待ち合わせの場所として、よくホテルのラウンジを利用する。
本日は、飯倉にあるホテル。
約束の時間まで余裕があったので、化粧室に入った。
大きなフロアーには、椅子付きの化粧台が規則正しく並んでおり、各鏡の左右には淡い熱を発する白熱灯が取り付けてあった。
一番奥の椅子に、知った顔のラクダがいた。
「あらっ?」
「どうも・・・」
彼女は、大きな瞳の上下のたわしの様に固いまつげに、マスカラを付けている最中であった。
「昨日、Kビルのエレベーターの中でお会いしたかしら・・」
「はい」
「本公演に行かれなくて残念でしたわね」
「はあ~」
「あそこはね、住んでる私達ですら、なかなかたどり着けない場所なのよ」
「そうなんですか?」
「ええ。今はダメ。砂嵐の季節ですもの。そして、それが止んだら、入り口の石像を探さないと」
「石像ですか?」
「そうそう。二宮金次郎によく似た石像よ」
「もし、それを探し出しら、行かれるのでしょうか?」
「う~~ん。見つけても、私達には動かす事が出来ないから」
「えっ?」
「ある人物だけ、その石像を動かせる」
「ある人物って、もしかして・・・」
「そう、がけっぷちのギリジン」
やっぱり、彼がキーワードか!
間違えて、洗顔料で歯を磨いてしまった様な気分になった。
「まあ、そう、暗いお顔をなさらずに。完璧な思考のシステムの中で、答えはもう既に出来上がっているはず。後は、世界で一番タフな信者になる事です」
世界で一番タフになる・・?。カフカじゃあるまいし。
とり合えず、口の中をうがいしてから、考えよう・・・。タフになる為の条件と可能性と確率と蓄積について。
本日は、飯倉にあるホテル。
約束の時間まで余裕があったので、化粧室に入った。
大きなフロアーには、椅子付きの化粧台が規則正しく並んでおり、各鏡の左右には淡い熱を発する白熱灯が取り付けてあった。
一番奥の椅子に、知った顔のラクダがいた。
「あらっ?」
「どうも・・・」
彼女は、大きな瞳の上下のたわしの様に固いまつげに、マスカラを付けている最中であった。
「昨日、Kビルのエレベーターの中でお会いしたかしら・・」
「はい」
「本公演に行かれなくて残念でしたわね」
「はあ~」
「あそこはね、住んでる私達ですら、なかなかたどり着けない場所なのよ」
「そうなんですか?」
「ええ。今はダメ。砂嵐の季節ですもの。そして、それが止んだら、入り口の石像を探さないと」
「石像ですか?」
「そうそう。二宮金次郎によく似た石像よ」
「もし、それを探し出しら、行かれるのでしょうか?」
「う~~ん。見つけても、私達には動かす事が出来ないから」
「えっ?」
「ある人物だけ、その石像を動かせる」
「ある人物って、もしかして・・・」
「そう、がけっぷちのギリジン」
やっぱり、彼がキーワードか!
間違えて、洗顔料で歯を磨いてしまった様な気分になった。
「まあ、そう、暗いお顔をなさらずに。完璧な思考のシステムの中で、答えはもう既に出来上がっているはず。後は、世界で一番タフな信者になる事です」
世界で一番タフになる・・?。カフカじゃあるまいし。
とり合えず、口の中をうがいしてから、考えよう・・・。タフになる為の条件と可能性と確率と蓄積について。