ぜひご一考ください。」

社長さんは難しい顔をしたままでした。もちろん、中小企業の経営者が学ぼうとすることはとても素晴らしいことです。だからこそ間違った学びを選ばないように注意をする必要があります。

では具体的にどのような内容を学ぶべきか?「社長の研修」プログラムは近々明らかにしてまいります。

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第1,062話 「旬」の人とは?

2021年10月06日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「年寄りには今さら研修を受けさせてもね。その分、もっと若い者、旬の人を対象に行ったほうがいい」

これは私が時々企業の研修のご担当者からお聞きする言葉です。

私はこのお話をお聞きした後に「〇〇さんがおっしゃる年寄りとは、何歳くらいですか?」と尋ねることにしていますが、そうすると「50代以上」という答えが返ってくることが多いと感じています。

では、皆さんは50代以上を研修の受講対象とすることに対して、どのように考えますか。確かに、研修にかけられる予算には通常は限りがありますから、それをどの階層に重点的に配分するのか、そのためにはどのように考えたらよいのかについては、なかなか悩ましいところだと思います。

これに関して、私はその組織に在籍する以上、必要があれば50代はもちろんのこと、60代であっても積極的に研修の受講対象とするのがよいと考えています。その理由は2点あります。

1点目としては、モチベーションが下がるからです。具体的にいうと、まず研修は必ずしも社員に歓迎されるものではないということがあります。そのため、必修の研修の受講を指名された人の中には、「研修は嫌いだけれど、指名されてしまったから仕様がない。受けないといろいろ言われるから受けるか」といった気持ちで受講する人がいるのも事実です。

しかし、そういう中でも、いざ同じ階層の別の人が招集されている研修で、自分だけが指名されないようなことになると、「なぜ、自分は呼ばれなかったのか?自分はもう不要なのか?」と考えてしまい、一気にモチベーションが下がってしまう人がいるのです。

2点目の理由としては、研修は新たな階層に昇格したタイミングだけでなく、昇格後にも継続的に受けることに意味があると考えるからです。

というのも、先日ある企業で「部下の育成」をテーマにした研修を弊社で担当させていただきました。その研修は希望者が受講できる、いわゆる希望型の研修だったのですが、30名の募集枠に対して大幅に上回る数の人が応募されました。応募した方々の属性は、当初のご担当者の想定では、圧倒的に新任の管理職が多いだろうと考えていたとのことですが、実際には予想とは異なり、8割は管理職になって既に数年が経過している人達だったのです。

その人達は、管理職として数年の経験があるからこそ、部下育成において様々な疑問や悩みが生じていて、何とか改善したいと思っていたのではないでしょうか。オンラインではありましたが、皆、とても熱心に取り組んでいる様子が伝わってきました。さらには、午前中の終わり、そして終了後も多くの人から次々と具体的な質問を受けました。

もし、冒頭の話のように「50代は年寄りだから、もう研修は受講させない」としてしまったら、この受講者達は疑問や悩みを解決できず、自己流で部下育成を続けることになってしまったのかもしれません。そうなると、場合によっては部下のやる気を損なわせてしまったり、成長を止めてしまったりというようなことにもなりかねません。こうなると、最終的にはその企業にとっても大きな問題になってしまいます。

企業にとっては、これまでの65歳までの雇用確保から、70歳までの就労機会の確保が努力義務になりました。それを考えると、50代はもちろんのこと60代であっても、必要であればどんどん研修を受講してもらう必要性が増えていくと思います。もちろん、予算の配分などの問題はあるでしょうが、しかし、組織にとってヒトは最大の経営資源なのです。

そのヒトを有効活用するためにも、企業の人材育成部門においては、年齢で一律に研修対象者から排除するという考え方は改めていく必要があるのではないかと思うのです。

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第1,061話 新人採用のときは「終身雇用」を宣言しよう!

2021年10月03日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

終身雇用は崩壊したという言説をよく耳にします。「終身」というのはイメージに訴える簡易的な表現であって、決して「死ぬまで」ということではありません。実際の定義は「長期安定雇用」が正しく、定年までの雇用(概ね65歳くらい)と考えて良いでしょう。

この定義を現在の日本の企業に当てはめてみると半数以上が終身雇用であり、大企業ではその比率はもっと高くなります。また、産業能率大学のアンケート調査「新入社員の会社生活調査(2020 年)」によれば「終身雇用制度を望むか」では、「望む」が64.9%、「望まない」が35.1%となっています。

最近はテレワークの普及や副業の容認など、大きな社会的変化が生じているので、「望む」比率はもっと低下しているでしょう。とはいえ、新人の約6割が終身雇用を望んでいることは事実です。終身雇用制度は日本企業の主流と言っても良いでしょう。

では、終身雇用をイメージではなく実態から考えてみます。

(1)終身雇用は雇用契約ではなく、企業側の意思表示(あるいは暗黙の了解)である

(2)労働法(労働三法のほか様々な法律)によって労働者の権利は守られている

先ほどの調査を見る限り、新人は(1)というメッセージを信頼したいと思っています。もちろん口先だけで終身雇用を唱えて、実態はそうでない企業も中にはあるでしょう。しかし現在のように情報の非対称性が著しく低下している社会では、そんな会社の名前は簡単に知れ渡ってしまいます。

優秀な人材を採用して会社を発展させたいのなら、堂々と「わが社は終身雇用を守っていきたい」と宣言してください。同時に「会社は業績が悪くなれば倒産する。そうなれば雇用自体を維持できない。だから、終身雇用を守るために会社の発展に貢献できるような人材になってほしい」と伝えてください。

もちろん終身雇用にも問題点はあります。いわゆる「働かないおじさん」、「会社にしがみつく社員」です。会社へ貢献もせずに65歳まで居座られたら困る、という声も聞きます。だからこそ「一緒に終身雇用を守っていこう!」というメッセージに真摯に答えようとする新人を採用してください。そして、入社したらしっかり育ててください。

「いやいや、そんなに上手く行く保証はない」とお考えの方はどうぞ「成果主義」を採用してください。

成果主義は短期的な貢献に対する報酬システムです。しかし、一般的に大きな成果を上げられる人材は高い報酬を支払わなければ採用できません。そして成果を上げれば上げるほどそれに見合った報酬をどんどん上げていかなければなりません。それができなければ退社していくことでしょう。また、もし期待外れだった場合(2)のため簡単には解雇できません。かなりリスキーなシステムです。

そう考えれば、終身雇用はまだまだ日本企業、特に中小企業に必要なものだと思います。

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