経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

劉邦のご挨拶

2011年11月19日 | Weblog
範増の、
「うまく活かすのは人の長短の組み合わせ」
といった、人の関する考えと戦略眼は、
今も組織にも色あせず通用する


いずれにしても、武力的には他に勝る者なく、
個々の戦には、圧勝する項羽。

対し、範増は、もとより武力はないが、
長けた人物眼で、人を見、戦略思考的物差しで先を測る。

この両者揃えてワンセットで、ここまで連戦連勝したことを
項羽は、「俺の力、自分の強さ」としか思っていない。

項羽には、韓信のような戦略眼がない。
また、劉邦の謙虚さ、人の話を聞くといった人望がない。

だから、範増は、この二人を配下にするか、
それができないのなら、直ちに殺せ、と進言した。
それに対し、項羽は「この爺、なにをほざく・・・」と、
範増の諫言を鼻で嗤って退けた。

他者の意見に耳を傾けもしないという傲慢さと、

俺の力で連戦連勝、それでどうして他の助けがいろう。
結局、項羽の命取りになった。

人は、これまで成功してきた理由で失敗する、


謙虚さ、人の話を聞くといった点が、
唯一の取り柄だった劉邦に、天は、最終的勝利を与えた。

だが、それは幸運でも偶然でもない。
歴史的事実として、庶民、土匪から史上初で。
漢の皇帝となった劉邦は、配下に就任のご挨拶として、
こう述懐して述べている。

耳を傾けて、聞いてみたい。

~項羽にあらゆる面で劣る自分が、今この地位にいる。
そのただ一つの理由は、項羽が範増一人すらも使えなかった。
対して、私に・・・・~

ここのところを作家の司馬遼太郎さんは、
~「(彼は)おのれの能くせざるをところは、人にまかせる」、
この一事だけで回転してきた~(  )内は私
と、その著書「項羽と劉邦(上巻P39)」(新潮社)に記している。


大望を持っているか、
長期戦略を持っているか否か、
といったことが、人の運命を決めるといった教訓の他に、


1に、聞く耳があるかどうかが、歴史を変えている。
2に、先を俯瞰的、戦略的に観る者は、今なすことがわかる、

といったことを学ぶことができる。
まさに組織の本質、原点は、ここにありだ。