中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,233話 1on1 ミーティングを意味のあるものにするためには

2024年09月25日 | コミュニケーション

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「部下とのコミュニケーションは1on1 ミーティングがありますから大丈夫です」

近年、「1on1 ミーティング」という言葉を聞くことが増えたと感じています。弊社では管理職昇格試験の面接における外部面接官を担わせていただくことがありますが、その際の口頭試問においても「1on1でコミュニケーションは積極的にとっていますから」と答える人が多数います。また、管理職研修を担当させていただく際にも、部下とのコミュニケーションを取る手段として同様に1on1ミーティングを挙げる管理職が増えてきたと感じています。このように、最近1on1ミーティングを行えばコミュニケーションは万全だと考えている人が多くなったように思います。

この「1on1 ミーティング」(one on one meeting)とは、文字通り一対一で行う面談であり、上司が部下の育成を目的に部下の仕事に対しての考えや問題点の有無を確認したり、今後の展望や希望などを確認したりすることを目的として行うものです。このミーティングは1~3か月に1度位の頻度で開催しているところが多いようです。

1on1 ミーティングを導入したことによって、部下とのコミュニケーションの時間をなかなか作れなかった管理職が定期的に部下との接点を持つことができるようになり、部下の現状や考えを知ることができる機会になるなど、メリットを感じている人の声をたくさん聴きます。

一方、部下の方からは1on1により上司との接点は増えたものの、上司からの一方的な話を聞くだけだったり、自身が話をする時間はあまりないと感じていたりするなど、1on1 ミーティングのメリットを感じないという声を聞くことも少なくありません。

実際、先日お会いしたある企業の中堅社員からは、「仕事における問題を解決するために他部署との交渉の援助を依頼したものの、一向に上司が動いてくれることはなかった。話をしても何も変わらず、何のためのミーティングだったのか。このような結果をもたらさないミーティングであれば、実施する意味を見出せない」という声を聞きました。

この話を聞いて思ったのは、1on1ミーティングはあくまでも「手段」であって「目的」ではないのですが、管理職によっては1on1ミーティングを行うことが目的となってしまっている人が少なからずいるのかもしれないということです。

それでは、1on1 ミーティングを意味のあるものにするためには、どうすればよいのでしょうか。

そもそも、1on1という言葉が出てくる以前から上司と部下との1対1の面談は行われていたわけで、1on1自体が取り立てて新しいことではないのですが、対面して行う面談を本当に有効なものにするためには、その際の上司の「話の進め方」が鍵になるのではないかと考えています。

対面で面談を行う目的は、部下の仕事の現状や問題点、今後の展望などを確認し、必要なアドバイスをすることです。そのためには、部下からきちんと話を聞きだすことがまず必要になることから、上司は事前に質問・確認する内容を整理しておくとともに、話を傾聴するなどのコミュニケーションの基本を改めて確認しておくことが大切です。事前に十分に準備して面談に臨めば、部下からたくさんの情報を収集することができ、的確なアドバイスを行うことができます。それによって部下の気持ちのリフレッシュも期待できるのではないでしょうか。

漫然と1on1 ミーティングを行ったり、話が一方通行で終わったりするなどの事態にならないようにするために、上司の皆さんには事前に十分な準備と段取りをしてからミーティングに臨んでいただきたいと考えています。

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第1,232話 メモは何のために取るのか

2024年09月18日 | 仕事

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「メモを取るのか、それとも取らなくてよいのか」

これは今でも必ずと言ってもいいほど、議論になるテーマの一つです。仕事に関しては、弊社が行う新入社員研修では「上司からの指示は必ずメモを取ること」と伝えており、メモを取る練習をしてもらうこともあります。

私が担当する様々な研修でも小まめにメモを取る人がいる一方で、そうしない人がいるのも事実です。では、そのような人は仕事中でもメモをすることはあまりないのでしょうか。

