中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

社員99人以下の会社の人材育成に役立つ情報を発信しています。

第890話 異動をチャンスに

2020年03月04日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

「新型コロナウイルスの感染防止のために、今春の異動は最小限にする予定です」

これは先日、ある企業の人事担当者からお聞きした言葉です。新型コロナウイルスの影響が日に日に大きくなりつつありますが、ついに4月の人事異動にまで影響が出始めているようです。

確かに、既に多くの企業で在宅勤務・時差出勤・出張の禁止・外部会議への参加自粛や、社外からの訪問をお断りするなど、様々な対応が行われています。

日々これまで経験したことのない事態になってきていることへの心理的不安も加わり、多くの企業では様々な形で仕事の効率が低下したりしています。さらに一部の企業では客足が途絶えるなど存続にかかわる影響が出てきているところもあり、経済全体に深刻な影響を及ぼしています。

こうした状況の中、年度替わりの人事異動や転勤をどうするかが、企業にとって大きな問題になっています。4月は1年の中でも最も異動が多いタイミングですが、「人が動く」ことによる感染リスクが高まること以外にも、異動直後は各々が慣れない仕事を担当することになるため、一時的に仕事の生産性は落ちてしまいます。

したがって、二重の生産性の低下を招かないためにも今回の異動は最小限に抑え、感染の終息後に本格的な異動を行うという考えの企業も出てきているようです。

さて、異動に関して近年では特に転居を伴う異動が問題視されるケースが増えてきています。異動には人材の育成、ノウハウの伝授、社内の活性化、不正の防止などのメリットがあります。一方、個人にとってはキャリアの断絶や、転居を伴う場合にはライフプランを築きにくいなどのデメリットがあります。

しかし、逆に異動をさせないことのデメリットも多々あるのです。人員が固定されることにより、同じ会社であっても支社や工場ならではの独自の文化が構築されてしまったりします。その結果、全体での情報の共有が難しくなったり人材の育成が滞ったりなどによって、組織に大きなダメージを与えてしまうのです。

これらのことから考えると、異動は良きにつけ悪しきにつけ企業の成長にも大きな影響を及ぼす一大イベントとも言えるわけです。

そういう大きなイベントだからこそ、現在のような時期には実施を差し控えるというのは、もちろん一つの大切な選択だと思います。

しかし、感染はいずれ終息します。(してくれなければ本当に困ります。)

であれば、今回のことをある意味でのピンチを逆に活かすことを考えてはいかがでしょうか。たとえば、事態が落ち着いた際に異動はどうするのかという今後の展望を今のタイミングできちんと社員に説明しておくことが大切です。

同時に、この機会に異動のルールを改めて社員に示したり、個人の希望を聞く機会も設けたりすることもいいのではないでしょうか。

過去にないほどのこの緊急事態を乗り越えるため、イレギュラーな対応をとることはやむを得ないことです。しかし、このピンチをチャンスにするために、今このタイミングでしておくべきことをきちんとしておくことがなにより大切だと考えています。

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第878話 働き方改革は「営業」から(その3)突発的な顧客からの仕事の依頼への対応

2020年01月22日 | コンサルティング

「すべての社員がイキイキ働くようになる」仕組みと研修を提供する人材育成社です。

先日の本ブログ(第877話)の続きですが、顧客からの突発的な仕事の依頼に対応することが多い営業担当者は、この点をどのように捉えているのでしょうか。

弊社では以前、この点について調査をしたことがあるのですが、日頃から突発的な依頼に対応する機会が多い営業担当者からは「あまり不満とは感じていない」旨の発言が多いという結果になりました。

これは、営業担当者と営業以外の担当者の明らかな違いです。

営業担当以外の部署の人は、会社の内外からの突発的な仕事の依頼を「迷惑であり困ったこと」だと感じることが多く、そのためそれをできる限り減らすために何とか改善をしたいと考えるのです。

一方、営業担当者にとっては、もたらされる突発的な仕事の依頼主は顧客である場合が圧倒的に多いのです。

そのせいか、中には端から改善できないものとあきらめてしまっている人もいるのです。しかし、それよりももっと多いのは、顧客からの突発的な依頼をむしろ歓迎しているような発言をする人がいることです。

たとえば、「突発的な仕事に対応している時間の割合が80%を超えている」とした人は、「毎日予定通り仕事が進むようなことはまずないね。突発的な仕事ばかりだよ。いいねぇ、間接部門の人は。予定通り仕事が進められて・・・」というように他部署の人に自慢するような発言をしたりするケースもありました。

それでは、どうして営業担当者は突発的な仕事が顧客からくることを問題視せずに、逆に歓迎するかのような発言をするのでしょうか?

