中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第888話 非常時の正常性バイアス

2020年02月26日 | コミュニケーション

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

本ブログは本日が888回目です。7年前にスタートしたこのブログですが、おかげさまで現在PV(ページビュー)は平均700前後になり、たくさんの人に読んでいただいていることが我々の励みになっています。8は末広がりを意味しているため、日本では幸運を表します。8の三つ揃えということで、幸運をトリプルでもたらしてほしいと思っています。

さて、新型コロナウィルスの影響が日に日に大きくなってきています。弊社にも、本日朝からセミナーや研修の中止・延期の連絡がぞくぞくと入ってきています。

こうした状態の一方で、いまだに公衆トイレでは手をちょっと濡らす程度しか洗わない人も少なからずいます。また電車の中では山手線の7人掛けの長椅子に座っている人でマスクを着用しているのはだいたい5人ほど、私の印象では着用率は概ね7割程度と見受けられます。(もちろん、中にはマスクを着けたくても購入できずに、いたし方なく着けていないという人もいるのでしょう。)

実際、本日の日経新聞の記事でも電車での出勤後に手を洗わない人が18%いるとの記事がありました。手洗いをしなかった理由は「うっかり忘れた」、「意識がなかった」、「面倒だった」、「設備が便利な場所になかった」などがあるようですが、それはどうしてなのでしょうか。おそらく、その根底には「自分は大丈夫」と考えてしまう正常性バイアスが働いているのではないでしょうか。

「バイアス」とは偏見・先入観といった意味です。正常性バイアスとは、多少の異常事態が起こってもそれを正常の範囲内のこととしてとらえてしまい、自分にとって都合の悪い情報を過小評価したり、一方では無視したりしてしまうことを言います。

新型コロナウィルスの関係で言えば、今回のように感染が広がり、様々な影響が顕在化している状況であっても、「私は大丈夫」とそれを正常な日常生活の延長上の出来事としてとらえてしまうことです。きちんと手洗いをする人が少なかったり、マスクをしなかったりする人がいるのもその例であると思います。

もちろん、過度に恐れたりマスクを買い占めたりすることには、また別の問題があります。しかし、まずは間違ったバイアスにとらわれることなく、正しい情報をもとに一人一人が行動しないことには、ウィルス感染の拡大を防ぐ(ピークを遅らせる)ことはできないでしょう。

今が非常の事態であることをきちんと認識し、当事者意識を持って適切に行動することができるかどうか、今こそ企業も個人も問われているのだと考えます。

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第887話 危機における決断は経営者の仕事

2020年02月23日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

先日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、厚生労働省は経団連や日本商工会議所などに対し、在宅勤務や「テレワーク」などの取り組みを積極的に行うよう要請しました。

すでにこのブログでも言及したように、テレワークによって他者との関りが希薄になることで、仕事の効率が低下してしまう業種、業態もあります。

ですから、現在のオフィス環境をいきなりテレワークに切り替えることは混乱を招くことになります。

とはいえ私は、大変不謹慎なのですが、今回の”新型コロナウイルス騒動”は「いきなりテレワークに移行したらどれくらいの混乱を招くか」という大規模な実証実験として大変興味深く見ています。

いつ誰が感染源となるかわからない状況下では、同じオフィスに集まって仕事をしたり、他部署や社外からの来客を受け入れたりしていては職場が、いや、会社が「全滅」してしまうことすらあり得ます。対面コミュニケーションがいくら重要だと言っても「万が一」の代償は非常に高くつきます。

さらに、経営者が出勤を強要すれば、社員が辞めてしまう恐れすらあります。さらに、この後ウイルス禍が去ったとしても「あの会社は”あの時”に社員を強制的に出勤させた!」というマイナスのイメージが残ります。そうなれば人材の確保が難しい昨今、新規の採用は絶望的になることでしょう。

そこで、経営者の皆さんにあえてお願いしたいのは「原則出勤停止、すべての業務をテレワークに切り替えよ」という命令を発することです。安全管理上の例外は設けるとしても、全社テレワークを実行することです。

