中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

2015年のまとめ

2015年12月30日 | コンサルティング

皆様にとって2015年はどんな年だったでしょうか。

弊社は企業研修からコンサルティングへと舵をきる「変化の年」でした。

この1年の弊社のブログを振り返って、仕事に役立ちそうなものをいくつか選んでみました。

「わかりあえない」ことを前提にする

お互いわかりあえないからこそ、わかりあおうとする。そう考えれば楽になりますね。

ワンシグマの育成が大事な理由

少数の秀才より多数の凡才を育てた方が組織にとってはプラスになります。

層の厚いパイはおいしい

信頼はパイの層のように幾重にも積み重なることで出来上がります。

本当のコミュニケーション能力とは

上手く伝わらない状況から抜け出す力こそ真のコミュケーション力です。

グループウェアは首都高速道路

IT化は業務効率を大幅に改善します、しかし、ちょっとした失敗が「大事故」につながります。

記録できる人 できない人

ビジネスパーソンにとって「記録力」はもっとも必要な能力です。

モノを売るのではなく、価値を提供する

商店街を歩いてみましょう。コミュニケーションの達人は意外に身近にいるものです。

「雑談を誤解していないか?」

静かにしていたいときに話しかけられるのは嫌なものです。雑談力って何でしょうね。

世界で一番危険な動物

本当かどうかよりも「信じたいか信じたくないか」、それが人間です。

データサイエンティストに任せるな

ビッグデータの時代、初歩的なデータ分析はもはやビジネス・リテラシーです。


さて、年明けのブログは1月6日(水)からスタートします。

2016年もよろしくお願いいたします。

では皆様、良いお年をお迎えください!

(人材育成社)


Googleが発見した「優秀な上司の条件」教えます!

2015年12月27日 | コンサルティング

急速に業績が拡大している企業にとって、最も必要なものは人材であることに異論はないと思います。優秀な人をたくさん雇って、より多くの仕事で成果を出し、さらに多くの仕事をこなすために人を雇う・・・成長する企業の典型的なパターンです。

そして、Googleほどこのパターンを大規模かつ短期間のうちに実行した企業は他にはないでしょう。

Googleには優秀なエンジニアが毎日のように入社してきます。しかし、どれほど優れた人材であっても、好き勝手に仕事をして良いというわけではありません。社員同士が協力し合ってはじめて大きな成果を生み出すことができます。そして、多くの優秀な人材をまとめあげるためには、多くの優秀なマネージャーが必要です。

そこでGoogleは「優秀なボスとはどんな人だろう?」と考えました。それを調べるためにProject Oxygen(プロジェクト・オキシジェン)が2009年にスタートしました。オキシジェン・チームは、社員1万人以上に100項目以上から成る詳細な調査を実施しました(ちなみに現在の社員数は約5万7千人)。そして、1年近い時間を費やして徹底的に分析を行ない、400ページにおよぶ調査報告を書きあげました。

その結果を8つのポイントにまとめたものが、以下の「上司の条件※」です!!

1. 良いコーチであること
2. ある程度部下に任せ、細かい管理をしないこと
3. 部下の成功と幸せを気にかけていることを態度で示すこと
4. 生産的で成果志向であること
5. コミュニケーションを良くとり、チームの意見に耳を傾けること
6. 部下のキャリア開発を支援すること
7. チームのために明確なビジョンと戦略を持っていること
8. 部下にアドバイスできる重要な技術的スキルを持っていること

・・・おそらく、「はぁ?」、「なにこれ?」と思われたことでしょう。

長年、私たちがいろいろな書籍で読み、研修のたびに聞かされてきた内容そのものではありませんか。

そうです。誰もが知っている「当たり前」なことばかりです。

しかし、だからといって価値がないものではありません。いや、むしろ全く逆です。

Googleの成し遂げた成果は、間違いなく経営学史上にしっかりと残るものです。誰もが知っているし、口にしているけれど、誰もきちんと調べていなかったことを、初めて科学的な手法を使って確かめたからです。

この8つの「上司の条件」のおかげで、誰もが自信を持って管理職研修の講師を担当できるようになりました。一流大学の先生であろうと、人事部の若手社員であろうと、「言っていることは全く同じ」になるからです。

また、「新しいマネージャーの条件」とか「マネージャーの新常識」といった、奇をてらった書籍や研修のいかがわしさもはっきりしました。

人事部門の皆さま、安心して王道を歩んでください。Googleがついています。

Google’s 8-Point Plan to Help Managers Improve - The New York Times

(人材育成社)


