中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

モノを売るのではなく、価値を提供する

2015年10月28日 | コンサルティング

「このキャベツを食べると、血液がサラサラになるんだよ。」

「この大根は肌をツルツルにするから、買わなきゃ損だよ。」

これは、我が家の近所にある八百屋さんの店主のセールストークです。いつも元気一杯、このように声をかけてきますので、ついついのせられてしまい、本当は買うつもりのなかった野菜や果物まで買ってしまうのです。

買いものをしている途中に、「お勧め上手ですね」と何回か声をかけたことがありますが、本人は特に意識して言っているわけではないのか、いつもニコニコしているだけです。

この笑顔にもついやられてしまい、またまた予定にないものまで買ってしまうのです。

この店主と接していて思い出すのが、「営業パーソンはモノを売るのではなく、価値を提供することが大切だ」ということです。

営業職に求められるものは、「単に商品やサービスを売ることだけではなく、その商品やサービスの価値を提供すること」ということで、これは営業研修のテーマになることが多いと思いますが、この店主はまさにこれを地でいっていると言えます。

この八百屋は決して大きな店ではありませんが、いつもたくさんの人で賑わっています。閉店間際にかけこむと、朝には山と積まれていた大根が売り切れになっていたり、買うつもりでいたトマトが品切れになってしまっていたりということがよくあります。

先日、この店の近くに新しくスーパーがオープンしたのですが、それにもかかわらず相変わらずこの店が繁盛しているのは、やはりこの店主の営業トークのなせる技ではないかと思うのです。

そして、この店主のさらに凄いところは、コミュニケーションスキルにも長けているところです。

日常的な挨拶にはじまり、「今日は仕事?」「今日は自転車?」「お父さん(夫のこと)は元気?」などと気さくに話しかけてきます。いつもこんな調子ですので、名物店主としてこれまでに「アドマッチック天国」「おんな酒場放浪記」をはじめとして、お店のある旧東海道を取り上げるテレビ番組にも多数出演しています。

これまでにも何気なくテレビを観ていたら、偶然この店主が出ていたということも何度かありました。

旧東海道品川宿周辺には今でも昔ながらの商店街が残っているため、八百屋は複数あるのですが、テレビに取り上げられている回数はこのお店が断トツに多いと思います。その理由は、やはりこの店主の人柄によるところが大きいのはないでしょうか。

ちなみにこの店主、いつも忙しそうに動き回っていて、道を挟んで店の真向かいにある倉庫の間を日に何度も往復しているそうですが、何と一日の歩数は4万歩も超えると聞いたことがあります。毎日これだけ動いているので、いつも威勢のいい声が出るのでしょうか。

先ほども書いたように、この店主の営業トークやフットワークの軽さは天性のもので、本人は特段意識して行っているものではないようですが、この店主を見ていると「営業の秘訣はここにあり」という感じがして、いつも感心させられます。まさに身近なところに一つの答えがあったという感じです

 「なかなか売れない」と困っている営業パーソンは、一度お近くの元気で賑わっているお店を訪れてみてはいかがでしょうか。きっと何かヒントになるものが得られるかも知れません。(冒頭の写真は「おんな酒場放浪記」より)

 (人材育成社)


日本のロボット産業が立ち上がるために

2015年10月25日 | コンサルティング

日本はロボット技術で世界をリードする「ロボット先進国」であると言われています。1980年の「ロボット普及元年」(ロボット工業会による命名)あたりから自動車や家電の生産ラインでは溶接ロボット、塗装ロボットのように産業用ロボットが急速に普及してきました。

その後いくつかの盛り上がりはありましたが、ここ数年のロボット産業に対する国や企業の力の入れようは特筆すべきものがあります。もはや単なるブームなどではなく、ひとつの大きな産業が形成されはじめているように思います。

最近のロボットに関するキーワードは「知能化」です。機械としてのロボットに人工知能(AI)を組み合わせて、より高度な仕事ができる賢いロボットに注目が集まっています。ソフトバンクのPepperの発売や将棋でAIがプロ棋士に勝ったこと、そして以前このブログでも書いた2045年のシンギュラリティ(技術的特異点)など、話題には事欠きません。

