開館63年を迎える≪ブリヂストン美術館≫がビル新築工事のため数年にわたり休館するので、コレクション(現在2585点)の中から選び抜かれた160点の美術品が展示される「ベスト・オブ・ザ・ベスト展」が17日(日)までと知り、娘を誘って急いで出かけました。19世紀以降の西洋近代美術、印象派・ポスト印象派、日本近代絵画、戦後美術まで幅広く収集された絵画をいつもより丁寧に鑑賞しました。モネ・ルノワール・ゴーギャン・セザンヌなど、描かれた画家の絵が一目でわかるのは親しみやすいし、私の好きなアンリ・ルソー、モディリアーニの絵は1点しかなかったけれど懐かしい気持ちで観ました。
「海の幸」(渡辺喜惠子著1971年発行)は狂気の画家、青木繁の生涯を愛人福田たねを通して描かれた小説です。夭折した天才画家、青木繁の傑作≪海の幸≫に秘められた明治の女の激しく一途な愛・・報いられなかった愛、不幸な福田たねの半生を女性の眼から描き、当時私も読み、その後永く本棚におかれていました。
出版された翌年に「生誕90周年記念 青木繁展」があり、≪ブリヂストン美術館≫と言えばこれという不滅の名作「海の幸」を小説を通して眺めた記憶があります。43年ぶりにこの絵を見てまた本を読んでみようと思ったり、その頃の若かった私は何を思っていたのだろうかなと思いました。そしてなかなか観られない「わだつみのいろこの宮」、傑作が2点も展示されていたので満足でした。
開館20周年の1972年(昭和47年)「生誕90周年記念 青木繁展」が開かれた時のチケット、「海の幸」の本にはさんでありました。