当然、混乱や効率の低下は生じます。情報共有が上手く行かなくなり、意思決定が遅くなることでしょう。その結果、売上の源泉である営業活動が低下し、利益が減るでしょう。

しかし、このピンチは「チャンスだ」と居直ってしまいましょう。

テレワークを行いながら今までの仕事の進め方を見直し、効率的に進めるための具体策を考え、実行してみましょう。今まで「なんとなく」行ってきた非効率な仕事がはっきりとその姿を現すはずです。

その一方、テレワークではどうしてもできない「職場でのコミュニケーション」による付加価値の高い、創造的な仕事もはっきりと見えてくることでしょう。

言ってみれば、今まで仕事の改革をドラスティックに行おうとしても踏ん切りがつかなったところを、ウイルスという禍(わざわい)を利用して一気に進めてしまおうというわけです。

もちろん、「そんな無茶はしたくない、社員は職場に集まるべきだ」と考えるならば、信念を持って社員にそう宣言することです。

「何がなんでも出勤」というリスクと「全社テレワーク」というリスク、どちらを選択するかは会社の存続に大きな影響を及ぼす、経営者として大変重い決断になります。

当たり前のことですが、経営者とはそういう立場なのです。

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第886話 NDA(秘密保持契約)の締結をお願いします。

2020年02月19日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

弊社が研修やコンサルティングを担当させていただく際に、NDA(秘密保持契約)の締結を依頼されることがあります。NDA(秘密保持契約)とは、自社が持つ秘密の情報を他の企業に提供する際に他社に漏らしたり不正に利用されたりすることを防止するために結ぶ契約です。

もちろん、NDAを結ぶこと自体には問題ないのですが、ときどき「これのどこが秘密なのだろう?」と疑問になるようなものまで社外秘にしているところがあります。

以前あった例では、会社としての独自性が全くなく別の企業であってもそのまま当てはまるような抽象的な表現で書かれたA4一枚の等級別要件でした。そこには、「管理職の補佐を行う」や「担当業務を遂行する同僚・後輩を育成する」などと書かれていましたが、これのどこが秘密にすべき内容なのか首を傾げたくなりました。

このように厳密に秘密にしようとする企業の傾向として、先の等級別要件の例で言うならば、社外だけでなく社員に対しても情報をオープンにしないのか、社員が情報を共有できていないことがあるように思えます。

具体的には、自身の等級では何が求められているのかなど、本来必須であるべき要件を知らされておらず、研修で外部講師からはじめて知らされたということさえあるのです。

つまり、このような企業では情報を社外秘にするだけでなく、同時に社内秘にもしてしまっているのです。

さらに、このような企業では異動で担当者が変わったりすると、一転して「今度はここまで出しても良いのか」と思う位のレベルまで、情報がどんどん開示されることもあるのです。

一体なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか。冒頭の例の企業で聞いてみたところ、そもそも社外秘に指定すべき情報の種類や開示範囲が明確になっておらず、担当者によって情報の取り扱いが全く異なってしまっているということです。

これではいくら冒頭のようにNDAを結ぼうとしても、意味がなくなってしまいます。

さて、最近は社内報を社内限定ではなく、社外にもオープンにする企業が増えてきているようです。掲載している情報は、新商品などの経営に関わる旬の情報や、取引先への感謝の言葉、あるいは業界情報であったり社内イベントであったり、いろいろあります。

自社のホームページとの差別化が少々難しいようにも感じますが、これらの情報を社外にも開示することによって、取引先や消費者の親近感や信頼感のアップにもつながります。最終的には自社のブランドを高めることや存在感をアップさせることにもつながるはずです。さらに、これらの情報が若手の採用活動にも功を奏していて、情報を外に出す効果はかなり大きいようです。

営業秘密や個人情報など、秘密にすべき情報は大切に取り扱わなければならないのは言うまでもありませんが、同時に何でもかんでも秘密にすることのマイナス点も考える必要がありそうです。

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第885話 生産性は量から質へ?

