企業研修の人材育成社

人材育成に役立つ情報、アイデアを発信しています。

たたき台の使い方

2018年08月19日 | コンサルティング

 前回のブログにも書きましたが「これから批判・検討を加えて良い案としていくための、最初に出される案」がたたき台です。ビジネスにおけるたたき台とは、一番初めに出されるアイデアまたは計画ですから、スピード優先で内容はラフなものになります。

通常、第1回目の会議で提出されるたたき台には不備な点が多々あります。初期の段階では不明確な点が多く、そのすべてをカバーすることはまず無理だからです。しかし日本の、特に大企業では次のような光景をよく目にします。

A係長「では、第1回の企画会議を始めます。これが現時点でまとめた計画案です。」
B課長「どれどれ・・・ん?何これ、前提条件が2つしかないじゃない。しかも見積コストの幅があり過ぎるよ!」
A係長「はあ、すみません。おいC君、これ作ったの君だよね。ちょっと課長に説明して差し上げて。」
C君 「は、はい。えーと、まず前提Xですが先週顧客訪問した際、いろいろと聞き取りをして作りました。ただ、昨年度の実績を加味すると前提Yもあり得るわけでして・・・(心の声:なんだよ係長、これで良いって言ったじゃねーか!)」
A係長「見積コストがこんなになったのはなぜ?過去のデータ全部当たったの?」
C君 「いや、時間がなくて全部というわけには・・・」
B課長「おいおい、これじゃたたき台になってないじゃないか。しょうがないな、今日の会議はなかったことにして、仕切り直しは来週にしよう。」
A係長「課長、来週は大阪で展示会があるので時間が取れません。」
B課長「あ、そうだったな。じゃ、再来週ということで。日程は後で調整して決めるように。」

・・・と、ここで終われば良いのですが、次回の会議でも「見積が甘い」といった声が出てくること間違いなしです。こうして「たたき台」が完成する頃には、すでに何回もたたかれた後、という笑えない状態になります。その結果、タイミングを逸した頃に「立派な計画」が出来上がります。

たたき台はもちろん、その後に作られる計画も状況に応じて何度も変更する必要があります。計画は作ることが目的ではなく、運用することが目的だからです。

「すべての計画は変更のためのたたき台に過ぎない」これはイスラエル国防軍が好んで使ったスローガンだそうです。その成果は「ほぼすべての計画が戦闘中に放棄されたが、目標はすべて完全に、しかも想定より早く達成された。」という第2次中東戦争の報告に表れています※。

ビジネスにおいても、こんなスローガンを信奉する競合他社がいたら・・・ぞっとしますね。

※「超予測力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 」2018年、早川書房

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たたき台が欲しい

2018年08月15日 | コンサルティング

「昼食の時に『ランチはどの店に行こうか?』と部下数人に声をかけても、みんな遠慮して答えないんですよ。そこで、『じゃあ、○○家の牛丼にする?』と言うと、急に誰かが「先日行った定食屋がおいしかったですよ」とか、「牛丼よりもラーメンが食べたいです」といような、具体的な意見が出てくるんです」

これは、先日ある企業の管理者から伺った話です。ランチのみならず、研修のグループ討議などで意見やアイディアを募っても、初めはお互いに遠慮しあってなかなか口火を切る人がいないということは、よくあることです。

私自身の体験でも、研修の提案をする際に、事前に研修担当者からニーズを伺いたいと思っても、なかなか具体的な話を聞くことができないような場合があります。しかし、そういうときに試しに予め想定していた案をお見せすると、不思議と次々と具体的な要望が出てくることはよくあります。

目の前に何もないと、なかなか具体的に希望や要望が言えない人も、「たたき台」があることにより、自身の考えがきちんと整理できるようになるということなのでしょう。

では、この「たたき台」とはどういうものなのでしょうか。

改めて広辞苑で意味を調べてみると、「これから批判・検討を加えて良い案としていくための、最初に出される案」とあります。また、たたき台の語源は鍛冶屋が熱した金属を叩いて成形する際に乗せる専用の台から来ているようです。

まさに、一つの案に対して様々な意見を加えながら、精度を高めていくというのがたたき台ということです。

通常、企画や提案内容をまとめていく場合には、何度も会議やブレーンストーミングなどが行われます。

そうしたときに何か取っかりとなるものがないと、なかなか議論は盛り上がりませんが、その取っ掛かりとなるのが、このたたき台なのです。冒頭のランチの話も、牛丼というたたき台が出されたことによって、定食屋やラーメンなどのアイディアが出てきたわけです。

