中小企業の「うつ病」対策ー人、資金、時間、情報に余裕がない

企業の労働安全衛生、特にメンタルヘルス問題に取り組んでいます。
拙著「中小企業のうつ病対策」をお読みください。

休職・復職の基本シリーズ⑧

2020年04月06日 | 情報

具体策として、会社は衛生委員会の下部組織として、休職・復職委員会(仮)を設置します。
衛生委員会の下部組織とするのは、構成メンバーが殆どで重複するからです。
即ち、産業医、産業保健スタッフ、人事労務部門、衛生管理者が構成メンバーになります。
それに休職者との連絡係をメンバーに加えます。事務局は、衛生管理者が相応しいようです。

組織は、休職者をスムーズに職場復帰させることを第一義とします。
目標を達成するために関係するすべての事項について、情報交換し、審議検討し、
結論について経営層に稟議します。ここでも、委員会の記録を取ることが重要です。

 

休職者との連絡担当は、約束した頻度で、休職者宅を訪問の上、
休職者の生活を確認し、結果を会社の担当組織に報告します。

連絡担当の具体的手順を示します。

連絡担当は、当初の覚書に従い、メールにより連絡を取り、面談日時を決定します。

面談日には、療養の状況や要望等を聞き取り、定期的に主治医の診断書を受け取るとともに、
社会保険料等の費用を徴収します。

病状等については、主治医の担当領域ですから、介入しないようにします。

病状によっては、面談が成り立たないことも想定させますので、その際はご家族の協力を仰ぐこととします。

面談の結果を記録に残し、休職復職委員会(仮)に報告します。

以降、同様の手順に従って、休職者の病状の回復を待ちます。

 

ただし、病状は、概ね、急性期、安定期、回復期というようなステップとなるようですが、
滑らかなスロープを上るような回復をしないようです。
随分と良くなったように見える時もあれば、まだまだと感じる時もあります。
ですから、病状の理解については、主治医の診断書に委ねることが大切です。

しかし、休職者の病状回復が進めば、窓口担当との面談では、
休職者自ら自発的に復職に関する話題が出てくるようになります。

例えば、復職する前には「リワーク」が必要ではないか?復帰する職場は、
休職前と同じなのか、それとも違うのか?等々です。

 

ここで、リワークについて説明します。

日本うつ病リワーク協会によれば、リワークとは、
「return to workの略語で、気分障害などの精神疾患を原因として休職している労働者に対し、
職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムです。」
と解説されています。

( http://www.utsu-rework.org/rework/ )

 

即ち、リワークをするしないは、主治医と休職者に判断を委ねてください。
ですから、最近、就業規則に「リワーク」を復職する際の義務として規定する企業もあるようですが、
これは間違いです。例えば、会社の指示で、リワークをしたものの期待した効果が得られず、
かえって病状が悪化したような場合も想定できるからです。

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 自爆営業で自殺、労災 | トップ | 休職・復職の基本シリーズ⑨ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

情報」カテゴリの最新記事