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第1,234話 あなたは人の話を正確に「聴く」ことができていますか

2024年10月02日 | コミュニケーション

「社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「お尋ねしたのはそういうことではなく、〇〇について知りたいのです。そこを教えていただけますか?」

これは、最近私の知り合いが家電製品を購入する際のやり取りの中で、店員に伝えた言葉だそうです。具体的には、友人は2つの製品のどちらかを購入したいと考え性能の違いを繰り返し質問したのだそうです。しかし、店員は話を聞いているようには見えても、質問の意味を理解できていないのか、ピントのはずれな答えしか返ってこなかったとのことです。結局、知り合いはその店での購入を諦めたと話していました。

知り合いが言うには、店員であっても全ての製品の知識があるとは限らないので、わからなくて返答できないのであれば、別の人に代わってもらうなどの対応をしてもらえれば良かったとのことです。しかし、その時の状況を改めて振り返ってみると、知識の有無というよりもそもそもこちらの質問の意味を理解してもらえていなかったようで、そのために返答がずれてしまっていたのではないかとのことでした。

コミュニケーションにおいては話すことも大切ですが、話をすることの前提として聞くことの重要性について注目されるようになって久しいです。特に、コミュニケーションでは傾聴することが必要不可欠であると多くの人が理解しているのではないかと思います。

傾聴とは、「話し手の話を心を傾けて熱心に聴くこと、相手の言いたいことを言葉や態度で丁寧に示しながら聴くこと」です。これはアメリカの心理学者であるカール・ロジャースが提唱したもので、ロジャース自身がクライアントに対して行うカウンセリングにおいて、傾聴することの有効性を強く感じたことが始まりと言われています。

私自身の経験でも、研修を担当している際に受講者が頷いたり、前のめり(積極的)になったりするなどの傾聴の姿勢を示してくれると話がし易いと感じますので、傾聴は本当に大切なことだと思っています。

しかし、傾聴してくれているように見えても、実際にはこちらの話や意図があまり通じていないということが少なからずあるのも事実です。冒頭の例のようにこちらの意図とは異なる返答をされてしまったりすると、コミュニケーションを深めることができず、話が終わってしまうことになってしまいかねないのです。

それでは、相手の話をしっかり正確に聞きとれるようにするためには、どうすればよいのでしょうか?

相手の話を集中して聞くことはもちろんですが、自分の経験や考えに基づいて相手の話を解釈してしまうと正しい理解が難しくなる場合もあるため、まずは自身の先入観や偏見といったものを排除することが重要になると思います。さらには、自分の答えのピントがずれているようであれば、相手(話し手)が話が通じていないという表情になるなど何らかの変化が生じる場合もありますので、こうした「非言語的のサイン」を見落とさないことも必要です。

私は、コミュニケーションには「聞く(聴く)」「理解する」「表現する」などの総合的な力が必要だと考えていますが、それはあくまで話し手と聞き手の双方向で分かち合いながら行われるものです。

一方通行では成立し得ないものだからこそ、私たちはまずは相手の話を傾聴したうえで、先述のように相手が言わんとすることを正しく理解することができているのか、そしてそれに対して自分の考えをきちんと返せているのか、コミュニケーションの中で見返すことが必要だと考えています。

あなたは人の話を正確に「聴く」ことができていますか。

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