中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第989話 統計分析は社内に眠る「金」を掘り出す道具

2021年01月17日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「統計は役に立ちそうだけど、ちょっと難しそう」そんな言葉を経営者の方々から聞くことがあります。ここでは、あるSI(System Integration)企業の営業活動を例にとって統計分析の使い方を簡単にご紹介いたします。

SIまたはSIerはシステム・インテグレータと呼ばれ、顧客の求める様々な情報システムを企画、提案、構築し、運用のサポートを行います。したがって、比較的大規模なシステムを扱うことが多く、金額は億単位で商談は半年からときには数年かかるという場合もあります。

当然、商談にはいくつもの段階があり、競合他社も少なくはありません。その商談プロセスを簡単な流れにすると次のようになります。

(1)初回コンタクト→(2)情報収集→(3)システム提案→(4)デモ(デモンストレーション)およびベンチマークテスト→(5)最終プレゼン→(6)受注

上記の各段階で競合他社とのバトルがあるわけです。

では、こうしたプロセスの一体どこに統計分析が役に立つというのでしょう。

答えは「すべて」です。

(1)は初回コンタクトは商談になるかどうかの判断です。ここで終わったときは、広告があいまいだったのでお客様が誤解していたのかもしれません。あるいは、すでに他社に決めていたので「いちおう他社も検討した」というアリバイ作りにされたということも考えられます。その理由を記録しておきます。

(2)は競合他社も売り込みをかけていますから、お客様のニーズを探りつつ他社をけん制します。このとき、営業担当者がどういうタイミングで何を聞いたか、そしてどういう情報を得たのかを記録しておきます。

(3)はどういう提案内容だったのか、ポイントはどこに置いたのかを記録しておきます。

(4)デモ内容と(お客様の)参加者のプロフィール、処理速度などの数値データ等を記録しておきます。

(5)プレゼンではどの部分に重点を置いたのか、どういう順序で話したのか、決定権限を持つ人物は誰が出席し、どういう質問をしたのか等を記録しておきます。

(6)いろいろと書くべきことはありますが、今回は省略します。

いずれもデータの収集が大事ですが、データは数値だけではありません。いつ、何を、どういう形でお客様とやり取りをしたのかというアクションもデータになります。

細かい解説を行うことはできませんが、こうしたデータに基づいて統計分析を行い、商談の効率化と対競合勝率アップを実現した例があります(私は当事者としてその案件に参加していました)。

具体的には「お客さんがこのキーワードを口にしたときはこの資料を見せよう」、「競合A社はこの機能を全面に出すからデモの前にこの点を強調しておこう」など優秀な営業担当なら身についていることなのですが、客観的に見ると驚くほど共通点が多いことがわかりました。

こうした暗黙知に近いノウハウを、過去の商談記録や営業担当者全員のインタビューから「言葉」にして抜き出し、分類し、統計分析を行いました(統計手法は数量化Ⅲ類を使いました)。

その後、営業の段階ごとのアクションとトークをマニュアル化して研修を行い、半年ほど実行したところ、特に若手営業担当の商談期間の短縮や対競合勝率においてはっきりとした成果が現れました。

もちろん、現在のように面談が十分にできない状況や、業種・業態の違いがありますから、上記のようなことがそのまま実現できるとは思いません。しかし、今のような状況こそ過去のデータや記録を読み返してデータとして使えそうな数値や言葉を集め、分析するチャンスです。

過去の記録や社員のアタマの中にある記憶は、もしかすると金脈になるかもしれません。統計分析はそうしたお宝を洗い出す有効な道具です。

それでも「統計学はどうも・・・」という方には、次の番組(ウェビナー)をご覧いただきたいと思います。統計学の初歩の初歩、ビジネスでの使い方の一端をご紹介します。Zoom、Facebookでのライブ配信ですので、お気軽にご視聴ください(視聴人数には限りがあります)。

