中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

Web調査でわかるのはおじさんたちの意識?

2017年04月30日 | コンサルティング

私はYahoo!ニュースをよく見るのですが、ページの右下あたりに「意識調査 回答数ランキング 4/30(日)集計」という欄があります※。「Yahoo!ニュース 意識調査 - 世論を正しく可視化して世の中を良くする。」とうたわれており、投票してもしなくても途中経過を含めて結果を見ることができます。

本日の調査回答数ランキング1位は、失言をした大臣の辞任に関するものです。現時点で13万票以上の投票があり、「辞任は妥当」が84.9%、「辞任する必要はなかった」が12.3%、「わからない/どちらとも言えない」が2.8%となっています。

そして、回答者の83.0%が男性、17.0%が女性でした。また、本日(2017年4月30日)の意識調査10件のうち、男性の回答者の比率が最も低かった調査が「70歳まで働きたいと思う?」で男性78.9%、女性21.1%でした。

このようにYahoo!ニュース 意識調査に関して言えば、どの調査も回答者の8割が男性2割が女性という比率になっています。「パーソナル設定」をすると、調査ごとの投票者のプロフィールを見ることができます。これもまたどの調査においても、年齢が50代、60代、職種は役員・管理職と自営業、定年退職者が多くなっています。

このデータを要約すると、Yahoo!意識調査の典型的な回答者像は「60歳前後の男性で中小企業の経営者か自営業または定年退職者」ということになります・・・

あ!自分のことだ!と驚いてしまいました(今日は平野が書いています)。今更ながら「世論を正しく可視化して世の中を良くする」という崇高な使命を担う者として身が引き締まる思いです。

現代はビッグデータの時代と言われています。Webによる世論調査やアンケートはたくさんの人の意見や考え方、嗜好を知るために大変役に立ちます。大規模かつ多様なデータを比較的簡単に入手できるのはとてもありがたいことです。

だからこそ、データの出所や調査を実施した人が誰かを知ることは何よりも重要なのです。そのためには統計学の知識が役に立ちます。ビッグデータの時代こそ全ての人が初歩の統計学の知識を持つべきです。

時々「統計学を疑え」という人がいますが、それは間違っています。統計学は「道具」に過ぎません。まずは「道具を使っている人」を疑いましょう。

ちなみにYahoo!意識調査ではCookie を削除すれば何度でも投票できますし、投票した人の国籍もわかりません。

Yahoo!ニュース 意識調査 - 世論を正しく可視化して世の中を良くする。

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研修当日に受講者の欠席をなくすためには

2017年04月26日 | コンサルティング

「○○と△△は急用が入ったため欠席です。よって、受講者は□□名になります」

研修当日、私がパソコンの設定などの準備をしていると、担当者からこのように声をかけられることが度々あります。企業によっては、欠席者が出ることはルーティンになっているようで、当たり前のこととして片付けられています。

それでは、研修当日の朝に急きょ欠席しなければならない急用には、どのようなものがあるのでしょうか。

詳しく理由を尋ねてみると、「トラブルが発生した」、「お客様から急に呼ばれたため、外出をしなければならなくなった」、「短納期の仕事が入った」などが主な理由のようです。さらに、お子さんの具合が悪くなったことや、親の介護など家庭の事情による欠席もあります。

研修当日の欠席者が多い企業では、いずれの理由も仕方がないこととして受け入れられているようですが、一方でせっかくの受講の機会を逃してしまっているわけですから、傍から見ても実にもったいない話だと感じます。

以前から、こうした事態を何とか打開できないものかと考えていたのですが、先日お会いしたある製造業の担当者から伺った話では、この問題に対して徹底的に先手を打っていらっしゃるとのことでした。

具体的には、研修日程は早い段階(前年度中)に受講者本人のみならず直属の上司に対して、さらに取締役にもアナウンスをしているそうです。

本人だけでなく上司にも知らせる理由は、研修当日に受講者の仕事に問題が発生した場合に周囲の人が対応できるようにしておくためです。また、役員まで知らせる理由は管理者に対して、受講者がしっかり研修に出られる環境を作らせるということだそうです。

