中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

20歳代 4割に「孤独感」

2022年04月13日 | 情報

孤独は、メンタルヘルス対策上、新たなキーワードですね。

20歳代 4割に「孤独感」…政府 初の実態調査
2022/04/09  読売

政府は8日、孤独・孤立に関する初の全国実態調査の結果を公表した。何らかの形で「孤独感がある」と回答した人の年代別割合は、
20歳代の44・4%が最も高く、30歳代の42・2%が続き、若い世代で高い傾向が浮き彫りになった。
調査は昨年12月、全国の16歳以上の約2万人を対象に行われ、有効回答率は59・3%だった。
調査では「常に」や「たまに」など何らかの形で「孤独感がある」と回答した人の全体に占める割合は、
ほぼ3人に1人にあたる36・4%だった。年代別の割合では、20歳代と30歳代で4割を超えたほか、
50歳代が39・7%、40歳代が38・7%と全体平均より高めの割合を示した。最も低かったのは70歳代で28・7%だった。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で日常生活が「悪くなった」「やや悪くなった」との回答は計39・9%。
人と直接会ってコミュニケーションをとることが減った人が67・6%にのぼるなど、影響がみられた。
調査に関する有識者研究会の座長を務めた早稲田大学の石田光規教授(社会学)は、「特定の人だけでなく、
多くの人にとって身近な問題であることが示された。特に若年層が孤独を感じる割合が高いことに注目すべきだ」と指摘している。
政府は数値の変化を把握するため、今年度も同様の調査を実施する方針だ。

孤独感「ある」4割 コロナ禍、20~30代で多く
日経 2022年4月8日

政府は8日、新型コロナウイルス禍で深刻化している孤独・孤立問題を巡り、2万人を対象にした初の全国実態調査の結果を公表した。
孤独感が「ある」と答えた人は約4割で、高齢者より20代と30代の方が多かった。
コロナ禍で自殺やドメスティックバイオレンス(DV)、経済的困窮が拡大。政府は、背景に孤独・孤立問題があるとして
担当相を設置して対策強化に乗り出した。孤独と感じるかどうかは個人差があるとされ、調査結果を分析し、今後の政策に反映する方針。
調査は、全国の16歳以上の2万人を無作為抽出。2021年12月時点の状況を尋ね、1万1867人から有効回答を得た(回答率は59.3%)。
「孤独だと感じることがあるか」との問いに対して「しばしば・常にある」は4.5%、「時々」は14.5%、「たまに」は17.4%だった。
きっかけ(複数回答)は、「1人暮らし」「家族との死別」「病気など心身の重大なトラブル」「転校・転職など」の順。
「しばしば・常に孤独を感じる」と答えた人の割合を年代別に見ると、30代(7.9%)が最も高く、20代(7.7%)が続いた。
最も低かったのは70代(1.8%)。
雇用形態別では「失業中」(12.5%)、「派遣社員」(8.7%)が高い。世帯年収が低いほど孤独を感じる傾向があった。
「しばしば・常に孤独を感じる」とした人のうち、83.7%が行政やNPOからの支援を受けていないと回答。
サポートが十分に届いていない状況が浮かんだ。
コロナ禍による人との関わりの変化を聞くと、67.6%が人と直接会ってコミュニケーションを取ることが減ったと回答。
同居以外の家族や友人と会って話す頻度を聞いたところ、「月1回未満」が15.2%で最も多かった。「全くない」との回答も11.2%あった。
政府は22年度も調査を行い、変化を分析する。