「働き方の統計学」データ分析で考える仕事と職場の問題 

2021年1月19日(火)20:00~21:00

https://new-field.ch/webinar/20210119/

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第988話 社内営業をする目的

2021年01月13日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「随分とお顔が広いんですね」

これは、先日弊社が研修を担当させていただいたある企業で、研修担当者のAさんに私がお伝えした言葉です。Aさんは社内の多くの人と面識があるようで、廊下ですれ違う人やエレベーターで乗り合わせた人などと楽し気に会話をしていました。その会話も通り一遍の挨拶ではなく、お互いの近況を踏まえたものやプロフィールを把握した上でのやり取りであったため、隣で見ていた私は驚いてしまったのです。

Aさんの会社は、社員数が約2,000人と決して小さな規模ではありません。生え抜きで入社した会社とは言え、30代前半のAさんが10数年間でこれだけの人脈を築き上げたことに、驚きと敬意を持って私が発したのが冒頭の言葉でした。

それに対しAさんは次のような話をされました。「入社したての頃は思うように仕事が進まずに、困ってしまうことも多かったのです。具体的には、他部署からの書類が納期を過ぎてもなかなか提出されなかったり、データの誤入力があったりすることが日常的にあり、書類の督促やデータの修正を依頼したりすることが多かったのです。そこで上司にも相談しましたが、残念ながら問題はあまり解決することができなかった」とのことでした。

そこで入社して3年が経過した頃に、Aさんは意を決して「社内営業」を開始したのだそうです。具体的には、自ら他部署に足を運び納期に遅れてしまう理由を尋ねたり、データ入力を間違えてしまう原因を一緒に確認したりするなど、主体的に他部署の人とコミュニケーションをとったとのことです。

若いAさんからの積極的な働きかけに、他部署の先輩社員たちも当初は少々面喰っていたそうですが、あきらめずに粘り強く足を運んでコミュニケーションをとろうとするAさんの熱意に打たれたようです。半年後位からは納期が守られるようになり、データの入力間違いも減少したとのことです。

その後Aさんは別の部署に異動し、それ以後も仕事で問題点を見つけ際には、それが同じ部署のものでも他部署にもかかわるものであっても、足を運んで直接コミュニケーションをとる姿勢を続けたとのことです。

このAさんが行っていた行動こそが、まさに「社内営業」です。「社内営業」というと、上司に媚びを売ることのように否定的に捉える人もいますが、決してそうではありません。Aさんの例のように自身の担当の仕事をよりよく回していくために、常日頃から上司だけでなく先輩や同僚や後輩、そして他部署の人とも良い関係を築いていくことなのです。

そして、このような良い関係は簡単に築けるものではありません。社内でのネットワークを通じ良い関係を築くためには、Aさんのように積極的にコミュニケーションの機会や量を増やすように努めることが大切です。また状況によっては社内のプロジェクトに参加したり、勉強会に参加したり、飲み会の幹事を行ったりすることも良い機会となります。

もし、あなたが自身の仕事が今一つ思うように進まないなと感じているのであれば、一度試しに「社内営業」にトライしてみてはいかかでしょうか。

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第987話 研修を止めてはいけない理由

2021年01月10日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

昨年は「図らずも」オンライン研修へのシフトが始まりました。企業の研修担当者は大変な苦労と試行錯誤により、従来の「3密」スタイルからオンラインへと切り替えていました。もちろん、すべての研修がオンラインに向いているわけではないので、内容によっては不十分なテーマもあります。

最もオンラインに向いていないのは対人コミュニケーションに関するものでしょう。たとえば部下育成や問題解決など話し合いを中心に組み立てられた研修です。話し合いという行為は単に言葉を交わすことではありません。対話する者同士が同じ空間にいることで伝わる非言語(しぐさ、態度、口調、表情)は多くの情報を含んでいます。それはモニター越しではまさに大半が「濾されて」しまい、効果は半減します。

そのため、効果が半減するなら行わない、つまり「半分しか成果が得られないなら実施しない」という考え方があります。そして、集合型の研修が再開できるまで待つというわけです。