説明すると覚えられる

2015年12月23日 | コンサルティング

「とても面白いと思いながら読んだ本のはずなのに、数か月後には読んだことは覚えていてもあまり中身を思い出せない、また、数日前に衝撃的な内容だと思いながら読んだ新聞記事のはずなのに、内容をはっきり覚えていない」

こういう経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。私自身、最近は以前にもましてこのようなことがよくあります。年齢のせいもあるのかもしれませんが、体の不調をはじめとして、全てを年のせいにしてしまっては何の解決にもならないのは言うまでもありません。

学生時代には、よく周囲の大人から復習の重要性を言われてきましたが、授業の内容ならともかく、読んだ本の内容や新聞記事をいちいち復習するということは、現実的ではありません。

でも時々、本の内容にしろ、テレビや新聞等で見聞きした話であっても、それがはっきり記憶に残ることがあります。それは一体どういう時なのかを思い返してみると、その内容を他者に説明していた時なのです。一所懸命、人に内容や感想などを説明すると、それにともなって鮮明に記憶に残るように感じています。

では、なぜ説明をすると記憶に残るのでしょうか?

私たちは、他者に話をする時に自然に要点を伝えたり、相手にわかってもらいやすい表現をしていますが、それらを短時間のうちに工夫することによって、同時に内容が整理され自分自身の理解が深まり、それにともなって記憶の定着度が高まるように感じています。

弊社が担当する研修では、テーマによって内容を3回程度のステップに分けて行うことがあります。1回目と2回目の間、2回目と3回目の間にインターバルを入れるのですが、このインターバルの間に研修テーマについて実際に職場で実践してもらい、うまくいったところ、いかなかったところを確認して、どうすればうまくできるようになるのかを考えてもらってから、次のステップにのぞんでもらうのです。

インターバルの期間はテーマや目的によって異なり、2週間程度だったり長い時には1年くらいあけることもあります。このインターバルを設けることによって、上記のように講義の内容や演習によって練習したことを現場で試すことができますから、それにともなって理解自体も深まることになるのだと思うのです。

また、このインターバルの際には知識のみならずテーマに関するスキルを使いこなせるようになるという大きなメリットがありますので、インターバルを設けて研修テーマをきちんと実践するということは非常に大きな効果があると思っています。

一方、インターバルの際に何もしないと1回目の研修の内容をすっかり忘れてしまうことも多く、その状態で次のステップの研修にのぞんでも実践している人との間に大きな差ができてしまうことは言うまでもありません。

インターバルの際に何もしなかった人にその理由を尋ねてみると、「仕事が忙しく、なかなかやれなくて・・・あっという間に2回目になってしまい、1回目の内容を全く忘れてしまった」ということが多いのですが、それではせっかくインターバルを設けた意味がないことになってしまうのです。

そこで弊社では、最近は研修で「研修の内容を他者に説明をしてください」とお願いしています。3分~5分程度の時間で研修内容を説明しようとすると、まずは要点をまとめなければなりませんから内容の整理ができます。また、他者に伝えるためには自分が内容をきちんと理解していなければなりませんから、そのための復習も必要になるかもしれませんので、そうなれば研修内容の理解力が上がり、きちんと記憶に残ることは間違いなしだからです。

「いきなり説明するのは難しいな」と感じる方は、まずは研修が終わって職場に戻ったり家に帰った際に、同僚や家族に「今日の研修は大よそこんな内容だった」と話してみることからはじめ、だんだんと細かく話していくこともいいかもしれません。それを続けることで、きっと理解と記憶が上がったと感じられると思います。

(人材育成社)


組織スラックが必要な理由

2015年12月20日 | コンサルティング

スラック(slack)とは、ロープなどのたるみ、ゆるみという意味です。組織スラック(organizational slack)は経営学上の概念で、企業が内部に持つ余裕資源を意味しています。具体的には、会社が抱える余剰人員や余剰資金、余分な棚卸資産などです。

企業は、株主や債権者から、持てる資源(ヒト、モノ、カネ)を無駄なく使うよう求められています。したがって、企業の内部にスラックがあるとすれば、本来それは排除されるべき対象であるはずです。

しかし、企業が不確実性の高い環境に対応して成長する上で、組織スラックは必要な存在なのです。

企業が市場の大きな変化に対応するため、「予備の資源」として組織スラックが使うことがあるからです。時には、新製品の開発や技術革新を生み出すこともあります。一見無駄な存在が、実はイノベーションの源泉となる可能性すらあるというわけです。