仮に、受講者が営業担当であれば、お客様にも研修日程を伝え、研修の間に問い合わせが発生した際には上司を始めとして職場、つまりは会社全体でフォローするようにしているとのことでした。

このように、研修に対する事前の段取りを徹底することによって、受講者本人に対しても職場に対しても「当日のキャンセル(ドタキャン)は絶対に許さない」というメッセージを伝えられることになります。これにより、この企業ではドタキャンは出ていないとのことでした。

研修のドタキャンを「仕事が理由だから仕方がない」と許してしまう担当者は、そもそも研修日程のアナウンスが1か月を切ってから行っていたり、受講者本人にしか伝えなかったりというやり方をしていることが多いようです。

そうすると、部下が研修に参加することを把握していなかった上司が、当日になって初めて部下が席にいないことに気がつき、「○○は今日は休みか?」と聞くこととなります。そして、研修で留守にしていることがわかると、「何で人事はこんなに忙しいときに研修なんかやるんだ。全く人事はわかっていない」などと言ったりすることになります。

そして、部下が担当している顧客から問い合わせやクレームが入ったりすると、慌てて研修中の部下に連絡をしてきて、顧客対応を優先するように命じることが起きてしまったりするわけです。

これらのことから、研修当日に急な欠席者が複数人も出てしまうような企業には、それ相応の原因があると考えられます。反対に研修担当者が「研修についてはドタキャンは許さない、そのためには事前に段取りを丁寧に行う」というようにぶれない姿勢を持てば、これらの問題は回避できるということです。

研修を急きょ欠席することとなった受講者が、「研修から逃げられて得した」と考えるのか、「大切な機会を逃してしまった」と考えるのかは、これも研修担当者、ひいては会社の考え方や風土によって異なるでしょう。

しかし、貴重な時間と費用をかけて外部から講師を呼び、研修を行っているのですから、費用対効果をださなければ何とももったいない話しです。

「研修で当日の欠席者が多くて困る」と感じていらっしゃる研修担当者の方は、一度上記を参考に研修の段取りから振り返ってみられることをお勧めいたします。

前述のご担当のように熱き想いと丁寧な段取り、これを継続的に行うことこそが唯一の秘訣だということです。

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新入社員研修はミックスがいい

2017年04月23日 | コンサルティング

先週まで連日のように行われていた新入社員研修が終わり、一息ついています。今年もたくさんのフレッシュな人材にめぐり合うことができました。

さて、新入社員研修には1つの会社の新人だけを対象にするもの以外に、多くの会社から受講者が集まる「公開型」があります。公開型の新入社員研修には、実にバラエティに富んだ受講者が集まります。製造業からサービス業まで、職種や学歴がばらばらなのが特徴です。

どんな研修でも受講者のやる気や理解度には差がありますが、とりわけ公開型新入社員研修ではそのばらつきは非常に大きいと言えます。とはいえ、学校の授業ではありませんから学力別に講義をすることはできません。新聞もテレビのニュースも一切見ない受講者と、大学のゼミでコミュニケーション学を専攻してきた受講者が一緒のグループでディスカッションするなどということもあります。教える側としては甚だ効率が悪いと言わざるを得ません。

しかし、この「ミックス状態」が新入社員研修ではとても大事なのです。研修中に行うグループ討議では、知識レベルの差がそのまま発言の多い少ないにつながります。自ずと高学歴の受講者がリーダー役となり、そうでない受講者が模造紙にマーカーで字を書く係になります。多くの企業研修ではそのように進むのですが、私たち人材育成社の研修ではリーダー役を輪番制にしています。討議のテーマが変わるたびに、リーダー役を変わってもらうのです。