この点を以前何度か営業担当者にインタビューをして調べたところ、どうやら顧客からの突発的な仕事の依頼に対応することは、顧客の信頼を得る絶好の機会になるとのことでした。この営業担当者の言葉を借りるならば、「お客様の窮地を救うのが営業の使命だ」とのことです。

さて、これを聞いてあなたはどのように思いましたか?

営業担当者の使命がお客様の窮地を救うことなのでしょうか?また、そもそもお客様の窮地とはどういう状態なのでしょうか?

言うまでもないことですが、営業担当者の使命は自社の商品やサービスを顧客に提供することによって、顧客の問題や課題を解決すること。そして、その結果として対価をいただくことです。

ですから、顧客の言いなりになってお客様の突発的な要望に応えることは営業担当者の本来の使命とは全く異なります。もちろん、顧客の信頼を得ることは大切ですし、大切な顧客からの依頼となればいつも断ることはできないでしょう。しかし、すべてに応えようとするあまり本来の使命に影響が出てしまっては、本末転倒と言わざるを得ません。

そこをはき違えてしまうと、営業担当者の残業時間を減らすことはなかなかできませんから、働き方改革の実現には遠く及ばないことになってしまいます。

今後、営業職の残業時間を削減してもらうためには、まずは営業担当者の突発的な仕事の依頼に対する認識を改めてもらうことから始めましょう。

営業担当者からは、顧客からの突発的な依頼に即対応しないことには相当抵抗するはずです。しかし、ここは経営者として強い決意で具体的に一歩を踏み出すことが必要です。

その一歩のために、以下のセミナーをお知らせします。

*****(緊急)セミナー開催のお知らせ*****

「いよいよ労基法施行! 3つの策で進める中小企業の働き方改革」

日時:2020年2月7日(金)18:30~20:30(18時15分より受付)

場所:SHIP( 品川産業支援交流施設)第2会議室

 品川区北品川5-5-15 大崎ブライトコア4階 TEL 03-5449-6871

 (JR大崎駅より徒歩8分    https://www.shiposaki.jp/access/    

主催:株式会社人材育成社

   千代田区九段南3-9-11-802 TEL 03-6272-6335 

内容:仕事の進め方を大きく変える3つの具体策の紹介(実施方法について)

料金:1名様5,000円(消費税別)1月中のお申込みに限り4,000円(消費税別)

お申込みは下記より(2月セミナーと記し)必要事項をご記入し、送信してください。

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第872話 2020年は「イキイキ働く」がキーワード

2019年12月29日 | コンサルティング

 「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

当社は「イキイキ働く」をキーワードにブログを書いてきましたが、「イキイキ働く」とはそもそもどういうことでしょう。恥ずかしながら、その定義を考えようとすればするほど、よくわからなくなってしまいます。

「イキイキ」は漢字で「生き生き」と書きます。元気がよい、生気があふれている様子です。「イキイキ働く」ために必要なことは何かを考えてみましょう。

まず元気がよいこと。これは心身が健康な状態であることが必要条件です。常に身体に無理を強いる働き方は、どれほど好きな仕事であっても長続きはしません。また、気持ちが沈んでいたり、悩みごとがたくさんあったりするならば「イキイキ」とは言えません。

次に生気があふれていること。これは主観的であいまいな表現なので、定義が難しいところです。とりあえず「働いている本人が生気にあふれていると思っている」状態としておきましょう。

いずれにしても、健康で前向きな気持ちで仕事に取り組んでいる状態を「イキイキ働く」と表現できると思います。

2020年4月からは、中小企業にも働き方改革関連法案の施行によって、月45時間以上の残業は原則禁止となります。経営者は社員が心身ともに健康であるように配慮しなければなりません。その上で「生気にあふれている」状態を創り出さなければなりません。

「それは無理だ」そう言いたい気持ちは、わからないではありません。

しかし、どうすれば「イキイキ働く」ことができるか、一度全社員と話し合ってみてください。最初は不平不満がたくさん出てくるかもしれません。現状が理想に程遠い状態であったとしても良いのです。

