中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

終わりと始まり

2017年12月31日 | コンサルティング

Beginning of the End(終わりの始まり)とは、終末の始まりという意味です。この言葉を日本語で使うのは難しいのですが、「黒船の来訪は、徳川幕府の終わりの始まりと呼べるものだった」といったところでしょうか。そして「終わりの始まり」はSFやホラーのサブタイトルにも良く使われているように、どちらかといえば暗いイメージを表しています。

よく似た言葉ですが、聖書(ヨハネ黙示録)に「I am the Alpha and the Omega, the First and the Last, the Beginning and the End」という言葉があります。「私はアルファであり、オメガである。最初であり、最後である。始まりであり、終わりである。」と訳されています。「終わりの始まり」ではなく「始まりであって終わりでもある」です。意味は違うのですが、こちらも不思議な言葉です。

どちらの言葉も始まりと終わりについて述べているのですが、「終わりの始まり」は本当の終わり(終わりの終わり)については何も言っていませんし、「始まりであり、終わりである」に至っては両者の区別すらつきません。

相対性理論によれば時間というものは実在しない」そうです。私は高校時代、物理が苦手だったので全く理解できませんが・・・。確かに、時間には始まりと終わりがありません。「大昔は時間が無かった。いつか将来、時間が終わる時が来る」というのもおかしな話です。そう考えれば、始まりも終わりも私たちが便宜的に決めた約束事であり、時間も存在しないのでしょう。

とはいえ、人間には寿命があります。単なる概念である「時間」と便宜上の区切りである「始まりと終わり」を使って生きていかなければなりません。むしろ、そうした制約があるからこそ面白いのではないでしょうか。

さて、2017年が終わり2018年が始まります。

2018年は当社にとって新たなBeginningの年です。いっそう皆様のお役に立てるよう、新しい試みに取り組んでまいります。

ご期待ください。

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現場を訪れる社長と現場を軽視する社長

2017年12月27日 | コンサルティング

 「社長がアポなしで突然来るんですよ。そういうときは、現場は結構慌てますね。心の準備もできていないですし・・・」

これは以前、ある中堅製造業の工場長から伺った話です。この工場長がおっしゃるには、「社長は予定されたスケジュールの中で、たまたま少し空き時間ができると現場を訪れることを思いつくようなんです。ですから、こちらからすると「社長が突然やって来た」と感じてしまうわけです。別に仕事をサボっているわけでもないし、見られて困ることもないんですけれどね・・でも毎回、何の前触れもなしにいきなり来るので、私もメンバーも社長が来た!という感じで慌ててしまうのです」と苦笑いをされていました。

一方先日、別の会社では「製造部門出身でないうちの社長は現場にあまり興味がないのか、滅多に現場を訪れることがないんです。だから現場のことをよく知らないし、理解がない。いつも製造にばかり無理難題を言ってきます」という話を伺いました。

実に対照的な社長のスタンスです。最初の会社では毎回突然ではあっても経営陣が現場を訪れ、実際に社員の顔を見て話を聞いて、品質についてや納期についての意見交換を定期的に行っているわけです。

製造業に限ったことではありませんが、このように経営陣が現場を見るということは非常に大切であることは言うまでもありません。

もちろん意見交換をしたからと言って、必ずしも現場の希望がすぐに取り入れられるわけではないですが、現場としては一応希望を伝えることができたという安心感を持て、それがやる気のアップにもつながっているわけです。

さらに言うと、先の社長は定期的に社員の様子を見ている結果、社員にどのような教育が必要かを考え、人材育成にも継続的な投資をされているのです。

「事件は現場で起きているんだ。会議室で起こっているんじゃない!」は、あの刑事ドラマの名セリフですが、現場を見る経営者とそうでない経営者の違いは、結果においてもこのように大きな違いをもたらします。

品質よりもコストや納期を優先してしまった結果、企業の不正が続いている最近の状況を見ていると、「経営者と現場の密接な関係が企業の行く末を決める」と言っても過言ではないと、改めてそのように考えています。

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あなたの会社が一瞬で信用を失うとき

2017年12月24日 | コンサルティング

電車の中での出来事です。ある日、私の友人のA氏は東京郊外の駅から快速に乗りました。空いている席が1つあったのでなんとか座ることができました。A氏がふと隣に座っている人を見ると、30代くらいのスーツを着た男性がノートパソコンを開いてなにやら一所懸命キーを叩いていました。

