企業研修の人材育成社

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企業にとって必要なおじさん(おばさん)になるためには

2018年10月31日 | コンサルティング

受講者:「職場のおじさんたちが自分で調べることをせずにすぐに聞いてくるから、こちらの仕事が進まなくて困ります。一日のほとんどを問い合わせの電話に対応していて終わってしまう日もあります。おじさんたちには、人に聞く前に自分で調べるようにして欲しいのですが、だめですね」

私:「おじさんたちとは、どういう年代の人のことを言うのですか?」

受講者:「概ね50代です」

私:「・・・」

これは弊社が、ある企業で担当させていただいた問題解決研修の際に、1人の受講者から聞いた言葉です。

おじさんという表現がどうかは置いておくとして、この受講者によれば仕事上で自分が必要な情報は、掲示板でチェックして入手すればいいようになっているそうですが、その手間暇を惜しんで、すぐに担当部署である彼女に電話をしてくるのだそうです。

自ら調べようとしない理由は、情報を探す時間を惜しむ、情報を自力で理解できない、さらにパソコンの知識が不足しているといったことがあるそうです。この話を聞いたときに、「今時、パソコンを思うように使えないおじさんとは、いったい何歳位の人なのだろう?」と疑問に思って聞いてみたのが、冒頭の質問です。

確かに、一昔前位に定年退職した年代の中には、「パソコンが苦手」という人が少なからずいました。当時はまだ手書きのペーパーを事務の担当に渡して、パソコンで打って欲しいと依頼する時代だったのです。

しかし、今の50代であれば、入社時には既にワープロがあるタイミングでしたし、Windows95が出て一気にパソコンが普及した頃には、20代後半から30代の前半であったはずです。そういう年代の人が、パソコンの知識が不足しているという理由で自分で探すべき情報が探せず、担当部署に問い合わせをしているとは、正直驚きでした。

話は変わりますが、先日、企業の継続雇用に関して70歳まで引き上げるという報道がありました。報道によると、高齢者が希望すればこれまでより長く働けるよう、企業の継続雇用年齢を65歳から70歳に引き上げる方針とのことです。これは働く高齢者を増やすことで、人手不足を解消するとともに年金制度などの安定を図ることが目的のようです。

引き上げの是非はさておき、今後70歳まで雇用が延長されれば、これまで以上に高齢者が職場にどんどん増えていくことになります。その人たちがこれまでの経験を活かし、生産性の高い仕事を提供してくれるのであれば、企業にとって願ったりかなったりです。

しかし、反対に冒頭の例のような人たちが、おじさん風(おばさん風)を吹かすようなことがあれば、それはマイナスの影響となり組織の生産性は下がってしまいかねません。

培った経験が財産となっている人が継続雇用されれば、職場にとってはとても有り難い存在になるはずですが、必ずしもそうでない人がいることも事実です。

職場で有り難い存在になるためにどうすればよいかは一概には言えないものでしょう。しかし、私を含めた冒頭の例であげられた年代に該当する人に限らず、自分だったらどうするか一考してみる余地があるのではないでしょうか。

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部下育成、性善説か性悪説か

2018年10月28日 | コンサルティング

会社設立後10年未満で売上高が30億円近いという急成長中の企業の話です。上司が部下に対するマネジメントにおいて、たとえ相手が新卒であったとしても「あなたの考えたとおりに自由にやってみてください」 「わからなければ私なりの考えは持っているので聞いてください。その上で参考にしてもいいですし、自分の思うやり方でやってみても良いです」という手法をとっているそうです。

私は率直に素晴らしいと思いました。こうした上司の姿勢は「性善説マネジメント」と言えるかもしれません。

しかし、一般に企業は社員を「性悪説」でとらえる傾向があります。昨今の大企業の不祥事やコンプライアンス強化の風潮を見聞するにつけ、やはり「性悪説」が基本でなければならないのかと思ってしまいます。

「性善説」と「性悪説」という二分法以外の考え方を調べてみたところ、告子(こくし)の「性白紙説」というものがあることを知りました。

「性白紙説」では「人の性(さが)には善もなく不善もなく、明君が現れると民は善を好むようになり、暗君が現れると民は乱暴を好むようになる、性が善である人もいれば不善である人もいる」と説いています。