若者、SNSで相談急増 戸別訪問で新たな結びつきも

政府が8日公表した孤独・孤立に関する初の実態調査では、20~30代の若者に孤独感が強いことが分かった。
新型コロナウイルス禍で、自殺予防を担うNPOにはSNS(交流サイト)を通じた相談が急増する一方、
困窮家庭への支援では戸別訪問を通じ、新たな地域の結びつきも生まれている。
テレワークでSNSによる相談に応じる東京メンタルヘルス・スクエアの相談員(2020年6月)=共同
「地方から上京したが、大学はオンライン授業ばかりで友人ができない。実家にも帰れず、孤独だ」。
SNSで相談を受け付ける「こころのほっとチャット」には、コロナ感染が拡大した2020年春以降、こうした学生からの相談が増えた。
運営するNPO法人「東京メンタルヘルス・スクエア」によると大半が10~30代だ。
相談申込件数は19年と比べ、2倍以上に。公認心理師ら有資格者25人が1日100件に対応するが、
申し込みの半数に対応するのが精いっぱいという。
子ども食堂などを運営するNPO法人「豊島子どもWAKUWAKUネットワーク」(東京)では、
コロナ禍で一緒に食事をすることが難しくなり、ひとり親家庭に新米や食事券を配る事業を20年度から開始した。
以前は1カ所にスタッフや利用者ら100人以上が集まって活動していたが、
小学校区ごとの公共施設に希望する家庭が受け取りに行く方式に変更。
ボランティアとして配布を手伝った住民に身近な要支援家庭を見守る意識が生まれたという。
20年秋にはこうした地域の支援者がひとり親家庭を訪問し、月に1回菓子を届ける活動も始まった。
「顔が見える関係」ができ、コロナで自宅待機となった家庭に食べ物を届けるケースもあった。


人々のつながりに関する基礎調査(令和3年) 令和4年4月8日公表
内閣官房孤独・孤立対策担当室

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu_taisaku/zittai_tyosa/tyosakekka_gaiyo.pdf

内閣官房HP

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu_taisaku/index.html

 

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暴行隠蔽ー昭和の手法は通用しません

2022年04月12日 | 情報

SNSが一般化している時代、隠ぺいは通用しません。
特に、社内の士気に影響します。回復させるには、隠ぺい工作の10倍、100倍の労力が必要です。
災い転じて福となすが、肝要です。

暴行隠蔽、町が責任認める 教諭と和解、仙台地裁
2022年3月28日 東京

同僚から暴行を受けた後、学校側から問題を隠蔽されうつ病になったとして、
宮城県大和町の40代男性教諭=休職中=と妻が県や町に計約1億600万円の損害賠償を求めた訴訟は28日、
仙台地裁(大寄麻代裁判長)で和解が成立した。町が責任を認め、解決金2860万円を支払う。

和解条項には解決金支払いに加え、学校で職員間の暴力事件などが発生した場合は町が適切に調査し、
公務災害申請に関する援助をすること
などが盛り込まれた。

原告の男性と妻は和解成立後に、仙台市で会見し「こんなことが起きないように町の対応を注視しないといけない」と述べた。

学校が教諭間の暴行隠蔽、町が責任認め和解 仙台地裁
2022/3/28 産経

同僚から暴行を受けた後、学校側から問題を隠蔽され鬱病になったとして、宮城県大和町の40代男性教諭=休職中=と
妻が県や町に計約1億600万円の損害賠償を求めた訴訟は28日、仙台地裁(大寄麻代裁判長)で和解が成立した。
町が責任を認め、解決金2860万円を支払う。

和解条項には解決金支払いに加え、学校で職員間の暴力事件などが発生した場合は町が適切に調査し、
公務災害申請に関する援助をすることなどが盛り込まれた。

訴状などによると、男性は平成23年、勤務先の中学校の職員室で同僚から胸ぐらをつかまれて揺さぶられ、
頸椎(けいつい)を捻挫した。その後、当時の校長や教育長から「表沙汰になると困る」として事件を隠蔽され、鬱病になり、
28年に公務災害に認定されたとしている。

暴行隠蔽責任認め和解 大和町が教諭に2860万円 地裁 /宮城
毎日新聞 2022/3/29

同僚から暴行を受けた後、学校側から問題を隠蔽(いんぺい)されうつ病になったとして、
大和町の40代男性教諭=休職中=と妻が県や町に計約1億600万円の損害賠償を求めた訴訟は28日、
仙台地裁(大寄麻代裁判長)で和解が成立した。町が責任を認め、解決金2860万円を支払う。

