中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第866話 「自分には部下を叱る資格なんてない」は危険信号

2019年12月08日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

叱ることとパワハラの違いは、このブログで何度も触れています。場合によっては、上司は部下を「叱って」指導しなければなりません。それを「パワハラになるから」と言って一切何もしないのは、上司としての責任の放棄です。

「たしかに叱ることは部下指導のひとつの手段だということはわかりました。」ある会社の管理職研修で1人の受講者が言いました。「でも、自分には部下にそんな偉そうなこと言う資格はないんじゃないかと思うんです。」と続けたのです。

誰かを批判するときに「あなたにそれを言う資格はない」という言い方をよくします。噛みくだいて言うならば「あなたの現在の立場や普段の言動から考えると、相手を非難したり叱ったり指導したりするのは、やり過ぎだし説得力がないので傍(はた)で見ていて不快になる。」ということでしょう。まして「叱る」などというのはとんでもない!というわけです。

もちろん「資格」というのはたとえ話ですが、部下指導に関してこれほどミスマッチな言葉はありません。

もし、会社の中で「資格」がどうのといった理屈がまかり通ってしまうと、会社は間違いなく崩壊します。叱らないことで誤った行為が正されずそのまま行われ続ければどうなるか、想像に難くありません。

上司が部下を指導し、必要に応じて叱ることは仕事の一部です。「自分には部下にそんな偉そうなこと言う資格はない」と言うのは「自分は仕事を放棄します」と言っているのに等しいのです。それは、大げさなことではなく労働契約法第3条(労働契約の原則)に違反する行為です。

経営者のみなさん、もし「部下を叱る」ことができないという社員がいたとしたら「それは仕事の一部であり、それをしないことはサボタージュである」ということを明確に伝えてください。

それでも「叱り方がわからない」、「部下指導に自信がない」という社員が1人でもいたら会社の将来は危うくなります。そうならないよう、部下を指導する立場にある社員全員に必ず部下指導研修を受けさせてください。

部下指導研修こそあらゆる研修の中で最も必要な研修です。

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第865話 同僚の前で叱ることは「パワハラ」にはならない

2019年12月04日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「同僚など他者がいる前で叱ることは、パワハラにはならないのですか?」

これは先日、弊社がパワーハラスメント(以下パワハラ)研修を担当させていただいた際の、受講者からの質問です。

最近パワハラにかかわる報道などが多くなっていることもあり、これまでにも同様の質問を何度もいただいているのですが、皆さんはこれはパワハラに該当する行為だと思いますか?

弊社では、「(上司として指導(叱る)すべき内容であれば)パワハラには該当しない」と考えています。

厚生労働省ではパワハラの6類型を次のように定義しています。

1. 身体的な攻撃

2. 精神的な攻撃

3. 人間関係からの切り離し

4. 過大な要求

5. 過小な要求

6. 個の侵害

受講者が冒頭のような質問をする背景には、2番目の「精神的攻撃」の例示として「同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。必要以上に長時間にわたり繰り返し執拗に叱る」と示されているからでしょう。

特に、「同僚の目の前で叱責をされる」という文言が入っているために、同僚など他者がいる前で叱ることはパワハラになってしまうと考えてしまうようです。

しかし、このとおりとすると、遅刻が続いている部下や仕事のミスが続いている部下がいた際に、本来は指導の一環としてきちんと叱らなければならないのに、いちいち他の部屋に行ってしなければならないことになってしまいます。それでは、もし他の部屋が空いていなければ部下を叱るタイミングを失ってしまうことにもなり得ます。

極端に言えば、他の部屋の予約が1週間先まで埋まっていたとして、「同僚の前では叱ることができない」とするのであれば、その間ずっと叱ることができないことにもなってしまうのです。

そういうことになってしまったら、それこそ大切な部下指導をすることができなくなってしまいます。

部下指導はリアルタイムで行うことが原則です。もし、時期がずれて間の抜けたタイミングで叱ったら、叱られた部下の方は何で叱られているのかピンと来なくなってしまうでしょう。

