またまた漢字の学習
発展途上の海外で日本語を教えようとしますと、恐らく会話より、検定試験合格がメインになるでしょう。
そして、検定試験を主眼に考えますと、非漢字圏の学習者にとりましては、やはり、一番重荷になるのは、漢字ではないでしょうか。と言うことで、この問題にまた戻ってまいりました。
*早い時期に記事にしましたものが有りますので、ご参照ください。
漢字の学習 その1,2,3
http://blog.goo.ne.jp/houren_naka1000/e/e0a41d840afe0928278d703ef1727224
http://blog.goo.ne.jp/houren_naka1000/e/8b9ef44206cc1050abb18a6031228a1e
http://blog.goo.ne.jp/houren_naka1000/e/6213431d9ef5f1cc5b2e20540541a64d
非漢字圏の学習者の合格に要する時間。
漢字圏の学習者に比べますと、初級レベルで、2割~5割増し、上級になりますと、やはり5割増しで、
時間に直しますと、
N2で、プラス500時間、(漢字圏の学生:1100~1500時間)
N1になりますと、プラス1,000~2,000時間(漢字圏の学生:1,800~2,300時間)
余分に、時間を掛けなければならないようです。
実際の文字数で言いますと、
N1は、漢字数2,000文字(≒常用漢字)、語彙数10,000語。
N2は、漢字数1,000文字(≒教育漢字)、語彙数6,000語(外来語300語)
N3は、漢字数300文字、語彙数1,500語
漢字の特徴
西洋人の中には、漢字オタクがいるそうですが、誰もがそういう風になるとは限りません。
我々日本人が、漢字やアルファベット以外の文字を見ますと、やはり、絵とか記号にしか見えません。覚えようとしますと、全体をパターンで認識するのは、非常に、難しいので、やはりどうしても分解して覚えようとします。
表音文字は、大体が、子音と母音の各エレメントの組み合わせになっていて、音になり、それらをつなげて一つの言葉を表すように、なっています。音の組み合わせは、有限(?)だと思います。韓国語では、およそ300組ありました。
漢字はと言うことになりますと、エレメントからなっていると言えるですが、それらが組み合わさってユニットにもなったりしますし、ユニット同士やユニットとエレメントの組み合せもあります。残念ながら法則らしきものもあるような、ないような・・・・・。
ところが、エレメントやユニットは、表音文字のように無意味なものでなく、多くのものは、意味を持っています。しかし、その組み合わせは、余りにも多すぎて、頭の痛い問題です。
と言うこと、その特徴が利用できないかと言うことになります。意味を持っていて、ある程度法則に則った、簡単なエレメントやユニットで構成された漢字から覚えて行くのが、早道ではないかと考えます。
アプローチの仕方
また使用頻度と言う点からのアプローチやカテゴリー別にまとめて覚えるという方法もあると考えます。学習者の中には語呂合わせで覚えようとしている方もいます。いろいろ試してみて、ご自分に合った方法を探してほしいと思います。
そして、指導者の方は、サンプルを示せるようにある程度の準備が必要でしょう。
象形文字や指示文字を起源とするようなエレメントやユニットについては、絵で示せるといいのですが、自分ではつくれません・・・・・・・。
そこで・・・・
学年ごとの漢字の成り立ちを動画で説明する
http://morino.sakura.ne.jp/index.html
漢字の成り立ち迷路
http://members.jcom.home.ne.jp/2822728701/kodomo%20site/naritati-1/nari0101/nari0101.htm
Learn Kanji with Vocab for Beginners #1,2,3,4
">https://www.youtube.com/watch?v=Xu9HIypscSM>
">https://www.youtube.com/watch?v=xljZH3cjkoA>
">https://www.youtube.com/watch?v=dt1L2Ew1-bM>
">https://www.youtube.com/watch?v=Sjl-NMxYZW0>
①偏や旁に使用されているカタカナと象形文字を使った、簡単な漢字から導入してゆく。
カタカナを使った「憶えやすいであろう漢字」として、本ブログ「漢字の学習 その2」に示してあります。
http://blog.goo.ne.jp/houren_naka1000/e/8b9ef44206cc1050abb18a6031228a1e
イラスト付きのカードが、GCSE Picture Kanji Cardと言うホームページに有ります。
http://www.jpf.org.uk/language/kanjifiles/kanjicard.html
