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酸化と酸化防止剤

2005-10-12 07:45:06 | 出版記事
女性だったら(男も?)毎日の食事の仕度で加工品を手にすると酸化防止剤という文字を必ず目にしますよね。酸化防止剤にも天然のものと人工のものとがあって、現在の商品化した流通社会では特に加工された食品は多かれ少なかれ酸化防止剤のお世話にならざるをえません。医薬品や化粧品にも、のりなども事務用品にも、生鮮食品にも消費社会という経済市場にあるものでおよそ酸化するものには酸化防止剤が含まれている物が多いと思います。なぜ酸化するといけないのでしょうか。その理由は全ての生物がみな本能的に知っていますよね。酸化というと学問的ですが、端的に生活上の言葉では腐れるといいますよね。腐れたものは食べてはいけない、皮膚に塗ってもいけない事を皆知っています・・・・・・・なぜか?体は自然に下痢を起こし、皮膚の表面は炎症を起こします。なぜか?

身体は体内に腐れたものを取り込まないように下痢や嘔吐で排除し、害を受けた皮膚は腫れたりただれたりしてやがて剥がれ落ちます。万が一吸収されたら各段階で皮膚の反応と同じように炎症反応を起こしたり熱を出したり、細胞を一部破壊したりして排泄過程に取り込まれます。要するに酸化した物は排泄されるのです。酸化とは排泄、つまり分解還元過程の始まりです。酸化と還元は理科では反対の逆行程のように習いますが、同じ直線(?)上に並んでいます。酸化が進めば行き着く先は還元です。この地球という大気圏内にあるものの生成分解の過程は酸化還元の過程として現われます。現在の地球上では先ずスタートは酸化から始まります。先ず酸素無しには一分と生きていけません。酸化の熱で私達は生きています。酸化という化学変化を基盤に生命は生命の維持発展過程を作り上げました。老化も酸化と同じです。新陳代謝という行程で新が勝っている間は陳のマイナスが相殺されていますが、新が落ちてくると陳が目立ち始める、つまり老化が目に見えてくるのです。そして酸化は分解の過程(陰性化)であり、分解はやがて分解され尽くして(極陰状態―極陽状態)還元の過程(陽性化)に入るように、宇宙の秩序(法則)に沿って展開しているのです。そして天然の生物はみな独自の酸化防止機構を持って酸化のスピードを制御しています。これが寿命をきめています。この酸化防止機構を如何に正常に働かせるかによって寿命を早めたりいっぱいに使ったり出来るわけです。

では人工の酸化防止剤は何をしているのでしょう。これは生きているものの寿命を延ばしているのではありません。みな死んで急激な酸化の過程に入ったものを、なるべく死んだ時のままに維持しようとしているだけです。つまり自然な宇宙の法則の例外を作って、その展開を阻止しているのです。そんなものを食べると体内では酸化防止剤はその食物と同じ消化過程で吸収されます。今度は私達の体の中で、宇宙の法則に従って運営されている体内のメカニズムの邪魔をすることになります。私達の体は宇宙の法則の展開のままに酸化という方向性を一貫して持って動いているのです。良くて余計なもの、悪いと過剰作用や逆作用の毒という負担を体にかけることになります。酸化防止剤は商品を長持ちさせるかもしれませんが、結局のところ自分の体の「もち」を悪くします。極端に言えば酸化防止剤を入れなければ食べられないようなものは食べてはいけないのです。収穫して腐らずに運ぶことが出来る範囲が、つまりは流通可能範囲です。塩蔵や乾燥などという自然の力を利用したもの以外の少なくとも食品の成分を不自然に変えるような保存方法は止めたほうがよいといえます。生のものは生のままでは保持できないのが当たり前です。どんなに文明が発達しても、東洋の思想やマクロビオティックでいう身土不二という原則は宇宙の秩序ですから絶対になくなりません。人間と環境(周囲の食べ物)は一体です。酸化防止剤は、食品や体につけるものを、極論すればミイラにするためのものなのです。ミイラは腐らないように、つまりバクテリアなどの餌にならないように考案されたものです。ミイラは虫も食べないのです。そのようなものは食品ではありません。人間の食品に許される酸化抑制法は、自然の人体の仕組みに害を与えない範囲でなければなりません。こういった保存方法はは既に伝統的な知恵として受け継がれています。

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