中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第925話 議事録の「費用対効果」

2020年05月31日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

議事録とは会議の内容を記録した文書です。その内容とは、参加者の発言や決定事項などについての記述です。

当社は「議事録の作り方」という研修を、企業や自治体の新人・若手社員向けに行うことがよくあります。しかし、今回は議事録作成のポイントや上達方法については触れません(ご興味をお持ちの方は、ご連絡いただければ研修の提案書をお送りいたします)。

議事録を作る目的は「決定事項と(それに至る)経緯の共有」です。株式会社では、取締役会が行われた際は議事録の作成が義務付けられていますが(会社法第318条他)、その理由はまさに「決定事項と経緯の共有」をする必要があるからです。

また、議事録は会議の「費用対効果」を裏付ける証拠となるものです。会議にはお金がかかります。わざわざ人を集めて話し合いを行うわけですから、人件費(自治体なら係長クラスで1時間4,500円くらいです)×拘束時間をそれの参加者ごとに算出し、合計します。

さらに様々な費用が付随します。会議室のコスト(たとえ自社ビルであっても面積および使用時間に応じた減価償却費)、電気代、コピー代、お茶代、準備にかかわった人の人件費などです。

では、こうしたコストは誰が負担するのかといえば、会社や役所であることは明らかです。どのような組織も無駄な費用を嫌いますから、会議に対してはコストに見合った成果を期待しているということになります。

その成果物にあたるものが「決定事項と経緯」の記述である議事録です。決定事項が実行されることにより、投じたコスト以上のリターンを得ることができるならば会議は十分に役目を果たしたことになります。

もし、リターンが得られなかった、つまりその決定事項が正しくなかったとしても「次回の行動において、その事項は選択すべきではない」という情報が得られます。それは広い意味で成果といえるでしょう。

時々「何も決定はしなかったけど、皆で話し合って良い情報共有の場になった」という声を聞きます。それはそれで結構なことです。ただし、それは会議ではありません。単なる「情報共有会」であって、インターネットを使えば事足ります。

また「会議中にICレコーダーかスマホで録音しておけば済むんじゃないか」という人もいます。たしかに有効な手法です。ただし、後になってから議論した内容について「後付け」で言い訳をする人がいますので、会議直後に議事録を一斉に配布し、早々にあいまいな点をつぶしてしまう方が確実です。

さて、ここまででお分かりいただいたように、議事録がないということは成果物がないということです。わかりやすく言えば「従業員を働かせ、設備を動かし、材料を使用した」にもかかわらず、1つの製品も作っていない工場と同じなのです。

先日、「コロナ専門家会議の議事録なし」というニュースがありました。コスト負担者である納税者もなめられたものです。

せめて、今後の新人研修で反面教師として使わせていただきましょう。

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第924話 先に褒めるのか、後で褒めるのか

2020年05月27日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「先に褒めるのと後から褒めるのと、どちらがよいのでしょうか?」

これは、弊社が管理・監督者研修を担当させていただいた際に、必ずと言っていいほど受ける質問です。

それでは、具体的な例で見てみましょう。

A:「説得力のある説明でしたね。しかし、一文が少々長い点が気になりました。」

B:「一文が少々長い点が気になりました。しかし、説得力のある説明でした。」

あなたは、AとBどちらの表現で言われると嬉しいと感じますか。どちらも話している内容自体は同じで順番が逆なのですが、私はAの先に褒める方をお勧めしています。

Aの表現は、はじめに「説得力のある説明」という長所を相手に伝え、次に「一文が少々長いです」と改善点を伝えています。一般的に、人は相手から「承認される」ことによって相手に対しての信頼感を持つことが多いと言われています。これを「ラポールが形成される」と言います。

ラポールとは相互に信頼しあう関係のことですが、Aのようにはじめに「承認される」ことでラポールが形成されると、相手に対し信頼感を持つことができ、後で改善点を指摘されても素直に受け入れることができるのです。