その行為には特に興味もなかったのですが、次の瞬間、A氏はとても驚きました。その男性はカバンからプリントアウトしたパワーポイントの資料を取り出して、じっくりと読んではメールを書きはじめたからです。しかもその資料の表紙には、社名と提案書らしきタイトル、作成者の氏名、そして右上には赤い文字で「CONFIDENTIAL」と書いてあったのです。

A氏が電車から降りるまでの約20分、いやでもその資料のほとんどのページが目に入り、気になって仕方がなかったそうです。「それ、コンプライアンス違反ですよね!」とA氏は言ってやりたかったそうですが、自分には直接関係のないことです。黙ってその男性の「仕事ぶり」を観察していたそうです。

A氏は「電車の中でコンフィデンシャルな資料を広げるなんてアウトですよね。万が一、競合会社や提案先の会社の社員が座っていたらエライことになりますから。」と言いました。

私は「そんな会社とは即取引中止ですよね」と言ってから興味本位で「それで・・・その非常識な社員のいる会社の名前はわかったのですか?」と聞いてみました。

するとA氏は「はい。もちろん資料の表紙に社名がありましたから。○○○という会社でした。聞いたことがない会社ですが。」

○○○社と聞いて私は非常に驚きました。「もしかして、その提案書、XXXシステムのご提案とか書いてありませんでしたか?」私が聞いてみると、A氏は「そうです!なんかそのようなタイトルでした!なんでわかったんですか?」と言いました。

「その会社は、中小企業ですが業界では技術力のある会社で、私の顧客である某メーカーにシステムを提供しているんです。」と私が言うと、A氏は「そうでしたか。知識のある人が見ればすぐにわかってしまうのですね・・・」と驚いていました。

経営者、管理職の皆さん、あなたの部下・後輩がこのようなコンプライアンス違反をしているとは思いませんが、まかり間違ってもこのような行為をさせないよう、徹底的に指導してください。

万が一、電車の中であなたの会社の社員がこのような行為に及んだら、そして、たまたまお客様が隣に座っていたら、あなたの会社は簡単に取引停止、最悪はつぶれてしまいますよ!

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中小企業の社長はマーケティング担当者

2017年12月20日 | コンサルティング

社長        「ボーナス?出せるわけないでしょう」

インタビュアー  「えっ!出るではなく、出せるわけない?」

社長        「あっ!私、経営者だから。ボーナスを出す方なの」

これはリーマンショックの年の瀬の街頭インタビューで、ある中小企業の社長が発した言葉です。3分間ほどのインタビューだったそうですが、この言葉にインパクトがあったためか、ここだけが切り取られてテレビで放映されてしまったとのことです。

そして、それを運悪く?メインバンクの担当者が見ていて、後日お呼びがかかったそうです。「何であんなことを言ったんですか、まるで銀行がお金を貸さないみたいではないですか。そもそもボーナスが出せないほど、お宅は大変ではないでしょう」とお叱りを受けてしまったとのことです。

あとでこの社長は「インタビューされた内容をすべて放送してくれれば誤解されることはなかったけれど、そこだけを放送されてしまったので、少々面倒なことになってしまいましたよ(笑)」と話してくれました。

実はこの放送のときだけでなく、この社長は会社の取り組みや社長が仕事以外で取り組んでいること、趣味にしていることなどについて「ガイアの夜明け」をはじめ、テレビやラジオ・新聞などのマスコミで過去に何度も取り上げられています。

そこで、「そんなに何度も取材依頼があるのはなぜなのでしょうか」と質問したところ、次のように答えてくれました。

「それはね、私が「持っている」からでしょう(笑)。つまり、私がちょっと変わっているからでしょうね。だから、向こうから取材に来てもらえるのです。マスコミで取り上げてもらえれば会社の宣伝にはなりますから、有り難いことだと考えています。でも、何もしていなければ取材を受けることはないわけです。だからいつも種まきをして取材に来てもらえるように発信しています。それが大事なのです」とのことでした。