ランチの話ですら、簡単に自分の希望を伝えることが難しく感じる人がいるわけですから、研修のグループ討議で口火を切ったり、会議の場で発言したりするのは難しいと感じる人がいるのは、当然と言えば当然のことでしょう。

このように、たたき台の効果は思った以上にあるのです。会議でなかなか意見が出てこない、盛り上がりが足りないなと考えている管理者の方は、まずはたたき台を用意することから始めてみてはいかがでしょうか。

きっと定食や牛丼の話よりも、具体的なアイディアがたくさん出てくるはずです。

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10回のうち1回は「間違えている」と考える

2018年08月12日 | コンサルティング

最近のアマチュアスポーツ団体で生じているトラブルの多くは、非常に簡単な原因から生じています。一言でいえば「上意下達 (じょういかたつ)※」です。これは、上位の者の意志や命令を下位の者に徹底させることです。

評論家の山本七平氏は『「空気」の研究 (文春文庫 1983年)』で、日本人の集団では当事者以外には説明しにくい「場の空気」があり、誰が決めたということが曖昧なまま意思決定がなされてしまうと述べています。個人の意見をはっきりと言いづらい「空気」が生じると、いつのまにか「1人だけ、意見を言って良い」ボスが生まれます。

やがてそのボスは、自分の意見=集団の意見と思い始めます。

こうした集団の悪しき特性を防止するために、様々な策が提案されています。それらについては、ご自身で詳しく調べていただきたいのですが、残念ながらどれも実行するのが難しいものばかりです。たとえば、「リーダーはメンバーが批判者としての役割を果たすように鼓舞する」とか「グループの外部に、別の評価グループを設置する」などです。

企業においては最初から社長(経営者)というボスが存在しています。経営者が学ぶべきは日本的な組織の特性であり、自分自身の意思決定のやり方についてです。経営者は、少なくとも次の2つを忘れないようにしていただきたいものです。

(1)意思決定において「自分が正しい」と思うことが10回を超えていたら、きっと1回は間違えている。

(2)そんなことはないと思ったら(最近テレビでよく見る)某会長や某理事長にだいぶ近いづいている。

これは経営者に限らず管理職など、「リーダーシップ」を身に付けるべきすべての人々にとって、とても大切な心構えではないでしょうか。

※「下達」は「げだつ」とも読みます。

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お互いの仕事を知る機会

2018年08月08日 | コンサルティング

 「他部署の仕事を知ることができたことがとても有益だった」

これは、研修終了後の受講者アンケートなどでもたらされることが多い感想の一つです。

研修の感想については、やはり研修テーマに関するものがもっとも多いわけですが、冒頭のように「お互いの部署の情報が得られたことが有益だった」と感じる人が多いのも事実です。

これは長年同じ会社に勤めていたとしても、他部署の仕事については案外知る機会が少ないということの表れなのでしょう。

それでは、どうすれば有益であるお互いの仕事のことを知る機会を得ることができるのでしょうか。

そこで、思い出したのが「ワイガヤ」です。

かつてホンダ(本田技研工業)で有名になった「ワイガヤ」を聞いたことがあるという方も多いでしょうが、「ワイガヤ」とは文字通り「ワイワイガヤガヤ」と賑やかに意見交換をすることです。

所属や立場に関係なく、同じ組織に所属する人が大勢で行う会話のことを指していました。

ホンダでは、このような場が自然発生的に設けられていたことにより、お互いの仕事の内容に触れることができたり、問題点を共有できたりしていたそうです。おそらくこれを通して新しいアイディアなども浮かんだりしたことでしょう。

一方、このワイガヤは仕事の話だけではなく、ときにはプライベートの話などにも発展したために単なる雑談のようにもとらえられ、メリットだけではなくデメリットも指摘されました。

先日、弊社が担当した研修の中で、事前に上司が書いた受講者へのメッセージを受講者が受け取る時間を設けました。その際、一人の上司が書いたメッセージ(改善点)に「作業中の必要以上の私語の削減に注意を払って欲しい」といった記述がありました。

この受講者が仕事中にどれくらいの私語をしていたのか、現場を見ているわけではないので、実際のところはわかりません。

ここで指摘されているように、仕事中の必要以上の私語は慎まなければなりません。一方で仕事に関係する話なのか単なる時間の浪費にすぎないものか、このような会話は線引きが難しいのも事実です。