また、遅刻が続いている人やミスが連発している人に対して、上司が叱るなどの指導をしなければ周囲の同僚にも悪影響が危惧されます。具体的には、ルール違反をする人が放置されてしまっているので、職場全体のモラルが低下するなどが起きるわけです。要は、上司の指導を甘くみることにもなってしまいかねないのです。

こうしたことから、「上司として指導(叱る)すべき内容であれば、同僚などの他者がいる前で行うことは全く問題ない」わけです。

ただし、ここで一つ注意をしなければならないのは、6類型の注意書きにもあるように「必要以上に長時間にわたり、繰り返し執拗に叱る」ことで、この場合はパワハラにあたります。

では「長時間」とは何分なのか?これは指導(叱る)すべき内容によるので、一概に何分ということはできませんが、先ずは5分程度を目安に考えてみてはいかがでしょうか。一般的には5分前後であれば、叱る場合であっても長時間に該当はしないと考えられますし、上司の一方通行にはならないはずです。指導(叱る)行為は本来、双方向でおこなわれるべきものです。遅刻を例に考えるならば、どうして遅刻をしてしまったのか?今後遅刻をしないためにはどうすればよいのか?ということを部下本人に話させるなどして双方向で行うことがポイントです。

パワハラ研修を担当させていただくと、「グレーゾーン」に該当するものを教えてほしいという声もよく聴きますが、基本的に先の6要素で示された要件をきちんと押さえていれば、いたずらにグレーゾーンを気にする必要はないと考えます。

もちろん、パワハラ自体は絶対にしてはいけない行為です。同時に、パワハラと捉えられることを恐れるあまり、上司が部下に必要な指導育成を行わないことも見逃すことができない問題なのです。

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第864話 社員の主体性は研修で身につけましょう

2019年12月01日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

いきなり小学校の話で恐縮ですが、最近は児童に対して「主体的・対話的で深い学び」を重視する教育が求められています(平成29年度小・中学校新教育課程説明会における文科省説明資料「新しい学習指導要領の考え方」より)。

先生による一方的な教育ではなく、児童が話し合いを通じて問題を解決する。その過程で様々なものの見方、考え方や知識を身につけていきます。テレビのニュース番組で見たのですが、(そのときは)先生はほとんど関与せず、子供たちが机を寄せ合ってグループになって話し合いをしていました。

私は大変良い取り組みだと思いました。

そして、こうした教育を受けた人材がこれから社会に出てくれば、企業はより良くなっていくでしょう。もちろん、研修においても大きな成果が期待できそうです。

「ならば、もっと早くこうした教育をしていれば良かったのでは?」そう思われたかもしれません。

しかし、私が小学生だった昭和の時代で(あまりにも昔の話ですみません)このような教育を行うのは不可能だったと思います。先生が関与せず児童の自主性に任せるというのは、少なくとも私のいた学校では(言い方は悪いのですが)動物を檻から放つようなものです。おそらく10分程度で授業が崩壊していたでしょう。児童の数も多かったですしね。

ですから、授業中はとにかく静かに、辛抱強く、先生の話をきちんと聞いていなければなりませんでした。当時(昭和の高度経済成長期)には、与えられた仕事を効率よくこなす人材が大量に必要でした。学校教育もそうした社会のニーズに応える必要があったのです。

そう考えると、小学生の頃から「主体的・対話的で深い学びを身につけること」は、現代の社会のニーズに応えることだということになります。

現在の企業研修の受講対象者は昭和末期から平成にかけて初等教育を受けてきた世代です。そうした人たちに対して「主体性を感じられない」、「対話が苦手だ」という人もいますが、私はそう思いません。

当社の研修では受講者に「主体的・対話的」に取り組むことを求めています。しかし、これはそう簡単ではありません。現代の小学生のように「主体的・対話的」に物事を進めるトレーニングを受けてきたわけではないからです。