確かにこの社長の話を聞いていると、彼は常に先を見据えて、新しい市場をどのように開拓するかなどのマーケティングの視点を持っていらっしゃることがわかります。

さらに、仕事だけでなく趣味の範囲もとても広く、テニス、ダイビング、噺家、生け花、海外に出張する際はフルートを持参して飛行機の中でも「エア」で練習しているそうです。

そのほかにも、話題の映画を鑑賞したり大学祭にも毎年出かけたり、もちろん家族との時間もとても大切にされています。

つまりは、すべての時間をとても楽しまれています。こうした時間を仕事の肥やしにして社長としても忙しく仕事をし、活躍されていらっしゃいます。

中小企業の経営者には、できないことや足りないことばかり挙げる方もいます。そういう中、この社長はいつも前向きに、「何を、どうしたらできるか」を考えていて、お会いするたびに「中小企業だからこそ、できることがたくさんある」ということを強く感じさせていただいています。

現在、この会社は業績も好調で嬉しい悲鳴をあげています。今後もこの社長の活躍から目が離せません。

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中小企業でもBATNAは必要

2017年12月17日 | コンサルティング

交渉プロセスを理論的に解き明かす学問に「交渉術」というものがあります。「ハーバード流交渉術」として知られている交渉の知識とスキルは、MBA(経営学修士)の必須科目となっています。一般的な商談も、顧客との合意に至るまでの「交渉プロセス」であり交渉術が役に立ちます。

交渉術における重要な概念としてBATNA(バトナ)があります。Best Alternative to a Negotiated Agreementの頭文字をとった言葉で、「交渉が決裂したときの対応策の中で最も良い案」という意味です。「ハーバード流交渉術」では、事前にBATNAを用意しておいて(それを明かさずに)交渉に臨めば、そのプロセスを有利に進めることができると述べています。

例として「今乗っているクルマの車検が近づいてきたので新車に買い換える」という状況を考えてみましょう。そのとき、欲しい車種は結構値段が張るので、自分が出せる金額で買えるかどうかかなり厳しい状況だとします。ディーラーと値引き交渉をするときに、何も用意せずに臨むのではなく「もし交渉が決裂したらそのときは今のクルマの車検をもう一度取って乗ろう」というBATNAを決めておきます。そうすれば交渉のときに余裕が生まれ、優位に立てるというわけです。

さて、中小企業の営業担当者が顧客との交渉を行う際、BATNA作戦は使えるでしょうか。

相手が大企業の場合はまず無理でしょう。BATNAになるような策を用意することは、ほとんど不可能だからです。さらに下請けのような立場だったら、そもそも交渉以前の問題です。指定された品質、価格、納期を一方的に受け入れざるを得ません。

それでもBATNAとなる策を考えてみることは非常に大切です。BATNAを考えることで、対等あるいは対等に近い交渉を行う際に優位に立てます。仮にそのような交渉がほとんど無いとしても、BATNAをハナから諦めてしまったら、負け犬根性が染み付いてしまうことでしょう。

小さな会社の営業担当者の皆様、一度BATNAを考えてみませんか。

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営業の究極のon the job training

2017年12月13日 | コンサルティング

 入社したばかりの新人であっても営業職に着いたら、営業現場では、会社の一代表として営業するわけです。新人であっても、営業パーソンのイメージが、その会社の評価につながります。新人には責任重大と感じることでしょう。

マイナスの出来事については会社全体の評価とされて、プラスのことは個人として評価されると言われます。たとえば、一人の営業パーソンが続けて遅刻をした、言葉づかいが悪いなどのマイナスの評価を下されると、「あの会社はダメだ、あの会社の教育はどうなっているんだ」と個人ではなく、会社がマイナスの評価をされてしまします。反対に営業の行動がプラスのこととして認識される場合は、会社のプラス評価にはならず、あの営業パーソンはいいねと個人が評価されると言われています。

さて、先日弊社にやってきたある中堅と思しき営業パーソンは、商品の説明をした後に、何点か我々に質問した後に「トイレを貸していただけますか」と言って、トイレに入りました。来社後30分くらいしかたっていなかったのですが、その際は生理現象ですので、特別に違和感は持ちませんでした。しかし、後日再度提案書を持参して弊社に訪れた際にも、前回同様30分が経過したくらいのタイミングに「トイレを借りたい」と言って、トイレに行き、その後10分くらいは出てきませんでした。