一方、Bの表現はAの反対で、まず改善点を伝えてその次に長所を伝えています。信頼している人からであれば、いきなり改善点を指摘されても受け入れることもできるかもしれません。しかし、そうでなければ人によっては後で褒められたことを、慌ててフォローを付け加えられているように捉えてしまうこともあります。

実際に、管理・監督者研修の中で冒頭の質問を受けた場合、受講者全員にA・Bどちらの表現が受け入れられやすいと感じるか、印象を尋ねることがあります。そうすると、約9割の人がAの表現の方で言われた方が嬉しいと感じると答えています。

さて、新型コロナウイルス対策で導入が進められたテレワークですが、この流れの中で部下を対面で指導する機会は、今後さらに減っていくことでしょう。その分、チャットやメール、オンラインでの指導の割合が増えていくことになります。特にチャットやメールは文章として残ることになりますから、特に前述のように改善点を伝える際には、表現に工夫をすることが必要です。

改善点をいきなり伝えたり、あまりにもストレートに伝えたりすることによって、部下が指摘を素直に受け入られなかったり、やる気を失わせてしまうようなことになってしまっては意味がありません。

これが対面で行っているときであれば、表情や姿勢から相手の気持ちを確認することができますから、その後のフォローも容易です。

しかし、テレワークなどのように直接の対面が少ないと、そうしたフォローもしづらくなります。テレワークであっても、部下に伝えるべきことを躊躇せずに、しかし上手に伝えるための工夫が必要です。

部下に改善点を伝える場合には、ぜひ「褒める」ことから始めてみることをお勧めします。

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第923話 テレワークで淘汰される社員

2020年05月24日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「脱・指示待ち型へ」5月22日の新聞に載っていた日本電産・永守重信会長兼CEOのインタビューのタイトルです※。このインタビュー記事は大変興味深いものでした。

まず、永守氏は「テレワークは日本人に向いていないと思っていました。」と言っています。その理由としては「指示待ち型が多いから」ということでした。「子供の頃から親や先生に従うのを是としている。会社員になっても、何かあればすぐ上司にお伺いを立てる」とのこと。

一方、テレワークは自己管理を厳しくしなければ勤まりません。それは「日本人にとって間違いなくプラスです」とのことでした。テレワークは「指示待ち型」から脱却するチャンスだと言うのです。

「これからの教育界は、偏差値や大学のブランド信仰を捨てて、一芸に秀でた人材、とがった人材を育てなければならない」これは昔から言われていることです。学校教育もオンライン授業に大きく舵を切っている今、「学校に入学し、教室で先生の授業を受ける」形態が崩れつつあります。ネットで自由に授業や先生を選び、一芸を磨くようになれば従来のような「指示待ち型」の社会人は淘汰されていくことでしょう。

しかも、それは学生や子供たちの話だけではなく、現に会社で働いているすべての人に対しても言えることです。

もしあなたが会社にしがみつく「指示待ち型」社員だとしたら、この先、若い人たちにどんどん追い抜かれていきます。

玉石混交ではありますが、ネットには様々な情報が数限りなくあります。家にいても一流の講義を聴講することも、価値のある本を読むことも、同じように学んでいる人同士でディスカッションすることもできます。チャンスは平等です。

「指示待ち型」を脱却して生き残りたいなら学ぶしかありません。

え?「どうやって学べばいいの?」ですって?

それじゃ淘汰されてしまいますよ。

※「朝日新聞」5月22日(朝刊)

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第922話 テレワークの部下育成

2020年05月20日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「君は見ているけれど、観察はしていないんだよ」

これは、名探偵シャーロック・ホームズが助手のワトスンに発したという有名な言葉です。シャーロック・ホームズファンでなくても、ご存知の方も多いと思います。

さて、新型コロナウイルスの影響でテレワークの普及が進んでいます。日経BizGateのアンケートで、新型コロナ禍が収束した後にどんな働き方をしたいかについて調査しています。その結果「テレワーク中心にオフィスでも働く」が35.1%、「テレワークだけで働く」が3.9%と、テレワーク中心の働き方をしたい人が39.0%に達したとのことです。