仕事の生産性の向上が叫ばれている中、「仕事中の会話は生産性を阻害するもの」と一律に決めつけてしまうと、自分の仕事だけを黙々とこなすようになります。その結果、隣の人が担当している仕事すらわからないようなことが発生してしまい、職場での情報共有ができないという弊害が生まれる可能性もあります。

Face to Faceのコミュニケーションは一見すると無駄のようにも思えますが、冒頭の感想のように有益な部分もあることから、巡り巡って生産性の向上に寄与している部分もあります。  

かつては、ホンダのワイガヤのように日本の組織の特徴的なものともされていたFace to Faceで行うコミュニケーションが減りつつあります。今後、お互いの仕事の内容や問題点を知る機会を設け、それをどう活かしていくか、働き方改革や生産性向上が求められている現在だからこそ、重要な課題なのではないでしょうか。

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「わかんない」子供と大人の違い

2018年08月05日 | コンサルティング

学生時代、夏休みの間だけ塾の講師をやっていました。小学校の高学年の子供たちに算数を教えるのですが、相手はいわゆる落ちこぼれ寸前の子供たちでした。黙々と問題を解いていると思いきや、まったく意味不明の数字を書き連ねる子。私の前に座り込んで熱心に、しかし的外れな質問を繰り返す子。落書きをはじめる子。眠そうな子。

皆さんがこの塾の先生だとしたら、おそらくほとんどの方は「ギブアップ」となるのではないでしょうか。

実は、私はこうした子供たちを扱うのが得意でした。一人ひとりの個性(クセ)に合わせて根気よく付き合いながら少しずつ勉強に誘導していきます。

たとえば、落書きをする子には絵(マンガ)の描き方を教えながら「これは弟の太郎君、こっちはお姉さんの花子さんね。2人が学校に行くよ。花子さんが先に歩いて出て、後から太郎君が自転車で追いかけると、何分後に追いつくかな」と数字を少しずつ混ぜながら説明します。ほとんどの子はこれで「旅人算」ができるようになりました(夏休みいっぱいかかることもありましたけれど)。

しかし、唯一お手上げの子がいます。「わかんない」しか言わない子です。

マンガを描いて、ていねいに説明しても「わかんない」

じゃあ、太郎君と花子さんて、どんな子かな?と聞いても「わかんない」

どこがわかんないの?と聞いても、「わかんない」

今、なにがしたいの?「うーん・・・わかんない」

とにかく勉強が嫌いだし、少しでも勉強に関係することは一切聞きたくないのです。「わかんない」と言っていれば、この場から逃げ切れると思っていたのでしょう。

とはいえ、子供には知らないことを知りたいという本能(?)があるせいでしょうか、やがて「わかんない」に飽きて、ゆっくりとですが勉強に近づいてきます。

しかし、これが大人だと大変厄介です。私は講師として数多くの研修を担当してきましたが、「わかんない」受講者に何度か遭遇しました。

研修なんて時間の無駄だ。とにかくテキストも見たくないし、講師の話も聞きたくない、時間が過ぎるまで「わかんない」を連発してやり過ごそう、というわけです。

会社は学校ではありませんから、研修の時間も「業務時間」となります。「わかんない」は一種の怠業であり、怠業は労務提供の不完全履行であり、賃金カットの対象になります(あくまでも原則論です)。

講師としては、研修という業務を請け負っている立場上、そうした「わかんない」を見過ごすことはできません。事実を記録し、氏名を人事部に報告します。

塾の講師のときのように、広い心で対応できないのが残念です。

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もし~だったら、〇〇だろう

2018年08月01日 | コンサルティング

「アイディアが浮かばない・・」、「解決策が考えられない・・・」

問題発見・課題解決研修を担当させていただくと、グループ討議の途中で受講者からこうした言葉が頻繁に発せられます。

確かに、泉が湧くように次々とアイディアが思い浮かぶという人はそうそういるものではないと思います。ですから、問題の解決策を考えるのは簡単なことではないと生の声を聴くたびに感じます。

そもそも、解決策が簡単に浮かぶような問題であればすぐに解決できるわけです。逆に言うと、問題が複雑で深刻であればあるほど、解決策を考えるのは難しくなっていくわけです。

産業能率大学の調査(課長に関する実態調査2018年1月)でも、管理者が部下に対して不足していると感じる上位3点は、「新しいアイディアを生み出す力」、「課題を明確にする力」、「問題を把握する力」だったそうで、調査結果は、まさに研修の現場で聴く生の声と一致しています。

