中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第968話 一度退職した社員を再雇用するには

2020年10月28日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「実は、私はこの会社を一度辞めたんです。ですから二度目の入社なんです」

これは先日、弊社が担当させていただいた管理職研修の際に、受講者の一人であるAさんから聞いた言葉です。この研修では、管理職として部下指導に関するディスカッションをしていただいたのです。その中でAさんは「うちの会社は1回目の入社の頃は管理職はこのように対応していた。そして、2回目に入社したときは1回目の頃とはこの点がこのように変化していた・・・」といった感じで、一度目と二度目の入社後の会社の状況の違いを語ってくれました。

さて、最近ではAさんの例のように一度退職した社員を再雇用する企業が増加傾向にあるようです。2018年のエン・ジャパンの調査によると、退職した社員を再雇用したことがある企業の割合は72%であり、2016年の調査時の67%から上昇しているとのことです。

たしかに、私も冒頭のAさん以外にも一度退職した会社に再度入社したという知り合いが数人います。

彼らに再入社したきっかけを尋ねたところ、「他にやりたいことがあって一度退職をしたが、離れてみてこの会社の良さを再認識した。ちょうどそのタイミングで採用の募集をしていることを同期の友人が教えてくれたので、試験に応募した」、また「同業他社に転職したが、戻りたくなった」、さらに、「たまたま飲み屋で転職前の会社の人事部の人に会い、戻ってこいと声をかけられたことをきっかけに戻った」などがあるようです。

このように、様々なきっかけで一度退職した企業に再び入社したとのことですが、それでは企業の側から考えると、一度退職した社員を再び受け入れる理由はどのようなものなのでしょうか。

前述のエン・ジャパンの調査によると、「即戦力を求めていた」、「人となりが分かっているため安心」、「本人に強い復帰の意思があった」、「中途採用が難しい」、「採用・教育コストを抑えたかった」と続いています。

実際に、一度退職した会社に再入社したことのある知り合いに感想を尋ねたところ、「戻って良かった。一度外の空気を吸ったからこそ、この会社の良さが分かった。再入社させてくれたのだからもう辞めることはない。今度こそ会社に貢献をしたい」と前向きに話してくれました。

コロナ禍で少々事情が変わりましたが、「人材を採用することが難しい」と言われるようになって久しいです。そういう中で、会社の事情に精通していて、実務能力を持ち合わせている人に再入社してもらうというのは、企業側にとっても大きなメリットがあるわけです。

このように採用する側、される側双方にメリットがあるのですから、今後再雇用?入社?はますます増えていくだろうと推測できます。

こうしたことから、再入社する本人のみならず受け入れる社員のやる気にもつながるように、しっかりした再雇用?入社?の制度を整えておくことが求められます。その有無が他社との競争のみならず、今後の企業の成長をも左右する大きな要素になるのではないかと思います。

さて、あなたの会社・企業では再雇用?入社?のしっかりした制度はありますか?まだでしたら、ぜひ早急に整備を検討することをお勧めします。

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第967話 経営者は絶対に人材を枯らしてはいけない

2020年10月25日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

2020年4月に大学に入学した新入生は可哀そうだ、アンラッキーだという声をよく聞きます。入学はしたもののキャンパスライフは皆無、友達もできず、ひたすらオンライン授業です。たしかに、もしも自分がそういう目に合ったら、大きなストレスを感じてしまうことでしょう。

しかし、もっと大変なのは今年の春、学校を卒業して就職した新入社員です。ほとんどの企業では入社式の後、十分な新入社員研修を実施できず、すぐに(形式的に)配属となっています。しかも配属先の職場の多くはテレワークになっており、先輩や上司とのコミュニケーションもままならず、といった状態です。

さて、企業の人事責任者および人事育成担当者に対するアンケート※によれば、2020年の新入社員がそれ以前の世代に比べて「優れていると感じる点」は「まじめである」が最多で46%、次いで「ITに強い」が35%、「自分の時間を大切にする」が33%となっています。