このように、我々ビジネスパーソンにとってテレワークが身近なものになりつつあります。そうした中、先日あるオンライン会議をした管理者の方から、テレワークのデメリットの一つとして、対面が圧倒的に少なくなるため、部下を育成するのは難しいとの話を伺いました。

確かに、部下の育成に関して言えば、オンラインやメールで行える部分もありますが、対面ならではの良さ・強みがあります。

そこで、対面で行う場合にぜひ行っていただきたいのが、部下を「しっかりと観察する」ことです。冒頭のホームズの言葉が示す通り、観察をするのは案外難しいものです。人は関心がある人間に対しては意識しなくても自然と観察していますが、反対にあまり関心を持てない人間に対しては、あえて意識をしないと細部まで注意深く観察することは難しいです。

そこでお勧めしたいのが、まず「いつもの状態」「ふつうの状態」をきちんと把握し、その「いつも」や「ふつう」からのわずかな変化に気づくという方法です。

この点、オンラインでは体のみぞおちから上の部分しか見えないことが多いため、状態を把握しづらい面がありますが、対面であれば部下の細かい部分もしっかり確認することができます。特に歩き方や姿勢には、考えていることや感じていることの変化が反映されることがありますから、きちんと確認して把握しておくことが大切です。これがホームズのいう「見ているだけ」から「観察する」ことになるのです。

ですから、次に部下に対面する際には、ぜひ「いつもの状態」「ふつうの状態」をしっかり観察することから始めてみてください。しかし、そうはいっても普段から「観察する」ことに慣れていない上司の皆さんにとっては、「いつも」や「普通」の状態をきちんとキャッチすることは難しいかもしれません。そのような場合には、まずは部下を「5分間しっかりと見る」ことから始めてみてください。それを繰り返すことで、部下の「いつも」や「普通」の状態とは異なる状態が起こった際に気づくことができるのです。

新型コロナ禍の収束後、大きく変わるであろうビジネス環境の中でも観察力の重要性は変わることはないと思いますが、これは一長一短で身につくものではありません。筋トレをするように時間をかけて少しずつ、着実に身につけていただければと思います。必ずいつか結果が期待できます。

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第921話 今こそOJTが会社を救う!

2020年05月17日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

今回は、このブログで度々取り上げているOJT(On-the-Job Training)の定義について、あらためて確認しておきたいと思います。

立教大学経営学部教授の中原淳先生のブログからの引用になりますが、「日本には『OJT信仰』や『手放しのOJT礼賛』が存在している」と述べ、その反面「OJTの悪いところ、制約、脆弱性、そして成立条件などのシビアな側面が、あまり着目されないのです」と指摘しています。

そして、OJTの脆弱性として次の点を挙げています。

(1) OJTの学習効果は「師」に依存する
(2) OJTは原則的に「師と部下間」の閉じられた学び
(3) 学習の起こるタイミングが「偶然」に依存する
(4) OJTはともすれば「単なる労働」に変わり果てる

・・・若干捕捉しますと、(1)は「師の能力を超えることは学べない」つまり教える側のレベルが低いと機能しない、(2)はOJTは「師-部下」で行われるため外部から第三者が介入を行うことは難しい、(3)は教えるタイミングは部下がミスをしたときなどの「偶然」による、(4)は職場が忙しかったりプレッシャーがあったりすると意図せず「学びもクソもへったくりもない単なる労働」に堕す、というわけです。

正直、いまだにOJTをこんな低レベルで考えている大学教授がいるのか!と驚愕しました。しかし、おそらくそれは本意ではなく、古い体質の日本企業が「経験主義」や「現場主義」に拘泥し、OJTを正しく解釈していないことをおちょくっているのだと思い直しました。そのように考えれば、まったくその通りだと思います。