話は変わりますが、先日(7月8日)放送されたNHK大河ドラマ「西郷どん」スペシャルの第二弾では、今後ドラマ内で活躍する主要人物の生きざまを紹介していました。

その中で、街頭インタビューによるアンケートの結果、知名度ナンバー3だったのは岩倉具視でした。40代後半以上の人であれば、500円札の肖像が懐かしく感じることと思います。

番組で紹介されたところによると、岩倉具視は公家で朝廷の一員だったそうですが、その身分はかなり低かったそうです。それでも最終的には天皇の側近にまで上り詰めることができたのです。そこまでいくことができたのは、彼にはものすごく知恵があり、それを武器としていたからなのだそうです。

たとえば、天皇家の和宮と将軍家の家茂の結婚を画策したのは岩倉だったそうです。それまでの歴史を考えれば、天皇家と将軍家の結婚を考えるというは、当時としてはきわめて斬新なアイディアだったのでしょう。

岩倉は5年間の蟄居も経験したようですが、そういうときであっても政治の熱は衰えず、これだという人には意見書を送り続けました。日本のあり方を夢想し続けたとのことで、こうしたときにこそ着々と「知恵」という武器に磨きをかけていたのではないでしょうか。

番組に出演していた歴史学者の磯田道史さんによると、岩倉のキーワードは「ヤモリ」だそうです。一見ひ弱そうなヤモリですが、中には暗闇でもモノを見分けられる能力を持つものもいて、実は優れた能力の持ち主なのだそうです。岩倉は混とんとした情勢の中、ヤモリのように幕府の倒し方を見抜き、そして死に物狂いで実行したのです。

磯田さんはさらに続けて、岩倉具視は「反実仮想力」がすごかったともおっしゃっています。「反実仮想力」とは、「もし~だったら、○○だろう」というように考えることです。岩倉は絶えず頭の中で反実仮想をして、前述の知恵を生かして新たな時代を切り開く原動力の一人となったのでしょう。

私たちも、岩倉ほどではないまでも、ビジネスにおいて問題や課題を解決する際に、ちょっとだけ「もし~だったら、○○だろう」とイメージしたり、妄想したりすることで、案外よいアイディアが浮かぶのではないでしょうか。

実は私もこのブログのテーマをどうするか、アイディアが浮かばずに困ることが結構あります。そんなときは少しは岩倉具視のまねをして知恵を働かせてみることにします。

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セミナー講師になりましょう!

2018年07月29日 | コンサルティング

人は常に他人に何かを伝えたいという動機を持っています。SNSで発信することも、Youtubeに動画をアップすることも、伝えたいからです。しかし、SNSでは相手から返ってくるのは文字だけです。生身の人間から直接反応を得ることはできません。本当に伝わったと感じることができるのは、目の前の人がうなずいたり目線を合わせたりしたときです。

セミナー講師は、そうした生の反応を得ることができます。その上受講者に感謝され、お金も貰えます。あなたもセミナー講師になってみませんか?まったくの未経験者、そもそも人前で話すことが苦手、それでも問題ありません。一度は大勢の受講者の前で話をしてみたいという気持ちをお持ちの方なら大丈夫です。。
具体的な方法を書こうとすると、どうしても数万字になってしまうので、とりあえず次のようなタイトルの本やYoutubeの動画を見ることをお勧めします。

「あなたもセミナー講師になれる」、「セミナー講師になって稼ぐ法 」、「あなたも人気講師になれる!」・・・
読み終えたら(見終わったら)、ご自身のコンテンツをセミナーでしゃべっている自分を想像してみてください。

2時間以上全く問題なくしゃべることができる、しかもYoutubeで見た講師よりも上手く話ができる、と確信したならばすぐに商工会議所やセミナー会社に売り込んでみてください。・・・先に結論めいたことを言うのは気が引けるのですが、99%失敗します(それでも100回売り込めば1回は成功するかもしれません!)。

一方、「とても良い内容なのだけれど、聴き手に伝わる言葉にうまく変換できない」という方は、実はセミナー講師としては有望です。

講師が最も大切にしなければならないのは、受講者にとって役に立つ、あなたが持っているコンテンツそのものです。それを言葉にし、わかりやすい表現に変え、絵や図表で補助し、正しく伝わったかどうかを確かめるという一連のプロセスを、時間をかけて作り上げる必要があります。単なる「伝わる話し方」など、後からいくらでも身に付けることができます。

