駄楽器駄日記(ドラム、パーカッション)

ロッキンローラーの打楽器日記

小説もどきは続く

2011年05月17日 | 小説
「タバコと酒とどっちが悪か」の巻

実太はこれといった趣味がない。
酒を飲まないので飲み屋には行かない。
運動神経が鈍いのでゴルフは下手で、スポーツはやらない。
根気がないので釣りや、ギャンブルも苦手だ。
ただし、性欲は人並み以上に強いと思っている。
音楽は好きだが演奏はできないし、音痴なのでカラオケも嫌いだ。
しかし、昔聞いたことのある「ダウンタウンブギウギバンド」の「スモーキンブギ」は好きだ。
「目覚めの一服、食後の一服、授業をさぼって喫茶店で一服、風呂入って一服、クソして一服、そいでまたベッドで一服、朝から晩までスモーキンブギ・・・」
シビレルような一瞬の羅列である。
どれもこれも、ニコチンが頭の先からチンの先っぽまで沁み渡る瞬間だ。
これがやめられない理由だなと分かっている。
たぶん、あのころはセブンスターがひと箱100円前後という時代だったのだろう。
そして、世間もタバコに寛容な時代だったはずだ。
今は逆風が強い。

思えば、いくら30年以上経ったとはいえ4倍以上に値上がった物は、タバコのほかにあるのだろうか。
しかもその値上げの内訳は、ほとんど税金だ。
そして、喫煙を「悪」と決めつけて、懲罰的意味合いの値上げにしか見えない。
「ゆるせん。」
実太は思う。
税金を上げるのなら、同じ嗜好品である酒にももっと加算しなきゃ不公平だ。
タバコの害ばかりが語られるが、酒の害のについてなぜもっとスポットを当てないのか。

酒飲みは喧しいし、臭いし、下品でみっともない。
酒を飲まない人に「飲め飲め」と強要する。
これが許せん。
いくらタバコを吸っても人に「吸え吸え」と強要することはない。
飲酒運転による事故で他人を傷つけるなど最悪だが、タバコを吸っても他人を傷つけはしない。
タバコが自分の体に悪影響を及ぼすなら、それは自己責任の範疇だ。
酒に酔うと、くどくどと何度も同じことを言い出すが、タバコをたくさん吸っても同じことは言わない。
酒に酔うと財布や定期を落としたりケータイを失くすが、タバコを吸っても失くしたりはしない。
酒に酔うと立ち小便をするが、タバコを吸っても小便はトイレでする。
酒に酔うとスケベになって浮気をするが、タバコを吸ってもスケベにはならない。
酒に酔うとナニがナニしてナンだが、タバコを吸ってもナニはナニのままだ。
等々、考えれば考えるほどタバコの勝ちである。

仕事上の付き合いで、酒宴に顔を出さなきゃならないことがある。
憂鬱な時間だ。
宴会では時間が長い。
食事なら、早食いの実太は5分から10分で終わる。
なんで二時間も飲んでいられるのだ。
だいたい、飯が食いたいのに、宴会の最後まで飯が出てこない。
刺身にはご飯だ。
天ぷらにはご飯である。
肉にはご飯なのだ。
二時間も経ってやっとご飯とみそ汁が出てくるが、おかずはもうないじゃないか。
酒に酔った人のくどい話を何度も聞いてうなずかなければならず、それだけで疲れる。
さらに、終わって〆た後に、「もう一軒行くぞ」とか言い出す始末。
今さら違う店に行って何を食うのだ。
酒の値段は高い。
飲まないのに割り勘されたらたまらない。
ウーロン茶だけで何千円も払えるか。
思い出すだけで、実太は怒れるのであった。
コメント
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