これに関して、私はジャーナリストの池上彰さんがニュース等を解説しているテレビ番組をよく見るのですが、タレントのカズレーザーさんが出演していることが多くあります。その中でのカズレーザーさんは、池上彰さんをはじめ他の出演者の発言をノートにメモしていることが多いと感じます。カズレーザーさんが番組終了後にメモしたものを見返しているのかどうかなどはわかりませんが、番組中のカズレーザーさんは多方面にわたって博識で、また説明も非常に端的であり、とても論理的な人であることが伺えます。(上から目線の表現で失礼かもしれませんが)

カズレーザーさんを見ていると、メモを取ることはとても有用であるように感じますが、では実際にメモを取ることは有用なものなのでしょうか?これについては様々な考え方があるようで、たとえばメモを取らなければ忘れてしまうようであれば、それはその人にとって無用な情報だと考えられるから、忘れてしまっても問題ないという説もあります。しかし、記憶力がよほど良い人でない限りは、せっかく獲得した知識であったとしても時間の経過とともにだんだん忘れていってしまうのではないでしょうか。

人間はどれくらいの時間記憶することができるのか。記憶と時間に関して引用される一つに、エビングハウスの忘却曲線があります。エビングハウスの忘却曲線とは、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが提唱した中長期の時間の経過と記憶の関係を表した曲線のことです。時間と記憶の相関関係における実験を行った結果、1時間後には44%しか覚えていない、1週間後には21%しか覚えていないというデータがあります。このように、人の記憶は「時間が経つほど忘れてしまう」ものです。

ただし、一点注意しなければならないのは、この調査は「意味を持たない音節の記憶」に対する実験結果だということです。したがって、関心のないことを学習するときの記憶の定着率はこの忘却曲線と同様の結果になるのだと思いますが、学習する側が関心のある分野においては記憶の定着率はより高いと考えられるわけです。

私たちの仕事や生活においては、関心が高いものだけに触れるということはあり得ません。そのように考えると、仕事にしろ研修にしろ関心の有無にかかわらず、ここは有用だというところはしっかりメモを取ることが大切だということです。

もちろんメモをとること自体が目的でなのはありません。メモしたことを定期的に振り返ることによって知識を定着させ、それを仕事で活かしていくことが大事であることは言うまでもないことです。

あなたはメモをしていますか?

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第1,231話 言動の責任は自ら負わなければならない

2024年09月11日 | 仕事

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「口や手を出して何の責任も負わないような人には、どうかならないでほしい」

これはNHKの連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」の先日(9月5日)の放送の中で、主人公(虎子)の娘(優未)が義理の姉(のどか)を蹴り飛ばした後に、家を飛び出し駆け込んだ先の法律事務所で虎子の仕事仲間らに不満(蹴り飛ばした理由)を打ち明けた際に、諭された言葉です。

蹴り飛ばしたことを謝りたくないという優未に対して、虎子の仕事仲間らは「口や手を出したりするということは、変わってしまうってことだけは覚えておいて欲しい。その人との関係や状況や自分自身も・・・その変わったことの責任は自分が背負わなければければいけない」とも伝えたのです。

さて、このところ連日兵庫県知事のパワーハラスメントの疑いにかかる告発文書が出された問題が報道されています。知事は「重く受け止め、反省すべきところは反省する」と述べる一方、辞職の要求には応じない考えを示していることも報道されています。知事が辞職しない理由には様々あるようですが、これまでの流れを見ている中で最も私が気になっているのは、ここまで大きく信頼を失ってしまった組織のトップが、今後リーダーシップを発揮できるのかということです。

リーダーシップを発揮するためには人心の和が不可欠ですが、そもそも人心をつかむためには信頼される必要があります。この信頼とは、人の「言葉、行動、姿勢」を他者が見た結果、人間性や習慣といった目に見えないものに対して期待したり、その期待に応えてくれるだろうと当てにしたりする気持ちのあらわれではないかと私は考えています。そして、信頼は日常的な振る舞いを周囲がプラス評価をすることで、徐々に積み上がっていくものだとも思います。