リーダー役はメンバーから意見を引き出し、調整し、グループとしての見解をまとめます。そしてグループを代表して全員の前で発表します。これは研修効果を高めるために大変良い方法です。ただし、リーダー役を機械的に回すだけでは、上手くいかないどころか逆効果になります(どのように運用するかは当社のノウハウ「知的財産?」ということで・・・)。

リーダー輪番制の成果は研修終了後のアンケートでもはっきりと現れます。「知らない相手に話してもらうのは大変だと思った」、「人の意見を聞くことで気づくことも多かった」、「グループの意見をまとめて、大勢の前で話すことで自信がついた」など、コミュニケーション能力を鍛えるには最適であることがわかります。

実は研修に限らず、職場での会議でも司会・取りまとめ役を輪番制にすると、非常に効果的なOJT(On-the-Job Training)が実行できます。会議の場で、若手社員が課長や先輩の発言をまとめてホワイトボードに書き出すだけで、相当ハードなトレーニングになることは想像に難くないでしょう。

もっともこのOJT、一番大変なのは課長でしょう。なにしろ若手社員が仕切る場ですから、色々と我慢しなければならないことばかりです。当社も、管理職研修では「我慢」の大切さを説いています。

さて、新人が配属された職場の管理職の皆さん、今年の新人は優秀です。長い目でじっくりと育ててあげてください。

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謙譲語が難しい

2017年04月19日 | コンサルティング

皆さんは、謙譲語を正しく使いこなせていますか?

この春、新入社員研修の講師を担当していて私が強く感じたのは、最近の新入社員にとって一番の難題は敬語、中でも尊敬語と謙譲語のようだということです。

言うまでもありませんが、敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があります。丁寧語は基本的に語尾に「です」、「ます」、「ございます」を付ければ良いので、理解しやすかったようです。それに比べ尊敬語や謙譲語は不規則的に変化するために、ことさら難しく感じられるようでした。

研修では、日常会話や電話などでビジネスシーンにおいて最も使用頻度の高い10個の動詞を選んで敬語を確認してもらう演習を行いました。しかし、尊敬語と謙譲語の区別が簡単にはつかない単語もあり、尊敬語の欄と謙譲語の欄を行ったり来たりさせてしまい、複数人で取り組んでも正解にたどり着かないこともありました。

新入社員にとって敬語が難しいというこの現象は、何も今年に限ったことではありませんが、年々その度合いが大きくなっているように感じています。

では、その理由は一体何なのでしょうか?彼らにいろいろ質問をしてみた結果、どうやら年長者(=階層が異なる人)との会話の経験が圧倒的に少ないのではないかということに思いあたりました。

学生時代の彼らにとっては、学校の先生が親の次に身近な年長者であるケースが多いようです。その先生に対しても最近では敬語を使わずに友達言葉、いわゆる「ためぐち」でやりとりをしてきた人が結構多いのです。また、アルバイトなどで接客の経験がある人は年長者などとの会話の経験は多いものの、それは丁寧語が中心だったようです。以上のことからも尊敬語や謙譲語を使った経験が少ないことがわかりました。

その他に一昔、さらにそれ以前の新入社員と、今の新入社員をとりまく環境の違いが何かあるのかを考えてみると、固定電話の使用経験が少ないことが影響しているのではないでしょうか。

携帯電話が固定電話の台数を上回ったのは、17年前のちょうど2000年のことで、大卒の新入社員が5歳、高卒の新入社員が1歳の時のことです。

総務省の2016年版の情報通信白書によると、2001年には携帯電話が7,800万台に対して固定電話が6,000万台だったものが、2015年末には携帯電話が16,276万台に対して、固定電話は6,353万台と大きく差が開いています。 固定電話の絶対数が減っているわけではないですが、携帯電話の数が圧倒的に増えている分、固定電話を使う機会は大きく減っているはずです。

ためしに、研修で新入社員に自宅に固定電話があるかどうかを尋ねたところ、あると答えたのは30人の受講者中、1~2割程度でした。やはり、固定電話を使ったことがない人がかなりの割合でいるわけです。