一方、「劣っていると感じる点」は、「受身的である」が最多で51%、次いで「競争心がない」が35%、「叱られることに慣れていない」が34%なとなっています。

つまり「今年の新人は、まじめだが積極性に欠ける」というわけです。とはいえ、これは今年に限ったことではなく、10年以上前からそうした傾向はありました。

当社の基本的な考え方は「人材は直属の上司だけでなく、職場の先輩、他部署の社員、その他仕事で関わる全ての人が寄ってたかって育てることが必要!」というものです。当社の研修、特に管理職、監督職研修ではこのことを何度も何度も口にします。

人材育成は全社員の仕事です!経営者も人材育成の担当者です。

例年なら職場にいる新人に話しかけて、仕事のちょっとしたコツや役に立つノウハウを教えたり、励ましたりできましたが今年はできません。

「3密」の集合研修が無理なら、最低限テレワークで研修を実施してください。そして、ZoomやGoogle MeetやTEAMSなどを使って、いつでもだれからでも良いので声をかけてください。メールでも電話でも手紙だって構いません。仕事の忙しさを言い訳にしないでください。

「まじめだが積極性に欠ける」人材を枯らさずに育てるにはそれしかありません。

人材を枯らせば会社が枯れます。

※ HRpro (HR総研のホームページ)参照 

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第966話「伝える力」を磨き続ける

2020年10月21日 | コミュニケーション

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「知識は幅広く豊富だけれども、一方的な知識の提供になってしまっていて、説得力に欠けている」

これは、弊社が研修を担当した際にグループ討議での発言を聞いたり、また採用試験の集団討議のアセスメントを担当したりした際に、受験者の発言を聞いたときに感じることが多い感想です。

こうしたときに改めて思うのは、「他者に伝えること」の難しさです。どんなに知識が豊富であったとしても、自分の考えや思いが他者にきちんと伝わらなければと全く意味をなさないです。また、場合によっては思わぬ誤解を招いてしまうことにもなりかねません。

言うまでもありませんが、仕事はもちろんのこと、人は他者とのかかわりの中で生きています。こうした中では、会話であっても文章であっても「伝えること」がすべての土台になっています。

ときどき、「文章を書くことは苦手だけれど、会話ならばいくらでも伝えられる」、反対に「面と向かって話すのは得意ではないけれど、文章ならば大丈夫」という人もいます。

しかし、その土台にある「伝える」ということは同じです。会話であっても文章であっても、誰に何を目的に話すのか、何を理解してもらいたいのか、何を共有したいのかなどについて聞き手に伝えようとするきちんとした視点をもつことが大切です。

そして、聞き手がどういう人なのか、どういう情報を欲しているのかなどもきちんと把握できていないと、一方通行の一人よがりの知識の提供になってしまいます。そして、こちらが伝えようとすることが全く相手に届かないものになってしまうことになります。

このような「伝える力」を身に着けることは、一長一短でできることではないでしょう。だからこそ、私たちは絶えず「どうすれば伝えられるのか」を追求し続ける必要があります。それには自分自身がどういうことを考えているのか、何を人に伝えたいのか、どういう人に伝えるのか、どういう言葉で伝えるのか、などを考える続けることが必要なのでしょう。

「伝える力」に終わりはない、生涯をかけて追及していくものなのかもしれません。

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第965話 半歩先が最善の道

2020年10月18日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「おい!パソコンに向かってカチャカチャやってないで客回りしてこい!」朝のミーティングが終わって会議室から席に戻った若手社員を課長が怒鳴りつけていました。今から20数年前、ある部品メーカーの営業部でのことです。当時はインターネットがようやく商用化されたので、その社員は取引先の会社の出来たばかりのホームページをMosaic(Internet explorerやGoogle chrome等ブラウザの先祖)を使って調べていました。

その社員はホームページを見た後、取引先の会社を訪問しました。それは大手家電メーカーでした。対応してくれた購買担当者は自社のホームページを見てくれたことをとても喜んでいました。

