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「片付ければ仕事の効率は上がる」という都市伝説

2014年08月10日 | コンサルティング

ビジネスにおける「都市伝説」はいくつかありますが、その中でも比較的多くの支持(?)を集めているのが、「職場を片付ければ仕事の効率はアップする」というものです。「仕事 効率化 片付け」で検索すると30万件以上がヒットすることから、どうやら多くの人がこれを「真実」として受け入れているようです。

確かに、机の上が片付いていると少しの間仕事が順調に進みます。広々とした机に書類を広げて仕事をすれば、精神衛生上良い効果をもたらすでしょう。また、探し物が大幅に減ることで時間の無駄もなくなります。

しかし、しばらくするとまた元の混沌とした机に戻ってしまいます。よく「リバウンド」などと言いますが、実はそうではありません。仕事の現場においては、単なる「片付け」は船底に穴の開いたボートから洗面器で水をかき出すのと同じことです。

少し考えてみれば誰にでも分かることですが、仕事という目に見えないものが「実体」で、机の上の状態はその「影」に過ぎません。

仕事の効率を低下させている真の原因は「散らかった机」ではなく仕事の渋滞」です。

したがって、仕事の効率化を図る唯一の方法は、仕事の流れをスムーズにすることです。

家の中の片付けは、散らかす原因を作っている本人が直接行うことですから、上手く行くこともあるでしょう。しかし、ビジネスの現場においては、仕事というとても大きな実体がスムーズに動かない限り、単なる片付けは対症療法にしかなりません。「転んだときにばんそうこうをどうやって貼るのか」も無意味ではありませんが、転ばないようにするための対策をしっかりと立てることが先です。

書店には「簡単、楽々、魔法のような」片付け本がたくさんありますが、「結果」にばかり目が行ってしまい本当の「原因」である仕事の渋滞がまったく解消されないとすれば、そうした書籍は罪深いとさえ言えるのではないでしょうか。

また、似たような”ビジネス都市伝説”で「毎日毎日トイレ掃除を一所懸命やったら会社が儲かるようになった」という話も聞きます。もちろん、毎日掃除をするという前向きな習慣が仕事にもプラスの影響を与えたことは確かだと思いますが、仕事もせずに1日中トイレを磨いていたから業績が上向いたわけではないでしょう。

もっとも「トイレ清掃ビジネス」でも始めたのなら別ですが。

(人材育成社)