電話での会話という面で考えると、携帯電話は友人などの受け手にダイレクトにつながるわけです。固定電話のように電話に出た(出てしまった?)友人の親と話すといったことはなく、それゆえに敬語を使わなければならない場面がそれほどなかった(さすがに、友人の親に対してためぐちをきくわけにはいかないでしょうから・・)ということなのでしょう。

このように、階層が異なる人との会話の経験がほとんどないままに大人になった彼らが、社会人になった途端にいきなり敬語を使うことを求められるわけです。これはある面では酷なことと言えるのかもしれません。とは言え、携帯電話が増えていく傾向は今後も続くでしょうし、それに比例するように敬語で苦労するビジネスパーソンも増えていくと思われます。

では、この事態をどうすれば回避できるのか。残念ながら、すぐに妙案は浮かびそうにありません。言葉づかいはビジネスの基本中の基本であり、決しておろそかにすることはできません。やはり、ここは丁寧語からスタートして、地道に一つ一つ覚えていくしかないのでしょう。

そのためにも、新入社員が配属された部署の上司や先輩は仕事を教えるだけでなく、ぜひ言葉づかいについても根気よく指導していただきたいと思います。

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書くことと読むことの関係

2017年04月16日 | コンサルティング

仕事のメールはもちろんのことですが、プライベートのちょっとしたメールのやりとりであっても、内容がとてもわかりやすい人とそうでない人がいます。メールを読み終えた後に、「つまり何を連絡してきたの?」、「結局、私に頼みたいことは何なの?」と首を傾げてしまい、もう一度最初から読み直さなければならないことも少なくありません。

些細な連絡であってもこのような状態ですから、仕事などでまとまった量の文章を書くとなると、その人の力量(文章力)がはっきり出てしまいます。こうした体験をするたびに、文章を書くということは本当に何て難しいのだろうと思います。

では、わかりやすい文章を書ける人とそうでない人の差は一体どこから来るのでしょうか。もちろん、いろいろな理由が考えられるとは思いますが、一つにはその人の読書量(文章を読む量)が影響しているのではないでしょうか。私の経験上、普段から読書量が多い人はわかりやすい文章を書けることが多いようですし、反対もまた然りだと感じています。

さて、4月に入ってから早くも2週間が過ぎましたが、この間、様々な企業に新入社員研修でお邪魔し、大勢の新入社員とお会いしました。

毎回研修の中で、新聞を読んでいるかどうかを質問したところ、受講者30人中、読んでいるのは概ね1~2人でした。そこで、試しに実家では新聞を定期購読しているかどうかを尋ねたところ、数字に大きな変化はありませんでした。新聞を読んでいない人は実家でも新聞をとっていない、つまり新聞を読む習慣がなかったのです。

一般社団法人日本新聞協会のデータによると、2016年の新聞の発行部数は4,300万部で、2000年の5,400万部から大きく減っています。一世帯当たりの部数は1.13から0.78になっており、データから最近では新聞をとっていない世帯の方が多いことがわかります。

次に研修で、新聞を読まない理由を尋ねたところ、想像していたとおり「スマートフォンで確認できるから」がもっとも多かったのですが、果たして新聞を読む目的はニュースを得ることだけなのでしょうか。

新聞を読めば、自身では興味や関心のない記事も同時に紙面から拾うこともできます。一方のスマートフォンではもともと興味や関心を持っている情報のみを拾い読みしているのですから、情報量という点ではかなり限られてしまいます。

しかし、これまでに新聞を読む生活をしてきていない彼らに新聞のプラス面を語ってみても、その良さを経験していないためか、今一つぴんと来ないようでした。

新聞を読まないのであれば、せめて読書はどうかと思い、あわせて尋ねてみましたが、普段から本を読む習慣がある人も皆無に等しいような状態でした。

果たして、書くことと読むことの因果関係があるのかないのか、あるとすればどの程度なのか、これまでそうした調査や研究がどの位行なわれているのかはわかりません。研修で新入社員に尋ねたところでは、ほとんどの人が文章を書くのが苦手とのことでしたので、やはり何らかの関係性はあるのではないでしょうか。