どんなに優れた会社であっても「100点満点」はあり得ません。今が30点なら40点を、40点なら50点を目指します。その際にもっとも大事なことは、経営者だけではなく全社員が「イキイキ働く」ための責任を負うという考え方を持つことです。

責任とは大げさに聞こえるかもしれませんが、たとえば新入社員であっても「きちんとあいさつをする」という責任を負ってもらう、ということです。管理職は部下が心身ともに健康でいられるよう責任を、経営者は管理職が過重労働にならいよう配慮する責任を負います。

さて、2020年は東京オリンピックが「終わる」年です。どれほど大規模なイベントでも期間が過ぎれば必ず終わります。そして景気は波のように上下します。

景気が下降し始めたときに、従業員を守り、会社を安定させることが中小企業の経営者にとって最大の課題となります。そのとき、全社員がイキイキと働いている会社とそうでない会社、いずれが生き残るかは言うまでもありません。

まずは年明け早々に、全社員がイキイキ働くとはどういうことかを話し合う「キックオフミーティング」を開いてみてはいかがでしょうか。

2019年は皆様に大変お世話になりました。次回のブログは1月5日に更新いたします。

では皆様、よいお年をお迎えください。

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第859話 「会議禁止令」はいかがですか?

2019年11月17日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

無駄な会議は企業の生産性を著しく低下させます。そこで様々な書籍やセミナー、コンサルタントが会議の効率化のテクニックを紹介しています。それは大体次のようなものです。

1. 参加者を厳選する
2. 資料を事前配布し熟読してもらう
3. 司会役、責任者を決める
4. 議題をはっきりさせる
5. 開始時間と終了時間を厳守する
6. 参加者全員が必ず発言する
7. 発言は1回につき1つのことだけとする
8. 議事録を作り参加者、関係者に配布する

確かにこれらが実行できれば会議の品質も良くなり、効率もアップします。自分たちではできそうもないと思ったら、コンサルタントを雇って実際の会議に参加してもらい、その場で伝授してもらう方法もあります。コンサルタントはコーチングの手法を使って会議を「すごい」ものに変えて行きます。

ではコンサルタントに依頼すれば、本当に会議は効率化するのでしょうか。

答えはYESです。

「会議コンサルティング会社」のWebページを見ると、本当にたくさんの会社がコンサルティングを受けて売上を、利益を伸ばしています。

しかし、そうした成果を上げた会社の多くは「もともと伸びるポテンシャルがあった」と思われるところばかりです。つまりコーチングの手法が効いたわけです。

「伸びるポテンシャル」とは、社員に実力がありながら社内のコミュニケーションがうまくいかず「くすぶっている」状態です。

もしあなたの会社が同じような状態なら、コンサルタントを雇って会議を改善すれば業績が伸びるかもしれません。

あなたの会社の社員はいかがですか?十分に仕事の実力を持っていますか?表には出てこないとしてもモチベーションは高いと思いますか?

残念ながら、そうした社員が多くいる会社は稀です。ほとんどの会社、特に中小企業はそれほど社員には恵まれていません。

「失礼な!うちの社員は全員実力もモチベーションもある!」

そうお思いの社長さんには大変失礼かと思いますが、それは幻想あるいは思い込みです。もちろん例外はありますが、社員の多くは社長さんが思うほど実力もモチベーションもありません。

そういう社員が集まった会議を改善しようと思っても、なかなか難しいでしょう。成果が出たとしてもせいぜい半年です。

そこで私がお勧めしたいのは「会議禁止令」です。

社長さんが社内の会議を一律、禁止します。ご自身が主催する経営会議はもちろん、末端の会議も禁止です。コミュニケーション自体を禁ずるのではなく、物理的に集まって話し合う会議に限ります。社内システムを使った電子的な会議は「認可制」とします。