それでも研修を通じて伝わってくるのは一種の「素直さ」です。研修中はグループでのワークを重視します。はじめは主体的に参加しなかった受講者も、ちょっとしたコツさえ飲み込んでしまえば、とても上手に話し合いを進めることができるようになります。

現在企業の中核を担っている世代は、トレーニング次第では「大化け」する可能性もあるのです。

社長さん、人事担当者の皆さん、あなたの会社の社員に期待して、ぜひ研修を受けさせてください。主体的に仕事に取り組む人材に変わる余地は大いにあります。

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第863話 小売、卸売、サービス業のための統計学のすすめ(3)

2019年11月28日 | 研修

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

さて、(1)大量のデータを扱う、(2)利益率が低い、という特徴を持つ小売業、卸売業、サービス業に焦点を当てた「統計学のすすめ」の最後(3回目)です。

統計学を学んだことのない人が「ちょっと入門本でも読んでみようか」と思ったとき、立ちはだかるのが数学の壁です。私の友人で「高校に入ってからは数学とはきっぱり縁を切った」と豪語する強者がいます。「1次関数も忘れた。Σ(シグマ)ってなんだ?「死熊」のことか?」だそうです。

多少おおげさかもしれませんが「小売業、卸売業、サービス業で働く営業担当者の8割以上はそういう人たちです。理系出身の人や、文系でも入試に数学があった人(国公立大学など)にとっては理解できないことかもしれません。

しかし、決して貶(おとし)めているわけではありません。数学は仕事に必要ないと思っているだけなのです。もし、数学が売上をアップさせ、利益を増やすために「使える道具」であるとわかれば、間違いなく学ぶことでしょう。

ただし数学は厳密な積み重ねの学問です。足し算がわからなければ掛け算がわからないように、1次関数がわからなければ回帰分析はわかりません。

そうした「積み重ね」の勉強は、営業担当者にとって少しも面白くありません。学生時代のように、面白くなくても勉強しないと落第してしまうといった切羽詰まった状況がない限り、どんなにやさしい入門書であっても読む気はしないでしょう。

私がこの本で最も重視したのは「面白さ」です。営業の現場で起こる様々なケースをストーリー形式で書きました。

たとえば、スーパーの野菜売り場にあるトマトのパッケージに「糖度8」といった表示があるのを見たことがあると思います。糖度とは、果物に含まれる糖分の割合を示す値です。甘みは温度や食感にも影響を受けるため、糖度イコール甘みではないのですが、糖度が高いと甘みを強く感じることが多いのです。

スーパーのトマトの糖度が本当に8かどうかは、1個ずつ糖度計で測ればわかります。しかし、大きなスーパーで扱う何千個のトマトをすべて調べるわけにもいきません。

では、どうするのかといえば、何個かを抜き取って糖度を計り、全部のトマトの糖度を推測するのです。

そのときに役立つのが統計学です。少ない標本(サンプル)から数学を使って全体を把握することができます。

よく選挙のときに、投票が終わるやいなや「当選確実」が出たりしますが、もちろんあれも統計学の手法を使っています。

多くの統計学の入門書は「投票」や「テレビの視聴率」などを例にとっていますが、「小売、卸売、サービス業の営業担当者」にとってはあまり興味のない、面白くない話でしょう。

それに対して、この本はトマトやメロンや牛乳などの販売を例にしています。スーパーや卸売業以外の業界の方でも、営業を担当されている方にとって「面白い」と言える内容になっていると自負しています。

「文系+営業」の皆様にこそ是非お読みいただきたい本です。

働き方の統計学: データ分析で考える仕事と職場の問題

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第862話 小売、卸売、サービス業のための統計学のすすめ(2)