もし、あなたが文章を書くことが苦手だと感じているのなら、文章を書く練習と並行して、まずは身近なところで毎朝、新聞をきちんと読むことから始めてみてはいかがでしょうか。

かく言う私ですが、いつもこのブログを書くにあたっては、テーマを選ぶことから始めて実際に書き終わるまでかなりの時間を要しますし、今日は良く書けたなと自分で思うことは多くはありません。

自戒の念を込めて、今後も新聞と書物は継続的に読み続けていくつもりです。

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営業は急に止まれない

2017年04月12日 | コンサルティング

会社にはそれぞれ異なる企業文化がありますが、1つの会社の中にも様々な部署があり、それぞれに異なる仕事の進め方や考え方があります。

部署による文化の違いが顕著になるのは「仕事が止まる」ときです。止まると言っても仕事が進まなくなるのではなく、会社の方針が変わったときです。

製造業の例を考えてみましょう。たとえば、何かの理由で現在販売中の製品Aの終息(ディスコン)が急に決まったとします。

開発部はライフサイクルを見込んで設計をしていますから、後継製品の商品化を急ぐでしょう。製造部は設備の変更を計画し、サービス部は保守・修理部品の確保を始めます。このように製品Aの終息が急に決まっても、多少は混乱するでしょうが概ね手順通りに仕事は進みます。

ところが営業部だけは、急には止まれません。社内の他部署とは違い、顧客という最もやっかいで重要な相手がいるからです。

私も計測器メーカーの営業部員だったときに急な製品の終息に遭遇したことがあります。大口の顧客に出向き、製品Aの製造中止と後継のBへの切り替えをお願いに行きました。

BはAの後継機とはいえ設計思想が異なっており、データの一部は移し替えることができませんでした。私は「そうした不便さは生じますが、それを上回る機能が実現できているので心配は要りません」と説明しました。

しかし顧客からは「いや、そんな機能は使わない。現状ではAで十分だ。Aの終息はあまりに急過ぎて当社の製品設計に悪影響を与える」と言われました。

私は、Aのような独自のOSを使うシステムから、unixベースのBに切り替えた方が将来性があると何度も説明しましたが、すぐには受け入れてもらえませんでした。その結果翌期の受注額は激減しました。

長い目で見れば、AからBへの変更は顧客にもメリットをもたらすことは確実です。そのことはわかってもらえましたが、顧客と営業との信頼関係が揺らいでしまったことは確かです。

営業は、会社対会社で進む仕事ではありますが、個人対個人の信頼関係も重要です。「営業は商品ではなく自分を売れ」などと言います。ちょっとアナログな表現ですが、間違ってはいないようです。

会社が「急ブレーキ」をかけるときは、営業担当者は真っ先に顧客対応を開始しなければなりません。

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研修中の休憩時間をどのように過ごすのか

2017年04月09日 | コンサルティング

 一体、1日のうちにどれほどの時間、スマートフォンを操作しているのか?

以前から話題に上ることが多いテーマの一つです。昼夜問わずスマートフォンを使い続けた結果、本来優先しなければならないことが後回しになってしまったり、睡眠不足になったりと、スマートフォン依存症と表される様々な弊害が顕在化してきているようです。

さて、新年度が始まり、弊社でも先週から様々な企業に新入社員研修でお邪魔しています。

最近の傾向と同様に、今年の新入社員も少々大人しい人が多いように思いますが、同時に非常に真面目だとも感じています。

研修中はこちらが話す内容を一生懸命にメモしますし、グループ内で行う演習やディスカッションの時も、とても前向きな姿勢で取り組んでいます。さらに、自己紹介や全員の前で発表するなどのプレゼンテーションもとても上手ですから、非常に頼もしく感じます。