2020年02月16日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。 

以前、日本経済新聞を読んでいたとき「残業時間の削減に焦点を当てた『量』の改革から、生産性を上げることを目指した『質』の改革を目指すべき」という記事が目に止まりました。「なるほど、その通りだな」と一瞬思ったのですが、ある疑問がわきました。それは量と質についてです。

ここで、おさらいになりますが、生産性を表す式を見てみましょう。生産性は次の通り2つの量の割り算で計算します。

労働生産性=付加価値÷労働投入量

企業で生み出された成果物にはモノやサービスがあります。たとえばパン屋さんなら、仕入れた小麦粉(材料)を加工し、パン(製品)にして売ります。もし100円で仕入れた小麦粉が300円のパンになったとすれば、300-100=200円の価値が小麦粉に「付加」されたことになります。つまり付加価値は200円です。

300円のパンを1日で100個作れば200円×100個=2万円の付加価値が、1年で250日働いたとすれば2万円×250日=500万円の付加価値が生み出されたことになります。

日本中のすべての企業等で1年間に生み出された付加価値を合計したものがGDP(国内総生産:Gross Domestic Product)です。日本のGDPは約540兆円で世界第3位という立派なものです。

ところが国民1人当たりのGDPを計算すると、約430万円となり、世界では26位とパッとしません。しかも1位ルクセンブルク(1,260万円)、2位スイス(907万円)、3位マカオ(890万円)に遠く及びません。

では、ルクセンブルクやスイスやマカオはどれほど素晴らしいパン(?)を作っているのでしょう?

その答えは、「パンは作っていません」ということです。いえ、ジョークというわけではありません。

ルクセンブルクの主要な産業は「金融」です。ユーロ圏におけるプライベート・バンキングの中心地となっています。プライベート・バンキングは富裕層を対象にした金融サービスです。世界の大富豪や国家元首の隠し資産の大半がルクセンブルクの銀行に預けられているそうです。もちろん真偽のほどは明らかではありませんが、国内の労働人口の2割強が金融機関に勤務しており、かなりの高給を得ていることは事実ですから、推して知るべしとでも言いましょうか・・・。

2位のスイスも金融では有名ですね(デューク・東郷も口座を持っているくらいですから)。さらに観光収入も莫大です。

3位のマカオは言うまでもありませんが、カジノが「付加価値」を稼ぎ出しています。中国のGDPが上がるにつれ、中国本土からの観光客が増え続け、カジノで散財する額もどんどん増えていきました。

さて、お分かりいただいたように、これら上位の国はパン(製品)を作っていません。

労働生産性の式の分母に当たる労働投入量は労働時間です。したがって、1日中パン工場で汗水たらして働くのではなく、空調の効いた銀行のオフィスでコンピュータを使っているか、華やかなカジノで観光客にカクテルの入ったグラスを渡しているかした方が労働生産性は高くなります。

日本も3年ほど前に統合型リゾート(IR)整備推進法案が可決され、カジノや観光に力を入れるようになってきました。では、日本も国全体で同じやり方をすれば生産性を上げることができるでしょうか?

人口60万人のルクセンブルクやマカオ、800万人のスイスならいざ知らず、人口1億2千6百万人の日本では残念ながらそれは無理です。

単に生産性の数値のみに着目することは「量」を追いかけることと全く変わりません。生産性を上げることを目指した「質」の改革とは、今取り組んでいる仕事によって生み出される成果の質を上げることに他なりません。

日本の1人当たりのGDPの世界順位が低いことを嘆く前に、仕事の成果である製品やサービスの「質」とは何か、基本に立ち返ってもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

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第884話 先入観を持たずに正しく評価する

2020年02月12日 | 仕事

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「出来が今一つの部下の悪いところはいろいろ目に入るけれど、良いところはねぇ。見つけようと思わないとなかなか見つからないんだよね」

これは弊社が管理職研修を担当させていただいた際に、受講者からよく聞く言葉です。

日々、部下の育成に取り組んでいる管理職にとっては、世話なしに順調に成長する部下がいる一方で、思うように育たない部下がいるのも現実であり、悩みの種なのです。

そうすると、冒頭の言葉のように成長が一進一退の部下に対してはマイナス点ばかりが目についてしまう一方、よほど意識していないと良い点が見つからないという気持ちになってしまうというのも頷けるところではあります。