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研修中からパワハラ

2022年04月11日 | 情報

パワハラと教育・研修は、紙一重です。
それは、人間関係であり、人間性であり、さらには小職が強調する企業文化の問題でもあります。

49歳「人生もう負け組です」…“気持ち悪いやつ”研修中からパワハラ、不安障害で退職
3/29(火) 西日本新聞

福岡市の男性(49)は4年前、観光バス会社の新人研修を受けていた。運転手になる訓練で実際にバスを走らせる。
時速50キロほどで山道に入った。そのとき、運転席の後ろにいた男性上司から、傘の持ち手を首に引っかけられた。
強い力で後ろに引かれ、体がのけぞる。車体は揺れた。「何するんですか」。思わず振り払った。
ハンドルを握ると猫背になる癖があり、いつも注意されていた。その指導だったのだろうが、上司は黙ったまま。
同乗していた数人の研修生も声を出さない。怖くて会社には報告できなかった。

男性は入社直後から、上司にアイドルファンであることを冷やかされた。「気持ち悪いやつ」「いい年して」「おたく」…。
会社中に言いふらされ、同僚にもからかわれた。
高速道路を時速100キロで走る研修中、上司がスマートフォンでアイドルの動画を再生し、耳に近づけてきたこともある。
慌てて振り返り、脇見運転になった。やがて頭痛と不眠に悩まされるようになった。
研修中の恐怖や屈辱を思い出すと気分が悪くなる。入社からわずか半年後、不安障害で休職した。

「もう復帰は無理かも」
会社は上司のパワハラを認めて処分したが、復職支援はほとんどなかった。症状は続き、休職は延びていく。半年、1年、1年半。
男性が求める労災申請の協力も渋った。やむなく、仕事以外の原因で働けなくなると支給される傷病手当金で生活。
休職が2年半に及ぶ頃、「もう復帰は無理かも」と退社した。
その後は職が決まらない。面接を受けてもメンタル不調やパワハラ被害で退職したことを明かすと反応が悪い。
気持ちの浮き沈みが激しく、空腹なのに2日ほど食事ができないこともある。「会社に戻れず転職もできず、体はこんな感じ。
人生もう負け組です」。今は生活保護で日々をつなぐ。

「気分障害」の患者数は17年、127万6千人
男性のように仕事でストレスを感じ、労災補償を求める人は増えている。
精神障害に関する請求は2012年度の1257件が、20年度は2051件に。
ただし認められるには、指定された疾病があることや、病気になる前の半年間に強いストレスを受けたことの証明が必要だ。
認定は12年度が475件、20年度は608件にとどまる。

傷病手当金を受ける人も多い。約4千万人が加入する国内最大の健康保険「全国健康保険協会(協会けんぽ)」では20年10月、
傷病手当金を受給した約13万件のうち、最も多い原因が「精神および行動の障害」で32%台だった。
心の健康を崩した労働者の全体像はさらに膨れ上がる。国の最新の調査では、労災対象となるうつ病などの「気分障害」の患者数は17年、
127万6千人。仕事に就くことができる生産年齢人口の15~64歳では87万人に上る。

メンタルヘルス対策がおろそかになれば、生活保護や労災など公助、共助の負担増につながる。
労働力も失われ、社会にとって大きな痛手だ。さらに予防策や初期対応が尽くされないと、本人も使用者も長期にわたって悩むことになる。
福岡市のシステムエンジニアの男性(24)は入社2年目の昨年夏、初めて本格的な仕事を任された。経験のない難しい業務。
トラブルで未明に帰宅する生活が1週間続き、適応障害と診断された。半年間休んだ。
休職期間の期限が迫り、薬で症状が軽くなったこともあって復職することに。主治医は「別の部署に移るなら」と条件付きで認めた。
産業医や人事担当者と話し、短時間勤務から始めることになった。
その後も産業医と2週間に1度は面談し、経過観察中だ。今後、元の仕事に戻るのか、主治医の助言通り異動するか。
「今は軽い仕事だからいいけど、元の部署に戻るとどうなるか分からないよ」。主治医の言葉に不安が募る。