では、日本が知能化分野でも世界をリードしているかと言うと、必ずしもそうではないようです。AIにおいては海外と横一線かやや遅れをとっているようです。たとえば、アメリカではGoogleが資金力にものを言わせてロボットやAIに関する企業を片っ端から(?)買い漁っています。また、IBMやGE、インテルなどが2014年に設立したIIC(Industrial Internet Consortium)はロボット技術のスタンダード(世界標準)を押さえようとしています。

もちろん日本も官民を挙げての活動が本格化しています。特に通商産業省は2015年1月に発表した「ロボット新戦略」の中で、今後のアクションプラン(五カ年計画)を示しています。

こうした様々な取組の中で、私は次の2つに注目しています。

ひとつは、OpenEL (Open Embedded Library)です。OpenELとは、「ロボットおよび組込みソフトウェア向けのオープンなライブラリ」です。ライブラリとはソフトウェアのパーツのようなもので、これを使うことでロボットの目や耳、手足などにあたるセンサやモータを簡単に制御することができます。OpenELは「組込みシステム技術協会(JASA)」が中心となって仕様を作り、世界的な標準化団体であるOMG (Object Management Group)に国際標準として採用するよう提案しています。

産業用ロボットの技術では他国に比べて一日の長がある日本こそ、ロボットの「神経系統」をつかさどるソフトウェア分野にもっと力を入れるべきだと思います。

もう一つは、ロボット事業におけるSIerです。SIerとはハードとソフトを組み合わせて、ニーズに合ったシステムを構築する業者です。ロボットが高度化すればするほど、実際の仕事で使うためには複雑な問題が生じてきます。ロボットを導入するにあたって、どのようなシステムを構築し運用していけばよいのか、コストパフォーマンスはどうか、従業員への教育はどうするべきか等々・・・。こうした問題に答える専門家(SIer)が必要になります。

ロボット産業を確立するためには、独立したサービス事業者としてのSIerを早急に育成しなければなりません。

どのような産業であっても、人を育てるという基本的な営みがその根本にあるからです。

(人材育成社)

通商産業省「ロボット新戦略」 www.meti.go.jp/press/2014/01/20150123004/20150123004b.pdf

ロボットおよび組込みソフトウェア向けのオープンなライブラリOpenEL(組込みシステム技術協会 理事、アップウィンドテクノロジー・インコーポレイテッド 代表取締役社長 中村 憲一) » Robopedia

シンギュラリティ2045年 - 人材育成社のブログ

 


「あなたはアナログ派ですか?デジタル派ですか?」

2015年10月21日 | コンサルティング

毎年10月の声を聞くと、途端に次の年のカレンダーや手帳がところ狭しとお店に並ぶようになります。ましてや10月も下旬になると、ものによっては売り切れてしまっている場合もあるようで、毎年こうした光景を見ると改めて「今年も残りわずか」と思う方も多いのではないでしょうか。

デジタル化が叫ばれて久しいですが、ある意味アナログの極みとも思える紙のカレンダーや紙の手帳は、人気が衰えるどころかますます種類が増えているように感じます。

さて、ここで皆さんに質問です。

手帳はアナログ派ですか?それともデジタル派ですか?

「段取り術」のセミナーで受講者にこの質問をすると、アナログ派とデジタル派の割合はだいたい半々程度に落ち着くのですが、今年の4月の朝日新聞の記事では「アナログ派は71%、デジタル派は9%、どっちも派は20%」と紹介されていました。

アナログ派は、「メモをとりやすい」、「見たいところをすぐに見られる」、「すぐに取り出せる」が3大理由で、反対にデジタル派は「入力や修正が簡単」、「検索しやすい」、「アナログの手帳を持ち歩くのは大変」を理由として挙げています。

以前、「段取り術」のセミナーで受講者からアナログとデジタルのどちらで仕事の管理をすると良いでしょうか?という質問を受けたことがあります。

それぞれ一長一短がありますから、一概にどちらが良いとは言えないのですが、段取りを立てる場合や仕事が予定通りに進んでいないという人には、私はアナログでの管理をお勧めしています。