すると、代替手段として最も利用される頻度が高くなるのがメールのやり取りでしょう。

「それでは仕事が進まない!」という声が上がってきたら、その時は「隠れてやりなさい」と言ってください。その代わり「見つかったら罰金!」くらいは実行してください。

すると「罰金を払ってでもやる!」という威勢のいい社員や、社長に堂々と意見を言ってくる社員が出てくるかもしれません。

「会議禁止令」は多少犠牲をはらっても3か月くらいやり抜いてください。そして3ヶ月経ったら禁止を解きます。

「それじゃ元の木阿弥じゃないか」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

会議をわざわざ開かなくてもメールで済んでいたことがわかったり、意外に仕事がスムーズに進んだりするといったことが現実になります。

「会議禁止令」は荒療治ですが、これも効果は1年弱でしょう。

でもご心配なく。しばらくしてまた会議が増え始めたら「禁止令」をほのめかしてください。必ず効果があります。

それでも万が一効果が見られなかったら、実際に発令してください。

「会議禁止令」はコストもかからず効果はインフルエンザの予防注射よりもあります。

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第856話 チームスポーツを企業組織に応用することはできるのか

2019年11月06日 | コンサルティング

 「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

「まず個人種目を優先しているので、リレーはその次になってしまいます」

これは先日NHKテレビで放送された、陸上の世界選手権男子400メートルリレーの特集番組の中で、銅メダルを獲得した日本チームの一人の選手が取材中に口にしていた言葉です。このレースの数か月前に行われた世界リレー選手権ではバトンパスを失敗して失格した経緯がありました。それを乗り越えて掴んだのがこの銅メダルだったのですが、選手個人としてはリレーより自分の種目が優先との率直な気持ちを示したものでしょう。

話は変わりますが、先日ラグビーのワールドカップが終わりました。日本代表の選手たちが活躍したこともあり、ラグビーが一躍人気スポーツに踊り出たように感じます。そういうこともあり、先日来「ラグビーのように、わが社も一致団結した組織にできないものか?」という相談を受けることが増えてきています。

確かに、ラグビーのように「One Team」で積極果敢に仕事に取り組み、一致団結した組織にしたいという思いはよくわかります。

では、企業(組織)をラグビーの「One Team」のようにすることはできるのでしょうか?

私は、チームスポーツのあり方をまるごと企業の組織に応用するのは、簡単なことではないと考えています。

まず、チームスポーツに限ったことではありませんが、スポーツ選手は自ら志願してその種目を行っていますから、モチベーションがとても高いのです。さらに、チームスポーツであれば試合に起用してもらえる選手になるために、日々過酷な練習もいとわないほどのモチベーションを維持しているのです。そして、チームスポーツは勝利という目標に向け、一致団結しやすいということがあります。

企業の組織はどうでしょうか。現実問題として、企業にはモチベーションが高い人がいる一方で、必ずしもそうではない人もいます。また、企業は本来、経営理念に共鳴した人が集まった集団ではあるはずですが、残念ながらスポーツほど理念の目標が明確でない場合もあります。掲げる理念や目標を始めから全員がきちんと理解できているわけでもないのです。このように考えると、チームスポーツのあり方をそのままで企業の組織に応用することは難しいと言えます。

では、どうすれば良いのでしょうか。ここで参考にしたいのがチェスター・アーヴィング・バーナード(経営学者)の言葉です。彼は、組織を成立させるための要素は

1.共通目的(組織目的)、2.協働意志(貢献意欲)、3コミュニケーション の3点であると言っています。

ラグビーのようなチームスポーツでは、まさにこの3つの要素が揃って勝利を掴んでいるのだと思います。反対に冒頭の陸上の例で言うと、あくまで個人競技では自分の勝利が目標であり、リレーのような団体戦で勝つことはその次の目標なのだと思います。

そして、同様のことは企業の組織にも言えるはずです。現実の問題として、まず個人の目標を達成することに力点が置かれてしまい、組織の目標達成は二の次になってしまっていることが残念ながらあります。

しかし、そうであっても組織である以上は「組織の目標達成のためには、チームとして何をすべきなのか、そのためにそれぞれができることは何か」を皆で共有できるようにすることが必用です。

冒頭のリレーの選手達は、過去のバトンパスの失敗はなぜ起きたのかの原因を探り、どうすればバトンパスがうまくできるのかを徹底的に話し合いをしたとのことです。次の走者が前方だけを見てスタートダッシをするタイミングをするには、前走者が必ず自分の手のひらにバトンを渡してくれると相手を信頼することが必要だったとのことです。

企業においても「One Team」として活躍するためには、各々の目標を共有したり、アドバイスをしあったり、弱点を補い合ったりする。地道なことかもしれませんが、まずはそこから始めることが必要なのです。