「営業先でトイレに行きたくなった場合どうしたらよいですか?」については、新人営業研修で質問される事柄の1つです。一般的にはトイレは事前に済ませておくべきではありますが、そうは言っても生理現象です。状況によっては、借りなければならないことも現実問題としてあります。その際は、丁寧にお願いをして、お借りしなければなりません。しかし、弊社にやってきた営業パーソンは、初回と2回目の訪問と続けて2回トイレに行くことには、少々違和感がありました。

この営業パーソンがトイレに行かなければならなかった本当の理由はよくわかりません。もしかしたら、新規顧客になり得る会社を訪問して、緊張のあまりトイレに行かざるを得なければいけなかったのかもしれません。しかし、トレイからでき来た彼の表情からして、切羽詰まったものではなかったと推測しました。それでは何をしていたのか?あくまで推測ですが、弊社では彼はトイレで携帯電話を使って上司の指示を仰いていたのではないかと考えています。これはひょっとしたら究極のスマートフォンを使ってのon the job trainingと言えるのではないでしょうか。

営業パーソンの教育は大切ですが、それにしても客先のトイレに入って、上司の指示を受けるのはいかがなものかというのが正直なところです。

弊社では結局、営業パーソン個人の資質としてではなく、彼が所属する会社の姿勢に疑問を感じたために、この会社とのお付き合いは始まりませんでした。 この1件以降、on the job trainingの意味を今一度確認する必要があると言い続けています。

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相手の立場になって考える

2017年12月10日 | コンサルティング

相手の立場になって考えなさい。はじめてこの言葉を聞かされたのはいつの頃だったでしょう。物心ついてしばらくすると、自分と他者との間には「関係」というものがあるらしいと気づきます。それは、自分が社会に参加して行く過程で次第に重要な意味を持ちます。「相手の立場になって考える力」は社会に出てからますます必要になります。

当社は小さな会社ですが、上場企業を中心に比較的大きな会社との取引があります。部署としては人事部門が多く、仕事上のやり取りをする相手も大体は管理職クラスです。

時々、20代の若手社員が窓口になることがありますが、要注意です。商談のとき若手社員の態度や口の利き方が(当社を)見下したようになることがあるからです。そんなとき、私はその社員の上司に遠慮なくダメ出しをします。「貴社の教育は上手く行っていないですね」くらいのことは言います(本人に言ってもわからないからです)。

大企業ほどこうした傾向が強いのですが、もちろん例外もあります。矛盾した言い方ですが、その例外に共通する要素は例外なくある経験をしていることです。

それは「営業」という経験です。入社後、少なくとも1年以上営業職を経験した若手社員は、概ね相手の立場になって考えることができます。

営業という仕事においては「もしも自分が相手の立場だったらどう思うだろう」と顧客の気持ちや考えを推し測ることが必要だからです。仮に相手の立場を考えずに一方的に売り込んだり、相手の言葉を無視して話しを進めようとしたりすれば、間違いなく先輩や上司から厳しく指導されることでしょう。

営業を経験させることで相手の気持ちを考える習慣がつきます。それは何年経っても、どんな仕事をするときでも必ず役に立ちます。

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進次郎さんのコミュニケーション術

2017年12月06日 | コンサルティング

「○○さんですか。コミュニケーションを教えていらっしゃるんですね。私もまだまだ足りないので、コミュニケーションが学びたいですね」

これは、数年前に衆議院議員の小泉進次郎さんと名刺交換をした友人から聞いた彼の言葉です。

進次郎さんはとあるイベントに訪れ、人気者らしく彼が到着するとあっという間に大勢の人だかりができたとのことです。そういう中で友人は名刺交換をする機会に恵まれたそうです。

様々な人と次々に名刺交換を繰り返している中で、進次郎さんは友人と対面した瞬間、冒頭のとおり名刺に書かれていた友人の名前をきちんと読み上げ職業を確認し、さらに名刺の裏に書かれているコミュニケーション研修の内容についても言及したのだそうです。

友人が話すには、進次郎さんは大勢の人と次々に対面しても、決して流すといった感じではなく、一人ひとりと向き合う一瞬にはしっかりと自分に向き合ってくれている感じがしたそうです。その結果、嬉しくてすっかりファンになってしまったとのことでした。