スケジュール管理だけをするのであれば、自分の使い勝手の良い方でよいと思いますが、「仕事の段取り」をするためにはアナログで行う方が断然お勧めです。

なぜなら、デジタルはピンポイントの「点」で管理するのと比べて、アナログではある拡がりを持った「面」で管理することができるからだと思っています。

例えば、デジタルでは個々のスケジュールについてはピンポイントで検索でき、詳細に記録できるメリットがある一方で、その前後も含めた流れを一目でつかむことには必ずしも向いていないように思えます。

一方、手帳などのアナログの場合には、例えば「納期までにあとどれだけの時間があるのか」といった時間軸を視覚的にとらえやすいように感じています。

例えばスケジュールが遅れ気味の時などに、デジタルではそのことがピンポイントで突きつけられるような感じがするのに対して、アナログではもう少し時間的な広がりを持って前後を俯瞰して見ることができ、対応ができるといった印象があるのです。

つまり、手帳を開けることで納期までのスケジュールに余裕がなくなってきていることが一目瞭然にわかり、納期に向けてスピードアップすることもできるのです。

その他にも、紙の手帳であればパソコンやスマートフォンの電池残量を気にすることなく、いつでもどこでも記入することができますし、時間がない時には殴り書きや暗号書き(自分だけが理解できる書き方)もできるわけです。

このように、私は断然アナログ派なのですが、もちろん自分はデジタルの方がいいという方も多いと思います。

 いずれにしても、今年もはやくも残り2月少々です。自分に合ったやり方で2015年をよりよく締めくくれるように、もう一度スケジュールやタスクをチェックしてみませんか。

 (人材育成社)


がんばれ!意識高い系

2015年10月18日 | コンサルティング

「ブルーボトル日本開店おめでとう。西海岸で飲む、いつもの味。僕にとって新鮮みがないことが、成功の証だと思う。 」これは今年の2月にジャーナリストの松村太郎氏がツイートし、ちょっとした炎上を起こした文章です。このツイートに対するリプライは、「ネット原住民」による意識高い系の人間に対する揶揄に満ちていました。

意識高い系とは、「もともと学生主体の就職活動イベントなどの謳い文句が『意識の高い学生たちが集まるイベントです』であったことから、これを揶揄するようなかたちでネットで使われ始めた。つまり、学生の就活にまつわることばなのだが、それが現在では一般にも使われるようになっている」※とのことです。

意識高い系の人たちの特徴を以下に示します。

1. ビジネス用語や横文字をよく使う(スキーム、アジェンダ、クラウド等)。
2. 積極的に問題を提起しない人間を下に見て、啓蒙しようとする。
3. 努力を過度にアピールする(俺、もう3日も寝てないし)。
4. プロジェクトに少し関わっただけでも自分の実績としてアピールする。
5. 自己啓発を好み、スティーブ・ジョブズの伝記やビジネス書を愛読する。
6. 仕事してる感を出すため、スタバなどでMacbookを使って仕事をする。
7. 無駄にグローバル志向で、むやみに国際的な視野を持ちたがる。
8. 人脈づくりに熱心。SNSのフォロワー数を自慢する。

・・・たしかに、ちょっと(かなり)うざい感じがします。そのせいか、ネットではからかわれることが多く、その発言はよくこき下ろされています。

しかし私は、意識高い系は嫌いではありません。少なくとも、陰で悪口を言ったり嘲笑したりする連中よりも、はるかにマシです。いや、むしろ「がんばれ!」とエールを送りたい気持ちです。

さらに、常にポジティブに考え行動しようとしてる点については、学生よりも社会人の方が見習うべきだと思います。日本の社会は「空気を読め」という言葉があるように、「同調圧力」が強く、目立つことや他人と違うことに対して必要以上に厳しいからです。

毎年新人研修で多くの若い人たちに接していると、「もっと自分を出しても良いのでは」と感じます。中味がないのに自己演出をする者も多少はいますが、最近の新入社員は本当によく勉強しています。「中味が詰まっている」人が多いのですから、もっと自己主張してほしいと思います。

それに、ネットで文句ばかり言っている連中の圧力に負けていては、グローバルな競争には到底勝てません。なにせ、日本の貿易相手国のランキングトップ3は、アメリカ、中国、韓国という「生まれついての意識高い系の国々」なのですから。

