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Mina, Dalida, Barbara, Laura, Lara....美人大好き! あっ、Mihoが一番好き

続続々源太郎(2)

2015年10月07日 | 腰折れ文

二 事のはじまり

(くどいようだが、これはフィクション。全て架空です。Mihoちゃん。誤解なきよう)

暖簾をくぐると、カウンターの端に絵理香は座っていた。
「ごめん、遅れて」
「どちら様?」
「会議が長引いて、ごめん」
「どうせ、まとまらない、結論の出ない会議でしょ。くだらない理由よ」
源太郎は彼女がこんなものいいする娘だったか、記憶の中にはない。
「まあ、そんなとこさ。すまん。で、何か頼んだ?」
「頼むわけないでしょ。大将に席はここと言われて座ったの。居酒屋なのね」
「だって、言っただろ。無理しなくていいのよと」
「言ったわよ。でも、今日は埋め合わせでしょ。少しは無理しなさいよ」
こいつ何をいっている。お前がそう言ったから、そうしたのに。
「まあ、怒るなよ。久しぶりの再開だし、ここの料理は美味しいんだ」
「わかるわよ。これだけ、多くの人がきているから。早く飲み物ちょうだい」
源太郎は、店員に生ビールを頼んだ。
「何を頼んだの。聞きもせず」と絵理香はむくれた。まだ、源太郎に文句を言いたげだし、来てからずっとこの調子だ。

「いいだろ。ここには、ここのやり方があるんだから、文句を言うな」と珍しく源太郎は声を荒げた。すると、カウンター越しに、大将が「源さん、まだ小娘でしょ。そんなにキツく言わなくても」と話しに割って入った。
「このくらい言わないと、こいつはわからないんだ」
「ごめんなさい」、絵理香が小さい声で謝った。驚いた、手のひら返したように愛らしい声だった。しかしそれはまばたきした瞬間、元に戻った。

「謝るわよ。でも私を、こいつって何。あなたの娘。あなたの彼女?」
「悪かったよ。それは謝るよ」しばらく、いや、時間としたら短いが沈黙のときとなった。

大将が、店員にビールを急がせ、二人の前にようやくジョッキがはこばれた。

「久しぶりの再会でしょ。喧嘩はなしでいきましょうね」絵理香が口火きった。
「ああ、ロトルアでは色々ありがとう」
「遅い埋め合わせに乾杯」また始まった。

二人はジョッキをあげて、再会を祝した。

「本当。近くだったんだね職場」
「何言っているのよ。名刺もらった時に、私はわかっていたわよ」
「俺がわかるわけないだろ。名前しかわからないのに」
「バカじゃないの。名前を聞いたら、調べるでしょ。あの時住友不動産と言ったわよ。名刺なんて持ち歩かないわよ。休暇なのに。本当にバカじゃないの。大将、そう思うでしょ」二十歳も違う小娘が完全に優位に立っている。しかも、初対面の大将を味方に引き込む算段だ。
「じゃ。全て俺が悪いんだ。と言えばいいんだな」
「そうよ。当たり前でしょ。じゃなければ、埋め合わせなんて要求しないわよ」

大将は、絵理香がここは正しいと笑いながら頷き、焼き物を出して、暴走している二人を止めようとした。そして言わなくていい事言った。

「この子が、かわいいと言っていた娘なんだ」
絵理香がすかさず、言葉を挟んだ。
「ねえねえ。このおじさんがそんなこと言っていたの」
「ええ、彼がそんなこと言うのは、初めて、いや、今までなかったですよ」
「本当なの」絵理香は急ににこやかに、大将と話し始めた。

「あの朝、お礼をと思い探したのに、翌日もいなかったよね」
「嘘でしょ。寝坊したのよね。私はあの日、オークランドに戻ったの。だから、フロントにメッセージ、預けてあったでしょ」
源太郎は、時を戻して思い出していた。
「あれか」声には出さなかった。そう言えば、汚い筆記体のメモだった。
「連絡待っていたのに」
「あのメモね。汚い字で読めなかった。しかも英語じゃなかったし。フロントのやつ字下手だった」
「悪かったわね。私が書いたものよ。しかも読めなかったの。バカじゃないの」

「タイプならまだしも、筆記体だ」
「わかりやすく書いたのに。Prenez contact dès que possible, s’il vous plaît.と書いていたのに」
「読めなかったのよ。英語もまともじゃないのに、何語だよ」
「公用語でしょ。フランス語よ」
「なんて書いてあったんだよ」
「もういいわよ」というと、絵理香は大将に向かって、「ご都合のいい時に連絡ください」と書いたのに、この人は無視したのよ。と言っている。。大将はいつになく笑っている。

「お嬢さんは、源さんに一目惚れだったんですね」と大将が切り返すと、絵理香ははにかんだ笑顔を浮かべて、「わけないでしょ」と否定した。

これが、絵理香との始まりだった。


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