告子は中国戦国時代(紀元前4世紀頃?)の思想家だそうですが、同時代の孟子(性善説を説いています)に比べると全くの無名と言ってよいでしょう。たしかに「性白紙説」について考えてみると、告子が無名である理由がわかる気がします。ものごとに白黒つけず「どっちもあり」と言っているからです。

さて、冒頭の会社が実践している「性善説マネジメント」ですが、私が素晴らしいと思ったのは、この会社が、新人も含めてそういうマネジメントが通用する(優秀な)人材を採用できたことです。

「あなたの考えたとおりに自由にやってみてください」 こう言う上司の元できちんと仕事ができる能力を持った人材は、めったにいないと思います。逆に、自由にやれと言われて100%サボりまくる人もめったにいないでしょう。

そう考えると、人の性(さが)は「性善説」と「性悪説」の間に幅広くばらついていると考える方が自然なような気がします。勝手な妄想ですが、善と悪の中間あたりが最も多く、それを頂点として両極端に行くにつれ減っていく山型の分布になっているのではないかと思います。

簡単に言えば「性正規分布説」ですね。少なくとも告子の「性白紙説」よりも具体的ではないでしょうか。

「性正規分布説」に基づいて上司がマネジメントを行おうとすれば、すべての部下の性(さが)の値(偏差値?)を把握しておく必要があります。それには(まさか試験を実施するわけにもいきませんから)、普段から人を観察する眼を養っておくしかありません。

毎度繰り返しになりますが、観察眼を養うためにはしっかりとしたトレーニングが必要です。自己流は絶対にダメです。

能力とやる気のある人には自由にやらせ、サボりがちの人にはやり方を教えてチェックする。それが部下に対するマネジメントの本質です。

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「貧乏暇なし」の営業パーソンにしてはならない

2018年10月24日 | コンサルティング

 「うちの営業は他社が捨てたものまで拾ってしまいます。全く利益が出ないような仕事を引き受けて、喜んでいます。つまり、営業数字を上げることだけに注力しているんです」

これは先日、営業のコンサルティングの相談にいらした企業の経営者から伺った言葉です。そして、この経営者は続けて次の話もしてくれました。

「企業として利益を追求することは当たり前のことなので、それを改めて営業に言うまでもないことだと思っていたんです。それがいけなかったのかもしれませんが、遅ればせながらそれを理解させないと、とんでもないことになってしまいそうです」

この話を伺っていて感じたのは、改めて「営業の(本来の)使命を理解していない営業パーソンが意外にも多い」ということです。

営業の使命とは、自社の商品やサービスをお客様に提供することによってお客様の問題や課題を解決し、お客様に満足していただくことであり、その対価は売上となり利益になります。

つまり、営業の一義的な使命とは、あくまでも「利益を追求していく」ことなのです。

もちろん不当な利益を得ようとすることは論外ですから、顧客の満足度を上げたうえで、適正な利益を上げることが求められることになります。

営業パーソンであれば、当然この理屈を理解しているものだと考えがちですが、冒頭の例のようにそれを知らぬまま営業活動をしている人が案外多いのも現実なのです。

このように売上だけを追いかけて利益を全く考えなければ、いつも忙しくしているけれども結果が伴わない「貧乏暇なしの営業パーソン」になってしまいかねません。

貧乏暇なしの営業パーソンにはいくつかの特徴がありますが、一つには「お客様からの要望は全部引き受けてしまう」ということがあります。

その結果、「お客様からの要望なので、何とかしてほしい」というフレーズで社内の他部署にも無理難題を押し付けたりします。さらには、いつも「忙しい」という言葉を頻発し、遅くまで残業をしたりするので、結果的に周りを巻き込んで貧乏暇なしにしてしまうことさえあるのです。

営業には本来の使命を意識しつつ、たとえお客様の要望であっても総合的に判断して利益につながらないと判断される場合には、勇気をもって断るということも大切なことなのです。

もし、あなたの会社に冒頭の例のような営業パーソンがいるのなら、一度ぜひ売上と利益についてじっくり話し合ってみることをお勧めします。

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頑張れ!はパワハラか?