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第855話 生産性を上げるために社長がやるべきこと

2019年11月03日 | コンサルティング

 「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

このブログでも何度か触れていますが、日本の労働生産性はOECD各国(ここではいわゆる”先進国”としておきます)の中ではかなり下位です(OECD加盟36カ国中20位)。これにはいろいろな理由がありますが、決して労働者の働き方が鈍いからではありません。

労働生産性は労働1時間当たりの付加価値、つまり金額で表されます。国際比較される際にドルベースになります(2017年は47.5ドル)。生産性を上げる手っ取り早い方法は、給与の高い労働者を解雇し、同等の技能を持った者を雇用することです。

具体的には、OECDの生産性上位国のように、海外から安価で優秀な人材を移民として受け入れ、高齢化した日本人労働者を解雇すれば生産性はかなりアップします。

しかし、それは現在の日本では、特に中小企業にとっては難しいでしょう。

そうなると、中小企業が取れる手段は1つしかありません。それは設備投資による生産性の向上です。

たとえば、製造業なら最新の設備機械を導入し、生産量を増やせば付加価値はアップします。サービス業でもスーパーのレジの無人化や、介護施設の職員の肉体労働を軽減するロボットの導入を進めることで、少ない労働者でも付加価値を増やすことができます。

少ない労働力を活かして生産性を上げようとするなら設備投資は必須です。中小企業であることを言い訳にして機械化、IT化をためらってはいけません。実際、中小企業庁では、こうした設備投資を後押しするような補助金や融資のプランを示しています。

問題は「どんな設備投資をすればよいのか」です。

その際、中小企業がやってしまう一番の間違いは、それを考えることを丸投げしてしまうことです。

ありがちなのは、社長が「自分はよくわからないから〇〇部長に任せた」とか「銀行から紹介されたコンサル会社に頼んだ」という安易な行動です。

おそらく、成功する確率はかなり低く「ぼったくられる」確率はかなり高くなります。

では、どうするべきかというと社長自らが勉強するしかありません。本を読み、有料のセミナー(無料は単なるPRです)に参加し、中立な立場の人の意見を聞き、事例があれば見学に行き、考えに考え抜くことです。

確かに大変な努力と多少の時間が必要になります。

ただし、現状をよく見てください。

人は採用できず、生産性は下がる一方です。

今苦労しておかないと、後々後悔することになるでしょう。まずは毎日90分、本を読むことから始めてください。

急がば回れです。

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第848話 生存者バイアスにご用心

2019年10月09日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

ある大企業で若手社員の離職率がいっこうに減らないので、人事部は悩んだ末に若手社員を対象にした「従業員満足度調査」を行い不満の原因を調査しました。その結果1位は「給料が安い」、2位は「福利厚生が貧弱」でした。

人事部はさっそく給与制度を大胆に変更し、若手社員の給与水準を業界平均より少し上にしました。また、借上げ社宅制度を作り、保養所やジムなどの福利厚生施設の利用契約を行いました。

その結果、確かに離職率は減りました。ただし、ほんのわずかです。

これは一種の「生存者バイアス」を示す一例です。

生存者バイアスとは「何らかの選択過程を通過できた人・物にのみを基準として判断を行い、通過できなかった人・物は見えなくなるためそれを見逃してしまうという誤謬(Wikipedia)」です。

わかりやすい例は画像に示された飛行機の損傷部分の図です。第二次世界大戦中、戦闘を行って帰還してきた飛行機の被弾箇所(敵の弾を浴びた部分)が赤い点で示されています。

これを見ると、赤い点の部分を集中的に補強すれば、戦闘機の生還率も高くなるように思えます。

しかし、答えは逆です。赤い点の部分の補強はしなくても良いのです。

なぜならば、「生還した飛行機」は赤い点「以外」の部分はほとんど被弾していないからです。つまり、「赤い点以外の部分に被弾した飛行機」は帰ってこなかった、すなわち撃墜されてしまったわけです。

たしかによく見るとプロペラやエンジン部分、先端部分に赤い点はほとんどありません。エンジンや先端部分(兵士が乗っているところ)に弾を浴びたら墜落してしまいますから、帰って来ることはできません。

