中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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第1,246話 書き続ける訳

2024年12月25日 | キャリア

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「やっと新しいネタを考えなくて済む、ほっとしているところがあります」

これは、漫画家の西原理恵子さんの言葉です。最強のおばさんの日常をコミカルに描く「りえさん手帖」が22年の時を経て、2024年12月23日に最終回(373回)を迎えたそうです。最終回を迎えるにあたり、先日(12月16日)「りえさん手帖」を掲載していた毎日新聞に西原さんのインタビュー記事が掲載されていました。記事の中で西原さんは、「毎週の掲載はきつかったです。ネタが思い浮かばず、行き当たりばったりのときもよくありました。昨日締め切りだった作品がよく描けていて、今日はそれを褒めて欲しいのに、『はい、次』と自分をせかす日々でした。だから22年は一瞬。これからは夢の中で漫画を描くこともなくなるかな、と安堵しています。」とおっしゃっていました。

22年もの間、毎週書き続けることがいかに大変なことであるか、想像に難くないことだと思います。と言いますのも、西原さんの22年間とは比べものにはなりませんが、本ブログも11年前の2013年4月に始めて以来11年半が経過し、本日晴れて1,246回目を迎えることができたからです。「人材育成に関わることをテーマにする」をルールとして幅広く取り上げてきましたが、西原さん同様に毎回のネタを考えるのは決して簡単なことではありませんでした。ブログをインターネットにアップした瞬間はホッとできるものの、次の1週間はあっという間にやってくるため、今でも絶えず次のネタ探しに追われている日々を送っています。

ここまで苦労しながら、弊社ではなぜブログを書くことを続けているのでしょうか。それは、読んでくださったからのフィードバックが励みになり、モチベーションにつながっているからです。ブログを読んでくださった方から、直接お会いしたときやメールやSNSで感想をいただけるからなのです。中でもこれまでで最も感動的だったのは、ブログの中で取り上げた人に「〇〇さんのことを書かせていただきましたよ」と伝えたところ、後日便せん3枚に感想を丁寧に書いて手紙にして手渡してくださった方がいらっしゃったことです。いずれのフィードバックも、本当に有難いと感じています。

もう一つ励みとしているのは、朝日新聞の毎週木曜日の夕刊に掲載されている三谷幸喜さんの「ありふれた生活」です。こちらは12月19日時点で1,212回書かれています。しかしながら、三谷さんが講演で話されていたところによると、朝日新聞で萩原延壽さんの「遠い崖アーネスト・サトウ日記抄」が1,947回、大佛次郎さんの「天皇の世紀」は1,555回、アサヒグラフで團 伊玖磨さんは「パイプのけむり」を1,842回書かれたとのことでした。こうした先人達の足跡は素晴らしいとしか言いようがありません。

このブログは回数などのゴールは特に決めておりませんが、書くことにより自分や物事を客観視できたり、新たな気づきを得たりすることができることなどがありますので、今後もネタ探しには四苦八苦しつつ、皆さまからいただけるフィードバックを励みに今後も続けていくつもりです。

さて、今年のブログはこれが最終回になります。この一年ご覧いただきありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

それでは皆さま、どうぞ良いお年をお迎えください。

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第1,245話 外発的動機付けと内発的動機付けのバランスとは

2024年12月18日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「給与が今よりも高い会社に転職をすることにしました」

これは、先日知り合い40代前半の男性から聞いた言葉です。彼は長年製造業で監督職として活躍していましたが、このたび給与を上げたいと考えていたのだそうです。詳しく話を聞いたところ、現在の業務や会社自体には大きな不満はなかったそうですが、彼が言うには年齢的にもラストチャンスであり、今後必要となる子どもの教育費などのことも考え、転職を決断したのだそうです。

近年、人材の採用難に対する施策の一つとして給与を上げる会社が増えています。雇用される側としても給与は高いに越したことはありませんので、それ自体は歓迎できることで特に問題はないと思います。

この給与が上がることを動機づけ理論の視点で考えると、外発的動機づけであると言えます。外発的動機づけとは、外部からの報酬や罰などの力によってやる気にさせるもので、たとえば金銭的報酬を得たり、ペナルティを避けたりすることなどを目的として行動を起こさせるものです。一般的に外発的動機づけは人を動かす強い力になりますので、有効な手法とされています。ただし外発的動機づけには問題点もあり、報酬や罰などの刺激を与え続けていないと、いずれやる気が失われてしまうことです。