さて、今年も春闘が始まりました。今回の春闘では、トヨタ自動車が個人の評価に基づく賃上げを要求したり、三菱UFJ銀行も評価に応じた配分など新たな賃上げの方法を提案したりという報道がありました。

これまでの一律の賃上げ要求を止める背景には、若手人材の確保が困難な中で企業が人材確保のために年功序列賃金を見直し、その分を若手に配分をするという考えなどがあるようです。

確かに採用に関しては売り手市場になって久しいですので、人材獲得の一手として賃金制度を見直ことが有効なことは確かです。

しかし、一方で個人の評価に基づくのであれば、上司が部下を公平に評価出来ることが前提になります。

冒頭の管理職のように、部下の悪いところばかりが目についてしまったり、反対に良いところばかりを注視したりするのでは正しい評価をすることは出来ません。その結果、マイナスの評価をされた人はやる気を失ってしまうことになります。

昨日、訃報がもたらされた元プロ野球監督の野村克也氏は監督としての手腕とともに、数々の名言を発したことでも有名です。その中でも私自身が特に印象的なのは、「固定観念は悪、先入観は罪」という言葉です。野村氏はこの言葉を「固定観念と先入観は百害あって一利なし」との意味で使われていたそうです。

野村氏は若手選手の育成だけでなく、「野村再生工場」と言われるように他球団で戦力外となった選手を復活させたことでも知られています。そうしたベテランに対しても他者の評価やそれまでの実績による先入観や固定観念を持つことなく接し、自分の目で現状をしっかりと判断し、良いところを最大限活かすべく指導していたのではないでしょうか。

ぜひ経営者や管理職の皆さんには、社員や部下を評価する際には固定観念や先入観を持って行うのではなく、仕事ぶりをしっかり観察しきちんと話を聴いたうえで、正しい評価をしていただきたいと思います。

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第883話 リーダーの言葉の責任

2020年02月09日 | コミュニケーション

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「リーダーとしての役割を任された以上、自分の発言には非常に気をつけた。一度口に出してしまった言葉には絶対に責任が宿る。自分の出した言葉が自分はできているかどうか、できていないのに発言しても僕の言葉に誰も耳を傾けない。発言する前にその行動ができているか一番気をつけて100%できてから発言するように心がけた」

これは、ラグビーワールドカップ日本代表チームの稲垣選手が語っていた言葉です(2019年12月のNHKスペシャル)。

ワールドカップでの日本代表チームが初のベスト8という活躍もあり、大会後にはテレビでも多くの選手を見る機会が増えました。そこで感じたのは選手の受け答えを聞いていると各々がとても魅力的だということです。

そうした中で「笑わない男」として有名になった稲垣選手ですが、冒頭のように自分がディフェンスのリーダーに指名された際に・・・これをなによりも心がけたとのことです。

以前からラグビーに対するストイックな姿勢が印象的だと思っていましたが、この言葉はまさに彼の姿勢を表すものだと思います。この姿勢が日本代表チームが「ワンチーム」として文字通り一つにまとまる、互いに信頼しあう大きな力になったのでしょう。

複数の国の出身者で構成され、年齢やキャリア、文化や考え方も異なる選手をまとめ、ワンチームとして一つの方向に向かうにあたり、お互いの信頼が重要な要素です。その際、リーダーとなる人間の姿勢とそれを表した発言はなによりも大事な要素だと思います。  

その意味ではチーム全体のキャプテンであるリーチマイケル選手もきっと同じ姿勢を持っているのではないでしょうか。

そして、このことはビジネスの世界においても、そっくりあてはまります。年齢や職責など様々な人間の集合体である職場においては、一般的には管理職をはじめとするリーダーは部下に指示するだけではありません。それ以前に手本を示し、相談に乗ったり他の社員のモデルになる役割を持っていたりします。そして、部下は上司の発言や振る舞いをしっかり見ています。

その際に発する言葉が口先だけで中身がまったく伴わなかったり、実は言った本人は全くそれができていなかったり(できるように装っても、すぐにわかるでしょう)となれば説得力はないし、信頼はされません。昔よく言われた「背中を見ている」ということに通じるところです。