組織スラックという言葉を私がはじめて聞いたのは「経営学概論」の授業でした。その時は、企業を自動車にたとえるならば「ハンドルの遊び」のようなものかと思っていました。それから40年、いくつかの企業で経験してきたことを振り返ってみると、スラックの存在がいかに大事であるかがわかるようになりました。

私は新人の頃、経理部で予算編成の仕事をしていました。社内の各部署から出された予算案は、コストを「水増し」したり、容易に達成できるよう売上目標を低く設定したりということが散見されました。こうした「サバを読む」ことによって形成されるスラックは、「環境の不確実に対する安全弁、組織内部の目標間の対立の緩和、管理者の自由裁量枠の増大に役立つ※」とされています。

ただし、スラックは大きければよいというものではありません。大き過ぎるスラックは組織の動きを鈍くし、自滅を招きかねません。適切なサイズのスラックを抱えている企業だけが大きな変化を乗り切ることができるのです。

組織にとってスラックは「ゆるい」、考えようによっては皮下脂肪のような存在ですが、変化に対応するために組織という生き物が身に付けた智慧の産物なのかもしれません。

※ 「経営学におけるスラック概念について」 佐々木弘、国土交通省ホームページより

(人材育成社)

 


声を大切にしているか

2015年12月16日 | コンサルティング

「髪型が変っていたので一瞬わからなかったのですが、○○さんと話をしている声を聞いて、やっぱり間違いないって思いました。」

 一昨日の研修の時に、受講者の一人からこのように声を掛けられました。この方は、以前別の部署で研修の担当をされていて、その時にお世話になっていたのですが、3年ぶりの再会でした。

3年の時を経て、髪型だけでなく、体型も少々?変っていることを自分でも認識していましたが、逆に人の声は年齢を重ねても外見ほどには大きくは変わらないものなのだなと改めて思いました。

そういうことを考えていたところ、昨日、かつて歌手や女優として活躍されていた相良直美さんが、久しぶりにテレビに出ているのを見ました。現在は実業家として活躍されているそうですが、何十年かぶりに見る相良さんは、外見は年齢相応に多少変わられていたものの、声は全然変わっておらず、「あー、相良直美さんの声だ」と思ったと同時に、懐かしいドラマの記憶も蘇ってきました。

「声」と言えば、アニメのキャラクターの声やドキュメンタリー番組のナレーションなどは、それぞれがセットになっていて、もはやどちらかが欠けても成立しないように感じてしまうくらい、声の影響力は大きいのだと感じています。

たとえば、私の場合は「ドラえもん」の声のように何十年も担当していた人から別の人に代わった場合、どうしても新しい声に違和感を覚えてしまい、慣れるまでには結構な時間がかかってしまうことがあります。

人の声には、ハスキーボイスだったり優しそうな声だったり、それぞれ個性がありますし、さらには高音・低音、早い・遅い、大きい・小さいなどの違いがあります。それがそれぞれの人と結びついて、確固としたキャラクターになっているのでしょう。

話は変わりますが、最近研修で気になっていることの一つに、20代を中心に若い世代の人の声が小さくなっているように感じています。飲み会やカラオケであれば大きな声が出るのかもしれませんが、研修の中で1人ずつ発表をするような場面では、マイクなしでは声がよく聞こえない人が多いのです。もちろん、研修では緊張してしまうということがあるのだと思いますが、なんとなく声が小さく、ぼそぼそと人話す人が多いように思えます。

しかし、上記のように声がもたらす影響力は決して小さくないと思いますので、これは若い人に限ったことではないのだろうと思いますが、普段から意識的に声を出す練習をすることが必要なのかもしれません。

さらに、人と会話する際、声の調子によって自分の気持ちや感情を相手に伝えることもあるわけですから、声の調子も疎かにすることはできないと思います。

同じ言葉であっても、どのような気持ちで伝えるかによって全然別の意味をもたらしてしまうわけで、たとえば、「すみません」という謝罪の言葉も、心から申し訳ないという気持ちを持って言う場合と、実は納得していないけれど、とりあえず形だけ謝っておくという場合では、伝わり方が全く異なるでしょう、そうした気持ちや感情は相手にもはっきり伝わってしまうと思います。

現代は視覚情報優位の時代だというように言われることもありますが、だからこそ自分の声を大事にしていきたいと思うのです。

(人材育成社)