先ほどの企業も同じです。結局「なんだかんだ言っても辞めていない社員」の意見を取り入れて、退職した若手社員の話を全く聞いていなかったということです。

人事部長の「辞めて行った奴の意見なんか聞いてもしょうがないだろう。去る者は追わずだよ。今いる連中の不満を解消することだ。」という言葉がそれを表しています。

一方、(サンプル数は少ないのですが)当社による退職した若手社員へのインタビューによれば、退職理由は「職場の人間関係」がほとんどでした。

給与や福利厚生の改善よりも、会社の雰囲気や上司と部下の関係をしっかり調べ、時間をかけて会社の風土を変えていくことが若手社員の離職を減らす方策だったわけです。

この会社の人事部長は、新しいコンサルタントを雇って再度「従業員満足度調査」を行うとのこと。やれやれ、です。

皆さんの会社ではこんなバイアス(間違った思い込み)が起きないようご注意ください。

参考:生存者バイアス - Wikipedia

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第843話 会議を効率化する簡単な方法

2019年09月22日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。 

会議の効率的な進め方は概ね次のようなものです。

1.主催者は会議の目的をはっきりさせておく
2.事前資料を配布し、しっかり読んできてもらう
3.開始時間と終了時間を決め、厳守する
4.最後に結論を確認し、誰が何をいつまでに行うかを決める
5.終了後速やかに議事録を配布する

ある会社の社長さんに、こうしたルールがあるかどうか聞いたところ、こう答えました。
「当たり前じゃないか。私がいつも言っていることだよ。」

そこで、私はいくつか質問してみました。
「それは素晴らしいですね。ということは、毎週月曜の朝から行う営業会議もこのルール通りなんですね?」
「営業会議は定例会議だから目的ははっきりしている。」
「事前資料は配るのですか?」
「前の週の売上だから当日、その場で営業部員たちに言わせる。」
「時間厳守で進めていますか?」
「私はいつも1時間で終わらせるつもりなんだが、営業の連中の報告があいまいなので、しっかりと聴き出そうとするとどうしても昼になってしまうな。」
「結論は決めていますか?」
「来週こそしっかりやれ!というのがいつもの結論だ。やれやれだよ、まったく。」
「議事録は作っていますか?」
「そんなもの必要ないだろう。」

もうおわかりのように、これは会議ではなく報告会です。
「定例営業報告会」と名前を決めてはどうかと社長さんに提案したところ次のような答えが返ってきました。
「いや、報告会じゃない。皆で売上をどうやって増やすかを話し合う会議だよ。」

私は「会議」と「報告会」は名称からしっかりと分けておくべきだと考えます。
「報告会」は報告だけとし、もし途中から話し合いが始まったら司会役の人が「ここからは会議です!」と宣言します。「会議」に変更され瞬間から上記のルール3、4、5を自動的に適用します。

たったこれだけで「会議」の効率が驚くほどアップします。「報告会」は切り離された形で残るかもしれませんが、少なくとも「報告だけで結論の出ない会議」はなくなります。

社長さん、いかがでしょうか。あなたの会社でこのようなルールを決めた場合、あなたはそれを守ることが出来るでしょうか。

一度お試しください。

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第839話 「モチベーション」を正しく理解しよう

2019年09月08日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

先日、ある公開セミナーで社員のモチベーションに関して1時間ほど話をする機会がありました。終了後、受講していた1人の男性がやって来きました。その男性が勤務する会社は、誰もが名前を知っている大企業でした。

そして、彼は私に次のような質問をしました。

「今年、新しい職場に異動したのですが、職場全体のモチベーションが上がらず困っています。どうしたらモチベーションを上げることが出来るのでしょうか。」

「部下の方を1人1人をじっくり観察して、今日のセミナーで話したことを実践してみてください。」と私は言いました。

すると彼は「いや、いや。そういうことを聞いているのではなく、職場全体のモチベーションをどうしたら上げられるかを知りたいのです。私は以前○○という業務を担当する部署にいました。職場全体が活気に満ちていました。でも、今度のXX業務を行う職場はひどくモチベーションが低いのです。」と言うのです。

私は「では、職場のモチベーションが低いのは何に原因があるとお考えですか?」と聞くと、彼は次のように答えました。

「XX業務は裏方の仕事なんです。上流工程と現場との板挟みで、上手く行って当たり前、失敗したら大きな損失に繋がるんです。それなのに社内ではあまり評価されない。モチベーションはどうしたって下がります。なんとか上げるにはどうしたら良いでしょう。

