故郷へ恩返し

故郷を離れて早40年。私は、故郷に何かの恩返しをしたい。

工程表

2017-09-17 07:41:54 | プロジェクトエンジニアー

「志のゆくへ」というタイトルの絵です。
目指すものは何なのか。回るルーレットです。


今日のテーマは、「工程表」です。
何か物事がうまくいかない時に、工程表の見直しが必要だと言われます。
工程表から外れた話ではありません。

チームワークで仕事をする場合、
誰もが自分の役割は何でいつどれだけのことをしなければならないか、
工程表を見て判断します。
短期間(1-3か月)の仕事では、工程表の良し悪しが、コストに大きく影響します。
通常は、ある期間この成果を出してほしいと担当ごとの仕事を棒線で引きます。
出来るだけ、精査な見積もり金額(追加がない)を集めるために以下の工夫をしました。

工程表に各担当部署(建築、電気、空調、機械、システムなど)の
具体的な仕事を書き込み、各担当ごとの取りあい(工区がバッティングするとき)の
調整方法も書き込みました。ここまで何が終わっていないと次に進めない。
理由はこれこれとも書き込みました。
担当ごとに、何が必要か機材と各仕事の内容もいれました。
例えば、建築が壁を作る前に必要な穴の情報が欲しい。
穴の大きさや数によっては、軸組(鉄骨の大きさ)に影響が出るからです。
見積もり引き合い時に、精査な工程表を出すことはありません。
理由は、見積もり自体にお金を払わないからです。
工程概要を見て、見積もりする各社が判断するのが通常だからです。

見積もり各社に、工程表の説明をしました。
説明したにも関わらず落ちている見積もりについては、
自分で金額を乗せたりもしました。
そうして、何も落ちが無い各社一列の見積もりを査定し、
過去の実績と合わせて評価しました。

工程表は、よく考えた落ちのない物でないといけません。
私は、見積もりで決まった各社を工事前に集めました。
監督だけでなく、営業、設計、工事、下請け会社の責任者を召集しました。
工程表で、工事のシミュレーションをしました。
工事会社各担当に具体的なイメージを持ってもらうためです。
取り合いにおいては、各会社の計画を話してもらいました。
それでは困る、こうしてほしいと担当どおしの話し合いが持たれました。
工事前の話です。
持ち場がバッティングする二社が、レッカーを見積もっていても、
金額を削ることはしませんでした。
どちらかのレッカーを使うことで納得してもらいました。
レッカーを持ち出す会社には、損も得もありません。
レッカーを出さなくて済んだ会社は、得になります。
不思議なことに、得をした会社は、
レッカーを出してくれた会社に工程上の便宜(協力)を図ります。
私のねらいはここにありました。
搾取(一方だけが得をする)ではなく、工事前の仲間づくり(チームワーク)でした。

工事において、各社が持つ情報開示は必須です。
それも、できるだけ工事前の設計段階までです。
見積もり各社は、必ず余禄(予測がつかないため金額をふかす)を
見積もっていました。
その余禄(あいまいな部分)を、工事の事前会議で吐き出させました。
儲けが出たら、見積もり各社のものにしました。
これが後に効いてきます。
追加工事の交渉をする時の材料になるのです。
工事が始まったら、各会社を儲けさせることしか考えませんでした。
私にできる唯一の恩返し(工期短縮、人員削減)だからです。
全権を持っているプロジェクトマネージャーができることの一つです。

各会社は、工事前にこの仕事は儲かり上手くいくと確信します。
俄然盛り上がりやる気を出します。
この仕事を担当してよかったと監督は胸をなでおろします。
出会い帳場の職場にチームワークが生まれる瞬間です。

工程表を描いた私は、各社の細かい質問にその場で応えられます。
先を見通した工程表ゆえに、エンディングストーリーを見せることができます。
この即答が信頼を生みます。この人についていこう。
またいい加減な仕事は出来ないと覚悟をしてくれます。

私は、営業の時からエンディングストーリーを顧客に説明していました。
そうすることで、ぶれない金額を提示でき、お互いWin-Winの体制を
作ることができました。
このことが判らない顧客の前では、熱弁はふるいませんでした。
時候の挨拶をして、さっさと引き上げました。

Know-howは、各社の命です。
それを盗むことはできません。
Know-howは理解できても、その後の展開が描けなければ宝の持ち腐れです。
どんな発明発見も、研究室の外で使われてなんぼです。
実用できるレベルにするのは、
工夫と知恵でエンディングストーリーを描けるかにかかっています。

ここまで準備をしても失敗することがあります。
その時は、他人のせいにしないで、知恵が足りなかったと反省しました。

「工程表」にまつわる自分のストーリーでした。

終ったは 始めの一歩 どこまでも 

2017年9月17日
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