当社は民間企業、自治体などを含め、百数十社の研修やコンサルティングに関わらせていただきましたが、たしかにそのような「OJT=現場に丸投げ」といった会社がほとんどでした。

「うちはOJTで新人を育てています」と堂々と言っている会社の幹部の方々に「では、OJTを具体的に定義してください」と言うと「現場で人を育てること」で終わりです。

ここではっきりしておきたいのですが「OJT=現場教育」では不十分です。「チョコレートとは何ですか?」という質問に「それは食べ物だよ」と答えるようなものです。そんなことはわかっています。

本来ならば、実効性があり、かつ正しいOJTの定義を大学の先生がきちんと示してくれるとありがたいのですが・・・。

当社が、様々な文献を当たってたどり着いた「OJTの正しい定義」は、何度か書いていますが元・法政大学教授の桐村晋次先生による次のようなものです。

上司が部下の職務に必要な能力(知識・技能および態度)の向上・改善を目的として、仕事を通じて行う、(1)計画的、(2)合目的、(3)継続的、かつ(4)組織的な教育活動です。(「人材育成の進め方」日経文庫、桐村晋次著、1985) ※(1)~(4)の番号は当社がふりました。

いかがでしょうか、この4点を正しく解釈して実行すれば、前述の中原先生のようなバカバカしい指摘を(わざと)する必要はありません。

「働き方改革」が本格化した矢先にテレワークに対応せざるを得なくなった経営者の皆様、OJTが会社を救います。具体的な処方箋は、今後このブログや雑誌への寄稿、書籍などで明らかにしてまいります。

当社は「OJTが会社を救う!」をスローガンに掲げ、皆様の会社を「すべての社員がイキイキ働くようになる」ことを目指します。

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第920話 制約条件を無視した仕事(アベノマスク)

2020年05月13日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

緊急経済対策に基づいて、全国の世帯に向けて一住所あたり2枚ずつ配られる布製マスク。昨日(5月12日)、厚生労働省医療局経済課(マスク等物資対策班)名義で我が家にも届きました。

このマスク、「アベノマスク」と揶揄されているように評判はあまり芳しくないようです。446億円もの経費は医療体制の整備などもっと他に有効に使うべきだといった声をはじめ、様々に批判されています。厚生労働省によると、配布は直近で4パーセント程度にとどまっているとのことです。ようやく届いたマスクですが、報道によると市場には変化があり、先週あたりからマスクが店舗に並ぶようになり、比較的手に入りやすくなっているようです。

物事には適正なタイミング、「旬」といったものがあり、そこを逃してしまうと意味がなくなるどころか、下手をするとマイナスにさえなってしまうこともあります。それではこのマスクの配付には、具体的にはどういう問題があるのでしょうか。

それは、仕事を進めるうえでの制約条件がすべてかなっていないということではないでしょうか。仕事とは「QCD(品質、コスト、納期)の制約のもとで、成果物(アウトプット)を生み出すこと」と言えます。具体的には、QとはQualityのことで、品質仕事の成果物に求められる水準です。仕事の完成度とも言えます。CはCostで利用可能な経営資源(ヒト・モノ・カネ)。経費、人件費などのことを言います。DはDeliveryで仕事の締め切りのこと、仕事を仕上げて依頼者に渡すまでの時間を指すわけです。

この観点で言うと、まず品質が無視されていました。おそらく時間のない中で急に決まった話で、業者の準備も十分ではなかったのでしょう。配布されるや否や、すぐに虫や髪の毛の混入やら汚れが見つかるなどで、すぐに検品を強化するために回収されました。また、ようやく届いたマスクは不織布の使い捨てマスクに慣れている者にとってはサイズが少々小さいのではないでしょうか。

次にコストについては、466億もの高額な税金を使っただけでなく、回収という二度手間により余計な経費がかかってしまいました。

最後に納期ですが、各世帯への配布は当初の予定から大幅に遅れることとなった結果、既に市場にマスクが出回るようになり、以前と比べて手に入りやすくなってきています。そのため、今となっては有難味が大きく薄れてしまっています。