しかし、たとえ半分だとしても今何らかの研修を実施しておかないと、時間が経つにつれそのマイナスの影響が大きくなっていきます。

今はテレワークを強いられる職場も少なくありません。テレワークによるコミュニケーションが十分ではないからといって、仕事の成果はそれに見合った程度良いということはありません。手段が変わろうが、仕事は仕事です。

テレワークの具体的な手法については多くの情報がネットにあふれています。コミュニケーションの取り方についてもたくさん紹介されています。「はっきりとした話し方で、ジェスチャーを交えて、一方的にならないよう、etc・・・」

ところが、企業の組織風土を十分に考慮せずにそうした技法だけを学んでも仕事の成果は十分に得られません。そのことはどの企業の経営者も、管理職も、一般社員も(口には出さなくても)わかっていることです。

研修を止めることは、仕事にゆるやにブレーキをかけてしまうことです。

オンラインであっても、あなたの会社の組織風土(格好良く言えば)企業文化を知り、それに合ったプログラムを組み立て、仕事の成果の成果に結びつくような研修を作り提供すること、それが今年の当社の使命だと思っています。

いま研修を行うことをためらっている経営者の皆さん、一度当社にお声がけください。

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第986話 突発的な事柄に対応するために必要な準備とは

2021年01月06日 | 研修

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「突発的な仕事に先手を打つ」

これは弊社が「仕事の渋滞解消」研修をはじめとして様々な研修を担当させていただく際に、メッセージとしてお伝えしている言葉です。

皆さんも経験をお持ちと思いますが、仕事をしている中で様々な「突発的な仕事」を依頼されることが少なくありません。そこで今後、突発的な仕事を依頼された際に内容を具体的に記録し、それがある程度たまったら見直しをしてみることをおすすめします。実は突発的だと考えている仕事であっても、ある程度傾向があるのです。そして傾向をつかめれば、先手を打つことができるのです。

さて、昨年から予期せぬ禍をもたらしている新型コロナウイルスは、まさに突発的な事柄でしたが、残念ながらうまく先手を打つことができず、世界中に感染が拡大してしまいました。コロナ禍は今しばらく続きそうですし、仮に今後終息に向かうとしても、また別の感染症という新たな突発的な事柄が起きないとは限りません。

このような突発的な事柄に対しては、いかに先手を打って備えておくかが重要なわけですが、これはビジネスの世界でも同様です。では、突発的な仕事に対して組織として少しでも柔軟に対応できるようにするためには、何を、どのように準備すればよいのでしょうか。

もちろんヒト・モノ・カネのような経営資源を潤沢に用意することも大切ですが、それがなかなかかなわない場合もありますし、実はそれだけでは足りないのです。

そこで、予想していなかった事柄が起きた場合、組織として適切に対応していくために必要なことは何かということを考えると、何と言っても「情報が滞りなくきちんと流れるようにすること」です。

情報とは、人間の体で言えば血液のようなものです。体に血液が流れなくなったり量が減ってしまったりしたら、最悪の場合には死に至る可能性すらあります。

同じ意味合いで、仕事の上で必要な情報がきちんと流れなければ、社員は判断に迷ったり間違った情報をお客様に流してしまったりなどの問題が起こりかねません。このように考えると、改めて情報はきちんと流れ、それがしっかり伝わらなくてはならないものだということがわかります。

では、そのためには何から始めるべきか。まずは、自分の組織の報告・連絡・相談(報連相)をあらためて見直し、必要であればしっかりと整えることからはじめるべきではないでしょうか。

「うちの部下は報連相ができていない」とおっしゃる経営者や管理職がいらっしゃいますが、報連相は下の階層が上の階層にのみ行うものではありません。上から下の階層への報連相もあるわけで、報連相は双方向で行われることによって初めて成立するものです。

ぜひ、このタイミングで「報連相」をしっかり行うようにという掛け声で終わらせるのではなく、どういう情報をいつ、どのように報告するのか、どういう事柄を誰に連絡するのか、また、相談する際のルールなどを整理し、情報がしっかりと流れる仕組みを整えてください。

もちろん、その場合には良い情報はもちろんのこと、マイナスな情報であっても伝えることができる風土づくりも欠かせません。それが、今後起こりえる未知の突発的な事柄に対応するために必要な準備ではないでしょうか。

