中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第910話 ステイホーム週間は本を読もう(6)

2020年04月30日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。6冊目はビジネススキルです。

「ビジネススクールで教える経営分析 (日経文庫) 」太田康広   

 研修講師という仕事柄、たくさんのビジネス書を読みます。特に、財務会計や統計学に関する本は相当読んでいます。ただし、研修の受講者は財務や統計の初学者であり、まったくと言っていいほど知識を持っていない人がほとんどです(ごく少数ですが「簿記1級を持っている」という人もいます)。必然的に「いかにわかりやすく教えるか」が最も重要な点になります。

 そのため、財務会計に関する書籍も、「入門」や「基礎」といったタイトルのものばかり読んでいます。そのせいか「同じような入門書を何十冊も読んで、何の意味があるの?」という質問をたまに受けます。私は「専門分野を深めるためではなく、知識も興味もない人に、どうやって面白く学んでもらえるのか、仕事に役立ててもらえるのかを考えるために読んでいる」と答えます。

 たしかに、財務会計や経営分析の知識付与という観点から入門書を見れば、(1)財務諸表の読み方、(2)経営分析のやり方が書いてあるだけです。つまり、どの本も同じ内容であるといって間違いはないでしょう。

 それでも毎年たくさんの入門書が出版されるのは、わかりやすく伝えることが難しいからです。わかりやすさを追求し過ぎるとくどくなってしまい、途中で読むのが辛くなります。また、たとえ話や物語仕立ても良いのですが、肝心の知識が頭に入りにくくなります。

 いちばん正しいやり方は、教えるのが上手な先生が教室で講義をするように解説をすることです。この本は、それに成功している数少ない1冊です。私も学ぶところが大いにありました。特によくできているなと思ったところは、終始ビジネス(つまり商売)の視点を貫いているところです。

 そして、これも非常に大切なポイントなのですが、EDINET(エディネット)についてきちんと言及していることは称賛に値します。EDINETとは「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことで、主に上場企業の財務諸表を手軽に入手できるサイトです。財務会計の入門書でEDINETに言及している本は他にもありますが、URLだけでなく「XBRLからExcelへコピペが効く」などと書いてある本は他に見かけません(もしあったら是非お知らせください)。

 本書を読むときにはEDINETで入手した財務諸表(貸借対照表と損益計算書、キャッシュフロー計算書。ただし日本基準で作られたもの)をプリントして手元に置いておくとよいでしょう。

 さて、本書の具体的な内容についてはここでは触れません。とにかく読んでみてください。経理部以外で働くすべての方々、特にマネージャークラスの方々にとっては必読書であると断言できます。

ビジネススクールで教える経営分析 (日経文庫)

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第909話 ステイホーム週間は本を読もう(5)

2020年04月29日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。

5冊目は、「SLEEP」 ショーン・スティーブン著/花塚恵訳です。

新型コロナウイルスへの対策には、まず免疫力を高めることが大切であると言われています。免疫力が高まれば、仮に感染しても免疫がウイルスを攻撃してくれ、無症状や軽症ですむとのことです。

免疫力を高めるためには栄養をバランスよく摂り、適度の運動をして、さらに睡眠をたっぷりとることが必要だと言われていますが、あなたはしっかり睡眠をとれていますか。

日頃、睡眠の重要性を認識しつつも仕事や家事に追われ、思うように睡眠時間が確保できていないという人も多いことでしょう。しかし、ステイホーム週間の今だからこそ、改めて「睡眠」を見つめ直すとともに、今後元の生活に戻った際にも質の良い睡眠が確保できるようにしたいものです。

そこで、今お勧めしたいのが「SLEEP」です。

この「SLEEP」では言うまでもなく、人間の根源的な生理的欲求である睡眠がいかに大切であるかを説いていますが、今日から簡単に取り入れられる様々な工夫がたくさん紹介されています。

この種の本はかねてよりたくさんありますが、この本の特色は紹介されている様々な事柄について、学術論文を引用しながら根拠を示しているところであり、そのため説得力があるように感じます。さらに、文章も平易で各々の事柄に事例が示されているため、大変読みやすく一気に読むことができます。

私が特に印象に残ったのは、「人間は習慣と住環境から成り立つ生き物だ。人間の脳はいつでもパターンを探している。ある環境におかれたときの行動をパターンとして認識すれば、その環境に身をおくだけで自動的にその行動をとれるようになる。同じ行動をしばらく続けると、『この時間にここへ行って、これをする』と意識しなくてもよくなる。何も考えずにその場所へ行き、自動的にその行動をとるようになる」との箇所です。

