21.22日は、出張のため当ブログを休載します。
再開は、25日(月)です。よろしくお願いします。
追記;アップするのを忘れていました。
「産業医の責務と役割について」説明しましたら、関連の質問がありましたので、以下に紹介します。
1.産業医に関しての事業場の悩みは、以下のようであると認識しています。
・わが社が望む産業医が見つからない
・地方の事業場では、特に候補者がいない
・産業医の報酬要求とわが社の予算が折り合わない
・嘱託産業医はいるが、依頼したい業務を受けてくれない
例えば、ストレスチェック結果による面談、メンタルの問題、衛生委員会の出席等
2.繰り返しになりますが、産業医の職務は、安衛則第14条で具体的に定められています。
事業場側は、一人または複数の産業医に対して安衛則第14条に規定さている業務を、「すべて」委嘱しなければなりません。
ところが、事業場側の予算に限りがあるので、委嘱する業務を選択している実態があると聞いています。
即ち、安衛則第14条に規定されている業務の中から、事業場側にとって必要とする業務を選択のうえ、
産業医契約を結んでいますので、結果として、産業医に委嘱していない業務が発生してしまっているということです。
例えば、衛生委員会への出席と職場巡視だけを委嘱しているとしたら、これは安衛法に違反していることになります。
違反を回避するには、安衛則第14条に規定されている全業務を委嘱する契約にするか、
残りの業務をもうひとりの産業医と契約しなければなりません。
3.次に、望む産業医が見つからない、というお悩みです。
ストレスチェック制度の導入以降、産業医の需要が高まり、相対的に産業医不足が発生していることは否めません。
・産業医については、小職は産業医大出身の先生が最良と考えていますが、卒業生には限りがあります。
まず、地元医師会に相談し、産業医の紹介を依頼してください。
日本医師会HP
https://www.med.or.jp/link/search.html
・民間の産業医紹介機関を頼ることもできます。ただし、紹介料が必要です。
ただし、ネット検索した結果で選んだ業者を、安易に信用しないでください。
契約料や契約内容等、慎重な吟味が必要です。
取引関係の企業や金融機関等からの情報収集も役に立ちます。
さて、紹介料ですが、産業医報酬の2か月分くらいが目安です。
「高いな」と思うかもしれませんが、メリットとしては、気に入らない場合には交代を依頼できることです。
4.産業医が、メンタルヘルス関連の業務を避ける傾向にあるのは承知しています。
しかし、産業医がすべてに対応できるかというと、それは無理というものです。
それに、診療行為をするわけではありません。
医師としての基本知識で、通常は十分に対応できるはずです。
また、産業医の先生(医師)は、横のつながりがありますので、
専門知識がない場合には懇意にしている他の医師にアドバイスを求めることができるはずです。
参考情報として、小職が素人レベルで専門家から聞いている情報では、
医師の世界では、例えるとほとんどの領域で通用する言語が、
精神科領域と、あと一つの領域(失念しましたが)では通用しないのだそうです。それほど特殊だということなのでしょう。
それから、望むような対応をしていただけないような産業医であれば、この際、交代していただくことも検討の価値があります。
小職も経験していますが、産業医の先生もさまざまで、社労士同様、玉石混交なのです。
「会社の不正受給が原因でうつ病」 元経理責任者が賠償請求
2022年4月9日 日経
勤務先会社が雇用調整助成金(雇調金)の不正受給を繰り返したため強い不安を感じてうつ病を発症した末、退職させられたとして、
経理責任者だった男性が9日までに、会社に約720万円の損害賠償と地位確認を求め、東京地裁に労働審判を申し立てた。
男性側は雇調金の不正受給は少なくとも9千万円超に上ると主張。昨年10月、東京労働局に調査を申し入れた。
勤務先は宝石や衣類のリユースを手がける「STAYGOLD」(東京)で、男性は経理などを担うコーポレート部の部長だった。
男性側によると、同社は2020年4月から新型コロナウイルスの影響で休業し、企業の休業手当を国が補填する雇調金を申請。
しかし同8月からは営業を再開したのに休業中と偽って申請を続け、同12月分までの計約9200万円を受け取っていたという。
また、売り上げを過少申告し、国や都による新型コロナ対策の融資も受けていた。
(参考)労働審判手続 最高裁HP
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/roudousinpan/index.html
1.労働審判手続の概要
労働審判手続は,解雇や給料の不払など,個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルを,その実情に即し,
迅速,適正かつ実効的に解決するための手続です。
訴訟手続とは異なり非公開の手続です。
2.労働審判手続の特徴
(1)労働関係の専門家による関与
労働審判手続は,労働審判官(裁判官)1名と労働審判員2名で組織する労働審判委員会が行います。
労働審判員は,雇用関係の実情や労使慣行等に関する詳しい知識と豊富な経験を持つ者の中から任命され,
中立かつ公正な立場で,審理・判断に加わります。
(2)迅速な手続
原則として3回以内の期日で審理を終えることになっているため,迅速な解決が期待できます。
平成18年から令和元年までに終了した事件について,平均審理期間は77.2日であり,70.5%の事件が申立てから3か月以内に終了しています。
(3)事案の実情に即した柔軟な解決
労働審判委員会は,まず調停という話合いによる解決を試み,話合いがまとまらない場合には,
審理の結果認められた当事者間の権利関係と手続の経過を踏まえ,事案の実情に即した判断(労働審判)を行い,柔軟な解決を図ります。
(4)異議申立てによる訴訟移行
労働審判に不服のある当事者は,異議申立てをすることができます。
適法な異議申立てがなされた場合は,労働審判は効力を失い,訴訟手続に移行します。
◎労働審判制度の特徴や手続の流れ等を分かりやすく説明したリーフレットです。
https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2021/roudou/R3roudousinpan.pdf
◎民事事件Q&A
https://www.courts.go.jp/saiban/qa/qa_minzi/index.html#qa_minzi_45
◎パワハラ対策は、メンタルヘルス対策上、極めて重要です。
ですから、中小企業についても、4月よりパワハラ防止法(2020年6月1日施行)により、