2018年10月21日 | コンサルティング

「頑張れ!って部下に向かって言うのはパワハラですよね?」ある大手企業の管理職研修で一人の受講者が私に質問してきました。休憩時間中だったので、その人は私のいる場所にやってきてにやにやしながらそう聞いてきたのです。どうやら講師である私を困らせるつもりのようでした。

私が「パワハラです」と答えたら「じゃあ、頑張らなくていいと言えば良いのですね?」、逆に「パワハラじゃありません」と答えたら「それが原因でうつになってしまったらどうしますか?」というわけです。

私の答えは「あなたと部下の関係によります」というものでした。質問者は「はっきりしないですねぇ」と不満そうに言って席に戻っていきました。

うつ状態の人に向かって「頑張れ」と言うのは、本人にとってマイナスでしかありません。「こんなに頑張っているのに、まだ頑張りが足りないというのか。もうこれ以上は耐えられない」と自分を責めてしまいます。その結果、うつの症状が悪化することがあります。「頑張れ」は禁句でしょう。

かといって、腫れ物に触るように扱うこともかえって症状を悪くします。うつの兆候をキャッチする方法は、研修や書籍できちんと確認していただきたいのですが、もし、うつ病が疑われるならば躊躇なく産業医に相談してください。「うつかどうかを判断するのは医師である」が原則です。

しかし、そうでなければ「頑張れ」と声をかけることはパワハラにあたりません。パワハラの定義はぜひご自身で調べていただきたいのですが、うつでもないのに「パワハラだ!」と言われたとしたら、それは「上司と部下との関係」の問題です。

上司からの「頑張れ」というメッセージが「期待を込めた励まし」として受け取られなかったとしたら、それは部下が上司を信頼していない証拠です。上司と部下との間に信頼関係があれば、そもそも「パワハラ」などという言葉は出てきません。

先ほどの管理職研修で、私は次のように続けました。「皆さんは部下から信頼されていますか?もし自信がないなら『頑張れ!』は言わない方が良いでしょう。」

信頼は、お互いが本音で語り合うことで徐々に「醸成」されていくものです。ときにそれは長い時間がかかります。「上司は一日にして成らず」です。

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パワハラへの対応 グレーゾーンとは?

2018年10月17日 | コンサルティング

国の労働政策審議会において、職場でのパワーハラスメント(以下パワハラ)対策の議論が始まったとの報道がありました。パワハラの被害は年々増加傾向にあります。仕事のストレスなどで「心の病」を患い2017年度に労災認定された506人のうち、職場のパワハラなどの「嫌がらせいじめ、暴行」が原因の人は88人で、原因別で最多とのことです。

記憶に新しいところでは、社長自らが社員の頭を丸刈りにする様子をユーチューブにアップするという、驚くべきパワハラの報道もありました。また、少し前には上司が部下に唾を吐いたり、エアガンで打ったり、「殺してやりたい」と暴言を吐いたりということも新聞に掲載されていました。

こうした、あからさまなパワハラが起きていることに驚きを隠せませんが、一方で最近新たな問題になっているのが、グレーゾーンにあたるパワハラです。

管理者研修を担当させていただくと、部下指導に関する様々な相談をいただきます。

その中で印象深いのは、部下指導の一貫で発した自身の発言に対して、部下から「それはパワハラではないですか」と真意とかけ離れたとられ方をされて、対応に困ったという事例です。

パワハラに関しては、2012年に厚生労働省が定義を公表しているのですが、その中に「業務の適正な範囲を超えて・・・」というくだりがあります。この「適正な範囲」の捉え方が人により異なることが、パワハラの認識をより難しくしているようです。

同じ会社や組織に属していても、人にはそれぞれの捉え方や価値観があります。従って、同じ状況下での発言や行為であっても、時によってパワハラと捉えられることもあれば、そうでないこともあります。ハウツーのように「Yes」と「No」の区別が簡単にはできないのです。

私に相談してきた前述の管理者は、以前から部下指導のつもりで発していた言葉(指示)に対して、新たに異動してきて部下になった人から、「そういう言い方はパワハラですね」と言われてしまい、面食らった」とおっしゃっていました。