この観点で言うと、ついこの間まで当たり前のように過ごしていた私たちの日々の行動、習慣が不要不急の外出自粛やテレワークなどにより、大きく変わらざるを得なくなっています。

今、自分に合った新しい生活のリズムやパターンを見つけ出そうと、皆が試行錯誤の毎日を過ごしています。長年体に染みついたリズムやパターンを変えるのは正直大変ですし、環境の変化にストレスを感じ、不調になる方もいることでしょう。

それでも、もう少しすれば今の環境に合った生活リズムが新しい習慣として受け入れられるようになっていくはずです。それまで、何とか頑張りましょう。

大切な睡眠について話を戻すと、たとえばテレワークを強いられている今、職場ではないからと、ついつい仕事の開始が遅くなったりと一日のリズムが乱れたりしがちになります。その結果、睡眠時間に影響が出ている方が多いのではないかと心配されます。

まずは、テレワークの行動パターンをしっかり作り生活習慣として定着させること、それが快眠にもつながり、免疫力アップのためにも大切だと再認識したところです。

SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術

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第908話 ステイホーム週間は本を読もう(4)

2020年04月28日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。4冊目はこの本です。

「世界でいちばん素敵な建築の教室」[監修]田所辰之助/川嶋勝

 三才ブックスの「世界でいちばん素敵な教室」シリーズの中の1冊です。このシリーズの最も良いところは「お買い得!」という点です。この本は世界中にある美しい建築を160ページにわたるカラー写真で紹介しています。もちろん「教室」ですから、どのページを開いても素晴らしい建築をじっくり見て、解説を読んで学ぶことができます。

 なによりも、よくある「世界の名建築案内」と違って、この本が優れているところは、わかりやすく、しかもしっかりとした建築技術の解説です。

 たとえば40ページには、神護寺金堂(京都)の屋根を支える朱色の柱と梁(はり)の写真があります。その右のページには「『柱』と『梁』が建築構造の基本です。」という解説があります。そこにはQ&Aの形式で、柱と梁の構造の解説と模式図が載っています。ほかにも「免震構図」、「耐震構造」、「制震構図」の違いを図で説明してあったり、「トラス」、「ラーメン」などの構造についても知ることができたりもします。 
 また、「世界3大建築家」ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエの作品も見ることができます。いかに現代の建築がこの3大巨匠の影響を強く受けているかがわかります。

 この1冊を読めば、世界の名建築と建築技術の初歩について知ることができます。何日もかけてじっくり読んでも良いし、何度読み返しても良い、大人だけではなく子供にも読ませたい、そんな本です。

 これで1,650円(税込)は「お買い得!」と言わざるを得ません。

世界でいちばん素敵な建築の教室

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第907話 ステイホーム週間は本を読もう(3)

2020年04月27日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。3冊目はちょっと渋い本です。

「印刷に恋して」 松田哲夫 (著)、内澤旬子 (イラスト) 

実は、この本をお勧めすることには、ためらいがありました。少々マニアックすぎるからです。Amazonの「商品の説明」には次のように記されています。

「活版、手動写植、オフセット、グラビアなど多彩で多様な印刷の現場をルポルタージュ。そして内沢旬子のイラストが、ルポを的確に補完する。」

たしかに、印刷自体に興味が無ければ、誰も読もうとは思わないかもしれません。

それでも、ぜひ読んでほしいと思う理由があります。個人的な、多少センチメンタルな理由ですが。

誰でも子供の頃、「好きだった本」があったと思います。絵本でも物語でも図鑑でも漫画でもなんでも良いのですが、その本のことを記憶の底から引っ張り出してみてください。すると、その内容(お話や絵など)はもちろんですが、手にした時の形や大きさ、手触り、重さをなんとなく思い出さないでしょうか。小さかった頃に本が好きだった人なら、なんとなくわかってもらえると思います。

私は仕事で印刷工場を訪れたことが何度かあり、稼働する印刷機を間近に見る機会に恵まれました。子供の頃の記憶と相まって、印刷のプロセスや印刷機の面白さに惹かれてしまいました(もちろん「恋」とまでは言いません)。

「印刷に恋して」は、筑摩書房の編集者であった著者(同社の専務を経て現在は顧問)が、印刷会社の仕事を事細かに解説するルポルタージュです。印刷機の構造やデジタル印刷の技術の解説まで、詳細でありながら本当にわかりやすく書いてあります。

