涅槃、
インドの言葉ではニルバーナ
それを音写したのです。
燃え尽きるとか吹き消すという意味
その方は静かに眠っておられました
一目見た時、
涅槃寂静の世界におられるようです
人生やることをやり尽くし
全てを出し切って
まさに煩悩の火が打ち消され
安らかな世界にいらっしゃいました
しっかりしたお顔だちは
本当に仏の世界に入られています
お釈迦さまも最後の旅は
生まれ故郷に向かわれていました
鍛冶屋のチュンダが出された供養で
血を吐くような激痛に襲われ
お弟子のアーナンダに
あそこのサーラの木の下に
休ませてくれと頼まれます
いつもは、
河で沐浴して瞑想に入られますが
この時ばかりは
もう河から上がる力もなく
アーナンダの支えでやっと上がられ
そのまま坐禅することなく
頭を北に右脇を下に休まれます
傍から見れば
弱り切った老人と若い付き人が
嘆き悲しんでいる
そういう光景だったのでしょう
しかし、
アーナンダから見たその老人は
とても大きな光り輝いている
姿に見えたのでしょう
そのアーナンダが見た姿が
あの大きな涅槃像を生んだのです
タイのお寺に行っても
とても大きな金色に輝く涅槃像を
見ることができます
いつも講義を聞いている先生
やって来られる姿は
まさに腰の曲がった老人
足元もおぼつかなく
やっと歩くのが精一杯という姿
ところが、
いざ講義になると
まるで別人
顔は光り輝き、声は張りがあり
その姿はとても大きく見えます
仏からの伝言がその人を通じて
とめどもなく
あふれ出てくるようです。
この方も
本堂を再建し、庫裏も建て直し
後継ぎも育て
本当にやることをやり尽くした
そういうお姿でした
そして静かな世界に帰って行かれた
まさに涅槃寂静のお姿でした
やり尽くし煩悩の火も打ち消され
そこには穏やかなお顔がありました
人間こういう美しい姿になるのか
本当に涅槃の姿を見せて頂きました