会社は自分に合った部署を探してくれている。ありがたいが、元の業務にやりがいを感じる。
「正直、今は薬なしで仕事をする自信がない。何年かは悩むんでしょうね」。完全復帰した自分の姿はなかなか見えない。

事業所のメンタルヘルス対策
厚生労働省の2020年の調査によると、研修や相談体制整備など、
働き手のメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は61・4%だった。
規模別に見ると50人以上の事業所が92・8%に上る一方、30~49人は69・1%、10~29人は53・5%となっており、
中小企業ほど取り組みが進んでいない。対策を取っている事業所のうち、職場復帰に関する支援をしているのは24・8%にとどまった。

 

 

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(参考)ホワイトすぎてホワイトすぎて離職?

2022年04月10日 | 情報

ひとつの考え方として、新卒者採用の参考になりますね。
何事にも、先入観や固定概念での判断には、問題があるということでしょう。

(参考)「ゆるい大企業」を去る若手たち。ホワイトすぎて離職?働きやすいのに“不安”な理由
3/29(火) businessinsider誌(文・古屋星斗、編集・横山耕太郎)

古屋 星斗(ふるや・しょうと):リクルートワークス研究所研究員。2011年一橋大学大学院社会学研究科修了、同年経済産業省に入省。
産業人材政策、福島の復興支援、「未来投資戦略」策定等に携わる。2017年より現職にて、学生・若手社会人の就業行動や価値観の変化を
検証し、次世代社会のキャリア形成を研究する。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e9b999e24a0f485607daa39d7b661213e2c199c4?page=1

「若手の離職率がどんどん上がっている。しかも、社内では優秀とされる若手が辞めるケースも多くて、
離職のアラームを察知できない」(小売大手の人事担当者)
「社内のキャリアコンサルタントへの相談件数は、20代の若手社員が特に増えている。
仕事を覚えるのに必死なはずの若手社員が、キャリアに悩むなんて……」(情報通信企業の人事担当者)
こう嘆くのは、新卒採用では高い倍率を誇る大企業の社員たちだ。
高い倍率を勝ち抜いて大企業に入社した若手社員の間で、早期離職が増えているというという話をよく聞くようになった。
若手の離職と言えば、長時間の残業やパワハラが横行する「ブラック企業」が頭に浮かぶ。
一方、大企業では、労働時間の縮減とコンプライアンスが徹底されている。
ではなぜ、若手社員は職場を去るのか?
リクルートワークス研究所が大企業に勤める新入社員らを対象にした就労状況定量調査(2021年11月インターネットで実施、
サンプルサイズ2680)などのデータを分析すると、「ゆるい職場」が、その一因になっている可能性があることが明らかになってきた。

労働時間は大幅に減少
まずは、大企業における新入社員期(入社1年目)の労働実態からみてみよう。
1週間の労働時間をみると、1999-2004年卒は「49.6時間」だった。その後は徐々に減少し、2010-2014年卒では「46.8時間」、
直近の新入社員(2019年卒~2021年卒)では「44.4時間」となっている。
労働時間は着実に減少しており、月の残業時間に直せば、おおむね45時間だったものが、20時間ほどになっている計算だ。
また労働時間だけでなく、仕事の負荷感についても、量(仕事量)・質(仕事の難易度)・関係性(人間関係のストレス)
すべての負荷が低下傾向にあった。

叱られたことがない新入社員「4人に1人」
また、叱られたことがない新入社員も急増している。
新入社員期に職場の上司・先輩から叱責される機会が「一度もなかった割合」は、1999-2004年卒でみると9.6%。
この割合は入社年が最近になるほど高くなっており、直近の新入社員では25.2%になっている。
職場の風土自体も急速に改善しつつある。「休みが取りやすい」や「副業や兼業をする人に肯定的な職場である」、
「失敗が許される職場である」などと回答する割合は、直近の新入社員が最も高かった。
このように、現代の職場環境は「ゆるくなっている」と言えるだろう。