その一方で、とても気になることがあります。それは「休憩時間の過ごし方」です。

「これから10分間休憩です」とアナウンスをした瞬間に、ほとんどの受講者が鞄の中からそそくさとスマートフォンを取り出し、黙々と画面を動かし始めるのです。

他のメンバーと話すなどのコミュニケーションをとる人もいないわけではありませが、少数だと感じます。

スマートフォンが普及する前は、休憩時間になると受講者同士が大声で笑い合うなどとても賑やかになったり、煙草を吸いに行って戻ってくるのが遅れてしまったりする人もいました。戻りの時間に遅れてしまうのは論外ですが、最近はスマートフォンを使うためなのか、休憩時間にコミュニケーションをとる人が圧倒的に減っています。

しかし、本来休憩時間は他の人たちと自由なコミュニケーションをとれる絶好の機会なのです。公開型の研修であれば、受講者は様々な企業から派遣されてきていますから、初対面の人と話をする難しさはあるにしても、普段なかなか接点を持つことが難しい他社の人たちの話を聞くことができます。

また、自社内で行われる新入社員研修であれば、文系・理系の違いなどで配属後には一緒に仕事をする機会がほとんどない人もいますし、また遠隔地に配属されれば、簡単には会えない人もいるわけです。

そう考えると、研修の休憩時間は今ならではの貴重なコミュニケーションの機会なのにと思いますが、実態はそうではないようです。

休憩時間にスマートフォンに興じる傾向は、他の階層でも同様の傾向ですから、新入社員に限ったことではないのも事実です。電車の中の光景を見ればわかるように、老若男女画面を黙々と見ています。

しかし、それらを考慮しても、最近の研修中の休憩時間の過ごし方は、せっかくのコミュニケーションをとる絶好の機会なのに、何とももったいないような気がします。

少し前の話の話になりますが、岐阜県にある機械部品メーカー 岩田製作所の「脱スマホ手当」(正式名称はデジタルフリー奨励金)が話題になったことがありました。

スマートフォンから従来型の携帯電話に変更した社員に月5000円を支給するという制度です。同社の岩田社長が休憩時間や食堂で並んで座っている社員同士が会話もせずに、ずっとスマートフォンをいじっている光景を異常だと感じ、社員同士のコミュニケーションが無くなることに強い危機感を覚えたことがきっかけで、制度導入に至ったということです。

最近の状況は報道されていないので、結局のところ何人の社員がスマートフォンから従来型の携帯に変更したのかはわかりませんが、2年前の時点では社員の約半分がスマートフォンをやめ、その結果、明らかに社員同士のコミュニケーションが活発になり、さらには増収増益になったとの記録が残っています。

このように、コミュニケーションの大切さとその効果も示されているわけですが、磐田製作所のように行うことは簡単にはできないかもしれません。

簡単なところで、まず、研修中というせっかくの機会を生かし、休憩時間にはスマートフォンは使用しないというルールを導入してみたらどうかと思うのです。

弊社では明日以降もしばらくの間、新入社員研修で様々な企業にお邪魔することが続きます。

せっかくの機会ですので、コミュニケーションの大切さをお伝えするとともに、ためしに休憩時間にスマートフォンの使用はやめて、隣の人と話をしてみてはいかがでしょうかと提案をしてみようと考えています。

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ビジネスマナーで職場を換気しよう

2017年04月05日 | コンサルティング

春は職場に新人がやって来る季節です。社内に新しい風が入ってきてすがすがしい気分になります。職場に新人が配属されなくても、4月は気分一新という雰囲気になります。今このときこそ、職場を換気しましょう。

え?高いビルだから窓は開かないですって? では、物理的な空気(Air)を換えるのは空調機に任せておいて、職場の空気(Atmosphere)を換えてはいかがでしょう。