もちろん、すべてのことに完璧にするのは難しいでしょう。しかし、たとえできないことであればそれを隠さずに言ったうえで(それは勇気のいることでしょうが)大切な場面での発言に関しては、予めそういった意識を持って自分自身を振り返ってみることが必要ということです。

 番組では稲垣選手の発言を聞いたアナウンサーが思わず、「素晴らしいですね」とコメントしていましたが、私自身も仕事のときはもちろんのこと、それ以外でも発言については責任を持つよう、心がけると改めて考えたところです。

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第882話 働き方改革を成功させるための「必要条件」

2020年02月05日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。 

「働き方改革」は当社にとって最も大事なテーマです。どうすれば実現できるのか、このブログでも色々な視点から考えてきました。今回はその総まとめとして、働き方改革を成功させる必要条件について述べたいと思います。

その前にちょっとおさらいになりますが、必要条件と十分条件についてきちんと理解しておきましょう。(わかっている方は読み飛ばしてください)

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pとqという2つの「条件」があるとします。
 命題「p⇒q」(pならばq )が成立するとき
  p は q の十分条件
  q は p の必要条件
といいます。
(解説)pを猫、qを動物と考えるとわかりやすいでしょう。
p「猫」であればq「動物」であることは確かなので、「猫」は「動物」であるために「十分」な条件です。一方、q「動物」であることはp「猫」あるためには「必要」な条件ですが、猫以外、犬やハムスターもやはり「動物」です。なので「動物」だからといって「猫」であるためには「十分」な条件ではありません。
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さて、働き方改革を成功させるための必要条件は「トップのコミット」です。「経営者の関与」「社長の覚悟」と言い換えてもよいでしょう。

「当たり前だ」と思われた方も多いでしょう。しかし、社長が「働き方改革を実現する!」と覚悟することは、実はそう簡単でありません。

一番多い間違いは、社長が管理職にその役割を丸投げすることです。自分は(社長だから)忙しいので、実務を仕切る管理職に「改革の実行」を任せる、というものです。こうなると任された管理職は、自分は(管理職だから)忙しいので、現場の係長に任せる、任された係長は自分は(係長だから)忙しいので、一般社員に任せる・・・となり、結局「改革」は消えてなくなります。

社長自らが改革の実行者にならなければなりません。誤解しないでいただきたいのですが、社長が残業時間になったらフロアの照明を消して歩く、ということではありません。社長の仕事を効率よく片付ける工夫をすることです。

「仕事というものはそう簡単に効率化できるものじゃない!」とお考えなら、その考え方は管理職に、一般社員に、と伝搬していきます。

まず、社長が「時間とコスト」を見直すことに積極的に関わることです。たとえば社内の会議です。社長が議題と求める結論を事前に明確にしてメンバーに伝え、司会役をやって発言を促し、開始と終了の時間をコントロールします。

「社長は意思決定をするのが仕事だ!そんな面倒なことはできない。」そう思われた社長さんは、とにかく一度は「面倒なこと」をやってみてください。「働き方を見直す」ことが、どれほど大変で、なおかつ社長の意思で左右されるのかがとてもよくわかるはずです。

管理職はそうした「社長の覚悟」を目の当たりにして、ようやく自分の仕事を見直しはじめます。そこから管理職の、一般社員の、全社員の意識が徐々に変わっていくのです。

ただし、社長の覚悟はあくまでも「必要条件」です。それだけで「改革」が実現できる保証はありません。しかし、少なくとも「社長の覚悟」がなければ「改革」は絶対にあり得ません。

これからも当社は、働き方改革のための具体的な手法をお伝えしてまいります。しかし、社長に覚悟がなければどのような手法も十分な成果を生みません。実行すれば多少の成果は見えるかもしれませんが、その労力や時間に見合ったものは得られないでしょう。

改正労基法が適用されるまであと2ヶ月を切りました。覚悟はよろしいですか?