それから20年後、部品メーカーの若手営業担当者は営業部長になり、大手家電メーカーの購買担当だった社員は事業部長になっていました。2人は、幕張で開催された情報通信系の展示会で20年ぶりに会いました。そして昔を懐かしんで思い出話を始めました。

私は部品メーカーの営業部長とは仕事上の付き合いがあり、たまたま展示会場に居合わせたので2人の「思い出話」を傍らで聞くことができました。

思い出話自体は退屈だったので、ここでは書きません。ただ、2人は社内でも早々と頭角を現し、早い出世を果たしていましたが、2人の話を聞いているとその理由が分かりました。

それは一言で言うと「半歩先を歩いていたということです。もちろん、インターネットのような新しい技術に対応し、それを使いこなす才能が備わっていたのでしょう。

とはいえ、誰よりも新しいものをいち早く使いこなしていたというわけではありません。先頭を走る「新しもの好き」な人間のすぐ後ろ、2番手3番手あたりに付けて色々と教えてもらいながら着実に技術を身に付けていったのです。

今ではビジネス上のコミュニケーションはほとんどがメールになっています。顧客情報も業界動向もブラウザーで検索します。私のような昭和からスタートしたビジネスパーソンにとっては、まさに隔世の感があります。振り返ってみれば「革命」とさえ言える変化の時代でした。

しかし、「革命」は今思えば徐々に進んでいました。昨日までとはまったく違う新しいものに、今日からすべて切り替わる、といったことはほとんどありませんでした。行きつ戻りつを小さく繰り返しながら、大きな変化になって行ったのです。

先の2人は小さな波に対して「先走らず、遅れず」人よりも少しだけ早く乗り越えながら進んできたわけです。

ビジネスパーソンにとって、日々起こる「小さな変化」を積極的に受け入れ「半歩先」を歩んでいくことが生き残る術なのでないでしょうか。

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第964話 問題に向き合わない経営者に、社員はどのように進言すればよいのか

2020年10月14日 | 研修

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「社長にわかってもらうには、どうすればよいのでしょうか?」

先日、弊社が担当したある公開セミナーの終了後に、1人の受講者からこのように相談されたました。

この受講者の話を聞いたところ、勤めている会社の社長をはじめとする経営陣は社内の様々な問題に対して真剣に取り組むことがなく、ほとほと困っているとのことでした。

「具体的にどのような問題が起きてしまっているのですか?」と尋ねたところ、「納期遅れが頻繁に起きている」、「クレームに対して真摯に向き合わない」などの問題が何年も前から起きているのに、経営陣がまったく解決に動かないのだそうです。30代と若手である彼は、「このままではまずい、何とかしなければ」と思いつつ、どうしたらいいかわからないと困った表情で語ってくれたのです。

この話を聞いていて、何度も納期遅れを起こし、それが原因で度々クレームも来ているにもかかわらず、現時点では顧客が離れていないこと。さらには社員が退職してしまったりすることもなく、若いながら真剣に会社のことを心配し、何とか会社をよくしたいと考える彼のような社員がいることが救いだと感じました。

さて、それではこのように問題になかなか向き合おうとしない経営者に対して、社員の側はどのように対応すればよいのでしょうか?

もちろん、答えは一つというわけではないと思います。私からは「慌てて答えを出さないこと、少人数で社長(経営陣)と戦ったりしないこと、一緒に頑張ってくれる賛同者を集めること、納期遅れやクレームの実態を調査し数値化すること、そのデータをもって社長に相談すること、その際には社長を責めるのではなく、会社をよりよくするためにみんなで頑張りたいと考えていること」などを伝えることを提案してみました。

これらの話を真剣に聞いていた彼は、「頑張ってみたい」との言葉を残してくれました。

この例のように、問題に真剣に向き合わなかったりワンマン経営をしたりする社長は、企業規模の大小を問わず少なからずいらっしゃいます。一代で会社を大きくしたとの強い自負を持っている経営者であれば、なおさら自身の経営手腕に自信を持っていることが多いため、内外を問わず他者からのアドバイスを聞く耳を持たない方が多いように感じています。