以上により、結果的に仕事の制約条件を全く無視した仕事になってしまったということです。

そして、言うまでもないことですが、このことはビジネスの世界でも全く同じです。

緊急事態宣言以降、経済活動を抑えている状況が続いていますが、ここ数日は緊急事態宣言解除に向けた動きが盛んに報道されており、今後企業活動も段階的に再開されていくことになりそうです。

その時に「何について、どのタイミングで、どの順番で手を付けていくのか」等を今からしっかり決めておかなければスタートが遅れてしまいます。その結果、それでチャンスを逃すことになってしまったり、制約条件に則った仕事ができなくなったりします。

コロナ自粛後の経済活動の在り方がどうなるのか、見通すことはなかなか難しいです。しかし、スタートダッシュのタイミングを逃さないように、また漏れのないようにするために、「出口戦略」を明確にしておかなければなりません。

さて、あなたの会社ではタイミングを逃さないために準備は進んでいますか?

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第919話 研修を見直す絶好のチャンス

2020年05月10日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

新型コロナウイルスの影響で、4月はほとんどの企業が新人研修を縮小したり、実施を見送ったりしました。たしかに集合研修は「3密」そのものです。人事部門の育成担当者の方々は、かなりご苦労されたのではないでしょうか。

新人研修の重要性は、育成担当者ではなくても十分お分かりいただけると思います。研修では、組織人として仕事を進めるために必要な考え方、企業理念や経営方針、法令の順守や社会人としてのルールについても学びます。3月までは「お金を払って学ぶ」学生だった人たちが、4月から一転して「お金を得るために働く」組織の一員になるのですから、まさに頭の中身を入れ替えるくらい大変かつ大切な研修です。

それほど重要な研修ですが、私たち社外講師に依頼してくる内容は「マナーとコミュニケーションを2日で教えてください」といったものがほとんどです。もちろん、それはとても大事なことなので、全力投球で務めています。

ただし、名刺交換やお辞儀の仕方など「型」を知るには動画で十分です。後は、職場の先輩や上司が行う「正しい所作」を見て学べばよいのです。コミュニケーションの基本である報連相(報告・連絡・相談)も同じように、動画を見た後で職場でのやりとりを観察して身に付けて行けば問題ありません。実際、今年は「動画配信とレポート提出、加えてZoomやSkypeを使った質疑応答で新人研修は終了」という企業もたくさんありました。

「職場の上司や先輩は教えることに関しては素人だけど、外部講師はプロなのだから、そんな無責任なことを言うのはおかしい。」そうお思いの方も多いでしょう。

では、皆さんの会社の「上司や先輩」は名刺交換もお辞儀もロクにできないのでしょうか。あるいは、まともに報連相をすることができず、ミスが頻発して1日中職場が混乱をしているのでしょうか。私は決して新人研修が必要ないと言っているのではありません。「型」は動画や本でしっかり学ばせ、「実践」は職場の人たちに任せるべきなのです。

「親の背を見て子は育つ」ではありませんが、新人は職場の上司や先輩の「悪い面」を見て育ちます。どんなに優れた外部講師に徹底的にマナーや報連相を叩きこまれても、上司や先輩が実践していなければ意味がありません。

「いや、多少意味はあるのでは?」と思った方に申し上げます。何の意味もありません。

新人研修が本当に必要なのは、実は上司や先輩その人です。仕事を進めるときの正しい所作、ミスの起きないコミュニケーション、そして社会人としてのルールをしっかりと学び(思い出し)、それを新人に「身を以て」教えなければなりません。

企業は人で成り立っています。新人を育て、戦力化していくことは企業の明日を作ることです。「上司や先輩」の立場にある方々は、その目的をしっかり理解し、計画的かつ継続的に育成していかなければなりません。