イノベーションを阻むもの

2015年12月13日 | コンサルティング

「イノベーションに積極的な会社を教えてください。」先日授業が終わった後、ある学生からこう質問されました。

イノベーション(innovation)とは、オーストリアの経済学者シュンペーターが「経済発展の理論」の中で使った言葉です。その意味するところは、経済発展や景気循環の原動力となる新製品の開発、新生産方式の導入、新市場の開拓、新原料・新資源の開発、新組織の形成などです。

この定義に従えば、イノベーションとは多くの企業が日々取り組んでいる課題ということになります。

質問をしてきた学生は理系の大学院生ですから、イノベーションに積極的な会社とは「画期的な技術開発に取組んでいる企業」を指しているのでしょう。

イノベーションの具体例や種類については、多くの書籍やウェブページに記述がありますので、ここでは触れません。

イノベーションを阻むものはなにかについて述べてみたいと思います。

それは「わかりやすさ」、正確には「わかりやすさだけを求める精神」です。

私は、わかりやすい方が良いことと、わかりやすくてはいけないことがあると思っています。

たとえば技術マニュアルはわかりやすくなくてはなりません。誤った解釈をする余地がないよう、徹底的にわかりやすくするべきです。

ビジネスの場でやり取りする情報も同様です。その情報を聞いた人が正しい判断を下せるように、あいまいな言葉や誤解を生む表現を使ってはいけません。

ただし、日常的にわかりやすいことが最優先になると、「わかりにくい=悪」という単純な等式ができあがってしまう恐れがあります。たとえば、報告についてです。

会社の中で権限を持っている人ほど忙しいというのは、ほぼ常識でしょう。忙しいから一つひとつの意思決定に時間をかけることができません。そのため、何よりも「わかりやすい報告」を上げてきてもらわなければ困るというわけです。その結果、ほとんどの報告はわかりやすい形に「調理」されたものになります。

特に大きな会社の経営者は、「やわらくておいしい、すぐに飲みこめる食事」ばかりを食べ続けるがごとく、たくさんの「わかりやすい」報告を頭に詰め込むことになります。

仮に少しでも複雑な話をしようものなら「もっとわかりやすく言え!」と叱られてしまいます。

しかし、イノベーションとは複雑でわかりにくい状況に直面した時、なんとか突破口を見出そうとしてあがくこと、もがくことが出発点のはずです。

そうした「あがき」や「もがき」をわかりやすい言葉で説明しようとすれば、本当に大切なことが切り捨てられてしまうかもしれません。

実際、大企業で切り捨てられたものが後にイノベーションを起こしたという事例は少なくありません。

冒頭の学生の問い対して、「わかりやすいことばかりを好む経営者のいない会社」という妙な答えを返してしまいました。

学生はきょとんとしていました。

(人材育成社)

 


言葉自体で意味合いを判断できない

2015年12月09日 | コンサルティング

「話が煮詰まってしまって・・・良い考えが浮かばないので、時間までに課題を仕上げることができそうにありません」

先日担当した研修で、グループ演習の最中に受講者から困ったような表情で言われた言葉です。過去にも何度かこのようなケースがありましたので、この言葉が実は本来の意味とは異なる使われ方をしていることが理解できるようになりました。

言うまでもないことですが、「煮詰まる」とは本来は議論や考えなどが出つくして、結論を出す段階になることです。しかし、若い世代を中心に間違った意味で使用する人が多くなり、この例のように議論などが停滞してしまう状況を表すような引用が日常的にされているのだと思います。

前後の文脈や話し手の表情を見れば、異なった意味で使っていることがわかるため、研修の時には聞き流してしまっていますが、それが果たして年長者の対応として良いものかと疑問に思いつつ、ついついやり過ごしてしまっている自分がいます。

16歳以上の人を対象に文化庁が毎年実施している「国語世論調査」では、「現代の社会状況の変化に伴う、日本人の国語意識の現状」を調べています。2014年調査結果によると、「普段の生活の中で接している言葉から考えて、今の国語は乱れていると思うか、それとも、乱れていないと思うか」との質問に対して「乱れていると思う」割合は73.2%。一方、「乱れていないと思う」は23.5%でした。過去の調査結果と比較すると「乱れていると思う」割合は減少傾向にあるようです。