当社は「セミナー講師になるためのコンテンツ作成講座(仮)」を準備中です。
あなたの持っている「役に立つコンテンツ」を実体化(!)して、本当に売れるセミナー講師になりましょう。

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100%の敵も100%の味方もいない

2018年07月25日 | コンサルティング

「うちの人事はトップと仲良しかどうかで決まります。トップが野球部OBなので野球部に入っているかどうか、野球やサッカーで同じチームを応援しているかどうかで決まるんです。ある程度の規模の企業でありながら、こんなことが日常的に行われるなんて信じられないでしょうが、現実のことなんです。他の企業でもこういうことは行われているのでしょうか?」

これは、ある企業に勤めている方から伺った話です。この方が言うには、異動だけでなく、昇進・昇格でも「野球部人事」が日常的に行われているそうです。

客観的に「この人が昇格するのはおかしいのではないか」という人が、いきなり係長のポストについたり、大きな失敗をした人がお咎めを受けることなく、課長に昇格したりするそうです。

組織においては、公正で公平な評価や人事をすることは当たり前のことと考えられがちです。しかし、残念ながらこのように合理的ではない判断の基に、不公平ととらえかねない人事が行われることは決して少なくないのです。これは企業の人事だけでなく、政治の世界では昨今の報道などでわかるように、なおのことなのでしょう。

このようなことがあると、その恩恵にあずかれる人にとってはやる気につながるでしょうが、そうでない人はそれこそやる気がどんどん落ちてしまいかねません。

さらに言えば、やる気の問題のみならず、その人のキャリア形成にも大きな弊害を生じさせてしまいますから、このような行為は本来許されない行為のはずです。

このような仲良し人事、別の表現をすれば好き嫌い人事とも言えると思いますが、どうすればなくすことができるのでしょうか。

先日(7月8日)放送されたNHK大河ドラマ「西郷どん」スペシャルの第二弾では、今後ドラマ内で活躍する主要な人物の生きざまを紹介していました。

その中で知名度ナンバー2(NHKの街頭インタビューによるアンケート結果)だったのは、勝海舟でした。

番組で紹介したところによると、勝海舟は「敵が大好物。敵とか味方とか分けない。全部敵かもしれないし、全部味方かもしれない」と言っていたそうです。こうしたことから勝海舟を表現するときに「全身肝っ玉」と言う人もいたようです。

勝海舟は来る者を拒まず、誰とでも会い、自分を殺しに来た人とも腹を割って話し、その結果相手を魅了してしまったのだそうです。

この番組に出演していた歴史学者の磯田道史さんによると、勝海舟は「誰を味方にしようなどと言うから間違えるのだ。みんな敵がいい。その方が大事ができる」を主義としていたのだそうです。

後世に名を残す大事を成した人の行動および言動は、さすがとしか言いようがありません。

翻って組織を考えると、派閥や学閥などの「人の群れ」は現に存在するのですから、勝のように「敵とか味方とか分けない」ことはなかなか難しいです。

その結果として、好き嫌い人事は今後もなくなることはないのでしょう。しかし、組織のトップにいる人や人事権を持っている人は、好き嫌い人事の結果、有能で有要な人が組織を去ってしまうリスクがあることを肝に据えなければならないということです。

そして、トップが代われば、明日は我が身だということを考えておかなければなりません。

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上司のたった1つの条件

2018年07月22日 | コンサルティング

上司の定義は「組織において自分より役職が上位となる人物のこと」ですから、会社組織においてはすべての役職に必ず上司がいます。(社長にも株主という上司がいると考えます)

上司の仕事とはなんでしょう。真っ先に思い浮かぶのは「部下に仕事を与え、完遂させ、その成果を評価すること」です。さらに「部下を指導育成する」ことも重要な役割です。部下から見れば上司は「仕事の発注者であり、仕事の先生」でもあります。

さて、部下にとって「理想の上司」とはどのような人を言うのでしょう。私は毎年4月にいくつかの会社で新入社員研修を行いますが、最も「下っ端」である新人にとって「これか巡り合う上司がどんな人物であって欲しいか」を尋ねることがあります。グループで話し合って「理想の上司像」をたくさん出してもらいます。私はそれを片っ端からホワイトボードに書いていきます。

明るい、誠実、行動力がある、優しい、上手に叱ってくれる、むやみに怒らない、ほめ上手、人格者、思いやりがある、好き嫌いで判断しない、仕事ができる、知識が豊富、調整能力がある、責任を取る、教えるのが上手、コミュニケーション能力がある、聞き上手、ユーモアがある、飲みに連れて行ってくれる、時にはおごってくれる・・・他にもたくさんあります。挙げればきりがありません。