そのように考えると、給与が高い会社に転職をすることはやる気の向上に寄与することにはなりますが、やがては時間の経過とともに上がった給与にも慣れてしまい、だんだんとやる気が失われていってしまわないとも限りません。

先日、高崎市にある「かみつけの里」博物館に行く機会がありました。ここは、榛名山東南麓で出土した5世紀後半(古墳時代)の人物・動物などの埴輪を模型にして、当時の様子を再現し展示している博物館です。館内の一部では「八幡塚古墳」についても紹介しているのですが、まず古墳を作るための工事費は現在の金銭に換算すると10億円ほどであり、そのほぼ全てが人件費に該当したとのことです。しかし、当時は報酬という概念がなかったため、労力の9割を占める村人たちは食事や少しの褒美を与えられるくらいで労働力を提供したと考えられるのだそうです。

それでは、そうした村人達が古墳を作ることへのモチベーションをどのようにして維持できたのかということについて疑問を持ちますが、村人たちは古墳の造営という壮大なプロジェクトに参加できるということが彼らにとってのステータスになったとも考えられるとのことです。現在のように機械はなく人力のみで古墳を作るとなると、強制されムチで打たれて労働力を提供させられていたようなイメージの、これまでの見方は変える必要があるのかもしれないとも紹介されていました。

このことは、まさに現在でいうところの内発的動機付けに当たるものだと思います。内発的動機づけとは、報酬などのためではなく自身の内部から湧き出る意思で動くことであり、私たちは仕事にやりがいを感じられたり何らかのステータスを感じられたりすると、やる気をもって前向きに働くことができるということです。

人材をなかなか採用できない、あるいは貴重な人材に転職や退職をされてしまうことを避けるためには、報酬が上がるという外発的動機付けが手段として有効であることは確かですが、同時にそれだけでは自ずと限界もあります。

したがって、外発的動機付けと内発的動機付けのどちらか一方だけに取組むのではなく、両者をバランスよく組み合わせながら、継続的に社員のやる気を引き出していくことが大切なのです。そのためには、適切なタイミングで報酬や福利厚生などを見直していくとともに、現在の仕事の魅力ややりがいをあらためて理解してもらうことです。将来の展望やそれに向けた計画などを具体的に示すなどにより、引き続き社員にやる気・モチベーションを持ち続けてもらえるようにバランスよく取組んでいくことが大切だと考えています。

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第1,244話 リーダーシップの発揮には様々なスタイルがある

2024年12月11日 | 仕事

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「おまえは30点でいけ」

これは女優の今田美桜さんが、俳優の中井貴一さんから言われた言葉だそうです。

先日、新聞のテレビ欄を見ていたところ「徹子の部屋」の出演者に今田さんの名前があり、加えて「中井貴一さんから言われた言葉が支えになっている」との見出しがありました。

それを見た私は、「中井さんの言葉に影響を受けた人がまたいるんだ」と思い、即座に録画予約をしたのです。

「徹子の部屋」では、今田さんは20歳のときにドラマで共演した中井さんから「おまえは30点でいけと声を掛けられ、その後肩の力が抜けて楽になった。背伸びしすぎなくていいんだ。 その言葉あったから、そのあとも頑張れたのかなった思っている」と語っていました。続けて、「迷ったとき、失敗したときにはその言葉を思い出して、また新たに頑張れる言葉の一つ」だとも話していました。

私はこれまでにもテレビで、吉田羊さんさんや柳沢慎吾が中井さんの言葉によって新たな機会が訪れたという話や、落ち込んでいるところを助けてもらったなどの話をしているのを見聞きしたことがあります。中井さんのことを、様々な人に対してプラスの影響力を発揮されている方だと思っていましたので、テレビの中の人ではありますが関心を持って見てきました。

前述の3人それぞれのエピソードからわかるのは、中井さんはとてもリーダーシップがある方だということです。そして、そのスタイルはぐいぐいと周りを引っ張るリーダーシップではなく、本人が気づいていない演技力を他者に伝えることによって新たな道を開くきっかけを作ったり、中井さん自身の出番は終了しているにもかかわらず、落ち込んでいる共演者の仕事が終わる時間まで待っていてその後食事に誘ったり、さらには今回の今田さんのように今後どのように頑張ったらよいのか悩んでいる人に「30点でよい」と声をかけたりするなど、ソフトなリーダーシップを発揮していると見て取れます。