不可逆な職場の変化が起こった
ではなぜ大企業を中心に「ゆるい職場」が広がっているのか?
それは、職場運営に係る法律が変わったことに起因する。
2013年に「ブラック企業」がユーキャン新語・流行語大賞トップテンとなり話題となり、これを受けて政府が対応。
2015年には若者雇用促進法が施行され、採用活動の際に自社の平均残業時間などを公表することが義務付けられた。
2019年には働き方改革関連法により労働時間の上限規制が大企業を対象に適用され、2020年にはパワハラ防止法も施行された。
「ゆるい職場」へ変化した背景には、若者が過労自殺をするような痛ましい事件もあった。
日本が「パワーハラスメントを許さない社会」に変わり、法律をも変えてきた過去は決して忘れてはならない。

「ゆるい職場」で醸成される焦りと不安
職場環境も改善され、風通しも良い──。
「それなら良いことずくめではないか?」と筆者も思っていたのだが、実は調査によって大きな問題点が明らかになってきた。
「ゆるい職場」で若手社員の「不安」が高まっているのだ。
前出の調査のストレスに関する質問では、新入社員の75.8%が「不安だ」と回答しており、
1999年卒以降の社員の新入社員期と比べると、むしろ微増の傾向がみられる。
この「不安感」を深堀りすると、興味深いことが分かる。
直近の新入社員の48.9%が、「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」と回答していたのだ。
確かに筆者が実施したインタビューでも、
「社外で通用しなくなるのでは、と思っていた。会社の人間関係が良いので居心地は良いが、本音ではこのままではまずいと感じている」
と話す新入社員がいた。
キャリアモデルが不明確な時代を渡り歩くために必要な成長欲求の高まりに、「ゆるい職場」は応えられていないのかもしれない。

不安の背景に「社会的な活動」の経験
「ゆるい職場」で感じる若手の「不安」を加速させていると考えられる“ある要素”も見つかった。
それが、入社前の社会活動経験だ。
今回の調査では、「長期のインターン」や「起業や法人設立の経験」など、生徒・学生時代に外の社会とつながる経験の有無を聞いた。
過去と比較すると、この経験量は徐々に増えている。
1999-2004年卒では全く経験がない割合が53.5%と過半数を占めていたが、2019-2021年卒では27.5%まで減少。全体的に経験数が増えている。
キャリア教育やPBL(地域社会や企業が直面する課題を題材に行う学習)などの浸透で、社会との接点を持つ学生が増えているということだ。
ポイントはここからである。
この入社前の社会活動経験によって職場や仕事への向き合い方が違うようだ。
会社への評価は、社会活動経験が多ければ多いほど高くなっていく傾向がある。
2019-2021年卒では、社会活動経験が「全くない」と回答した新入社員グループだと10点満点中5.8点、
そこから社会活動経験の回数に応じて会社への点数は上昇し、「多数」と回答した新入社員のグループでは6.9点であった。
さらに、自分のキャリアや仕事へのエンゲージメントについても、社会活動経験が増加するにつれて高まっていく関係が見られている。

活動経験が多いほど「不安」
注目したいのは、職場環境を「不安」に感じているのも、入社前の社会活動経験が多かった層だということだ。
社会活動経験が「全くない」新入社員では26.2%が「不安だ」と回答していたが、「多数」の新入社員では41.9%に上っていた。
離職率についても、活動経験が多い新入社員が非常に高い。「全くない」が11.7%にとどまる一方、「多数」では25.4%となっていた。
在学中から社会的活動を多く経験してきた若手が、「ゆるい職場」の中で、より一層「会社は満足できるが、不安」という状況に
なっていることが示唆されている。
「学生時代にできたようなわくわくする経験が、入社した今の職場ではできないかもしれない」──。そんな声が聞こえてくるようだ。

