よしなごと徒然草: まつしたヒロのブログ 

自転車XアウトドアX健康法Xなど綴る雑談メモ by 松下博宣

フロー体験とカタルシス

2005年02月04日 | 日本教・スピリチュアリティ
麻生川さんのコメントに触発されて考えてみた。

フロー体験は外面的報酬とは隔離され、ひとつの活動に深く没入し、その経験それ自体が楽しいので、純粋にそれをするということのために多くの時間や労力を費やすことができる状態。したがってフロー体験は、悲しい、辛い、煩わしい、妬ましい、腹が立つ、焦るといたネガティブな感情とは隔絶した、うれしい、楽しい、歓喜に満ちた十全感、充足感、楽観、自己効力感をもたらしてくれる。

さて、カタルシス(catharsis)という言葉はそもそも医学用語で、排泄物を体外に出して身体をきれいにするという作用を意味している。それを、アリストテレスが、その偉大な詩学のなかで精神世界の叙述において含意をもたせ援用したものであると言われている。

フロー体験をある種の精神的なカタルシス体験としてとらえることもできるだろう。つまりフロー体験には、日常直面するようなネガティブな感情、もしくはネガティブに反応してしまう認知神経的なエネルギーを浄化・転換する作用があると見立てるとこができる。

また脳神経科学・発達認知神経科学の知見を借りれば、フロー体験はエンドルフィンのような神経伝達物質の分泌を活性化する作用があるという類推も成り立つだろう。エンドルフィンは、脳内で痛みを止めたり、気持をよくしたり、快感を誘うだけでなく、自律神経を介して体温の変動や血圧の低下、また食欲の増進や、胃腸分泌の抑制などにも作用していることがわかってきている。呼吸の抑制、嘔吐にも関わり合いがあり、リビドーの増進にも関与しているし、認知行動、学習効果の促進にも作用する。

いずれにせよ、心身的にホリスティックに健康であるためには、人は本来潤沢なフロー体験と接続される必要がある。近年、健康管理学の分野でも予防医学の延長線に構想されたwellnessを増進するためにフロー体験のデザインがとみに重視されている。アウトドア系アクティビティ、趣味、読書、仕事、そして生活のなかで、いかにフローをデザインしてゆくのか。

こんなことを考えるだけでも楽しくなる。フローを体験することのみならず、フロー体験を考えることも、けっこうフローだ。