さて、残念ながら意識高い系の人たちは徐々に減ってきているようです。ネットでさんざんバカにされてきたせいか、最近はあまり見かけません。

ここで意識高い系の、特に若い人たちに提案ですが、いっそネットでの発言をすべて英語にしてはどうでしょうか。日本語で揶揄する人たちに対しては「英語ができなくて可哀そうだね」と言ってあげればよいのです(もちろん英語で)。

もし意識高い系でいることに不安を感じたら、是非一度どこかの社会人大学院をのぞきに行ってみてください。中年になっても意識高い系の人たちがたくさんいます。そして、彼らが実際に社会の第一線でバリバリ活躍していることを確認してください。

がんばれ、意識高い系!

※「『意識高い系』という病」 (ベスト新書) 新書 、2012年、常見陽平 (著)

(人材育成社)

 


夢の深層心理

2015年10月14日 | コンサルティング

皇太子殿下「パーティの時に髪留めをつけると、雅子(妃殿下)の髪に癖がついてしまって困っています。何とかならないものでしょうか。良い方法はありませんか?」

私   「そうですか。それでは、いろいろ調査してみます。きっと良い方法があると思います」

皇太子殿下「結果が出たら必ず知らせてください。期待して待っていますから」

 これは、先日私の見た夢の中での皇太子殿下との会話です。恐れ多くも、皇太子殿下に声をかけていただいたことに心臓がドキドキし、私の調査結果を「期待して待っていますから」とのお言葉に、「殿下が私の調査結果を期待して待っていてくださる、ということは、もう一度お目にかかることができるということかしら」と天にも昇るようなワクワクした気持ちになったところで目が覚めました。

それにしても、一体どうしてこのような夢を見たのだろうと思いました。

実は、私はこの10日間ほど頭皮に炎症をおこし、フケと脱毛に悩まされていました。診察した皮膚科の医師からは、1か月くらいで治りますよと言われたものの、肩にフケが落ちていたり、頭部の一部が薄毛になってしまっていることがとても気になっていました。

自分としては、いずれは治るのだし、まあ1か月は仕方がないと思っていたつもりでしたが、頭のことがこういう形で夢に出てくるとは、どうやら自分で思っていた以上に気にしていたようです。

 こうした夢と心理状態との因果関係には以前から興味を持っていたのですが、改めて考えてみると、人は夢を見ている間はそれがあたかも現実であるかのように感じていて、目が覚めた時にそれが現実ではないことを悟るわけですが、この両者の間には意味があるように思っています。

夢はあくまで現実ではないですし、逆に夢に見たことが必ずしも現実になるわけではないと思いますが、全てではないにしても夢と現実の間には何らかの意味や関係性があるのではと思っています。

 私の経験上、自分が夢を見た時はその前に夢の内容に関連する事柄があったケースがかなりの確率であります。楽しかったことや逆に嫌なことなど様々な事柄があるわけですが、目が覚めてからなぜそのような夢を見たのかを考えることは、自分がその事柄を無意識にでもどれほど考えていたのかを認識することにつながるのだと思います。

そして、こうして自分自身の無意識の声との対話を繰り返していくうちに、心の奥底にある悩みなどを整理することもできるのではないかと考えています。

ですから「たかが夢」と考えずに、時々は「なぜそのような夢を見たのか?」ときちんと振り返ってみることも必要なのではないでしょうか。

 今回の私の事例のように夢の原因となる事柄が短期間で解決できる(多分)場合はともかく、長期間にわたるストレッサーが原因の場合は深刻な事態かもしれませんから、意識的にストレッサーをなくすような問題解決が必要なのだと思います。

 それにしても、冒頭のやりとりは今でもリアルに思い出されます。今回夢であっても皇太子殿下と会話をさせていただける機会を得られた私はかなり幸せな者かもしれません。

 (人材育成社)


たった3ヵ月であなたの会社がみるみる儲かる!