しかし、納期遅れやクレームは経営の根幹にかかわる重大な問題であり、これを放置したり、それを改善しようという社員の声を大切にしなかったりする姿勢の会社からは、いずれは顧客や社員なども離れていくことになってしまうことでしょう。

どうか、会社の経営者の皆様には自分の会社は問題を放置していないか、改善に向けた声を大切にしているかあらためて向き合い、対応が必要な場合にはぜひ、機を逃さずに積極的に取り組んでいただきたいと思います。

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第963話  学而不思則罔(学びて思わざれば則ち罔し)

2020年10月11日 | 研修

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例年ならば10月は企業研修の繁忙期です。毎年スケジュール調整に苦労するシーズンです。ところが今年はご存じの通り「3密」の集合型研修は軒並み中止か延期となりました。

それでも、夏が終わるころからオンライン研修が行われるようになり、集合型研修も徐々に復活してきました。また、公開セミナーにも登壇する機会が増えてきました。しかもほとんどが早々と満員御礼になっています。しばらく学ぶことが出来なかったことへの反動かもしれません。

さて、研修とセミナーはどちらも「学びの場」であることは共通していますが、両者には大きな違いがあります。セミナーは学びを得る」、研修は「身に付ける」ことに重きを置いている点です。

受講にあたっては、セミナーは自ら学びたいという意欲を持った人たちが参加するのに対して、研修は「会社に受けろと言われたから」という消極的な理由で参加する人たちが少なからずいます。一見、セミナーの方が良さそうですが、受講前に持っていた期待値を下回る内容だと逆効果になってしまいます。その点、研修の方が学習意欲が(セミナーよりは)低い状態からスタートしますので、少しでもプラスに感じることがあれば成果を上げることができます。

さらに、セミナーは講師が知識を「与える」受講者はそれを「得る」という形で進みます。一方、研修は講師が「与える」だけではなく「その場で考えさせ、使わせてみる」ことをします。

研修の中で、受講者は「考える、使ってみる」プロセスを経てようやく「身に付ける」ことができます。そのため研修はセミナーよりも手間と時間がかかります。

論語に「学而不思則罔、思而不学則殆(学びて思わざれば則ち罔し(くらし)、思いて学ばざれば則ち殆し(あやうし))」という一節があります。今から2,500年も前に孔子が語った言葉です訳すと「学んだことを自分なりによく考えないと理解できない。自分で考えるだけで(他の人から)学ぼうとしないのは危険だ」ということになります。

研修の「身に付ける」という行為はこの言葉に対応したものだと思います。たとえオンラインだからといって「身に付ける」ことを省いてしまっては本当の意味で研修とは言えません。

あなたの会社が実施しようとしているオンライン研修は「真の研修」と言えるでしょうか?

※ 高等学校古文/思想/論語/十五

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第962話  研修再開の経営者の指針

2020年10月07日 | 研修

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「『今日からあなたは係長です』」と言われて、4月に係長になりました。しかし、半年たった今も係長に求められる役割が理解できずにいます」

これは、先日あるサービス業に勤めるAさんから聞いた言葉です。Aさんは3月までは主任だったそうですが、4月に係長に昇格したとのことです。例年は5月に新任係長研修が実施され、その中で係長の役割をはじめ、部下指導の方法などを学ぶことができるそうです。

しかし、今春はコロナ禍によりその研修が見送りになり、その後も実施されずに今日に至っているとのことです。このため、Aさんは関係する書籍を読んだりオンライン研修を自ら受講したりすることによって、監督者として身に着けるべき知識を自ら学んでいるとのことでした。

しかし、Aさん自身は上記のようにしっくり来ない状況が今でも続いているとのことです。

その訳を聞いてみると、「コロナ禍で研修が中止になったことは致し方がないことです。しかし、今後研修はどうするのか、今年度はこのまま中止となるのか、それとも再開の予定があるのか、またはコロナの感染人数などによって判断するのかなど、会社が今後の方向性を社員へ示すことがないままでいることが気になる」とのことでした。