毎日大勢の人と対面している政治家ですから、つい機械的に応対してしまったとしてもしかたないような気もします。しかし、そういう中でも進次郎さんの一人ひとりとしっかり向き合おうとする姿勢にはとても好感が持てます。

今年10月に行われた衆議院選挙でも、進次郎さんのスピーチはマスコミで度々取り上げられていました。たとえば、「聞き手の目線で話す、聞き手に語りかけて共感を得る、ご当地ネタを入れる、難しい言葉は使わない、謙虚である」などです。聴衆の心を鷲掴みにしているとのことでした。

大勢に話をするときでも一対一で接するときであっても、その姿勢は変わらないのだと感じます。そしてそれを何年も続けているわけですから、自身の選挙区のみならず全国的に人気が出るのも納得というものです。

冒頭で紹介した友人以外にも、飲み会の席で進次郎さんと名刺交換した経験談を自慢げに話す人に会ったこともあります。SNSでも同様の体験を紹介する人の投稿も見たことがあります。これらは、まさに進次郎さんの人気ぶりを表す一コマでしょう。

「目の前にいる人としっかり向き合う」ということは誰でもできそうに思えます。しかし、きちんと意識をしなければ決して簡単にできるものではないです。

親が子どもと接するとき、夫婦が向き合うとき、医師が患者と対面するとき、営業パーソンが顧客に接するとき、そして、社長が社員の顔を見るとき。人は、1日の中で様々な人と対面します。

その瞬間、機械的に対応してしまったり流してしまったりするのではなく、相手に真剣に向き合うこと。それが相手の心をつかみ、信頼関係を築き、そして絆を強くしていくことにつながっていくということだと思うのです。

さあ、皆さん。明日初めて会う人は誰でしょうか。まずは、その人にしっかり向き合って話をしてみてはいかがでしょうか。それが信頼関係を築く第一歩になるのでしょう。人材育成のホームページ


中小企業の離職防止は「相性が悪かった」で済ませないこと

2017年12月03日 | コンサルティング

「苦労してようやく採用した新人が半年と経たずに退職した」、「入社3年目の社員が転職を理由に辞めてしまった」中小企業の社長からそんな声を聞くことがあります。1人の社員が抜けるだけでも大きなダメージを受ける中小企業にとって、若手社員の離職は大きな悩みです。

七五三現象」という言葉があります。就職して3年以内に中卒の7割、高卒の5割、大卒の3割が離職するという現象です。なかでも、将来の幹部社員として採用した大卒の3割が辞めるというのは痛手です。

実際、厚労省の調査によれば「新規大卒就職者の就職3年後の離職率」は従業員30人~99人で38.3%、従業員5~29人では50.2%にもなっています(いずれも平成26年のデータ)。中小企業では大卒の新人を採用しても3年以内に約半分が辞めてしまうのが現実です。

では、どのような対策をとるべきでしょうか。私共は中小企業、特に従業員20人以下の小規模事業者では、社長ご自身が人材育成を担当することをお勧めしています。

ウェブで公開されている調査結果を見る限り、社員が会社を辞める理由は「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった」、「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」など、やはり人間関係に起因するものが多いことがはっきりしています。人間関係とは、簡単に言ってしまえば人と人との「相性」です。

しかし「相性」という言葉ほど曖昧なものはありません。「相性」とは単純に感覚的なもののようですが、実は仕事に対する考え方、行動のスピード、コミュニケーションのとり方など、様々な要因から成り立っている複合的な感情です。「相性が悪い」というのは、そのひとつひとつのちょっとしたズレが積み重なって生じるマイナスの感情の発露です。

会社のトップである社長が、こうした様々な要因をできる限り意識して、ちょっとした「ズレ」も見逃さず話し合って解決することで致命的な「相性の悪さ」を避けることができます。中小企業は社長=会社ですから、会社と社員のズレ、すなわち退職する理由のほとんどを無くすことができます。

もちろん、それでも辞めていく社員はいることでしょう。しかし、少なくとも若手社員の離職率を半減させることはできます。

社員の離職にお悩みの経営者のみなさま、是非私共にご相談ください。

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