しかし、こうして時間をかけて積み上げた信頼も、ちょっとしたことで簡単に崩れてしまうものであるということも、また確かだと思います。信頼を築くのには時間がかかりますが、崩れるのはあっという間だということです。

これに関連して、新入社員、若手社員を育てていく中で「上司が後姿を見せても、なかなか部下は育たない」というように感じている上司もいるかと思います。私が若手社員の研修などを担当させていただく中で感じるのは、上司としてお手本としてほしいと思うところはなかなか伝わらなくても、逆にあまり手本にしてほしくないようなところについても、案外しっかりと観察しているように感じます。

このように考えると、信頼を失った(手本にしてほしくない行為などをした)人が周囲にプラスの影響を与えるということは簡単にはできないということになります。

今回の兵庫県知事の例を見るまでもなく、法的に問題がある行為はもちろんのこと、余りに一般とかけ離れたような言動や行為というものは、周囲との関係を(大抵の場合は悪い方へ)変えてしまうということです。そして同時に様々な事柄も停滞させてしまうこと、そしてその責任は自ら負わなければならないということを、自戒の念を込めて認識を深めなければいけないと考えています。

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第1,230話 最小限のリスクで乗り越えられるように先手を打つ

2024年09月04日 | 仕事

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先週から長時間にわたり各地に大きな被害をもたらした台風10号の到来を踏まえ、JR東海は新幹線の3日間の計画運休をしました。

JR東海によると、計画運休は台風などの影響で雨や風が広範囲で長時間にわたって規制値を超えることが予想される場合に安全のため実施するとのことで、2018年9月に初めて行われて以降、度々実施されてきています。今回は9回目であり、3日間連続での実施は初めてということですが、一方で多くの利用者に大きな影響を与えたことも、連日報道されていました。

さて、その台風のさなかの8月29日と30日に、私はある企業の研修を担当させていただいていましたが、その受講者は全国各地から集まるものでした。台風の接近が予想されていた研修1週間前位の時点では飛行機での移動ができない受講者が出ることも想定されたため、オンラインで実施することも検討されました。しかし、台風の進路が予想よりも西へ変わり、また接近も遅くなったことなどにより、無事に当初の計画通りに対面での研修実施が叶ったのです。

対面での研修が実施できたことで、参加した受講者の間では懇親会も含めて活発なコミュニケーションがとられ、受講者同士の結束が高まるなど対面の研修ならではの効果がたくさん得られたのではないかと感じています。一方で、東海地区から参加した受講者は新幹線の計画運休により帰途は足止めとなってしまい、帰宅が3日間遅れるなど前述のように大きな影響を受けてしまったのです。

日ごろ、私は突発的な事柄には先手を打つことが重要だと考えていますので、自身でも出来得る限り先手を打って行動するようにしてきました。先手を打つことで、突発的な事柄もある程度回避ができると考えているためですが、今回のような台風や先日の南海トラフ想定震源域で発生した地震などの自然災害に対しては、先手を打っていたとしても自ずと限界があるのも確かです。

今回のJR東海の計画運休は、運航を続けることで大きな被害が発生することなどが予想されたからこその先手策であり、安全を第一に考えなければならない鉄道会社としてはやむを得ない判断だったと言えるのではないかと思います。しかし同時に、そのことによる様々な影響が大きなものとなったこともまた事実であり、今後も同様な事態の発生が予想される中では、とても難しい問題です。

今夏の平均気温は昨年と同様に、平年と比べ1.8度も高くなっているとのことです。今回の台風にも地球温暖化(気候変動)の影響があるという報道も目にしましたが、温暖化をなかなか止められない状況の中では残念ながらこれまでにはなかった、予測がつかないことが起こることを想定して備えをしておかなければならないわけです。

今後も突発的な事柄が頻繁に起こりうることを覚悟し、仕事でもプライベートでも最小限のリスクで乗り越えられるように先手を打って行動することを改めて肝に銘じました。

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