そして、この本のもうひとつの魅力はイラストレーションです。いや、著者には大変申し訳ないのですが、この本はイラストレーションが主役であると言って間違いありません。60枚のイラストレーションは細密でありながら生き生きとしており、本当に素晴らしいです。写真以上に「真実」が伝わってきます。

現在は電子書籍もかなり普及しており、印刷物は徐々に減ってきています。それでも、私たちの記憶の中の「本」がある限り、紙の本が無くなってしまうことはないでしょう

 

印刷に印刷に恋して晶文社

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第906話 ステイホーム週間は本を読もう(2)

2020年04月26日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間に合わせて「お薦めの本」を紹介しています。2冊目です。

「百人一首」

 百人一首は、飛鳥時代から鎌倉時代初期までの歌人百人の和歌を一人一首ずつ集めて作られた歌集です。かるたでおなじみですね。高校の古文でも少し習いました。ただし、古文の授業については約9割の人が「苦手だった」、「寝ていた」、「記憶にない」、「理系クラスだったので最初から無かった」と言っています(狭い範囲での聞き取り調査による)。

 この本「百人一首 (講談社学術文庫) (日本語) 文庫」は逐語訳、現代語訳も優れているだけでなく、作者の紹介や鑑賞の仕方などもわかりやすく解説してあります。この本以外にもたくさんの解説書や、「ちはやふる」のような競技かるたを扱った漫画もありますから、百首の歌を知ることは非常に簡単です。

では、百首から3首を選び、好き勝手に鑑賞してみます。

 

天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ乙女の姿しばしとどめむ

(あまつかぜ くものかよひぢ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめむ)

 12番歌、僧正遍昭(そうじょうへんじょう)の歌です。弘仁7年(816年)生まれとありますから、かなり昔の歌ですね。僧正遍昭は六歌仙の一人です。六歌仙とは古今和歌集に記された代表的な6人の歌人です。今でいえば「神セブン」のような方です。さて、現代語訳です。

「空吹く風よ、雲の中にあるという(天に通じる)道を吹いて閉じてくれないか。(天に帰っていく)乙女たちの姿を、しばらくここに引き留めておきたいから。」

 これは天皇が主催する宴席で踊る舞姫たちを天女に見立てた歌です。要は、宴会で盛り上がった頃に、踊り子さんたちが出てきて舞っているのを見たお坊さんが「ああ、もうちょっとあの娘たちの姿をながめていたいなあ~」と妄想している様子を表しています。

 おもしろいのは、上の句の壮大さです。「天つ風雲の通ひ路吹きとぢよ」、ビジュアル的には、天空を流れる雲が強い風に乗って一方向に飛び去って行くダイナミックな様です。ところがその直後の「乙女の姿しばしとどめむ」です。え?なに?自然の壮大さを讃えた歌じゃないの?しかも「乙女の姿」って、あなた僧侶ですよね? ということで、このギャップに面白さを感じます。

 

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に

(はなのいろはうつりにけりないたづらに わがみよにふるながめせしまに)

 9番歌、小野小町(おののこまち)の歌です。平安時代の女流歌人です。世界三大美女の一人としても有名です。非常に有名な歌ですからご存じの方も多いと思います。次に現代語訳です。

「花の色は、すっかりあせてしまいました。むなしく長雨が降り、物思いにふけっている間に。」

 これはもう、小野小町だから成り立つ歌です。自分の容姿が時とともに変わっていくことを、花に仮託して情緒的に(あるいは隠喩的に)詠んだ歌です。絶世の美女であったことを自他ともに「わかって」いなければ、自分の容姿を「花」などと表現しづらいでしょう。仮にしたとしても「ふーん、あなた、むかし自分が美人だったってことを言いたいんだね」で終わりです。しかし世の中の評価は「小野小町の歌か。じゃあ納得」です。無常観を歌いながらしっかり「女優」しています。

 

長らへばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき

(ながらへばまたこのごろやしのばれむ うしとみしよぞいまはこひしき)

 84番歌、藤原清輔朝臣(ふじわらのきよすけあそん)の歌です。才能に恵まれながらも父親と仲が悪く、挫折の多い人生を経験しました。

 この歌は残念な境遇にいる自分を慰めるために詠んだのではないかと思います。私たちがいま置かれてる状況に当てはまる感じもしますが、いかがでしょうか。現代語訳です。

「この先もっと長く生きていれば、辛いと思っている今この時もまた懐かしく思い出されてくるのだろうか。辛く苦しいと思っていた昔の日々も、今となっては恋しく思い出されるのだから。」