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第985話 戦略的原点回帰のすすめ

2020年12月27日 | 研修

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「原点回帰」とは基本に立ち返る、初心に立ち戻ること。もう一度スタートラインに立って将来をを見据えることです。2020年は、計画通りに経営できなかったという会社がほとんどだったと思います。リーマンショックも経済全体に大きなインパクトを与えましたが、コロナ禍は生命にかかわることであり、先が見通せないという点でより深刻です。

しかし「いつ収束するのかわからない」というのは、考えようによっては「いまジタバタしてもはじまらない」状態と言えます。あなたの会社も原点に帰ってみてはいかがでしょうか。

まず経営理念やビジョンをもう一度味わって、来年からまた新たなスタートラインに立つのだと考えてみましょう。その際、「初心に帰る」のはもちろんですが、より戦略的に経営全体を見直すことをお勧めします。

手段としては、社員全員で話し合う場を持つことです。「上司と部下が面談する」とか「管理職全員で話し合う」といったことではありません。文字通り、全社員が同じ場で「会社の経営」について発言し合う場を作るのです。

とはいえ、今は同じ空間に集まることは難しいので、ウェブ会議システムやSNSを使っても良いと思います。大事なことは、それを一度で済ませず何度でも何時間でも行うことです。ただし、全員が発言することを原則としますが、強制はしない方が良いでしょう。

また、1回の発言に持ち時間、SNSなら文字数の制限を設けることをお勧めします。制限は役職が上になるほど少なくします。若手社員が5分なら管理職は3分、役員は2分、社長は1分位が良いと思います。

誰がどのような意見を述べても良いのですが、必ず会社にとっての「原点」に立った発言であることが原則です。

発言は、社長が口火を切るべきでしょう。

当社が世の中に在る理由は何か。

あなたが社長なら1分以内で説明できますか?

2021年はそこからスタートです。

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(次回は2021年1月6日になります。良いお年をお迎えください)

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第984話 女性の活躍推進のための支援とは

2020年12月23日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「同レベルの方に講演をお願いします」

これは知り合いのAが、先日ある企業の女性活躍推進の担当者から言われた言葉です。

これを受けて、Aが「同レベルとはどういうことをおっしゃっているのですか?」と質問したところ一枚の書類を示されたそうですが、そこにはその企業が過去に講演を依頼した、そうそうたる経歴を持つ人達の名前があったとのことです。

女性活躍推進法の施行により、女性の労働環境の改善に取り組む企業が増えてきています。女性の活躍推進の一つとして女性の管理職への登用がありますが、残念ながら多くの企業では思うように進んでいないのが現状のようです。

厚生労働省の「雇用均等基本調査」では、平成28年度の管理職に占める女性の割合は課長相当職以上で12.1%、係長相当職以上で12.9%でした。内訳は部長相当職6.5%、課長相当職8.9%、係長相当職14.7%とのことです。これを見ると多少は増えたとはいえ、目標値には程遠いように思えます。

では、どうして女性管理職の登用がなかなか進まないのでしょうか?この点についても様々な調査結果が示されていますし、私自身も女性を対象にした研修を担当させていただいた際に女性受講者の声を直接聴く機会があります。そこで必ず出てくるのは「管理職になる自信がない」、「既に管理職になって活躍している女性たちと自身は違う。自分にはあのような能力はないし、あんなに頑張れない」というものです。

女性活躍を推進するための一つの方策として、冒頭の企業のように各界で活躍している女性をお呼びして、その人のこれまで歩んできたキャリアやモチベーションアップの方法などを聞くことはもちろん意味のあることだとは思います。

しかし一方で、「管理職になる自信がない」「管理職になる能力がない」などと心配している女性にとっては、こうした女性達は「雲の上の存在」であると感じられてしまう面もあるようで、簡単には共感は得られないようです。