ほぼ出尽くしたところで数えてみると、いつも30くらいは並んでいます。次にこう質問をします。「これだけの条件を全部兼ね備えた上司は実在すると思いますか?」当然ですが、全員が首を横に振ります。

では、この条件を半分にします。どれとどれを消しますか?」グループ内で議論が起こります。決着がついたところで、ホワイトボードから半分を消します。たとえば30→15です。

「では、さらに半分にします。どれとどれを消しますか?」今度は不満の声が上がります。それでも仕方なく消す条件を選びます。15→8です。

「またまた半分にします。どれとどれを消しますか?」7→4、そして4→2と進みます。

こうして最後に1つだけ残ります。

過去十数年、業種や規模も異なる新人たちに行ってきましたが、面白いことに最後にたった1つだけ残る言葉はほぼ一致しています。

それは「逃げない」です。

これは、「責任を取る」ということでもありますが、たとえ(上司が)責任を取る必要がなかったとしても、知らんぷりはしてほしくないということです。

部下、あるいは後輩をお持ちのすべての皆さんに次の言葉を送ります。

「逃げちゃだめだ」

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変わることを恐れない

2018年07月18日 | コンサルティング

「『計画したものを途中で変更するのはよくない。計画倒れじゃないか』と上司から言われてしまって、困っています。計画したものを途中で見直すことは、決してまずいことではないはずなのですが・・・」

これは、先日お会いしたある企業の研修担当者から伺った言葉です。昨年から始めた研修の内容を変更したいと上司に相談したところ、上記のとおり「計画したものを途中で変えることは良くない」と言われてしまったのだそうです。

確かに、何の検討もせずに計画を変更するのは良くないでしょうが、きちんと検証した結果でより良いものに見直すことは、果たしていけないのでしょうか。

仕事を進める際のフレームワークに「PDCA」があります。PDCAサイクルは仕事を円滑に進める手法としてよく知られていますが、1950年に「デミング賞」で知られるエドワーズ・デミング博士によって日本の産業界に紹介されています。

皆様はご存知と思いますが、PDCAとはPlan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)の順に仕事を繰り返すことで、仕事の質が螺旋(らせん)を描くように継続的に向上して行くというものです。

Plan(計画)した研修を、Do(実行)して、Check(評価、検証、分析)を行なった結果、見直しをする必要があるのであれば、後にAct(その結果に基づいた改善策の実施)をすることは、理にかなっているわけです。必要に応じてその都度状況対応することは、仕事を進めていく際に非常に大切なことなのです。

話は変わりますが、先日(7月8日)放送されたNHK大河ドラマ「西郷どん」スペシャルの第二弾では今後ドラマで活躍する主要な人物の生きざまを紹介していました。

その中で知名度ナンバー1(NHKの街頭インタビューによるアンケート結果)だったのは、やはり坂本竜馬でした。

土佐藩の下級武士だった竜馬は当初は外国人排斥派でしたが、その後は西洋文明が進んでいることを知り、それを評価して開国派に転じたのです。

この坂本竜馬という人は、主義主張に拘わらず人の話をよく聞き、自ら相手の懐に飛び込むなどして手当たり次第にものごとを吸収したのだそうです。

敵味方関係なく柔軟に対応するその様は、まさに「ウナギ」のようであり、常に「やわらかに自分を変えた」とのことです。そうした竜馬の生き方こそが新たな時代を切り開くことにつながったのでしょう。

この番組に出演していた歴史学者の磯田道史さんによると、坂本竜馬は「変わることを恐れるな」を主義としていたのだそうです。

現在社会では経済活動をはじめ、あるゆるものが日々めまぐるしく変化し、物事はあっという間に陳腐化してしまう状況になっています。それに伴い企業活動も必要に応じて時に大胆に変わることが求められていますし、変われなければ生き残ることは難しい時代になっています。

冒頭の話で言えば、Plan(計画)したものをDo(実行)し、きちんとC(評価、検証、分析)をした結果、計画を見直すことはビジネスパーソンとしてはなくてはならない状況対応力にのっとった行為です、計画倒れを恐れて変更を認めないというのでは全くずれている話です。

「変わることを恐れてはいけない」 竜馬のこうした生き方は、まさに今の時代にこそ求められているものではないかと感じています。

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