また、「同様の指示をしても、一方の部下は指導だと受け取るし、一方の部下はパワハラだと言う。私自身パワハラは絶対に許されないものだと思っているだけに、部下からパワハラと言われてしまって、とてもびっくりしたし、正直ショックだった」ともおっしゃっていました。

このように、同じ指示をしても指示された方の受け取りかたによって、パワハラになったりならなかったりするところが、この「業務の適正な範囲」の難しさであり、いわゆるグレーゾーンの部分なのです。

実際に「業務の適正な範囲」は組織の文化や風土によって異なるところもありますし、業務の指示が行われた状況によっても異なります。

何よりも発信者と受信者個々の価値観が異なっているわけですから、感じ方は実に様々だということになるわけです。

それでは、こうしたグレーゾーンの事柄が起きてしまった場合、どうすれば良いのでしょうか。

結論から言うと、やりとりの状況、前後関係やどういう意味合いで言ったのか、両者の関係性、受信者がパワハラだと考えた理由などを一つ一つ確認しながら、その都度対応していくしかないのです。つまるところ、ケースバイケースの対応が必要と言うことになります。

あまりにも当たり前の回答にがっかりされた人もいらっしゃると思いますが、要はそれにつきるということなのです。

さらには、こうしたことが起きることのないよう、日ごろからコミュニケーションを密にしておくことも重要です。

もう一つ、明らかなパワハラは言語道断ですが、一方で「パワハラ」と言われることを恐れて部下指導をしないことは、管理者として別の問題があります。これについては、別途書きたいと思います。

どこまでが指導でどこからがパワハラか、グレーゾーンへの対応の難しさは当面続くのかもしれません。

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他責や自責の前にあるもの

2018年10月14日 | コンサルティング

「他責はダメ!」研修で何度も口にする言葉です。他責とは文字どおり、他人に責任を押し付けることです。職場でなにか問題が起きたとき、自分のミスが原因だったとしても、他者のせいにすることです。

「お客さんに怒られた」→「自分をきちんと指導しなかった上司が悪い」、「見積書の金額を間違えた」→「わかりにくい見積書のフォームを作った人が悪い」。どんな組織でも、こういう考え方をする人は確かにいます。他責思考の人は責任感がなく、成長しようとしません。

その反対の自責とは、問題の原因が自分にあるのでは?と考えることです。たとえ相手側のミスだったとしても「もしかしたら自分の伝え方が悪かったのでは?」と考え、まず自らの行動を点検します。そこで、研修では「他責はダメ、自責で考えること」と口を酸っぱくして言うのです。

ただし、気をつけなければならないことが1つあります。それは、問題が生じたとき「自分か他人か」を真っ先に考えてはいけないということです。大事なのは、はじめに「責任」というものを正しく捉えることです。

責任とは「(誰かが)引き受けて行わなければならない任務、義務」です。まずは「やらければならない任務」を明確にすることです。関係者全員でその任務に向き合い、解決することが最優先です。さらに、今後同じような問題が生じないようにするための対策を考え、誰が何をするかを決めます。

そうしておけば、各人がやるべきことが明確になり、その後問題も起きにくくなります。もし同じ問題が起こったら、今度は誰が「責任」を負うべきかがはっきりとわかります。

さて、経営者、管理職の皆さん、ミスをした部下を責めるよりも、部下を指導しなかった自分を責めるよりも、まず「責任」に真正面から向き合いましょう。

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メンテナンス機能を発揮するリーダー

2018年10月10日 | コンサルティング

「Aさんが退職してしまってから、すっかり職場に元気がなくなってしまいました。改めて彼女の存在感を感じている今日この頃です」

これはある企業に勤めていたAさんの退職後の様子を、同じ職場にいた後輩のBさんが語ってくれた言葉です。Aさんは10年以上のキャリアを持つ女性でしたが、家庭の事情で半年前に退職をしていたのでした。

Bさんは続けてAさんについて、次のように話してくれました。

「Aさんはまだ管理監督職ではなかったものの、Aさんがいるだけで職場がまとまっていたような気がします。口数は決して多い方ではなかったけれど、結論がなかなか出ない会議の場面などで、全体の雰囲気が少しぎくしゃくしてしまったような際に、Aさんが状況を見ながら発する言葉によって一気に場が和み、結論が出たのです。