それでは、どうすればよいのでしょうか。たとえば、外部で活躍している女性から話を聞くことに加えて、社内の身近な女性や生え抜きで管理職になり活躍している女性の成功体験や失敗体験を継続的に聴くことにより、よい刺激を受けることができるのでしょうから、ぜひこうした機会を設けることが必要だと考えます。

また、状況によっては女性社員だけでなく男性の管理職から話を聞くことも有効です。男性にも仕事の進め方やコミュニケーションの取り方など、参考になるところはたくさんあるはずです。つまり女性のロールモデルは同性だけとは限らないと考えています。

そして、これらにあわせて直属の上司の継続的な育成支援も必要になります。本人に自信を持ってもらうように、適切なストレッチ目標を立てるために話し合ったり、定期的に上司からのフィードバックを得られたりするような体制を整えることも必要になってきます。

このように、女性活躍推進は一朝一夕でできるものではありません。冒頭の話のように外部の人の話を聞くことなどに加え、社内における上司からの継続的な支援など、職場ぐるみでの取り組みが必要であるということを踏まえ、取り組みを進めていただきたいと思います。

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第983話 「貧すれば鈍する」の怖い話

2020年12月20日 | 研修

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大企業の経営者の皆様にお願いします。会社としてもっとお金を使ってください。日本企業の内部留保は約300兆円以上あると言われています。内部留保は企業の懐にあるお金です。このお金を設備投資や雇用に使ってもらえれば、コロナ禍で倒産する企業や失業者も救われます。

このような発言をすると「300兆円は余剰資金でもないし、まして現金で300兆円もあるわけがない。」という声が聞こえてきそうです。

これに対しては「はい、そうです」とお答えしておきます。私は大学院で20年近く会計学を教えていますので、貸借対照表(バランスシート)は読めます。ROE(自己資本利益率)の話をするときなどは、内部留保とは何かを詳細に説明します。

それはさておき。

まず、大企業のバランスシートを見てください。有名企業なら(ほぼ)どこでも良いです。財務諸表の入手先はEDINETで良いでしょう。「第一部企業の状況」の「第5経理の状況」に載っていますからPDFでダウンロードできます。

多くの日本の大企業(かつ優良企業)は現金をたくさん持っているのに、投資もさほど積極的にしないし、株主への配当もあまりしません。ただ保有しているだけの現金が多すぎます。

たとえば、任天堂の財務諸表を見てみましょう。売上高は1兆3千億円です(2020年3月期)。そして、「現金及び現金同等物」がなんと8千9百億円もあります。しかも有利子負債がゼロ、つまり無借金経営です。

もちろん、ゲーム業界のようにヒット商品のあるなしで大きく利益が変動する企業は「心配だから現金を蓄えておこう」という気持ちはよくわかります。

でも、ここは自社製品のビッグユーザである若年層に対して、思い切って投資をしてみてはいかがでしょう。いま日本中の小中学校でIT教育を推進できる人材や機器が不足しています。ほとんどすべての地方自治体が極度の財政難であることを見れば明らかです。

企業としてはすぐにリターンを得ることはできませんが、若年層がITに関する実力を付けて将来働くようになれば、やがて国全体の経済を押し上げ、次世代の子供たちが有望な顧客層となることは間違いありません。

任天堂に限りません。貸借対照表の資産の部にある「現金び現金同等物」をたくさん持っている大企業はできる限りお金を使いましょう。使わなければ現金そのものの価値が下がっていきます。

そして何よりも怖いのは、内部留保に対して「社会保障費に充てるため、課税すべきだ」という主張です。内部留保は法人税を払った後の価値なので、それに課税することは二重課税となるので正しい考え方とは言えません。

しかし、どんどん景気が悪化して財政が苦しくなってくると「二重だろうが三重だろうが、法律を変えてでも持ってる奴から税金を取れ」といった乱暴な議論が必ず起こってきます。