2019年11月26日 | 仕事

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

さて、(1)大量のデータを扱う、(2)利益率が低い、という特徴を持つ小売業、卸売業、サービス業に焦点を当てた「統計学のすすめ」の2回目です。

働き方改革とは強制的に残業を減らすことだとばかりに、「19時にフロアの一斉消灯、サーバーの停止」といった強硬策を打ち出す企業もあります。しかし、実態は「オフィス消灯 続きは深夜のファミレス(朝日新聞2019年11月25日・朝刊・21p)」といった見えない残業が横行するケースも少なくありません。

なぜそのような事態になってしまうのかと言えば、「改革」の順番を間違えているからです。

まず仕事の効率化を推進すること。規制の強化はその次です。

「効率化しろと言うけれど、具体的に何をどうすればいいんだ?」そう言う社長さんは多いのですが、実はその言葉が効率化にブレーキをかけているのです。

効率化の第一歩はムダ(無駄)を省くこと・・・ではなく「ムダを見つける」ことです。なぜなら、目の前にあるムダだけを相手にしていてもキリがありません。次から次へと「新しいムダ」が生まれてくるからです。

ムダが生まれてくる温床(巣)を見つけて、そこをつぶさなければなりません。

営業部門でよくあるケースを考えてみます。

夕方、若手営業担当のA君が客先から帰ってくると、お客様からのメールが何通か入っています。読んでみるとX社から「大至急○○を2ケース持ってきてくれ」、Y社から「XXを5ダース明日の夕方までに納品してほしい」、Z社から「新製品のサンプルを1つ都合つけてくれないか」、どれも突発的な割り込み仕事の依頼です。

同じ営業部の先輩Bさんを見ると、やはり同じような依頼を精力的にこなしています。それもイキイキとして。

A君は「自分も早くああいう風になりたいものだ」と思うのでした・・・って、イヤ、イヤ、これではだめです!ムダな残業の温床を自ら整えているようなものです。

まずムダを「見つける」ことから始めます。

お客様からの突発的な仕事の依頼は、1日に何件来ますか?1週間では?月別では?

「突発的な出来事」は本来滅多に起こらないものです。そういう事態が生じる確率は、統計学では「ポアソン分布」に従うことが知らています。

営業部で「お客様からの突発的な依頼」を記録してみると、ばらつきの形が見えてきます。これにより「来月の依頼はポアソンに従うとすれば大体○○件くらいだな」という予測ができます。

次に、突発的な割り込み仕事は「なぜ」生まれるかを調べます。お客様別の過去のデータを調べてみると、意外や意外、ばらつきに特徴があることがわかります。X社は月末に、Y社はコンスタントに、Z社は展示会などのイベントの後に、といった具合です。

そこまでわかってくれば突発的な依頼に「先手」を打つことができます。要はあらかじめ準備をしておけば良いのです。

統計学は、普段私たちの目の前に次々と現れる現象を俯瞰(ふかん:全体像を見ること)してくれます。時系列で現れるばらつきの形を示してくれるのです。

「効率化しろと言うけれど、具体的に何をどうすればいいんだ?」その答えは、統計学を使って全体像を見る、そして先手を打つことです。

統計学は営業の仕事に限らず、あらゆる仕事の役に立ちます。とはいえ、高校のときに数学と「さよなら」してしまった人には難しいかもしれません。

「やさしい」とか「初歩の」といったタイトルのついている統計学の本を書店で手に取ってパラパラとめくってみてください。文系人間にとっては、ちっとも「やさしくない」し「初歩でもない」ことは間違いありません。

しかし、ご安心ください。そんな人のために本を書きました。想定する読者はSBH48です。いえ、アイドルグループの名前ではありません。私大文系偏差値48の略です。

内容は、SBH48出身の営業担当者を主人公にしたストーリー形式になっており、一部マンガも載っています。もちろん、統計学の解説もしっかりと書いてあります。小売、卸売、サービス業のための統計学の入門書です。

