中小企業のための「社員が辞めない」会社作り

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トレードオフ

2013年07月06日 | コンサルティング

 研修時に受講者から以下のような質問をいただくときがあります。

 「波風をたてずに、部下を叱る方法はありませんか」

そして叱られた部下の方も

「叱ってくれてありがとうございます。さすが○○課長の言うことは違いますね。」

というように思ってくれるような叱り方をすぐに身に付けたいのですが。

また、別の研修(ビジネス整理術)の時にも以下の質問をいただいたことがあります。

「今日の研修の内容はとても有効だと思いますが、忙しくてなかなかできそうにありません。もっと簡単に効果が出る方法はありませんか。魔法のような・・・」

 いずれの質問を受けた時も、私は表情は笑顔(多分)にしていますが、しかし毅然とした態度で答えています。「そんな魔法のような方法はありません。」と。 このような質問をいただくときに私が頭に思い浮かべるのは、「トレードオフ( trade-off)」のことです。「あちらをたてればこちらが立たず」ですね。

 トレードオフとは、一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のことです。トレードオフは、具体的な選択肢の長所と短所をすべて考慮したうえで無駄のない選択をおこなう必要があります。

研修内容を業務でどのように生かすのか、これは誰にとっても悩ましい問題です。研修で伝えられるのは、考え方ややり方が中心です。ハウツーと言う内容はほとんどありません。そのために研修後に各々の業務において、使えるところを取捨選択し、且つ応用していただく必要があります。

さらに、研修効果を得るためには、練習をするなど使いこなせるようになるまでには、一時的にそれ以前よりもエネルギーを注いでいただかなければならない時があります。 しかし、ビジネスパーソンの忙しさからか、即戦力になるような手法を求められる方が少なからずいらっしゃると感じることが多いです。

新人を育てる時もそうですが、時間をかけてしっかり訓練をして、ようやく仕事を覚えることできます。それと同じように、新しいやり方や方法を使いこなせるようにするためには、はじめは時間と労力をかける必要があります。

何かを得るためには、そのために何かを犠牲にする。犠牲にするものなくして、手に入れることはできればいいですが、そのようにはなかなかいかないですね。 これはまさにトレードオフの関係ですね。

手に入れるものと失うもの、研修の例でいえば、「新しいスキルや知識を手に入れること」と、そのために「時間やエネルギーを費やすこと」のどちらを選択するのかを天秤にかけなければなりません。 まあこの選択が悩ましいのですが・・・・

(人材育成社)