「貧すれば鈍する」がリアルになりつつあります。

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第982話 テレワークは暗黙知を共有することが難しい

2020年12月16日 | コミュニケーション

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「テレワークの縮小や中止2割」

これは、先日の朝日新聞の記事の見出しです。これ以外にも、東京商工会議所の調査でもテレワークの中止に関して同様の結果が示されていました。

テレワークを中止した理由には様々あるようですが、中でもコミュニケーションが希薄になっていること、また仕事の生産性の低下が数多く指摘されています。

それでは、実際に生産性はどのくらい下がっているのでしょうか。複数の調査の結果を見てみると、出社して仕事をしていた時と比べ概ね6~7割に下がっていると言われています。 

さて、ではこの数字をどう見れば良いでしょうか?「3~4割も下がってしまった」と考えるのか、「もっと下がっているかと思った」のか、感じ方は様々だと思います。

私もこの数字は決して小さくはないと思いますが、テレワークでの制約を考えれば差があることは仕方がないはずです。問題は今後この制約による低下をどう改善していくかだと考えています。

この観点で考えると、テレワークで指摘されている問題点の多くが「コミュニケーション」に関するものです。「コミュニケーションの質や量の低下により意思疎通が難しくなった。関係が希薄になった。その結果として仕事の生産性に大きな影響が生じている」というわけです。しかし、私は様々な企業の研修を担当させていただいている中で、問題はその2つだけではないと感じています。

コロナ禍で多くの企業でテレワークが導入されるようになって半年以上が経過していますが、私は「暗黙知が得られにくくなった」ことが新たな問題として顕在化しつつあるのではないかと考えています。

暗黙知とは「人が経験を通して身に着けた技術やノウハウ、ものの見方」など言葉などで表現が難しいものです。これまでのように職場で多くの社員が一緒に仕事をしている場合には、OJTリーダーや直属の上司のみならず周囲の様々な人から「学ぶ機会」がありました。

たとえば、交渉の仕方やクレームへの電話対応、上司からの指示の受け方、報告や相談の仕方、他部署の人と自部署の人のやりとり、周囲の雑談など、様々な情報をキャッチすることができます。また優秀な成績を修めている社員の仕事の姿勢や言動などを学ぶ機会も得られます。しかし、こうしたいわゆる暗黙知の大半はノウハウとして言語化することは難しいものなのです。

これまでのように対面で仕事をしていたのであれば、これらの暗黙知をその中で自然に学べていたのに、テレワークになったことにより圧倒的にその場面が減少してしまった。私は、これが生産性が下がっている大きな理由なのではないかと考えています。

特に、新人や若手にとってテレワークによってこうした学びの機会が減ってしまったということは、人材育成の上でも大きな問題です。

今後、コロナ禍が収束したとしてもテレワークが継続されるのは間違いないでしょう。そういう中で、まずはテレワークのマイナス面として暗黙知を学ぶことが難しいということをしっかり把握することが必要です。そのうえでどうすればそれを補うことができるのか、その対策を考えていくことがテレワークの生産性をあげていくことや、人材育成の上での鍵になるのではないかと考えています。

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第981話 「不誠実に振る舞うべからず」(論語と算盤)

2020年12月13日 | 研修

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渋沢栄一といえば2021年の大河ドラマの主役ですが、私にとっては著書「論語と算盤」(ろんごとそろばん)の著者というイメージです。この本の趣旨は、資本主義は放っておくと金儲け一辺倒になりがちなので、論語の根幹である道徳を以て商売をコントロールしなければならないというものです。

そのことを強く感じたのは、次のような売り込みメールが送られてきたときです。

「新規顧客開拓の新しい形『AI営業代行サービス』、開封率100%」

「新規開拓をしたい、営業コストを削減したい。でも、コロナの影響で十分に活動できない・・・そうした悩みを解決する営業代行サービスです」

開封率100%⁉ 営業で困っている会社にとっては、驚きの数字ではありませんか。その理由は「なぜ効果が出るのか?」という一文を読むとよくわかります。

「私共のサービスはメール送信とは違い、WEBサイトにあるお問い合わせフォームに対してメッセージを送ります。お問い合わせフォーム経由の場合は、ほぼ100%相手様に届きますので、開封率も高く非常に効率がいい営業手法なのです」