「働き方の統計学: データ分析で考える仕事と職場の問題」1,980円・税込み(オーム社)は本日(11月27日)、全国の書店で発売されます。

ぜひ、書店で手に取って見てください。置いていないときはAmazonでどうぞ。

働き方の統計学: データ分析で考える仕事と職場の問題

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第861話 小売、卸売、サービス業のための統計学のすすめ(1)

2019年11月24日 | 仕事

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

統計学と聞いて「数学」を思い出し、拒否反応を起こしてしまう経営者の方は多いようです。特に中小企業の社長さんには人気(?)がありません。

統計学を活用している業種といえば、真っ先に思い浮かぶのは製造業です。自分たちの作る製品の品質が会社の利益を大きく左右しますから、統計学の手法を使った品質管理は必須です。しかし、小売業や卸売業のような仕入販売を生業とする業種では、統計学を活用している会社は少ないようです。

ところが、仕入販売業は日々大量のデータを扱うため、社員、特に営業担当者が接する数字の量はむしろ製造業よりも多いと思います。そして、(残念ながら)他業種に比べれは利益率は決して高くありませんから、細かい数字もしっかり押さえる必要があります。

そこで、(1)大量のデータを扱う、(2)利益率が低い、という特徴を持つ小売業、卸売業、サービス業に焦点を当てた「統計学のすすめ」をこれから3回にわたって解説してまいります。付け加えるならば、「中小企業こそ今すぐに活用すべき内容」であることを強調しておきます。

さて、2019年4月から働き方改革関連法が施行されました。残業時間の「罰則付き上限規制」は大企業に対してはすでに実施されており、中小企業も2020年4月から実施されます。残業が多い社員ほど評価されるといった、「時間の量」で測る管理はできなくなります。

言うまでもなく、営業担当者にとって顧客と接する時間は何よりも大切なものです。「お客様とは何度も会って、徐々に信頼関係を築いていくのが営業の仕事だ」そう信じている社長さん、管理職の方は多いことでしょう。

では、それが否定されることになるのでしょうか?統計学の話を絡めて考えてみましょう。

お客様との信頼関係は営業の基本であり、原理原則といえるものです。人であれ企業であれ、相手を信用することが、商品やサービスを買う前提です。そして、相手を信頼するからこそ継続して取引をするのです。ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」と言っています。顧客(customer)とは継続して取引を続ける相手であり、それは信頼を得ることで創造(create)される対象であるというわけです。

では、信頼関係を築いていく方法は「何度も会う」以外にはないのでしょうか。私は決してそうは思いません。もちろんお客様と面と向かって(face to face)会うことは大事なことです。

ただし、会って時間を過ごすこと自体が大事なのではありません。お客様の抱える問題や要望に対して適切な答えを提示することが本当に大事なことです。

「そんなことはわかっている」とおっしゃるかもしれませんが、お客様の要望の背景には様々な要因が潜んでいます。「顧客ニーズを把握せよ」というのは営業の鉄則です。しかし、ニーズを直接聞きだすことができても、その背景にある要因までリーチしなければ、本当にニーズを把握したとは言えません。

あるスーパーが仕入れた商品の売れ行きが良くなかったとします。スーパーは、従業員を残業させたり、その商品を卸した商社から営業担当者を派遣させて、閉店まで販売活動を手伝わせるとします。しかし、それで成果が得られるのでしょうか。

それよりもスーパーが持っている過去のデータ、例えば月別、曜日別、時間別のデータを調べ、抱き合わせが可能な他の商品との棚割り、他店の売り上げ動向などと比較して「何が売上に影響しているのか」を探るべきです。

具体的にはそうしたデータを集めてグラフ化するだけではなく、売上と関連がありそうなデータ同士の相関を調べてみることです。

相関とは「一方が変わればもう一方もそれに連れて変わるという関係」です。単純な例としては「最高気温が高いとアイスクリーム類の売上が増える」といったものです。気温(原因)が売上(結果)に影響を与えています。