2015年10月11日 | コンサルティング

あなたが経営者だとしたら、このタイトルのような文言を口にするコンサルタントに仕事を依頼しますか? 実は、中小企業相手のコンサルタントはこうした言葉をよく使います。「増収増益の法則をお伝えします」とか「儲けの自動化を実現します」といった美味しそうなフレーズも目立ちます。

言うまでもなく儲かっていない中小企業の社長さんたちはこうした言葉に反応しがちです。しかし、目先の資金繰りに困っていたり、倒産しそうな会社の社長にはまったく効きません。それどころではないからです。

当面はなんとかなっているけれど、赤字が続いていてこのままだと危ないかな、というくらいの会社の社長さんにとっては「一度話を聞いてみようか」と思わせるものがあります。(注!弊社がそうだというわけではありませんので、念のため。)

弊社はこうしたコンサルタントを「魔法使い」と呼んでいます。儲かる「法則」や「仕組み」が短期間で実現できるなら、それは魔法だからです。

日本の中小企業の7割程度、約120万社は赤字決算です(国税庁のホームページで調べてください)。ほんとうに「魔法の杖」があれば、国がそれを買い上げるに違いありません。そして「魔法の杖」を使って中小企業の業績を一気に好転させることでしょう。その結果、法人税収は激増し、消費税は10%どころか廃止することができます。

素晴らしいですね。でも、おとぎ話です。

弊社もコンサルティングを事業の柱にしています。ただし、赤字の会社はよほどのこと(義理など)がない限り、仕事を受けることはありません。

赤字が続く原因は概ね2つに絞られます。1.その会社が提供している商品やサービスに価値がない、2.社長が経営者としての資質に欠けている、です。いずれも、まともなコンサルティングでは救いようがありません。倒産による社会的影響が大きいような企業でしたら、国や銀行が助けてくれることでしょう(助けるために必要なお金の出所は、私たちが払った税金ですが・・・)。

残念ながら、中小企業は誰も助けてくれません。上記の2つの原因をかかえている企業は消えていくしかありません。

弊社には「魔法の杖」はありませんので、売れない商品やサービスを売れるようにすることや、社長に経営者としての能力をつけることはできません。もちろん、商品やサービスが売れない理由や、経営者が果たすべき役割についてはコンサルティングできます。ただし、赤字が続いている時点で、業績が改善する可能性は非常に低いといえます。

暗い話になってしまいましたが、黒字決算の中小企業も50万社ほどあります。昔から「企業は人なり」と言います。会社が成長し続けるために何よりも重要なことは、人を育てることです。

しかし、人は簡単に育ちませんし、辞めてしまうかもしれません。良い人を育て、いつまでも働いてもらうためにはそれなりの仕組みが必要です。弊社のコンサルティングはそこに焦点を当てています。農業や林業のように時間と手間のかかる仕事ですが、人が育てば会社も育ちます。

弊社のコンサルティング手法は「魔法の杖」ではなく「農機具」のようなものかもしれません。

(人材育成社)

 

 


記録できる人 できない人

2015年10月07日 | コンサルティング

時々、仕事の打ち合わせの場にペンもノートも持たず、身一つで現れる人に出会うことがあります。

「何も記録をとらなくても、大丈夫なのかな?」と心配になりますし、状況によって後で議事録を作成して、内容を確認してもらうこともあります。

 弊社が担当する研修では、研修内容に沿ってテキストを提供しているのですが、こちらが話している内容をテキストの余白に細かくメモをする受講者がいる一方で、ほとんど何の記録もとらない人もいます。

もちろん、一概に記録をとる人が立派で、記録をとらない人がいけないということではないのですが、最近、記録をとらない人を見ていて、「もしかすると、記録することは誰にでも簡単にできるものではないのかもしれない」と考えるようになりました。

つまり、記録をとるという行為はスキルの1つであり、そのスキルを獲得していない人には簡単なことではないのではないかと思うのです。

 最近よく、「○○力」という言葉が流行っています。私は、名詞に「力」という語を付けると、意味が曖昧模糊となってしまうことが多いので、何でもかんでも「力」をつけるのは良くないと考えているのですが、記録することについては「記録力」というスキルなのではないかと思っています。

