本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

『智』 と 『慧』

2013-05-15 07:23:16 | 住職の活動日記

 普通は 「 知恵 」 と書きます。

ところが、お経の中では 『 智慧 』 と書いてあります。

「 おばあさんの知恵袋 」  というような

知恵と区別する意味で、 あえて 『 智慧 』 と

表現したのでしょう。

 しかし、

「 玄奘三蔵 」 三蔵法師はそのことばさえ

翻訳しなくて、

『 般若 』  ( ハンニャ )  と

音写したのです。

インドの 「 プラジュニャー 」 サンスクリット、

これが、方言のパーリー語になると、

「 パンニャー 」 と発音しますから、

この言葉が 『 般若 』 となったのでしょう。

 三蔵法師も訳さなかったくらい、

「 智慧 」 ということも、幅広い意味を持つのでしょう。

 

 厳密には、

『 智 』  を  「 ジュニャーナ 」

『 慧 』  を  「 プラジュニャー 」 

というように分けて考えます。

 辞書には、

『 智は慧の中に摂せられる 』  と書いてあります。

そして、

「 慧 」 の働きとして、

 「 見 」 ( けん ) ・ 「 忍 」 ( にん ) と 「 智 」

の三つを上げています。

「 見 」 おしはかること ( 推求、 推度すいたく )

  ◎ お経の中では 「 度 」 は幅広く、

     得度の度はサンズイが取れた 「 渡 」

     ここでは、「 たく 」 と読みます。

     計度とかいて、ケタクという言葉もよく出てきます。

     考える、分別する、という意味です。

 

「 忍 」 認めてよしと許すこと ( 忍可 )

  ◎ 「 忍 」 という字も、ただ我慢して忍びなさい、

    というだけでなく、その根底にはゴンベンが付いた

    「 認識 」 の 「 認 」 が必要ということです。

    忍ということも智慧の働きというのは面白い。

 

「 智 」 はさらに進んで疑いなく明瞭に断定する。

 

というように辞書には書いてありますが、

それだけ幅広い意味を含んでいるので、

単に 「 智慧 」 と翻訳せずに、

『 般若 』  と音写したのでしょう。

 

 朝からそんなことが気になっていました。   

 

 

 

 

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