変わったのは「若者」だけではない
「ゆるい職場」と若手のデータは、企業と若手双方が考え直さなくてはならないポイントを浮き彫りにする。
若手社員に求められるのは、「会社・職場が育ててくれる」というこれまでの常識ではなく、
「自分が会社・職場を使って育つ」という発想の逆転だ。
職場外でのアクションも含めて職場を生かして自らを育てる姿勢がどうしても必要になるだろう。
また会社側には若手社員の育成方法の見直しが求められる。
従来のような長時間のOJTで育てるアプローチがなくなった現状を放置しておけば、
入社後の若手間での経験・スキル・ネットワークの差が開いていく可能性が高い。
若手が自ら育つことをいかにサポートできるのかが重要になるだろう。
いずれにせよ、今私たちが認識しなくてはならないことは、「若手も変わっているが、大人(職場)側も急激に変わりつつある」という
現下の特異性である。
「新人類だから…」「ゆとり世代だから…」「Z世代は…」という話は、これまで何度も繰り返されてきた。
だが、若者の変化だけを論じる“若者育成論”の枠を越え、職場の中で若者の成長を促す手立てを考えなくてはならない。
多様な若手が活躍できる職場の未来を作るために、職場と若者の新しい関係性が求められている。

 

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(参考)家族介護、就業の重荷に

2022年04月09日 | 情報

(参考)家族介護、就業の重荷に
2022年4月4日 日経

東京大学の全国調査で、家族の介護が女性の就業やメンタルヘルスに影響を与えている現状が明らかになった。

東大では2007年から同じ人たちを対象に毎年調査をしている。21年の調査では、34~48歳の女性の約5.4%、49~54歳では約16%が家族の介護をしていた。男性と比べてそれぞれ1.6倍、3.3倍にのぼる。

家族介護が就業に与える影響を分析すると、女性のみが影響を受けていることが分かった。介護をすると、介護していない場合に比べて就業確率が平均で5%低くなり、月の労働時間も平均5時間短くなった。調査を担当した大久保将貴特任助教は「就業調整をするのは女性だという社会規範があり、同じ介護といっても女性の方が男性より長時間またはハードな介護をしている可能性がある」と指摘する。

家族介護は女性においてのみメンタルヘルスを悪化させる傾向もあった。大久保特任助教は「本人の希望にかかわらず、家族介護で就労を断念せざるを得ないケースがある。公的な支援サービスの利用等で働き続けられることが望ましい」と話す。

◎仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~ 厚労省HP

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/index.html

家族の介護を抱えている労働者が仕事と介護を両立できる社会の実現を目指して、仕事と介護の両立に当たっての課題や企業の両立支援策の状況を把握し、介護休業制度等の周知を行う等の対策を総合的に推進しています。

施策の概要
高齢者人口の増加とともに、介護保険制度上の要支援・要介護認定者数は増加しており、今後、団塊世代が70歳代に突入することに伴いその傾向は続くことが見込まれます。
介護者は、とりわけ働き盛り世代で、企業の中核を担う労働者であることが多く、企業において管理職として活躍する方や職責の重い仕事に従事する方も少なくありません。
そうした中、介護は育児と異なり突発的に問題が発生することや、介護を行う期間・方策も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難となることも考えられます。
このため、厚生労働省では、育児・介護休業法に定められた介護休業制度などの周知徹底を図り、企業及び労働者の課題を把握し事例集を作成するなど、介護を行っている労働者の継続就業を促進しています。

事業主の方へ

経験を積んだ熟練従業員や管理職など企業の中核となる人材が、仕事と介護の両立に悩み離職してしまうことは、企業にとって大きな損失です。離職する従業員や心身ともにストレスを抱える従業員が増える前に、仕事と介護の両立支援の取組をはじめることが必要です。

労働者の方へ

継続的に介護を行うためには、経済的な負担がかかります。
また、介護が終了した後の生活を視野に入れて考えても、経済的基盤は重要です。
介護に直面しても、すぐに退職することなく、仕事と介護を両立するための制度を活用して、仕事を続けながら介護をしましょう。

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