職場の空気を換気する方法は簡単です。管理職から若手まで、職場のメンバー全員でビジネスマナーを確認するだけです。新人が受ける研修のようにロールプレイングをやってみるのも良いでしょう。

1.挨拶の基本

「あ」 相手の目を見て・明るく
「い」 いつも
「さ」 先に(先手必勝)
「つ」 続けて。毎日行う

2.ほうれんそう

「報告」「連絡」「相談」について、きちんと理解し、実践しているかをお互いに確かめ合いましょう。

3.会議・打合せ

経費や時間を浪費することは重大なビジネスマナー違反です。だらだらと結論の出ない会議や、打合せと称して無駄話をすることは時間という経営資源の浪費です。

4.その他

正しい敬語の使い方、電話の応対、お客様との接し方、コンプライアンスに関する様々な事項・・・他にもたくさんあります。

「新人じゃあるまいし、なんでそんなことをするのか」と疑問を持たれたかもしれません。では質問しますが、上記のようなビジネスマナーを完璧に身につけている人は職場に何人いますか? 会社全体で何割くらいでしょうか?

先日、この質問をある会社の採用担当の方にお聞きしたところ、「うーん、たぶん半分もいないと思います。特に管理職は全然ダメかもしれませんね。」とのこと。その後あわてて「でも、うちの社員は全員、ビジネスマナーについては十分わかってはいますよ!もちろん。」と、すかさずフォローしていらっしゃいました。

しかし、「わかっている」と「実際に行っている」は全く別のことです。

どんな職場でも時間が経つにつれ、馴れ合いやいい加減さがじわじわと広がっていきます。職場の空気は放置しておくと澱むのです。澱んだ空気を一掃するためには、職場のメンバー全員によるビジネスマナーの練習が一番です。

もしあなたの職場で、きちんと挨拶しない、報告を怠る、結論の出ない会議が続く、そうした現象が少しでもあるなら、ビジネスマナーで換気してみてください。

「でも、具体的に何をどうやったらいいかわからない、教えてほしい」と思ったら、近くにいる新人に教えてもらってください。きっと丁寧に教えてくれますよ。

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図らずも営業に配属された人に

2017年04月02日 | コンサルティング

新卒で入社した会社で企画部を希望していたのに、配属先が営業部に決まった。人事異動で、研究開発部から一番行きたくない営業部に異動することになった。どう考えても営業に向いていない私がなぜ? よりによって営業のようなレベルの低い仕事をさせられるなんてがっかりだ。

4月になると日本中の会社でこうした(心の)声が聞こえます。

図らずも営業に配属、異動された方に申し上げます。営業はレベルの低い仕事ではありません。もし、企画や研究開発の方が上だと考えているとしたら大きな間違いです。オリンピックの種目で柔道とマラソンのどっちが上かを議論するようなものです。比べても意味がありません。

しかし、営業という仕事を嫌っている人が多いことも事実です。

長時間労働で疲れる、クレームをぶつけられる、ノルマがあって辛い、成績が下がると叱責される、努力しても報われないことが多い、嫌いなタイプの人にも愛想よくしなければいけない・・・

では、こうしたネガティブな要素がほとんど無い職種を挙げてみてください。短時間労働で、文句も言われず、努力すればその分報われる、嫌な人と口を利かなくても済む仕事です。

言うまでもなく、そういう仕事はまずありません。

一方、ポジティブな面に目を向ければ、営業ほどあなた個人の能力を高めてくれる仕事はありません。

顧客との交渉を通じて、コミュニケーション・スキル、計数管理能力、時間管理能力など、どんな仕事にも必要とされる実務能力をつけることができます。そして、社内の他部署、製造や流通、経理、マーケティング等とのやり取りを繰り返すことで、チームで仕事を回す能力も鍛えられます。営業は、他の職種よりもあなたの能力を高める機会に満ちています。

ただし、それはあくまでも機会=チャンスであり、自ら動かなければ手に入りません。

目の前にたくさんのチャンスがあるのですから、じっとしている手はありませんよね。

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