話は変わりますが、弊社が研修を担当させていただく際に「リーダーシップからイメージすること」を受講者に尋ねることがあります。すると、多くの受講者がイメージするリーダーシップは「指導力」や「統率力」など力強い言葉のイメージが多く、その結果自分はそうしたリーダーシップを持ち合わせていないと感じてしまうことが多いように思っています。

リーダーシップ理論の一つにPM理論というものがありますが、これはリーダーが持つべき機能をP機能(Performance Function:目標達成機能)とM機能(Maintenance Function:集団維持機能)の2軸で捉えるものです。

P機能は成果を出すために発揮されるリーダーシップで、目標の設定や計画の策定をしたり、メンバーへ指示したり、問題発見・課題解決を率先し行ったりするものです。

一方のM機能は、人間関係を良好な状態に保つことによって、チームワークを強化していくスタイルで、具体的にはメンバーを観察して積極的な話を聴いたり、勇気づけをしたりメンバー間が対立したときに調整をしたりすることです。

そして、それぞれの機能の発揮にあたっては様々なやり方・スタイルがあるわけですから、リーダーシップにも様々なスタイルがあって当然で、100人いれば100通りのスタイルがあるということだと思うのです。

中井さんから様々な影響を受けた3人のエピソードを聞くことによって、改めてリーダーシップの発揮には様々なスタイルがあること、ソフトなリーダーシップでも他者との関係性の中で強い影響力を発揮できるのだということが改めて整理できたように感じています。

多くの人にプラスの影響を与え続けている中井貴一さん。これからのますますの活躍を楽しみにしたいと思います。

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第1,243話 自分のスキーマを把握しているか

2024年12月04日 | コミュニケーション

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「これはどのようにやればよいのですか」

弊社が研修を担当させていただく際には、テーマにかかわらず講義を行った後に必ず演習に取り組んでいただいています。その際、私としては演習の説明を丁寧に行ったつもりであっても、実際に演習が始まると既に説明をしたことであっても受講者から再度質問されたり、受講者によっては説明の中で指示したことと違うことを始めてしまったりすることがあります。そのようなときに受講者から言われるのが冒頭の質問です。私としては懇切丁寧に説明をしたつもりなのですが、このようなことがあると「伝えることの難しさ」を改めて感じることになるのです。

そうした中、先日今井むつみ氏の「『何回説明しても伝わらない』」はなぜ起こるのか?」という本を読む機会があったのですが、その中では「スキーマ」が取り上げられていました。スキーマとは、認知行動療法における特定の状況や事柄に対する個々人の認知の枠組みのことを言います。スキーマは過去の経験や育った環境などから形成されるものであり、自身の物事への捉え方や対人関係などの行動のパーターンに大きな影響を与えています。今井氏は本の中でスキーマを「当たり前」という言葉で説明していました。自分にとっての当たり前ということです。

これに関して、私たちが他者とコミュニケーションをとる際に、ある事柄について「自分にとっては当たり前のこと」として話をしてしまうと、相手にはきちんと伝わらなかったり、場合によっては誤解をされてしまったりということがありえます。これらのことから考えると、先述のとおりの私が担当する研修においても、幾人もいる受講者の中にこちらの意図が簡単には伝わらない人がいるということは、極々当たり前のことと言えるわけです。

では、このスキーマについて私たちが対人関係においてうまく活用していくためにはどうすればいいのでしょうか。そのためには、まずは自分のスキーマが具体的にどこにあるのかをきちんと認知することから始める必要があると思います。具体的には、自分自身を振り返って再認知するとともに、他者からのフィードバックを積極的に受け入れたり、ときには診断テストなどを受けてみたりするということも、その助けとなるのではないかと考えます。

同時に、他者とコミュニケーションをとる際には「うまく伝わる」ことを前提にするのではなく、そもそも簡単に伝わるものではないということを踏まえておくことが必要です。だからこそ相手にきちんと伝わるようにするためには、繰り返し伝えたり、様々な手段を駆使するとともに、思いがけない他者からの質問に対してはいらいらしたり慌てることなく、根気強く説明をしていくことが大切になります。

このようにスキーマをうまく使いこなすことができれば、他者とのコミュニケーションにおける有効な手段とすることができると思います。私自身、冒頭のような場面でいかに使っていくかを改めて考えているところです。

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