若者の言葉が変化したと言われて久しいですが、前述のように乱れていないと感じる人の割合が増えているということは、まさにその表れではないかと思います。

先日も「ヤバイ!スゲーうまそう」という賑やかな声がする方を見たところ、修学旅行中と思しき男子高校生のグループが、パン屋の前で口々にこの言葉を発していました。

彼らが見ているのはウィンドウ越しに見える数々のパンで、それはそれはおいしそうなパンでしたが、テレビなどでは見聞きしているにしても普段プラスの表現として「ヤバイ」を使い慣れていない私には、とても違和感がありました。

「やばい」は、本来は不都合なことや危険なことを言い表す言葉ですが、現在は肯定であっても、否定であってもという自分の想定を超えた場合の表現として、いわば「凄い」というような意味に使われています。

先の「国語世論調査」でも、「やばい」を「とてもすばらしい(良い,おいしい,かっこいい等も含む)」という意味で言う人が 26.9%おり、年代が低いほど高くなる傾向で16~19歳で91.5%と最も高く、次いで20代(79.1%)となっています。

このようなことから考えると、言葉が本来の意味とは異なった用い方をされるようになったことから、言葉(単語)自体で意味合いを判断するのではなく、文脈全体で判断する必要があるのかもしれません。

若者言葉は新しい時代の表現を求めて、いろいろな方向に変化しています。また、現代の日本語は、室町時代に日本語が古代語から近代語へ移っていった時以来の大変革期にあると言われています。ですから、新しい言葉ができたり、違う意味で使ってみたりすることも、一概にダメとは言えないのかもしれません。それにしてもこのままだと、いずれは「話が煮詰まった」にしろ、「やばい」にしろ本来の意味が失われてしまうのではないかと危機感さえ覚えてしまいます。

今の若者言葉の多くは時代の変化に伴ってとともに消えていくのだろうとは思うのですが、それでもいくつかは今後も一般的な日本語として定着していくのでしょう。

ですから、若者に限らず我々自身、普段から言葉を無自覚に使うのではなく、時にはその意味や使い方が正しいのかなどを意識的に見直しながら使うことも必要なのではないでしょうか。

 (人材育成社)


データサイエンティストに任せるな

2015年12月06日 | コンサルティング

データサイエンティストという職業をご存知でしょうか。「データサイエンティストの仕事は、統計学、コンピュータサイエンス、データ分析を駆使して、膨大なデータを構造化しながら整理して、企業がデータを活用したアクションを起こすために必要な情報となるように、解析結果を導き出すというもの(http://www.lifehacker.jp/)」だそうです。

もう少しわかりやすく言うならば、「主に統計学の手法を使って大量のデータを分析し、ビジネスに役立つような形で提示する仕事をしている人」です。データサイエンティストは、企画部門やマーケティングなど、ビッグデータを扱う部門にとっては今後ますます必要となる職業のように思えます。

しかし、サイエンティストという言葉は正しくないと思います。なぜならサイエンティスト(科学者)ではないからです。強いて言えば「データエンジニア」が正しい呼称でしょう。

データエンジニアは、膨大な「ビッグデータ」を濾過して有用なデータを入手し、統計分析を行って結果をわかりやすい形にまとめます。そのためには多分野にわたる知識が必要です。その点はサイエンティストと同じです。

ただし、両者はその目的が異なります。サイエンティストは、科学それ自体が目的であると言ってもよいと思いますが、エンジニアはビジネス、つまり企業の利益の確保が目的だからです。決してエンジニアがサイエンティストより下であると言っているわけではありません。「目的が違う」ということを明確にすべきだと言いたいのです。

かつてビジネスにはKKDが必要だと言われてきました。KKDとは「勘、経験、度胸」を意味しています。私が社会人になった頃(40年近く前)は、まさにモーレツ上司の元でKKDを身に付けようと皆必死になっていました。

今や多くの仕事がネット上で処理され、職場にいたモーレツ上司はほとんどいなくなりました。それどころか「上司」自体が存在感をすっかり無くしています。

私は、現代のKKDは「Knowledge, Keyboard, Data analysis」だと考えています。Knowledgeは知識ですが、ビジネスに必要な思考力を含む幅広い「脳力」を指しています。Keyboardはコンピュータ全般に関する知識やスキルです。Data analysisは先に述べたデータエンジニアとしての能力です。

これからのビジネスパーソンに必要なものは、コンピュータを駆使してデータを収集・分析し、持てる知識を使って意思決定を行う能力です。

ですから、この新しいKKDのD(Data analysis)を、「データサイエンティスト」という特殊な連中に丸投げしてはいけないと思うのです。高度な分析ならともかく、ビジネスで役に立つほとんどのデータ分析は基礎的なレベルで十分であり、自ら行うべきです。

全てのビジネスパーソンは、これからの時代を生き残っていくためにKKDを身に付けましょう!