相関関係は、原因が1つだけではなく、複数である場合も考えられます。また、原因が直線的に結果に影響を与えているとは限りません。

「アイスクリームの売上には気温以外に何かの要因が影響しているのではないか? そしてその影響はどの程度確かなのか?」

こうした疑問に答えるのが統計学であり、その道具として使うのは(おそらく)皆さんのパソコンに入っているExcelです。

むやみに残業をして(させて)売上を増やそうとするよりも、統計学を使って「打ち手」を考えることに時間を使った方がより大きな成果が望めます。

営業部門のマネージャーの方は、ぜひ部下の営業部員に初歩的な統計学の知識を身につけさせてください。現状のままで「残業規制」を行っても、残業時間は減るかもしれませんが利益は増えません。

営業活動の「量から質」への転換は、統計学なくしては難しいのです。

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第860話 上司と部下の認識のギャップを埋めるには

2019年11月20日 | 研修

 「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「あんな大企業なんだから当然知っているだろうと思って話をしていたら、部下がその会社のことを知らなかったんですよ」

 これは、先日弊社が担当させていたただいた管理職を対象にした「部下育成」研修の際に、一人の受講者から発せられた言葉です。

彼は続けて「顧客が何を作っているか、それに当社のサービスがどのように使われているのかということを説明しようとしたのですが、その企業名すらわかっていなかったので、びっくりしました。自分にとっての当たり前は、部下にとっては違うんですよね。今後は、まずその点から確認して、次に具体的な仕事の中身に入っていかないといけないということがわかりました」とのことでした。

話は変わりますが、パワハラの問題が顕在化して久しいために、年々パワハラ防止をテーマにした研修の依頼を受けることが増えてきています。パワハラは絶対に許してはいけないことですが、一方で管理職側も部下側もパワハラに過剰反応してしまい、何でもかんでもパワハラにしてしまうという問題点も起きています。

上司は部下からパワハラと言われてしまうと困るから、部下をきちんと叱ることができないということですし、逆に部下の方はよく理解しないまま自分の意に沿わないことを指示されたりすると、パワハラを受けたと被害者意識を持つ人もいるようです。

それでは、どうすればこうした事態を解決できるのでしょうか?コミュニケーションを活発にとればよいのでしょうか?一緒に飲みに行けばよいのでしょうか?

もちろん、それらをすべて否定するものではありませんが、冒頭の話のように「自分にとって当たり前のことであっても、相手にとっては必ずしも当たり前のことではない」ということを踏まえて考える必要があります。

つまり、各々異なる常識や価値観を基に上司は仕事の指示をし、部下はそれを受けることになるのですが、そうした状態で会話をしていると、自ずと両者の間にギャップが生じることになってしまうのです。

 

このギャップを埋めるためには、お互いの価値観や考え方には違いがあるということを前提に、コミュニケーションを取ることが必要になります。

上司の側は、部下の知識やスキルはどのレベルなのか、自分の仕事をどう受け止めて取り組んでいるのかなどを把握したうえで明確な指示をすることが大切です。一方の部下の側も上司から指導や注意をされたり仕事の指示をされたりした際に、仮にそれが自分の意に沿わないことであったとしても、それに対する不平不満をパワハラやセクハラなどに置き換えて反発したりせずに、まずは真摯に向き合ってみることが大切だということです。

パワハラは絶対にしてはいけないことですが、一方で何でもかんでもパワハラに問題をすり替えて、双方がきちんとしたコミュニケーションを取らなくなることもしてはいけないことのはずです。

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第859話 「会議禁止令」はいかがですか?