 

百人一首 (講談社学術文庫) (日本語) 文庫

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第905話 ステイホーム週間は本を読もう(1)

2020年04月25日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、今回はステイホーム週間に合わせて「読書のすすめ」を連休中毎日書いていこうと思います。

 先日の新聞に「30大学1万人強の学生を調査したところ、まったく本を読まない学生が53.1%だった(全国大学生協連合会、2017年調査)」という記事がありました。これは若者に限らずほとんどのビジネスパーソンに共通する傾向です。実際、研修中に「普段どのくらい本を読みますか?」と質問すると「全く読まない」という答えが大半を占めます。その一方、著名なビジネスパーソンには読書家が多いのも事実です。ビジネス上の成功と読書に因果関係があるかどうかはわかりませんが、何十年か経って「あのときもっと本を読んでおけばよかった」と思う人は少なくないはずです。

 ステイホーム週間は本を読む絶好のチャンスです。1冊の本は、テレビやネットの映画でマヒしてしまった脳を活性化させます。何を読むかは自由ですが、お薦めは?と聞かれたら「これはいかがですか」という本をご紹介します。では、早速1冊目から始めましょう。


「老人と海」アーネスト・M・ヘミングウェイ  

 おそらく、読んだことがある、という方が多いことでしょう。ヘミングウェイの作品の中ではもっとも有名な短編小説です。ストーリーは単純明快です。老いた漁師が1人で漁に出て、大物を苦労して捕まえ、港に戻る途中で失ってしまうというただそれだけの話です。
 ヘミングウェイといえば、簡潔な文体です。複雑でひねくれたような表現は一切ありません。そのため、英語の授業で原著を読んだという方もいるでしょう。非常にわかりやすい英文ですから、中学レベルの読解力があれば読み切れます。英語以外の言葉や固有名詞も少し出てくるので、翻訳を読んでから英語の原著に取り掛かるとよいでしょう。

「老人と海」はストーリーが知られている短編小説ですから、普段あまり活字を目にしない方でも短時間で読めます。最初と最後の部分は会話が中心ですが、本文はほとんどが獲物との戦いの描写で、老人のひとり言と回想がそこに絡んできます。

「大した魚だ。が、思い知らせてやらねばいかん。彼は思った。奴自身の力に気づかせてはいけないし、突っ走ればどうにかなると悟られてもいけない。」

 頭の中に映像が浮んできて、サスペンス小説のような緊張感があります。こうした緊迫した場面と、老人が過去の出来事を思い出し、しみじみとしたりちょっと残念がったりする場面が繰り返されます。読者の気持が次第に主人公の心情に同調していきます。実に上手い物語の進行です。

「だが人間は、負けるように造られてはいない」彼は言った。「打ち砕かれることはあっても、負けることはないんだ」

 後半、老人ははっきりとそう言います。このセリフをダンディズムやマチズモを象徴する主張であると考えるのは間違っているように思います。たしかに負け戦の話のようですが、「打ち砕かれても負けじゃない」という言葉がこの小説の主題なのです。

打ち砕かれて、疲れて、眠る。そのことを淡々と受け入れる。今こそ私たちがあらためて読むべき本だと思います。

 最後に、疲れ切った老人は眠り、いつもの夢をみます。疲れ切った私たちはどんな夢をみるのでしょう。

老人と海 (光文社古典新訳文庫) (日本語) 文庫

老人と海 青空文庫/card57347)

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第904話 アイディアは外部の刺激から得られる

2020年04月22日 | 研修

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「ブログネタがなかなか見つからない」

新型コロナウイルスの影響により、研修やセミナーの中止や延期が始まってから、早2か月になろうとしています。

影響が出始めた当初は、まだお客様とのお打ち合わせは対面で行うことができていましたが、緊急事態宣言発令後はそれすらもできなくなり、現在はWebでの打合せを行っています。

こうした状況下で最近感じるのは、「以前と比べると、様々なところでアイディアやヒントを得るのが難しくなった」ということです。

たとえば本ブログに関して言えば、何を書くか、テーマがなかなか決まらないことが多くなりました。それはなぜなのか?