私は次のように答えました。

「どうしようもありません。」

すると彼は「そうですよね。やっぱり!」と満足そうに微笑んで去って行きました。どうやら講師に難しい質問をして「1本」取りたかったらしいです。

私はモチベーションの「在り方」にはいろいろな種類があると思います。

たとえば、営業部員は競合他社に勝ったり、顧客から直接感謝されたりするとモチベーションが上がると思います。では、営業部で活躍していた人が経理部へ異動してきたらどうやってモチベーションを維持すれば良いのでしょう。

経理部では「勝ったり、感謝されたり」することはほとんどありません。では経理部という職場にはモチベーションが存在しないのでしょうか。

そんなことはありません。

経理部は会社という「生き物」の命を維持するための「血液」にあたる資金を循環させる「心臓」のような役割を担っています。

できる人は経理に異動したことをチャンスと考え、積極的に財務の知識を付けて営業部に戻るなり、マーケティング部に異動するなりを考えればよいのです。もちろん経理の仕事の面白さにはまって、そのまま居続ける選択肢もあります(実際、現代の経理部はとてもクリエイティブです!)。

プロスポーツのチームでもない限り、ごく普通の会社では「全体の」モチベーションを上げることは(不可能とは言いませんが)難しいのです。その反面、個人のモチベーションというのは意外にあっけなく上がったり下がったりします。

繰り返しになりますが、経営者、管理職、監督職など「上司」の立場にある方々に申し上げます。

「職場の」、「部門の」、「全社の」モチベーションを考える暇があったら、今あなたの目の前にいる部下のことを考えましょう。

部下1人1人のモチベーションを上げるのは、上司としてのあなたの責任です。

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第837話 社長はわくわくする未来を語ろう!

2019年09月01日 | コンサルティング

「99人以下の中小企業の社員が辞めずにイキイキ働くようになる」を実現する人材育成社です。

 若手社員が辞めていく・・・いま経営者を悩ませている最も大きな問題ではないでしょうか。

企業が従業員を辞めさせないために行う一連の施策を「リテンション・マネジメント(retention management)」と言います。わかりやすく言えば「従業員の引き留め」策により、会社と社員との間に「良好な関係」を作り維持することです。

では、良好な関係とは何でしょうか。それは、会社(経営者)が「この会社で長く働いほしい」と思うと同時に、社員が「この会社で長く働いていたい」と思うことです。

なんだ、当たり前じゃないか。そう思われたことでしょう。

会社は、そうした「思い」を具体的に示すために、高い給与、充実した福利厚生といった経済的な報酬のほかに、公正な評価制度、人事異動や新しい仕事へのチャレンジといった制度的な仕組みを提供します。

しかし、中小企業でそれらを全て実現することは、ほぼ無理でしょう。

「全部どころか、せいぜい1つ実現できるかどうかだな」ある中小企業の社長さんはそう言いました。それが現実です。

しかし、たった1つだけ全く違った方法で社員を引き留める方法があります。

それは「未来傾斜原理」です。(具体的な内容は書籍をご参照ください)

理論的なことはこの本をお読みいただくしかないのですが、思い切り端折って言ってしまえば、「社員は未来(将来)に価値を求めている」ということです。

中小企業が大企業に勝てる可能性があるとすれば「未来」です。社員が「この会社で長く働いていたい」と思うのは、未来に「わくわく」したものがあると感じるからです。

今から30年ほど前ですが、地下鉄の泉岳寺駅の近くで、何度が孫正義氏を見かけたことがありました。当時私は大きな会社に勤めていました。「ソフトバンク」という小さくて不安定で何をやっているのかよくわからない会社に、何人もの社員がよく勤めていられるなあと、私は半ば感心、半ばあきれていました。

後に、当時のソフトバンクに勤めていた人と話すことがあったのですが、その時に「わくわく」という言葉を聞くことができました。

「この会社の未来がどうなっていくかを考えると、なんかわくわくしたよ。」

中小企業の社長さんは「未来」を語って社員をわくわくさせてください。ただし「会社を大きくすること」を語るのではなく、「当社が○○を実現したらお客さんが笑顔になること」です。

あなたの会社にとってそれはなんでしょうか。

それが聞けたら、私もわくわくしそうな気がします。

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※「未来傾斜原理: 協調的な経営行動の進化」(高橋伸夫 編著,1996,白桃書房)

 

 

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