この本は中村元という方が
『大パリニッパーナ経』
『大般涅槃経』というお経を
漢訳からではなくインドの言葉を
直接翻訳されて、
『ブッダ最後の旅』という
本にして出されたものです。
漢訳とは、また違った面白味
というか
お釈迦さまの生身の声が聞こえて
くるようで、お釈迦さまを身近に
感じられる本になっています。
中村元という方の本は
高校生の時に読んで大変興味深く
真言宗とかいうよりも
お釈迦さまが本当に説かれた
教えに触れなければいけないと
強く思ったものです
それで、
祖父の行っている加持祈祷や
護摩を焚くということなど
お釈迦さまの教えに反している
のではないかと、
祖父に口論を挑んだものでした。
この経典はパーリ語という
インドの言葉で
その元はサンスクリット語という
たとえば、
般若(ハンニャ)という言葉も
サンスクリットでは
プラジュニャーというのですが
パーリー語になるとパンニャー
それが般若と音写されるのです
そういうように少しくだけた
というか言い易いように変化した
言葉です
インドには沢山の言葉があり
お釈迦さまは何語を話していたのか
というと
「半マガダ語」という言葉では
ないかといわれています。
三十七道品ということも
お釈迦さまは亡くなる間際まで
この修行に励みなさいと
仰っています。
少しそのところを紹介します
「アーナンダよ。さあ。
ヴェーサーリーの近くに住する
すべての修行僧達を集めなさい」
「かしこまりました」
と、
若き人アーナンダは尊師に答えて
近くに住するすべての修行僧を
講堂に集めて、尊師に近づいた
「尊い方よ。修行僧の仲間は
集まっております
ご随意にいつでも、
どうぞお出かけください」
※中村元氏はお釈迦さまのことを
尊師と訳されています
「修行僧たちよ。
それでは、
ここで私は法を説示したが、
お前たちは、それを良くたもって
実践し、実修し、盛んにしなさい
…
その法とは何であるか。
それはすなわち、
四つの念ずることがら(四念処)
と四つの努力(四正勤)と
四つの不思議な霊力(四神足)と
五つの勢力(五根)と
五つの力(五力)と
七つのさとりのことがら、七覚支
と八種よりなるすぐれたる道
(八聖道)とである。
修行僧たちよ。
これらの法を、
わたしは知って説いたが、
お前たちは、
それを良くたもって、実践し、
自修し、盛んにしなさい。
それは、
清浄な行いが長くつづき
久しく存続するように
ということをめざすのであって、
そのことは、
多くの人々の利益のために、
多くの人々の幸福のために、
世間の人々を憐れむために、
神々と人々との利益と幸福に
なるためである」と。
「さあ、修行僧たちよ。
わたしはいまお前たちに告げよう
もろもろの事象は過ぎ去るもので
ある。怠けることなく修行を完成
なさい。
久しからずして修行完成者は
亡くなるであろう。
これから三ヶ月過ぎたのちに、
修行完成者は亡くなるだろう」と
※修行完成者というのは
如来ということを
このように訳されています。
「わが齢は熟した。
わが余命はいくばくもない。
汝らを捨てて、
わたしは行くであろう。
わたしは自己に帰依することを
なしとげた。
汝ら修行僧たちは、
怠ることなく、よく気をつけて、
よく戒めをたもて。
その思いをよく定め統一して、
おのが心をしっかりとまもれかし
この教説と戒律とにつとめはげむ
人は、生まれを繰り返す輪廻を
すてて、
苦しみも終滅するであろう」と。
ここで第三章は終わっています。
お経として読む場合は
漢訳のほうがリズムも
いいようですが
こういうパーリー語から
直接訳されたものも
生身の声が響いてくるようで
いいのではないでしょうか。