あらためて考えると、私の場合、これまでブログに書くテーマは、圧倒的に日々の体験からヒントを得ていたのです。

たとえば、研修やセミナーでの受講者の言動、グループ討議でのメンバー同士のやりとり、休憩時間の受講者同士の言動、ご担当者との打ち合わせなどの体験です。

さらに、仕事の移動中に見聞きしたことからも刺激を受けていたようで、こうした時間から様々なアイディアをもらっていたのです。そしてこのブログのテーマも主に他者とのやりとり、つまり外部からの刺激によってヒントを得たり、五感をフル活用したりすることによって得ていたのだということを、あらためて感じています。

ところが、対面コミュニケーションが制限されてしまっている現在、Webでは対面と比べ刺激は圧倒的に少なく、五感も視覚と聴覚のみに制限されています。いたし方ないとはいえ、コミュニケーションに伴うヒントやアイディアがどうしても限定されてしまっているのです。

このように考えると、私たちは他者とのやり取りの中で実に多くの情報を得ていたということがわかります。

もちろん、対面のコミュニケーションがすべてにおいて勝るとも言えませんし、Webによるコミュニケーションにプラスの面がたくさんあることも事実です。

今は誰もが新型コロナウイルスの一日も早い終息を願っていますが、一方でその際には間違いなくビジネス環境は大きく変わるだろうと考えています。

そして、研修やセミナーもこれまでのように対面方式が必ずしも優位とは考えられなくなる可能性もあるだろうとも思います。

しかし、だからこそ私たちが外部から得られる刺激、特に直接やり取りすることから得られるものは貴重であるということを忘れてはいけないのだとあらためて思うこの頃です。

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第903話 中小企業は今こそマーケティングリサーチを!

2020年04月19日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「マーケティング」と聞いてどんなイメージを持つか、何人かの中小企業の経営者に聞いてみたことがあります。

「広告宣伝のことだろ?」、「市場調査だね」という答えのほかに「広告会社のクリエイティブな人たちが会議室で斬新なアイデアを出し合っている」、「イケメン社員が高層ビルの会議室でかっこよくプレゼンをしている」、「切れ者の社員がPCでデータを分析してExcelで見栄え良くグラフにしている」

いかにも、というかテレビの見過ぎというか、そんな感じでした。

Wikipediaによれば「(マーケティングとは)企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにするための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。」となっています。しかし、この定義は抽象的過ぎてピンときません。

定義はさておき、マーケティングは実は仕事にとても役に立つ重要な「概念」です。

営業活動がままならない現状だからこそ「重要だが緊急ではない」仕事に取り組むチャンスだと思って(居直って)マーケティングしてみましょう。

そこで真っ先にやっていただきたいのは、マーケティングリサーチです。それは「商品やサービスをより多くのお客様に買っていただくため、市場のニーズを調査すること」です。

マーケティングリサーチは端的に言えば市場調査と言うことになりますが、中小企業は大企業と同じようなリサーチをすることはできませんし、行う意味もありません。

マーケティングリサーチのひとつにグループインタビューがあります。グループインタビューの例ですが、ユーザーになりそうな人を何人かランダムに選んで部屋に集まってもらい、いくつかの商品を試してもらって意見を聞くというものです。

また、実際に集まってもらわなくても、動画配信やZoomを使ってネット上で意見を集めてみるという手もあります。これなら中小企業でもできそうです。

ただし、これはあくまでも「大企業が供給する」視点での調査です。たくさんのお客様にたくさん買ってもらう商品ならばこれで良いかもしれません。

中小企業はこれとは真逆の視点に立つべきでしょう。つまり、リサーチされる側です。

実は商売をやっていると真の顧客視点である「リサーチされる側」になることはほとんどありません。商品を供給するの忙しくて、そんな悠長な立場になってみる余裕などないからです。

しかし、商品が売れず、営業活動もできない今こそ徹底的に「リサーチされる側」になってみましょう。

ネットを検索していろいろな商品のアンケート調査に答えたり、自社が供給しているものに近い商品やサービスを試用したり、時には実際に買ってみたりしてはいかがでしょうか。

おそらく「意外とこれは便利だ」とか「このやり方は面倒だ」とか「別にこれでなくても良いのでは?」といったユーザーとしての実感を得ることができるはずです。

本当の「顧客目線」が身についたと思うまで、何度でもそうしたことをやってみてください。

市場が回復するにつれ、大きな効果を発揮してくるはずです。

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第902話 Web会議コミュニケーションの賜物

2020年04月15日 | コミュニケーション

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「今までよりもかえって部下の話を丁寧に聴くようになりました」