また、それは新人に限らず、すべての社員が「育成される対象であるべきだと考えます。たとえば、上司であっても、マナーが悪かったり連絡ミスがあったりしたら、それを指摘することも必要です。

最後にもう一つ大事なことをお伝えしておきます。大人は放置しておくと上司や先輩の「悪い面」しか見ようとしません。正しく大人を教えるには技術が必要です。だからこそ我々のような研修会社があるのです。人を育てる、すなわちOJT(On the Job Training)のスキルを身に付ける研修に関しては、(PRになってしまいますが)当社の最も得意とするところです。

「3密」の新人研修ができない今こそ、「人を育てるスキル」を身に付ける絶好のチャンスです。

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第918話 ステイホーム週間は本を読もう(番外編2)

2020年05月08日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、ステイホーム週間が明けましたが、今回は「番外編」と題してこのブログの筆者、芳垣と平野の著作を紹介しています。番外編2はこの本です。

「働き方の統計学: データ分析で考える仕事と職場の問題」平野茂実 (著)

統計学の入門書は、一般向け理工学書の中では断トツに数多く出版されているのではないでしょうか。実際、2013年に大ヒットとなった「統計学が最強の学問である」(西内啓・著)以来、文系出身のビジネスパーソンにもよく売れるようになりました。

私が「働き方の統計学」を書いた理由は、統計学が文系にとっていかに役立つのかを、いままで統計学を敬遠していた人たちに知ってもらいたかったからです。もちろん類似の本はたくさんありますが、この本の特徴は「とにかくわかりやすく書いてある」ということです。そのため、確率に関する記述は思い切って端折ってあります。理系の方々からは「統計学でありながら確率をきちんと説明しないとは何事か!」とお叱りを受けそうです。それを承知で書き進めた理由は、文系にとって確率が最大の難所だからです。

さらにこの本で目指したものは「仕事の現場で使ってみたくなる」ことです。本書がターゲットとする読者層は「文系のビジネスパーソン」です。そうした読者の仕事はなにかと考えたときに、答えは必然的に「営業」になります。偏差値40~60くらいの大学の文系学部を卒業し、民間企業に就職する人たちの7割は営業部門に配属されます。これは自信をもって断言できます。それなら、文系で偏差値50前後の大学を出た営業部員を主人公にしたストーリーにしてしまおう、ということになったわけです。

この本のタイトルの通り、主人公は営業部門の「働き方改革」の渦中に放り込まれます。まず、残業を減らすため「残業偏差値」なるものを作ります。次に営業部員の仕事の仕方に着目して、客先への「限界訪問件数」なるものを発見(?)します。その結果「営業は足で稼ぐ!」という職場の雰囲気が徐々に変わっていきます。さらに、顧客(スーパーマーケット)の店舗に出かけて行ってトマトやメロンの糖度(甘さ)を測ったり、新しい店舗の開店に口を出したり、新発売のお弁当のメニューは何がヒットしそうかを調べたりと、大活躍します。

とはいえ、主人公はAKB48ならぬSBH48(私大文系で偏差値48くらいの大学)出身ですから、数学が得意と言うわけではありません(というより、中学生レベルです)。 

それでも上司やExcelの助けを借りて色々な「気付き」を経験します。著者である私が言うのもなんですが「若手社員の成長物語」としては、とても面白いお話になっていると思っています。テレビ東京あたりで「お仕事ドラマ」の原作に使ってほしいくらいです(^_^;)。 

肝心かなめの統計学の部分ですが、標準偏差や回帰分析あたりまでは、考え方の説明にかなりのページを割いています。半面、後半あたりから、それがやや難しくなってきています。本当は、多変量解析あたりはページ数を十分費やしてじっくりと書きたかったのですが、「分厚い」入門書になっても好ましくないので止めました。

統計学は何を隠そう(?)数学の一分野です。じっくり時間をかけて学べば、普段の仕事に本当に役に立ちます。しかも、皆さんが普段お使いになっているパソコンと、それに搭載されているExcelという超便利なソフトもあります。今や、道具はすでに揃っていると言っても差し支えありません。