2019年11月17日 | コンサルティング

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無駄な会議は企業の生産性を著しく低下させます。そこで様々な書籍やセミナー、コンサルタントが会議の効率化のテクニックを紹介しています。それは大体次のようなものです。

1. 参加者を厳選する
2. 資料を事前配布し熟読してもらう
3. 司会役、責任者を決める
4. 議題をはっきりさせる
5. 開始時間と終了時間を厳守する
6. 参加者全員が必ず発言する
7. 発言は1回につき1つのことだけとする
8. 議事録を作り参加者、関係者に配布する

確かにこれらが実行できれば会議の品質も良くなり、効率もアップします。自分たちではできそうもないと思ったら、コンサルタントを雇って実際の会議に参加してもらい、その場で伝授してもらう方法もあります。コンサルタントはコーチングの手法を使って会議を「すごい」ものに変えて行きます。

ではコンサルタントに依頼すれば、本当に会議は効率化するのでしょうか。

答えはYESです。

「会議コンサルティング会社」のWebページを見ると、本当にたくさんの会社がコンサルティングを受けて売上を、利益を伸ばしています。

しかし、そうした成果を上げた会社の多くは「もともと伸びるポテンシャルがあった」と思われるところばかりです。つまりコーチングの手法が効いたわけです。

「伸びるポテンシャル」とは、社員に実力がありながら社内のコミュニケーションがうまくいかず「くすぶっている」状態です。

もしあなたの会社が同じような状態なら、コンサルタントを雇って会議を改善すれば業績が伸びるかもしれません。

あなたの会社の社員はいかがですか?十分に仕事の実力を持っていますか?表には出てこないとしてもモチベーションは高いと思いますか?

残念ながら、そうした社員が多くいる会社は稀です。ほとんどの会社、特に中小企業はそれほど社員には恵まれていません。

「失礼な!うちの社員は全員実力もモチベーションもある!」

そうお思いの社長さんには大変失礼かと思いますが、それは幻想あるいは思い込みです。もちろん例外はありますが、社員の多くは社長さんが思うほど実力もモチベーションもありません。

そういう社員が集まった会議を改善しようと思っても、なかなか難しいでしょう。成果が出たとしてもせいぜい半年です。

そこで私がお勧めしたいのは「会議禁止令」です。

社長さんが社内の会議を一律、禁止します。ご自身が主催する経営会議はもちろん、末端の会議も禁止です。コミュニケーション自体を禁ずるのではなく、物理的に集まって話し合う会議に限ります。社内システムを使った電子的な会議は「認可制」とします。

すると、代替手段として最も利用される頻度が高くなるのがメールのやり取りでしょう。

「それでは仕事が進まない!」という声が上がってきたら、その時は「隠れてやりなさい」と言ってください。その代わり「見つかったら罰金!」くらいは実行してください。

すると「罰金を払ってでもやる!」という威勢のいい社員や、社長に堂々と意見を言ってくる社員が出てくるかもしれません。

「会議禁止令」は多少犠牲をはらっても3か月くらいやり抜いてください。そして3ヶ月経ったら禁止を解きます。

「それじゃ元の木阿弥じゃないか」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

会議をわざわざ開かなくてもメールで済んでいたことがわかったり、意外に仕事がスムーズに進んだりするといったことが現実になります。

「会議禁止令」は荒療治ですが、これも効果は1年弱でしょう。

でもご心配なく。しばらくしてまた会議が増え始めたら「禁止令」をほのめかしてください。必ず効果があります。

それでも万が一効果が見られなかったら、実際に発令してください。

「会議禁止令」はコストもかからず効果はインフルエンザの予防注射よりもあります。

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第858話 「チコちゃんに叱られる」ではなく、「チコちゃんに怒られる」

2019年11月13日 | 研修

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NHKで現在放送されている「チコちゃんに叱られる!」が毎週、高視聴率を維持(14.7%前後)しているとのことです。

確かに、私の周囲でも「毎週必ず見ている」、「姪の投稿が紹介された」などと耳にすることが何度かありました。

ご存知のとおり、この番組では「好奇心旺盛で何でも知っている5歳児」という設定のチコちゃんが、改めて質問されると答えに困ってしまう身近な事柄に関して「何で?」と質問します。そして、ゲストの大人が回答に窮したり間違って答えると、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と一喝するのです。