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さて、2月7日の当社主催の「いよいよ労基法施行! 3つの策で進める中小企業の働き方改革」はおかげさまで満員御礼となりました。

今回定員のためにお受けできなかった皆様のために、3月に追加セミナーを実施いたします。詳細は後程お知らせいたします。

--- 以下予告です。---

「いよいよ労基法施行! 3つの策で進める中小企業の働き方改革」

日時:2020年3月上旬~中旬 18:30~20:30の予定

場所:都内の会議室を予定しています。 

主催:株式会社人材育成社

   千代田区九段南3-9-11-802

    TEL 03-6272-6335 

内容:仕事の進め方を大きく変える3つの具体策の紹介(実施方法について)

料金:1名様5,000円(消費税別)

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第881話 働き方改革は属人化の解消から

2020年02月02日 | 研修

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

属人化とは、ある人が特定の仕事を抱え込み、他のメンバーでは対応できなくなってしまうことです。「この仕事は自分のものだ!」と宣言するようなものですから、仕事の私物化といっても差し支えありません。

こうした属人化は、20年ほど前のソフトウエアの開発部門でよく見られました。「テストプログラム書かせたら○○さんの右に出る人はいない」、「XXさんと言えばCADの第一人者だ」そういう職人的な技を持った人が職場にはいたものです。

もちろん、今でも「職人風」に見える人はいます。経験が豊富で後輩の指導ができる人です。しかし、その人は(昔のような)職人ではありません。おそらく当人もそう思っていないはずです。

なぜなら現代の開発環境は洗練されており、グループウエアなどのツールを通じてリソースが全体で管理されています。簡単にいえば、標準化された仕事をチームでこなしていくのが一般的です。特定の仕事を「抱え込む」必要も意味もなくなっているのです。(もし、いまだに属人化していると思われる開発部門があったら、最新のツールを導入すると同時に、さっさと職人たちを他部署に移動させるべきです。それだけで生産性は倍増します。)

しかし、開発部門以外では、特に営業部門ではいまだに属人化された職場が見られます。営業という仕事が属人化しやすいからです。その理由は、単に営業活動の成果が「自分の手柄」のように見せやすいというだけです。

「あの顧客のことは自分が全部把握している」、「自分の営業ノウハウはマニュアル化できない」そういう営業パーソンは決して少なくありません。しかも、やっかいなことにマネージャークラスに多いのです。

人が仕事を抱え込む理由は、職場で自分の存在を知らしめたいという願望(顕示欲)があるからです。属人化を否定することは、自分の存在を否定することになります。

裏を返せば、顧客の情報を部下に渡したり、ノウハウを文書化したりしたら、自分が要らなくなってしまうのではないかと不安に襲われるわけです。それが嫌なので仕事を抱え込むのです。その結果、長時間労働をせざるを得なくなったり、部下が育たなくなったりしてもお構いなしというわけです。

考えてみれば容易にわかるはずですが、営業活動こそメンバー同士でサポートし合い、効率良くこなすことが受注を獲得するために重要なことです。

経営者の皆さんに申し上げます。営業部門における属人化は仕事の私物化であり、私物化によって利益を大きく損なうということをしっかりと認識していただきたいのです。

ちょっと過激な言い方をしますが、仕事を抱え込む社員は社内に巣食うウイルスのようなものだと思ってください。

「仕事はチームで行うもの」・・・当たり前のことです。

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2月7日のセミナーですが、現在1名様分残席があります。先着順とさせていただきます。

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「いよいよ労基法施行! 3つの策で進める中小企業の働き方改革」

日時:2020年2月7日(金)18:30~20:30(18時15分より受付)

場所:SHIP( 品川産業支援交流施設)第2会議室

      品川区北品川5-5-15 大崎ブライトコア4階  TEL 03-5449-6871

     (JR大崎駅より徒歩8分)https://www.ship-osaki.jp/access/    

主催:株式会社人材育成社

   千代田区九段南3-9-11-802

    TEL 03-6272-6335 

内容:仕事の進め方を大きく変える3つの具体策の紹介(実施方法について)

料金:1名様5,000円(消費税別)1

お申込みは下記より(2月セミナーと記し)必要事項をご記入し、送信してください。

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