「働き方の統計学」は、すべての文系ビジネスパーソン、中でも日々数字に追われている営業部員や販売担当者の方々にとって、「実感を持って」読むことができる本です。是非、ご一読ください。

最後に、この本のイラストを描いてくださった黒渕かしこ先生のチャーミングな絵に、かなり救われていることを告白しておきます。

さて、この「ステイホーム週間は本を読もう」という企画は、今回で最後となります。この後は通常のブログに戻ります。ありがとうございました。

 

働き方の統計学: データ分析で考える仕事と職場の問題

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第917話 ステイホーム週間は本を読もう(番外編1)

2020年05月07日 | 仕事

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。さて、ステイホーム週間が明けましたが、今回と次回は「番外編」と題してこのブログの筆者、芳垣と平野の著作を紹介いたします。手前味噌も味噌のうちということで何卒ご容赦ください。

「突発的な仕事に先手を打つ 残業ゼロのビジネス整理術」芳垣玲子  (著)

「整理術」の本はたくさん出版されています。それらをざっくりと2つに分けるならば、個人向けか企業向けになります。前者は近藤麻理恵氏(こんまりさん)の「人生がときめく片づけの魔法」が最も有名です。ただ、この本は「整理術」というより「スピリチュアル版☆お家の収納術」です。企業で実践するのは極めて危険です。私のよく知る某社の社長はこれにハマり、仕事の書類や多くの専門書を「ときめかないから」といって捨てまくってエライ目にあいました。

 さて、「突発的な仕事に先手を打つ 残業ゼロのビジネス整理術」は、職場で実践する整理術を解説した本です。家庭向きではありません。というのも、ビジネスの現場でしか登場しない様々な物事(ものごと)を対象にしているからです。

 ここで物事を「物」と「事」に分解してみます。この本は、職場にある書類や文具、備品といった「モノ」よりも、仕事という「コト」そのものに焦点を当てています。
 では、仕事とは何か?それは、時間と労力を費やしてそれに見合った対価を得るための行為です。机の上に山積みされた書類やファイル、それ自体が仕事ではありません。それらはあくまでも仕事という行為の「影」のようなものです。たとえば、今現在とりかかっている仕事が急に無くなってしまったら、関係する書類は無用の長物になってしまいます。無用どころか早くシュレッダーで裁断した方が良いかもしれません。

 また、仕事はルーチンワーク(スケジュール通りにこなす定型的な仕事)ばかりではありません。突発的に割り込んでくる仕事も多くあります。
 ひとつ例を挙げてみましょう。あなたが、今日は定時で帰れそうだと思っていたら、突然上司に「○○君、ちょっといいかな?」と手招きされました。仕方なく行ってみると、分厚いファイルを渡されました。上司は続けて「このデータ、明日の10時までにプレゼン資料にまとめておいてくれる?実は、さっき専務に呼び付けられて、明日の午後の会議で使いたいって言うんだよ。急だよね~。でも仕方ないよね。悪いけど頼むよ。」と言いました。ほんと悪いよ!専務もあんたも!と言いたい気持ちを堪えて残業に突入・・・ビジネスパーソンなら誰でも経験したことがあるはずです。

 本書は、まさにタイトルにあるように、突発的な仕事の発生を事前に抑えるための「手の打ち方」を実践的に解説した本です。

 その背景にあるのは「渋滞」という考え方です。仕事が流れている状態を、高速道路を走る車にたとえています。予定通りに仕事が進んでいれば、快適なドライブをしているようなものです。ところが、車間距離が十分ではない場合、側道から急に車が割り込んでくると、ついブレーキを踏んでしまいます。すると後ろの車もブレーキを踏み、そのまた後ろも・・・という具合にあっという間に車の流れが滞ります。これが、渋滞が発生するメカニズムひとつです。このメカニズムを仕事に応用して考えてみると、「急に割り込んでくる仕事」を減らせば仕事の渋滞は防げることがわかります。