チコちゃんが喝を入れる際の表情は、CGとはいえ眉間に皺を寄せ目じりを上げ、目から火が噴き顔を真っ赤にさせていますので、5歳児とはいえなかなかの迫力です。

私もこの番組のファンの一人ではありますが、実は最近チコちゃんのこの台詞によって少々困っていることがあるのです。

弊社が行う管理職研修では、多くの場合に部下の「叱り方」についての演習をしていただくことことにしています。

この中で、部下を適切に叱るために「叱る」と「怒る」の違いを整理していただいているのです。両者の違いの一つに「叱る」は双方向で行われ冷静で育成を目的に行われるもの、一方の「怒る」は一方的であり、感情的・不合理でその場限りのものと説明しています。

この観点で考えると、チコちゃんの「ボーっと生きてんじゃねーよ!」は「叱る」ではなく、まさに「怒る」という行為に他なりません。

最近では「パワハラと言われてしまうと困るから」と、部下を適切に叱れなくなってしまっている管理職が多いようです。

そういう中で、チコちゃんがインパクトのある表情と声で迫ってくる番組名が「叱られる」となっていることによって、チコちゃんの言い方=「叱ること」ととらえられてしまって、叱ることへの敷居がますます高くなってしまう管理職が増えてしまわないか、少々心配になっています。

このため、最近の私はチコちゃんを見るたびに、番組名が「チコちゃんに怒られる!」であったら良かったのにと、真剣に考えるようになっているのです。

でも、チコちゃんは5歳ですからあの剣幕で怒っても問題はありません。しかし、くれぐれも管理職の皆さんは、「ボーっと生きてんじゃねーよ!(ボーっと仕事してんじゃねーよ!)」と部下を一喝したりしないようにお願いします。

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第857話 「改善型議論」のすすめ

2019年11月10日 | 研修

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「そのやり方では上手くいかないと思うんですよ」部下がこう言うと、「だったら対案を出せよ!」と上司は怒り気味に返しました。会議でよく見かけるやりとりです。(画像はちょっと大げさですが)

対案とは「相手の案や、もとの案に対して出す別の案」なのですが、会議の場では 「対決する案、反対の案」という意味になりがちです。本来は「別の案」ですから、いろいろな種類の案が出てきてもよさそうなものですが、どうしても「対する」ことだけが強調されてしまいます。

その理由は、私たちが正しい議論のやり方を習っていないからだと思います。だから、別の案=反対案となってしまうのです。そのせいで議論がかみ合わなかったり、ぎすぎすした雰囲気になったりします。

こうした「対決型議論」を避けるために「改善型議論」を試してみてはいかがでしょうか。

ある案が出されたら否定を考えるのではなく、改善を考えるのです。

反対したいなあと思ったら「なるほど。良い案ですね。それを実現するためにはこうしたらどうでしょうか」と言います。

具体的には、その案を実行するために必要なコストと効果を見積もります。コストが効果を上回らないようするために新しい提案をします。提案者の意見も取り入れながら徐々に自分の意見を細かくして付け加えて行きます。

こうして自分の考えが実現する場合もあれば、妥協案ができる場合もあります。また、結局はうまくいかない場合もあるでしょう。

いずれにしても、こうしたプロセスを生じさせることが、議論を生産的にするひとつの方法だと思います。

「そんなことをしていたら時間ばかりかかって、しかも自分の意見が全く通らない可能性もあるじゃないか!」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。

そのとおりです。それでもこうした議論の進め方を何度も繰り返しているうちに、無茶な提案や感情に任せた反対意見が無くなっていきます。

多少時間はかかりますが「議論の体質改善」は組織運営の健全化に必ず良い効果をもたらします。

ただし、お断りしておきますが「改善型」は政治的、思想的な議論には使えません。それらは基本的に対決することが目的の議論だからです。

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