Aさんは皆の目線よりも、いつも少しだけ俯瞰しているような見方をしていたと思います。静かな存在感のようなものがあった人でした」

この話を伺って思ったのは、リーダーシップのスタイルの理論です。リーダーシップのスタイルは「目標を達成する機能」(Performance function P機能)と、「集団を維持する機能」(Maintenance function: M機能)の2つに分類されます。そして、それぞれに必要とされる能力は異なります。

P機能は目標設定や計画立案、指示命令や、ときには叱咤などにより、組織の成績や生産性を高める能力を指します。

一方のM機能は、集団の人間関係を良好に保ち、チームワークを強化・維持する能力を指します。

これで言うと、上記のAさんはまさにM機能を発揮していたことになります。リーダーシップと聞くと、多くの人はP機能の方をイメージされるのではないでしょうか。そのため、「私には指導力や統率力がないからリーダーには向かない」というような言い方をしたりする方が多いのだと思います。

しかし、組織として考えた場合にはリーダーにはP機能だけでなく、M機能も当然のごとく必要なのです。このことは冒頭のBさんの言葉からも伺えると思います。

もちろん、リーダーとなる人には様々なタイプがありますし、それぞれ得意とする分野も違うでしょう。自分は計画立案が得意だと言う人もいるでしょうし、逆にチームワークの維持・強化の方に長けていると言う人もいるでしょう。

しかし、たとえば「職場での仕事の生産性の向上」を考えてみると、そのための計画立案に加え、チームワークをさらに向上させていくことも欠かせないはずです。

つまり、リーダーにはP機能、M機能どちらかだけではなく、両方をあわせて持つことが望まれるわけです。

みなさんが今後リーダー像を考える際には、ぜひ両方の機能について意識していただけると幸いです。

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管理職が会社を辞めるとき

2018年10月07日 | コンサルティング

管理職が辞めてしまうことは、会社にとって非常に大きな損失です。また、経営者にとっては「裏切られた」という思いを強くすることでしょう。ある会社の社長と打ち合わせをしていたときのことです。「実は、御社との窓口を担当する予定だったA部長が先月末に会社を辞めまして・・・」そう言うと少し顔を曇らせ、次のように話すのでした。

「昨年、A君を部長に昇格させて営業部を任せたのですが、どうも、その・・・上手く行っていなかったようで・・・2ヶ月ほど前からそれとなく辞めたいという言葉を口にするようになっていました。」

「辞めたいなんて冗談だろうと思っていましたよ。だって、私はA君のことを誰よりも高く評価してきたんですから。人事評価も最高点を付け、部下の人数を増やし、ボーナスもかなりはずんできました。」

「部長に昇格すれば、当然もっとやる気になってくれると思っていたのに・・・はっきり言って裏切られた気持ちです。」

私は社長に同情しつつも、A部長に対して具体的にどのような支援を行ってきたのかを聞いてみました。

「え?だから、給料を目一杯上げて・・・」と言い始めた社長に、私は「そうではなく、部長という職務を遂行するために必要な知識やスキルを身に付けさせるような何かをしましたか?」と聞いてみました。

すると社長は少し笑いながらこう言ったのです。「そりゃあ、おたくは研修会社だから部長研修をやったのかとでも言いたいのでしょう。でも、まがりなりにも部長ですよ。いまさら学校の勉強みたいな真似は必要ないです。A君の働きぶりを見ていればわかります。」

私は「残念ながらそのお考えがAさんを追い詰めたのです」と言いました。社長は「理解できない・・・」と言うと黙り込んでしまいました。

管理職に昇格すると、今までとは全く違った多くの、それも責任ある仕事が増えます。部下をやる気にさせ、職場全体の数字を達成しなければならないし、他部署との調整や揉め事の処理など面倒な仕事もこなさなければなりません。

こうした様々な重圧に加え、社長をはじめ役員からのプレッシャーがのしかかってきます。今日から部長だから頑張れ!などと言われても、真面目な人ほど途方にくれてしまうことでしょう。