 しかし、ほとんどの方は「上司の割り込み仕事に先手など打てるのか?まして顧客に対して先手など打てるわけがない!」とお思いのことでしょう。もちろん、突発的な仕事を100%完璧に阻止することはできません。野球選手で10割バッターなどいるわけがないのと同じように。

 しかし打率3割なら十分強打者です。突発的な仕事に対して「先手など打てるわけがない」と言うのは、バッターボックスに立ってバットを全く振らないのと同じです。考え方とノウハウを身に付ければ、十分に先手は打てます。しかも、それは上司にも顧客にも喜ばれることなのです。
 本書には、具体的な先手の打ち方から、職場の机の上の整理方法まで、具体的かつ非常にわかりやすく解説してあります。

 仕事の渋滞を減らして仕事をスムーズに流しましょう。それはまさに「働き方改革」を迫られているすべての企業に求められていることです。

是非、ご一読ください!

突発的な仕事に先手を打つ 残業ゼロのビジネス整理術

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第916話 ステイホーム週間は本を読もう(12)

2020年05月06日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

いつもはビジネスに関わる内容をお届けしているこのブログですが、ステイホーム週間の今は、自宅でゆっくり読めるような「お薦めの本」を紹介しています。

12冊目は、「新歳時記」 稲畑汀子編です。

「見えてゐる 海まで散歩 風薫る」

これは編者の稲畑汀子さんの句です。外出自粛が続いている日々ですが、季節は廻り薫風が吹くようになりました。

緊急事態宣言が出た頃はソメイヨシノが咲き、私も近所の散策のついでに顔を出していた土筆(つくし)を積んだりしました。その後も八重桜、つつじ、ハナミズキが咲き、ここ最近はバラも咲き始め、また新たな季節に移ろうとしています。

こういうときであっても、季節は変わらずに進んでいるんだなと感じます。

そして、そういう今だからこそお勧めしたいのが、「歳時記」です。

歳時記とは1年のおりおりの自然・人事などを記した書物のことです。また俳句の季語を集めて分類・整理し、解説や例句を載せてありますから、「季節の辞典」とも言えるかもしれません。そのためにページ数も多く、私が持っている歳時記は981ページあります。

この歳時記の読み方ですが、もちろん1月から順番に一つ一つの季語を丁寧に読み進めていけば季語のスペシャリストになれそうですが、それには少々時間とエネルギーが必要です。

それよりも私がお勧めしたいのは、「ステイホームを続けることに少し疲れたな」、「家族と一緒の時間が多いから、たまには一人になりたいな」、「テレワークに飽きたな」と感じるようなときに、今であれば5月や6月のページをめくり、目についた言葉を読むのです。

そうすると、現実の世界からちょっと離れて、歳時記を通して外の季節感たっぷりの世界を想像することができますし、それによって身も心も潤うような気持にさえなれます。

外出自粛をはじめとしてこれまでとは日常の生活がすっかり変わってしまい、感覚自体もこれまでとはちょっと違ってきているなと感じている方も少なくないのではと思います。

しかしそんな日々だからこそ、ちょっとベランダに出て外の空気を吸ってみたり、そこからの景色をゆっくり見てみたり、あるいはちょっと近所を散歩したりするだけでも、今までよりも五感がフル活用されます。これまでは見過ごしていたものが急に新鮮に感じられるような気がしますし、それは歳時記の季節感に実感をともなってつながりを感じます。

因みに、冒頭の句の「薫風」は青葉の香りを吹きおくる初夏の風のことで、夏の季語です。歳時記は旧暦を採用しているため、2、3、4月を春、5、6、7月を夏、8、9、10月を秋、11、12、1月を冬としていますので、現代の感覚とは少々異なります。

ぜひ、気持ちを切り替えたいとき、新鮮な空気に触れたいと思うようなときにお勧めです。

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合本俳句歳時記 第五版

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