これは、ある企業の管理職の方から聞いた言葉です。

ここ数週間、弊社でもお客様とのお打ち合わせはWEB会議を使用して行っています。WEB会議は、使い始めの頃は少々照れ臭いような気持にもなり、うまく話ができなかったりしましたが、ホワイトボードを使ったり、パワーポイントに資料を投影することもできるので、電話やメールにはないメリットを徐々に感じるようになってきました。

冒頭の言葉は、そのWEB会議の最中に5名の部下をもつ管理職の方がおっしゃったのですが、その方は続けて次のようにも話してくれました。

「会社にいるときには、双方が忙しいことを理由にしてしまっていたのか、なかなか対面してじっくり話をすることをしてこなかったんですね。でもこの度、テレワークが始まって、定期的な部下とのWEB会議が義務になったんですよ。そうしたらWEBを通して、直接会っているときよりも部下の顔をじっくり見ることができたり、話を集中して聴けたりするようになったんです。本来は物理的には遠いところにいるはずの部下なのに、かえって精神的には身近になったような気がします」

これまでは、上司や部下が当たり前のように目の前にいて、時には煩いとさえ感じてしまうこともあるようなお互いの存在が、この緊急事態宣言下においては「当たり前ではなくなった」ということです。

現在の状況下では、起こっているほとんどの事柄がマイナスのこととして否応なく目の前に突き付けられ、私たちが右往左往させられることも日々起こっています。

しかし、こうした中でも冒頭のように新たな発見があったり、今回の経験をきっかけに過去とは異なる取り組みをはじめたり、それが新たなビジネスモデルにつながっていくこともたくさん生まれることでしょう。

今がかつてないほどのピンチであることは言うまでもないことですが、同時にこういうときだからこそ、これまで当たり前としてきたことを見直すチャンスであるとも言えるのかもしれません。

今しばらく続くと考えられるこの緊急事態、マニュアルのない日々をどう過ごし、この先何をどう選択していくのか、一人一人の冷静な判断と果敢な手腕が問われます。

まさに時間の使い方が問われている今、あなたはどのように時間を過ごしていますか?

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第901話 メルカリに見る決断力

2020年04月12日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

メルカリはスマホ向けフリマアプリの企業です。2018年7月、メルカリの役員さんはあるインタビューで(同社が)テレワークを原則禁止にしていることについて、次のように語っていました。

「顔が見えると、安心しますよね。ちょっと今日は顔が暗いなと思ったら声をかけたり、雑談レベルの相談に応じたり。(働く上での)心理的安全性が高くなると思ってます」※1

これだけなら「ついこの間の話じゃないか。きっと今は苦労しているだろうなあ・・」と想像してしまいます。ただし、このインタビューの中で次のように続けていました。

「『決めたから変えない』はない。タイミングや考え方でまた変えるかもしれません。ただし今はこれがベスト、ということです」

次に、2020年4月8日のメルカリのプレスリリースの一部を以下引用します。

「今後メルカリグループでは、まず東京・大阪・福岡拠点は原則オフィスを閉鎖する完全在宅勤務体制へと移行いたします。また仙台拠点でも原則在宅勤務とし、必要に応じて完全在宅勤務へ移行していきます。また、それに伴い自宅での勤務環境構築やオンライン・コミュニケーション(チーム・ビルディング)などのために6万円(半年分)の在宅勤務手当の支給を決定いたしました。」※2

これは、主要なオフィスを「閉鎖」し完全在宅勤務体制へ移行するという経営者の決意を表したものです。

この話を聞いて「接客業じゃないからできたんでしょ」、「IT系はテレワーク向きだよね」、「若い社員ばかりだから負担が少ないんじゃないの」などと思う経営者の方もいることでしょう。

そして「うちはメルカリみたいにはできないよ。なぜなら・・・」と、できない理由を探しはじめるかもしれません。

しかし、社員2千人弱の企業が一気に、しかも企業文化に直接影響する決断を下すことは簡単ではありません。メルカリ経営陣の素早く、しかも徹底的な意思決定は称賛に値します。

もし、あなたの会社が医療や物流など命や生活に直接関わる業種ではないとしたら、中途半端な施策は最前線で苦労されている人たちの迷惑になるだけです。

テレワークを実施するならトップが率先して、徹底的にやるべきです。それとも「それは無理だ」とお考えですか?「できない理由」を探しますか?

あなたが経営者なら、いまこそ決断力が試されている時だと思ってください。

※1  https://www.businessinsider.jp/post-171734

※2 https://about.mercari.com/press/news/article/20200408_message-from-ceo/

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