中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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That is his problem.

2014年08月13日 | コンサルティング

毎日、猛暑が続いていますね。こんなにも暑い日が続くと、ついイライラしてしまうことが多くなるという人もいると思います。

ところで、皆さんがイライラする時はどういう時が多いでしょうか?人によって答えはいろいろだと思います。例えば、来るはずの電車がなかなか来ないなどは日常的ですし、今の季節ならではのものとしては蚊に刺されて痒いなどがあげられるでしょうか。

しかし、イライラの原因で最も多いのは、やはり職場や家庭で起こる人間関係のちょっとした行き違いによるものではないでしょうか。

イライラしても、その気持ちを自分の中で消化できるのならば別段問題はないと思いますが、感情を爆発させて他者にその気持ちが向かってしまうと、人間関係に弊害が生じてしまいかねません。

言った方は気持ちを爆発させたことですっきりできるかもしれませんが、言われた方はたまったものではありません。自分に非があるならばそれを甘んじて受け入れもしますが、納得がいかないことで一方的に怒りをぶつけられたならば、それは耐え難いですし、あとあとしこりが残ります。

先日も電話応対を中心にした業務を行っている企業の担当者から、顧客からネガティブな感情をぶつけられたり、マイナスの発言をされることで、仕事が終わってもなかなか気持ちを切り変えることができず、自宅に帰ってからも沈んだ気持ちを引きずってしまう社員がいるという話を聞きました。あまりにもショックが大きいと、夢にまで出てきてうなされてしまうこともあるとのことでした。

理不尽なことで怒られた場合、相手がお客様でなければ言い返すこともできるのでしょうが、お客様であればそうはいきません。一方的に言われ続けることに耐えなければならず、何とも理不尽だと感じるケースが多いようです。

では、怒りとは一体何でしょうか?

あらためて辞書を引いてみると、「尊厳や権利が不当に侵害されたときなどに起きる感情」とされています。

怒りの感情そのものは否定されるものではないとは思いますが、その怒りの感情が他者にむけられると人間関係を壊すことにもなりかねませんから、注意が必要です。

さて、冒頭の「That is his problem」ですが、これは、先日140万部のベストセラーになった「置かれた場所で咲きなさい」の著者の渡辺和子さんが、あるテレビ番組の中でおっしゃっていた言葉です。

視聴者からの「他者からマイナスの行為や感情を受けた時に、どうすれば気持ちの切り替えができますか?」という質問に対して渡辺さんがおっしゃった言葉です。「自分ではコントロールすることができない他者のことはどうすることもできない」、「人は人として割り切ることしかできない」というような意味だと思います。

渡辺さんは、幼い時に二・二六事件で父親が目の前で撃たれるところを見る経験をしたり、36歳という異例の若さで岡山県のノートルダム清心女子大学の学長に就任され、その後うつ病になったりと数々の苦難を乗り越えられた方です。

そのような経験を経て、86歳の今もノートルダム清心学園の理事長としてご活躍の方の言葉ですから、重みのある言葉だと思います。

他人から理不尽な怒りをぶつけられた時、すぐには渡辺さんのように考えられないかもしれませんが、他者に翻弄されるのではなく、「That is his problem」といきたいものです。

 (人材育成社)