出来る人は、この中から、順次選んでいけばよいと考えます。200文字あるようです。
しかし、どうなんでしょう、イラストで示されて「成るほど」と思ってその時は、分かったつもりになるでしょうが、それで、記憶として定着してくれるでしょうかと言えば、やはり疑問です。
私が子供の頃、どうしたのでしょうか。
漢字だけの試験は、範囲が限定されていましたので、まだ、集中し易く、がむしゃらに、声を出して書きながら覚えました。
また、時間に余裕が有った時は、その漢字を使った熟語を面白がって、探し、書き留めていたのを覚えています。糞真面目に、同じものを集中して覚えようとしますと、直ぐ嫌になって、長続きがしません。効果も今一つです。その点、熟語探しは、集中こそしませんが、飽きがすぐ来ることもありません。興味をもって、新出漢字の記憶だけでなく、既習の漢字の記憶をも確実にしてくれたり、語彙を増やしてくれたりしました。
試験は試験で必要です。
高校生の時、国体の試合が有って、中間試験の追試を受けるか、パスするかで、パスした科目が有りました。ところが、大学受験の時、その範囲だけ弱くて苦労をしたことを覚えています。やるべき時に締めくくりをしっかりしませんと身に付きません。あるいは締めくくりをする回数を設定することが必要かもしれません。
②既に習ったものと関連付けて、増やそうと言う方法が有ります。その場合、カテゴリー別に集約されたものが良いでしょう。
Kanji Step Up-Beginning to Intermediate 500 Kanji
http://www.todai-ic-nihongo.com/incenter/materials/elm/thisweek/index.html
③画数の少ないものから覚える。
調べていきますと、いろいろなクラス分けは、日本社会での使用頻度から割り出しているようです。
ところが、独立して使われる機会が少ないものは、いくら画数が少なくても、いくら頻繁に、エレメントやユニットとして使われていようとも、高学年の割り当てであったり、上級の検定試験の範囲に含まれていたりしているそうです。漢字を覚えるという視点から見ますと、全くのナンセンスです。
従いまして、学習者に対しては、エレメントやユニットとして使用される語も含めての頻度によって、整理し直し、優先順位を示されるべきです。
やっぱり、日本語教育学者の馬鹿正直な癖が抜けないのですね、はやりの言葉で言いますと、「Student First」にはなっていないのですね。バカみたい!!
④熟語を覚える。
エレメントやユニットとして使用される語も含めて学習順のクラス分けをし直し、そのレベルに合わせて、使われている熟語を探し出して、リストアップする。
シスク・野口さんは、個々の漢字の意味は沢山ありますが、覚えきれないし、熟語に使われている意味さえ理解していれば、当座は間に合うのではないかとおっしゃっています。
熟語の成り立ち・構成については、本ブログ「日本語・外国語」の漢字の学習その3にも掲載しています。
熟語の成り立ち・構成
(1)上から下へかかっていく場合
(2)下から上へかかっていく場合
(3)同じ意味の漢字が続く場合
(4)反対の意味の漢字が続く場合
また、前述のシスク・野口さんは、
①動詞と目的語 禁+煙=禁煙。避妊、返金
②修飾語(名詞か形容詞と名詞) 朝+食=朝食。国語、聖戦
③主語と述語 地+震える=地震。
④同じ意味の語 道+路=道路。頑固、出発
⑤反対または対照語 上+下=上下。夫婦、万一
⑥否定の接頭辞 不+明=不明。非常、無限、未婚
⑦反復語 人々、広々、洋々
⑧省略・短縮語 高等学校⇒高校、自動車検査⇒車検、東京大学⇒東大
⑨接尾辞 -然、-的、-式 断然、劇的、和式
と言うように細かく分類し、理解を助けようと、してくださっています。
⑤エレメントに分解できない漢字
常用漢字の内、およそ150語は、もう分割できない語だそうです。それらは、逆に、それだけで意味を持ったエレメントと言うことになります。これらは、工夫が効きませんので、そっくりそのまま覚えなければならない語と言うことになります。
イラストを頼りにするなりして、がむしゃらに覚えましょう。
私の場合は、余り集中できず、気が多いので、いろんなアプローチの仕方をします。抜け落ちを防げます。顔を合わせる頻度によって、物の軽重が分かります。結果的には、何度も繰り返していることになります。
10分間で、常用漢字の復習ができる動画
Learn all 1945 joyo kanji in 10 minutes
">https://www.youtube.com/watch?v=MdChdA-hp_8>
シスク・野口さんの記事によく出てくる英語話者用の資料
Remembering the Kanji
https://nirc.nanzan-u.ac.jp/en/files/2012/12/RK-1-6th-edition-sample.pdf>