当社は管理職研修を多くの会社で行っています。そのとき、中途入社の方も受講者となることがありますが、先ほどのA氏のように前の会社でも管理職だった方がほとんどです。そうした方々がよく口にするのは「マネジメントの考え方や手法をはじめて勉強しました。いかに自己流でやっていたことが間違っていたのか、よくわかりました!」という言葉です。

さて経営者の皆さん、まさかとは思いますが、給料をアップして、大きな机と肘掛け(ひじかけ)椅子に座らせ、「〇〇長」と書かれた名刺を渡せば、どんな人間でもその日から管理職の仕事を「自動的に」始めると思っていませんか?

もしそう思っているとしたら、あなたの会社の管理職が辞める日はそう遠くはないでしょう。

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本当に管理職になりたくないのですか?

2018年10月03日 | コンサルティング

先日、厚生労働省が発表した「労働経済の分析」(労働経済白書)によると、管理職になっていない会社員の6割は管理職になりたくないと考えているとのことです。

調査は役職に就いていない社員らに絞って行われ、昇進への考えを調べたところ「管理職以上に昇進したいと思わない」が61.1%で、「管理職に以上に昇進したい」は38.9%という結果になったそうです。

昇進を望まない理由(複数回答)では、「責任が重くなる」が71.3%、「業務量が増え、長時間労働になる」が65.8%、「現在の職務内容で働き続けたい」と「部下を管理・指導できる自信がない」が57.7%と続いています。

これは調査に基づいた数値ではありますが、ふと実際のところはどうなのだろうと思いました。

確かに責任が重くなることや業務量が増えることが嫌な人は多いでしょう。また、マネジメントよりも専門性を追究する、管理職にならずに一兵卒として働くことを希望する人もいるとは思います。

しかし、一方では必ずしもそういう人ばかりでなく、結果としてその状態(管理職ではない)を受け入れている人もいるのではないでしょうか?

と言うのも、弊社が新任管理者研修を担当させていただくと、新たに担う役職に希望を持って研修に参加している人が結構多いと感じられるからなのです。

また、ある企業で担当させていただいている昇格者と昇格前の人が一緒に参加するリーダーシップ研修では、昇格者は新たな役職に対して明らかに優位性を感じているような発言をする人を目の当たりにすることも少なくありません。

逆に、「管理職試験に何度もチャレンジしていますが、落ち続けています。だから周囲には管理職には興味がないような素振りをしているのですが、内心とても焦っています。後輩にも先を越されていますから」という相談を以前に受けたこともあります。

つまり、これらの事例から考えると、管理職になった人はやりがいを感じているのと同時に、「管理職になりたくない」には、実はそれが本音ではない人もある程度含まれているのではないかということです。

確かに、同期が一律に同じ職位にいて管理職なるまでまだ間があるような若手であれば、「将来、管理職になりたくない」という発言もあるのだと思います。

しかし、これが30代後半以降となれば「管理職になりたくない」という発言は必ずしも本音とは言い切れないのかもしれないと感じるのです。

たとえば、同期だけでなく後輩や部下にも先を越されてしまった人であれば、「管理職には興味がないし、なりたくない」と言って、自分に折り合いをつけていることも考えられます。

これはイソップ物語の「狐と葡萄」に通じる話にも思えます。森の中を歩いていた狐がおいしそうに実った葡萄を見つけましたが、葡萄は高いところに生っていて手が届かず、結局ブドウを食べることができなかったのです。

そこで、狐は「どうせこんな葡萄は酸っぱくてまずいだろう。誰が食べたいものか!」と負け惜しみの言葉を言ったという話です。本当は手に入れたいのにもかかわらず、努力しても手に入れられない対象に対して、その対象を「価値の無いもの」、「自分にふさわしくないもの」と考えて、自分自身を納得させて、心の平安を得ようとするものです。

この話から考えられるのは、人間の感情は決して一面では測れないということです。調査結果の「管理職になりたくない」は、こうした人間の複雑な感情を反映している言葉なのかもしれません。

さて、もしあなたがまだ管理職でない方でしたら、「あなたは管理職になりたいと思いますか?それとも管理職になりたくないですか?」

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