(人材育成社)

 

 


笑いがもたらすデトックス

2015年12月02日 | コンサルティング

「箸の転んだもおかしい」という年頃が私にもあったなと、昔を懐かしく思うことがあります。諺(ことわざ)の「箸の転んだもおかしい」年頃とは、15歳から18歳くらいの若い女性だそうです。この私にも確かにそういう年頃があったなと思いを馳せるのですが、あまりにも昔のことすぎて、詳細は思い出せません。

でも、笑い転げてばかりいたあの時代、あまりに笑い過ぎたせいで涙までも出てしまい、ハンカチで涙を拭き拭き、顔をくしゃくしゃにして笑っていたことをはっきりと記憶しています。周囲の大人たちからは、まさに「箸の転んだもおかしい」年頃なんだね、と言われていたものです。

気がつけばあれから約30年、すっかり大人になってしまった私は、かつてのように大笑いすることがめっきり減りました。最近ではテレビのお笑い番組を見ても、「今一つ笑いのツボが動かないし」と思っていたのですが、先日、10代の頃の私が蘇ったような大笑いをする機会に恵まれました。

いつか行きたいとずっと思っていた「笑福亭鶴瓶」さんの独演会に、ついに行く機会が訪れたのです。当日は満を持して会場に到着しましたが、平日の18時30分という開演時間なのにもかかわらず、1,324席の会場はほぼ一杯で男性サラリーマンが大勢いるのが特徴でした。そして、いよいよ舞台が始まったのですが、寄席3席の前の鶴瓶さんのお話はとにかく面白く、終始一貫観客が鶴瓶さんにくぎ付けになったのでした。

鶴瓶さんがおっしゃるには、「笑いは日常にあり」とのことで、話の内容は日常の一部を切り取ったものや、その日会場に遅れて入ってきた観客をもネタにし、感じよく笑いに誘いました。鶴瓶さんというお人柄が語ると、日常的な事柄さえも楽しく変換されるようで、ただただ楽しくて面白くて、とにかく笑えました。笑いに始まり、笑いに終わったあっという間の2時間でしたが、終演後には、身も心もすっきりして体が元気になったような気がして、「大変なこともいろいろあるけれど、明日からまた頑張ろう」と妙に前向きな気持ちになりました。これは、笑いがもたらすデトックスだったのではないでしょうか。

実際に、笑いが心や体にもたらすプラス効果が医学的にも実証されつつあるようですが、最近では病気の予防や治療の面においても注目を浴びており、自律神経のバランスが整ったり筋力がアップしたり、鎮痛作用や認知症の予防にもなると言われています。

さて、この12月1日から従業員数50人以上の全ての事業場に対して、メンタルヘルス対策の充実と強化を目的にストレスチェックが義務化されました。ストレス社会と言われるようになって久しいですが、厚労省の「精神障害等の労災補償状況」によると、2014年の精神障害の労災請求件数は1,456件、支給決定件数は497件でともに過去最多になっています。

弊社のお客様の企業の中にも、メンタルヘルスの不調で休職されている方がいらっしゃいますし、研修でお会いする受講者の中に「元気がないな」と感じる方に会うことがあります。研修後に担当者に話を伺うと、職場復帰したばかりでまだ本調子はないという話を聞くときもあります。

メンタルヘルスの不調の原因はいろいろあると思いますし、誰でもなりうることですから、疲労困憊してしまう前に、自分なりのリラックス方法を獲得することが大事ということだと思うのです。

身も心もすっきりし、元気を取り戻せる方法は人それぞれでしょうが、笑いは心身ともにリラックス、リフレッシュさせてくれると思います。

笑いのツボは人によって様々でしょうが、自分にとっての笑いのツボを見つけられれば、定期的に心身のデドックスができるのではないでしょうか。私にとっては、鶴瓶さんのお話で思いっきり笑い、すっかりリラックス、リフレッシュできました。

まさに私の笑いのツボにピタッとはまったようで、早速、先週もまたまた鶴瓶さんの寄席に出かけて思いっきり笑ってきました。

当面、鶴瓶さんの追っかけが続きそうな気がしています。

 (冒頭の写真は松竹芸能株式会社のHPより)

 (人材育成社)