本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

今週の言葉 6/11~6/17 「 われらのつとめは成功にあらず … 」

2012-06-10 22:47:16 | 今週の言葉

           われらのつとめは

       成功にあらず、

     失敗にたゆまずして、

      さらに進むことなり。

                  スチブンソン

 

 「 結果を残す 」  ということも大事ですが、

それにいたる道程を仏教ではとても大切にします。

 『 行者 』  という言葉があります。

一般的には山の中で密かに修行に励んでいる人を

思い浮かべますが、

本来の意味は 「 生活者 」 という意味があります。

真面目に真剣に生きることに取り組んでいる人ということです。

「 行者 」  という本来の言葉は 「 アジャリ 」 ということです。

インドの言葉で 「 アーチャリヤ 」  それが

『 阿闍梨さん 』  となり、

比叡山で修行する  『 阿闍梨様 』  とか、

東寺でも 「 後七日御修法 」  の導師を 『 大阿闍梨 』  というように

アジャリという言葉がひとつの階級を表すようにもなりました。

 『 修 』  という言葉があります。

あまり人気のない言葉です。

「 修行 」  とか、 むかしは  「 修身 」  という言葉もありました。

しかし、人間の本来のあり方を示す言葉です。

 人間はただ、生まれて、ご飯食べて、生きていくというだけではなく、

その根底には 『 修道的 』 に生きるという、

道元禅師が 「 威儀即仏法 」 といわれたように、

朝から寝るまですべてが 「 修道的 」 に生きる、

堅苦しいようですけど、

それが本来の人間の生き方である、ということです。

 

 今は、成功してか否かが問題視されますが、

人生の価値からいうと、失敗しても更に歩んでいく、

その道程のほうが意味があることなのです。

 

 昔の、芸術家 ( 音楽家、画家 ) にしても、

生きてるときに成功してお金儲けをした、ということはありません。

今の価値観から言うと、すべて失敗でしょう。

しかし、自分を信じてそれをやり抜いていかれたことが、

後世、見事な芸術作品として評価されたのだと思います。

 ( 生きてるときに評価されて、お金も儲けた人は

   ピカソぐらいだそうです。)

 

 「 失敗してもたゆまず、さらに進む 」

というところに、仏教でいう 『 修道的人間 』 ということが

重なりました。

 『 菩薩 』  という仏さまも、別の言葉で言えば、

「 修道的人間 」  ということです。

 

 成功とか失敗を問題にするのではなく、

「 ただわれは行く、一筋の道を 」

という歩み続けるということが、大事なように思います。

 

 

 

 

 

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『 認知症 』  

2012-06-10 17:32:28 | 住職の活動日記

 毎月の 「 10日 」 は 『 しらぬい荘 』  の月忌です。

今日は日曜日ということもあり、職員の方もお留守番の方だけ、

それにしても、いつも感心させられるのは

  『 お茶とお茶菓子 』  です。

 

     

 

 

 お茶はおいしく頂いてしまったのですが、

着いたときに出てくる 「 お茶菓子 」 と

お参りが終わってか出てくるお茶菓子が違っています。

必ず二種類のお茶菓子が出てきます。

 ほんとうのおもてなしの心のです。

お見えになったら、まず 「 濃いごいとしたお茶 」 それに

季節のお菓子です。

 最近は少なくなりました。

会社でもお茶を出す手間を省くため、お茶のサーバーとか

が多くなったような気がします。

 

 いつも不思議に思っていたのですが、

「 認知症 」  という言葉です。

  「 この方も最近、認知症のほうが進みまして  …  」

  「 そうですか ? ! 」

と、聞きながしていたものの、

「 認知 」  とは、認め知る、ということで、

法律的には、

 「 この子を認知します。 」

というような使い方もします。

 人権にかかわるというか、人としての尊厳性を大切にする

ということで、認知が出来なくなった、ということで

『 認知症 』  という言葉が生まれたのでしょう。

 むかしは 「 痴呆 」  とか  「 ボケ 」  ということだったのですが、

「 ボケ 」  ということも、響きがどうも良くありません。

漢字で書くと  「 惚ける 」  となります。

「 ほれる 」 という字です。

有吉佐和子に  「 恍惚の人 」  という小説が映画かもされました。

悲しくもほほえましい、とてもいい作品でした。

 人を好きになり、惚れてしまって、周りが見えなくなると、同じように

「 ボケ 」 と 「 惚れる 」  のは一種似たところもあるようです。

 

 毎月発行される 『 広報しらぬい 』 

 

    

 

6月号は、梅雨

 

    

 

挿絵もかわいいアジサイが描いてありました。

 

 それにしても、いつもお茶菓子を準備されているということは

頭が下がります。

 本山の醍醐寺にお参りした折にも、

まず、お茶とお茶菓子が皆さんに出てきました。

これが、ほんとうのおもてなしでしょう。

 

 

 

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