先日、東京商工会議所が実施した「コロナ禍での従業員研修の実施状況やオンライン研修に関する動向や課題」にかかるアンケート調査の結果が発表されました。それによると、今年度は4割弱の企業が研修を実施しておらず、さらにそれらの企業の7割弱の企業が研修の再開時期について、特に決まっていないと回答しているとのことでした。

この調査結果から考えるのは、コロナ禍において企業が研修を実施する・しないにしても、再開する・しないにしても、その判断に至るまでには様々な検討をしたことと思います。

そのため、研修を行わない・再開していないということ自体が問題だとはいうことでは決してないはずです。

しかし、Aさんの会社のように今後の方向性を社員に全く示していないということになると、そのことが社員のモチベーションに大きく影響してしまうのではないかということが懸念されます。

もちろん、社員が学ぶ機会は会社が提供する研修だけではなく、様々な方法や手段があります。もちろん研修だけがすべてというわけではありませんし、Aさんの例ように本人のやる気次第で、いくらでも学びの機会はあります。

コロナ禍を受けて、会社の経営判断として研修の再開を今しばらく見送るということであれば、やむなしとして受け入れられるでしょうし、代わりに自分で頑張ろうと思う社員も少なくないはずです。

しかし、社員にとって一番不安で、またAさんのようにすっきりしないのは、今後の方針がいつまでたっても示されない状態が続くことなのではないでしょうか。こうなると、自らが前向きに取り組もうとするかどうかの判断もしにくいことになってしまいます。

コロナ禍により、なかなか先が見通せない状況が続いていますが、研修に限らずどういう状態になったらどうするといった方針を経営者が明確に示すことが、社員を安心させるとともにやる気にもつながる大切なことだと思います。

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第961話 オンライン研修で消えたカリスマ講師

2020年10月04日 | 研修

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カリスマという言い方はちょっと古いのですが、技術(ワザ)を売る業界であれば、そういう人たちは必ず存在します。その技術に対して顧客から非常に高い評価を得ている人、たとえば、カリスマ美容師といえば何カ月も先の予約が埋まるほど「特別な技術を持っている美容師」です。

研修業界にもカリスマ講師はいます。いや、「いた」というべきでしょうか。

今年の春先から、典型的な「3密」業態である研修も否応なくオンライン型に移行しています。多くの研修会社が、今まで集合型の研修を担当していた講師を「オンライン講師」として売り込んでいます。こうした状況に対応できていないのが「カリスマ講師」なのです。

ここで、カリスマ講師とはどういう人たちなのかを振り返ってみます。

まず、講義の内容が優れていることはもちろんですが、「受講者のあしらい方」が抜群に上手いのです。

集合型の研修では、目の前に受講者がいます。その表情や動作、声の調子や息づかいが講師にリアルに伝わってきます。そうした複雑な情報を肌で感じ取り、瞬時に自分の言葉や動作で受講者に返していく、さらにその反応を見て対応する、それができるのがカリスマ講師です。だからこそ受講者のアンケートに「あの先生の講義はすごかった!」と書いてもらえるわけです。

オンライン研修では、こうした「場の雰囲気」をコントロールすることはほぼ不可能です。決して「オンラインになると受講者が醒めてしまう」というわけではありません。むしろ集中力を要求されるので、講師の話をよく聴くようになります。オンラインは単純に(物理的な意味で)伝わりにくいのです。

オンライン研修では、講義内容を言葉と画像で「きちんと」伝えることが最も重要です。雰囲気をよりも、情報を確実に伝えるために工夫をして誠実に講義を進めることができる講師こそ真に優れた講師です。そして、そういう講義が結果的には受講者の知識やスキルアップにつながるのです。

「面白かった」、「すごかった」、「笑った」と受講者に言わせるカリスマ講師よりも、「ていねいだった」、「よく理解できた」、「仕事の役に立ちそうだ」という声を引き出すことができる誠実な講師こそ、これからますます必要とされることでしょう。

経営者の皆さん、あなたの会社の研修講師選び、一度じっくり見直してみてください。

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