・・・そうです。企業がお客様からの声を受け取るために作った「お問合せ」に、売り込みのメッセージを送りつけるのです。

もとより「お問合せ」フォームは、その会社の「お客様窓口」のようなものです。その窓口にやって来て何かを売りつけようとするのは、商道徳上いかがなものかと思います。

もちろん、それを禁止するルールはありません。しかし「売り込みは等は硬くお断りいたします」と明示してある「お問い合わせ」は少なくありません。

実は当社の「お問い合わせ」フォームにも毎日のように「売り込み」が書き込まれています。当社の対応は、そうした書き込みをされた会社については今後一切信用しませんし、以降メールを受け取ることもいたしません。

「お問い合わせ」経由で売り込まれることを歓迎する会社もあるかもしれませんが、ほとんどは迷惑の一言に尽きるのではないでしょうか。

仮にこのサービスを利用して多少の成果があったとしても、それ以上に信用を損ねることになると思います。お金を払って自分の会社に泥を塗るようなものです。

ネット経由でビジネスが行われる時代だからこそ、渋沢栄一の言う「論語」の精神がより大切なのです。「不誠実に振る舞うべからず」「自己の利益を第一には図るべからず」です。当社が担当する来年以降の企業研修においても、この点は強調していくつもりです。

最後にもう一度。「お問い合わせ」フォームは、売り込みのための窓口ではありません。

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第980話 「カンフル剤」で人材を育てるのか、「漢方薬」で育てるのか

2020年12月09日 | 研修

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「今度の研修では、うちの社員を主体的に動くことができるような人材に変えてほしいんです」

弊社が担当させていただく研修前の打ち合わせの際に、経営者や研修担当者から時々このように依頼されることがあります。

このような依頼を受けた際に、「承知しました。1日で主体的になるようにしてみせます」とお答えすることができればよいのですが、もちろん実際にはそのようなことはまず不可能です。

そこで、「主体的に動くとは、どういう場面でどのように動けることをイメージしておっしゃっているのですか?」や、「主体的に動けていないのは、どういう理由だと思われていますか」などの質問をして具体的な状況を伺った後に、研修の進め方を提示するようにしています。

冒頭の言葉のように、1日の研修で主体的に動ける社員に成長するなどの「即効性」が得られる研修があれば確かに素晴らしいです。しかし現実にはそういったものは存在していないと言っていいと思います。逆にもし仮にそんなに劇的に変化があるような研修であれば、一時的には変化を得られたとしても、徐々に何らかのマイナスの副作用が現れることも心配しなければならないはずです。

これを薬にたとえて言うならば、即効性のある特効薬、いわゆる「カンフル剤」はある意味劇薬とも言われるように、これを使うことで確かに一時的な効果は期待できます。しかし、残念ながら継続的に効果を得続けることはできないことも多いようです。そこで、病気の治療であればカンフル剤を使いながら、同時に体質を改善する目的で漢方薬を使うなどして、全体として治癒にむけて治療をしていくことになるのでしょう。

この点は人材の育成も同様で、単に知識やスキルのみの獲得を目的に行う研修であれば即効性を期待することはできるかもしれません。しかし主体的に動けるような人材になってもらうということを目的に研修を実施する場合は、1日や2日の研修で即そのような人材に変わるということはまずあり得ません。

したがって、研修はあくまでも本人の意識変革のきっかけであり、その後のフォローが実は大切なのです。それでは、研修できっかけをつかんだ後に、どうすれば本当に主体的な人材になってもらうことができるのでしょうか。

そのためには、上司が研修終了後に適宜フィードバックや細かいフォローをしていくことが必要になります。日々の仕事を通して上司から継続的にフィードバックが得られたり、丁寧なフォローを得られたりすることができれば、研修で得た知識やスキルがその中で活かされ、本当の意味での意識変革が遂げられるようになると考えています。つまり、上司のフォローやフィードバックが、まさに薬で言うところの漢方薬のような存在だと言えるのです。

人材育成においては、「カンフル剤」による一時的な効果だけを追求するのではなく、ぜひ「漢方薬」を併用しながら、両者による相乗効果で部下の育成に努めていただきたいです。

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