経営コンサルタント田上康朗の雑感帳

経営コンサルタント田上康朗が、気ままに本音で記す雑感帳です。書く日もあれば書かないときもあります。

保守、安定と言うこと

2010年04月16日 | Weblog
日本国家という企業の高度成長の理由

第3は、国民の教育レベルの高さである。

優良企業は質の高い優良な従業員によって支えられている。



国民が全員、読み書きそろばんができる国は希有といって良い。

元来、日本は江戸時代より、

藩では藩校、民間では塾、寺子屋がかならずあり、

読み書きそろばん等の基礎教育を中心に庶民も学べた。



これは、大河ドラマ「龍馬伝」でしばしばでてくる。

筆まめの龍馬が手紙を書いた相手の乙女も加尾も皆文字が読めた。

読めたから龍馬は手紙を書き、彼女たちだけではなく

私たちも情報の共有ができた、ということである。



これが、明治以降義務教育制度が導入され、

さらに高等教育が推進されてきた。

教育の裾野とレベルが上がることで、

当然国民は質の高い生活を望むようになる。



また教養に裏打ちされた文化やゆとりへの強い熱望は

働きへの意欲と生活に対するエネルギーを生む。

こうしたことが日本経済を押し上げるエネルギーになった。

このことも見逃してはならない。



第4は、その教育を受けた優秀な政・官・財・学の人材が

一体となって経済成長をめざして全力で努力してきたという点である。

大久保利通が布石をしいた維新後の官僚制度、組織は、

戦勝国米国から排除されない、戦前から温存された

唯一のものといってもいいのではないか。



この官僚組織・制度に、戦後主として米国から輸入された

「組織・管理理論」が巧妙に取り込まれ、

この国の経営をここまで成長させてきた。



政争に影響されない官僚組織の成果は、

その功罪はともかく、日本経営にとって大きな成果を上げた、

と高く評価されてよいのではないか。



政治も、組織拡大と本能的に保守性をもつ官僚が

リードする形で、反共の大義名分で国民の後ろ盾を得る手法を採った

自民党一党の安定した政権が続くことになる。

合併により党名が変わろうと首相が入れ替わろうと、

このあり方、システムは変わることはなかった。



このことのプラス面、保守、安定といったことが、

国家経営にとっては長期戦略が構築しやすく、

長い目で見た経済成長が図られた結果になった。



また自民党は、基盤整備(インフラ)と経済の波及効果を表看板にして、

その実票田づくり、集票マシン化を裏看板に、

いわゆる箱物公共事業に力を入れ続けた。

ことの是非はともかく、

そのことが経済成長に貢献してきたことは事実である。