 記録するということは、例えば人の話を聴いたらその内容を一旦自分にインプットし、よく咀嚼して、その後アウトプットする行為だと思います。

したがって、他者の話を受け身で聞いているだけではなかなか話のポイントが見えてこず、きちんとしたインプットも(咀嚼も)アウトプットもできません。一所懸命に話を聞くことでインプットができ、中身を咀嚼することで話のポイントが見えてきて、その結果きちんとしたアウトプットができるということだと思います。

この意味で、例えば講師が板書したものを単にそのまま書き写すのでなく、自分なりの疑問点や気が付いたことなどをあわせて記録に残すことが大切だと思います。

 また、研修で講師をしていてよく感じるのは、メモを一所懸命にとっている人の方が概ね理解度が高いということです。メモを取らない人は、講義の後に確認の意味で行う演習の時間になると、既に説明した内容を質問してきたり慌ててテキストを読み返したり、全くピントはずれのことを行なうことが多いのですが、これも記録をとることの大切さを表しているものと思います。

 さらには、記録をとることには、相対して話し合いをしている相手に、自分の話を大切に扱ってくれているという非言語メッセージを届けることができるという効果もあると考えています。

 私はこのブログを書く時に、いつも文章を書くことの難しさを実感しているのですが、このように記録をすることは文章を書くことと同様に、意識的に身につけようとしないと簡単には身に着くものではない、とても大切なスキルなのではないかと改めて考えています。

 弊社では、新入社員研修の時に上司や先輩から話を聞いたり指示をされたら、「必ずメモを取りましょう」という話を必ずしているのですが、上記のように記録をとることの大切さは新入社員に限ったことではないと思うのです。

 いかがですか、皆さんも意識して「記録する」ことを行ってみませんか。

(人材育成社)


グローバル化時代の教養とは

2015年10月04日 | コンサルティング

グローバル化時代のビジネスパーソンに必要な知識といえば、経営戦略からExcelの関数に至るまで、非常に幅広いものがあります。さらに、最近は「教養」が新たに加わってきています。そして教養とは、単に即効性のある道具ではなく、もっと「広く深い知識」だと言われています。

ビジネス雑誌の教養に関する特集を読むと、よく紹介されるのが次のような「教養のないビジネスパーソン」の例です。

「・・・先日、イギリスに出張した時、商談の後にパーティがあったんだが、先方の会社の偉い人に日本の浮世絵についていろいろ聞かれて、大いに困ったよ。」

グローバル化が進むビジネス環境においては、英語が話せるだけでは失格で、自国(日本)の文化や歴史についてそれなりに語ることが必要だというわけです。

こうしたトレンドに敏感な社員教育業界は「ビジネス教養」を研修メニューに付け加えたり、通信教育の講座にしたりと、さっそく商売のネタにしています。以下は、ある会社が企業向けに提供しているコンテンツの一部です。

(1)「源氏物語」、「吾輩は猫である」、「種の起源」「相対性理論」を読む。(2)「歌舞伎」、「落語」、「浄瑠璃」を観る。(3)「茶道」、「いけばな」を体験する。(4)「オーケストラ」、「シェークスピア」を鑑賞する。

いかがでしょうか、どれかひとつでも「語る」ことができるものがあるでしょうか。ちなみに私(平野)はありません。

私は今までに数回ですが、海外の取引先と商談が終わった後、その会社の経営者(役員クラス)が開いてくれたパーティに出たことがあります。いずれも、名の知れた大企業でした。

そこで先方の偉い人たちと話した内容といえば、ここで書くに値しない本当にくだらないことばかりでした。強いて「教養的」な話題としては、メル・ブルックスの映画のギャグについてとか、昔のSF(スミス、ブラウン、クラーク等など)のどれが一番面白かったか、といったことでした。

私は、ビジネスパーソンが教養を身につけることについては、大賛成です。しかし、教養そのものはグローバルなビジネスでは、それほど役には立たないと思います。

では、どんな話題について話せばよいのでしょう。

もしあなたが十代の頃に夢中になったことがあれば、それを話題にしてみることをお勧めします。

英語なんてカタコトで大丈夫です。相手がアメリカ人でもイギリス人でも中国人でもインド人でも、あなたと同じ世代ならきっと通じ合う話題があります。

「ビジネス教養」は時間ができたら始めてみてください。

(人材育成社)