パワハラ対策のための相談窓口設置が義務化されたことを、下記のように当ブログでも再三述べてきました。
・2022年02月03日 付け当ブログ「相談窓口設置」
中小規模の企業についても、4月よりパワハラ防止法(2020年6月1日施行)により、
パワハラ対策のための相談窓口設置が義務化されます。
2020年6月1日、改正・労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び
職業生活の充実等に関する法律(パワハラ防止法)が施行されました。
なお、中小企業については2022年3月31日まで努力義務となっています。
改正法令を具体的に示しているのが、職場におけるハラスメント関係指針
(令和2年1月15日厚生労働省告示第5号)です。
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/pdf/harassment_sisin_baltusui.pdf
(以下、省略)
◎さて、上記の「職場におけるハラスメント関係指針」についても、チェック済みとは思いますが、
事業主が雇用管理上講ずべき措置として10項目が挙げられています。
今回は、特にこの10項目について確認しましょう。
1 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
⑴ 職場におけるセクシュアルハラスメントの内容・セクシュアルハラスメントがあって
はならない旨の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
⑵ セクシュアルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内
容を就業規則等の文書に規定し、管理・監督者を含む労働者に周知・啓発すること。
2 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
⑶ 相談窓口をあらかじめ定めること。
⑷ 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。また、広く相談に対応すること。
3 職場におけるセクシュアルハラスメントに係る事後の迅速かつ適切な対応
⑸ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること。
⑹ 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと。
⑺ 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと。
⑻ 再発防止に向けた措置を講ずること。(事実が確認できなかった場合も同様)
4 1から3までの措置と併せて講ずべき措置
⑼ 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること。
⑽ 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、
労働者に周知・啓発すること。
◎さらに詳しくは、厚生労働省 都道府県労働局雇用均等室のリーフレットを参照してください。
その中には、チェックリストもありますので、役立ててください。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/00.pdf
パワハラ対策、中小企業でも義務化…「指導との線引き困難」「迷う」経営者から戸惑いの声も
4/11(月) 読売
改正労働施策総合推進法による職場のパワーハラスメント対策が、4月から中小企業にも義務づけられた。
人手不足に悩む中小企業は多いが、2020年6月に義務化された大企業に比べ、取り組みの遅れが指摘されている。
人材確保の点からも対策が求められている。
「パワハラと指導との線引きが困難」「適正な処罰・対処の判断に迷う」――。
日本商工会議所や東京商工会議所には、パワハラ対策の義務化に戸惑う中小企業の経営者の声が多く寄せられている。
1月には「ハラスメント対策BOOK」を作成し、対策の重要性を訴えているが、定着には時間がかかりそうだ。
両商工会議所が昨年7~8月に実施した調査では、義務化の内容などを把握している企業は42・5%にとどまり、
規模が小さいほど割合が低かった。
義務化で求められる対応には、就業規則にパワハラへの対処方針を盛り込むことや、相談窓口を設けることなどがある。
義務化による罰則はないが、対策を講じない企業に厚生労働省は指導や勧告をすることができ、
従わない場合は企業名を公表することもできる。
従業員約20人の医療機器商社「アブソルート」(横浜市)は20年にハラスメントの相談窓口を設置。
対応や調査の流れをまとめたマニュアルを全従業員に明示している。
ハラスメント対策のコンサルティング会社「クオレ・シー・キューブ」(東京)の稲尾和泉取締役は
「人手不足が深刻な中小企業にとって、離職を防いで人材を育てる意味でもパワハラ対策は大切だ」と訴えている。
コロナ踏まえた自殺防止策要請 有識者会議報告書
毎日新聞 2022/3/26
厚生労働省の有識者会議(座長・椿広計(ひろえ)情報・システム研究機構理事)は25日、
新たな自殺総合対策大綱についての報告書をまとめた。
https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/000918746.pdf
新型コロナウイルス感染症が流行した影響で自殺者が増えた子どもや女性への支援強化や、
テレワークが広がる中で労働者のメンタルヘルスを保つための対策などが柱だ。政府は今夏をめどに閣議決定する方針。
年間の自殺者数は減少傾向にあったが、新型コロナの感染が国内で初めて確認された2020年に2万1081人(前年比912人増)と
11年ぶりに増加。21年も高い水準が続き、女性の自殺者が増え、小中高生の自殺者数は過去2番目に多かった。
報告書は「新型コロナの影響で自殺の要因となり得るさまざまな問題が悪化した」と分析した。
報告書では、テレワークの導入によって、労働時間を管理できずに長時間労働になったり、孤独感を覚えたりすることがあるため、
職場で適切に運用する必要性を指摘。自殺リスクが高い子どもに対応するため、
自治体や学校、地域が連携した対策を全国に広げるよう求めた。
インターネットでの誹謗(ひぼう)中傷に対して対策強化の検討をすることや、
出産を迷っている妊婦や中絶をした女性への支援の強化も新たに打ち出した。
26年までに、15年と比べて自殺死亡率を3割減らす現在の数値目標は維持する。
現在の自殺総合対策大綱は17年に策定され、5年後をめどに見直すことになっていた。